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Magic love
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しおりを挟むあれからかなりの時が立ち、そろそろ派遣の期間が終わりそうになった頃だった。
ウォルターさんやウィンディさんとは仲良くしていたし時々シャルル様とお茶をしたり、リオン様と軽口を言い合ったりと楽しい毎日を過ごしていた。
派遣が終わる頃にダンスパーティが開かれる。そこにパートナーを連れて出席するのだ。
「ウォルターさんとウィンディさんは婚約者さんたちと一緒の予定ですか?」
「そうね~」
「その予定」
2人とは仲良くなりだいぶ砕けた関係になったが、私は敬語がクセになっておりそのまま話していた。
「シェリアは決まったの?」
「まだ、決まってません」
誰かお相手してくれる人は居ないか探し中だ。
「ならさ!王子誘ってみるのはどう?」
「えっ…」
「シャルル王子でもリオン王子でもどちらも誘えばきてくれそうだよね~」
「そんな恐れ多いし…」
それにラ・フォア王国はダンスパーティーを誘う際は男性側から誘うのがマナーらしい。女性からは誘えないので行動できないのももどかしかった。
⭐︎
「シェリア」
夜遅く私は家に連絡するために通信魔法を使っていた。テラスに出ていたところシャルル様に声をかけられた。
「シャルル様、こんばんは。いかがなさいました?」
「シェリアはダンスパーティーの相手は決まったか?」
「いえ、まだです」
もしかして、誘ってもらえるのかも…。いや、まさか淡い期待はやめておこう。
「では、私を選んでいただけますか?」
「あっ…」
シャルル様は私の前にひざまづいて手の甲にキスをした。見上げるその青い瞳がきらりと揺らめいて綺麗に見えた。
「はい。喜んで」
シャルル様は立ち上がり優しく私を抱きしめてくれた。
「良かった。シェリアはきっと他の誰かにたくさん誘われているのかと思っていた。…良ければこのままこの国に残ってくれないか?私と共に生きてほしい」
「…魔法使いの依頼ですか?」
わざととぼけてみせた。だって本当のこととは思い難かった。
「違うよ。君に結婚を申し込んでいるのだけれど」
「やっ…え?本当ですか?」
「本当にだよ」
シャルル様は優しく笑うとおでこにキスしてくれた。その感触が生々しくて現実なのだと思い知らされた。
「嬉しい…」
私はシャルル様を尊敬していた。たまに誘ってくれるお茶会はドキドキしたし楽しかった。
それにいつも私のことを見てくれている。助けてくれる。これが恋なんだと思っていた。
それが叶うなんて夢みたいだと思った。嬉しい。好きな人と一緒にいれるなんてそんな幸せはないと心に噛み締めていた。
この後に起こることをまったくもって知らなかったから、心から喜ぶことができたのだ。
⭐︎
「マナが枯渇している…」
私たち魔法使いが王の謁見の間に集められて告げられたのは国中のマナが枯渇しているとのことだった。
「早急に対策してくれ」
ラ・フォア王からはそれだけを告げられた。私たちは動揺しているとシャルル様が声をかけてくれた。
「心配するな。とにかく様子を見に行こう」
しかし、マナの枯渇現場に行って魔力のコントロールを試みるもうまくいかず。私たちではどうしようもなかった。ユグドラシルに連絡を取り、他の魔法使いも派遣してもらって対策を練っていた。
「役立たず」
「無能」
あれからはそう罵られることも増えた。任期は後少しだが、このまま帰るのは逃げるみたいで嫌だった。
だからやれることは全てやろうと寝る間も惜しんでいた。
しかし、魔法使いは用済みだと宣告された。王様に呼ばれて私たち魔法使いは謁見の間に集まっていた。
「神殿より聖女を召喚すればまたマナの枯渇は解決されるとお告げがあった。これからシャルル王子によって召喚の儀を行う。魔法使いはみな派遣期間を終える。もう帰っても良いぞ」
私たちは2週間後に自国に帰ることが決まった。
ダンスパーティーは中止になった。
⭐︎
私はまた家に通信魔法を飛ばしていた。白い蝶が飛んでいく様子を見て、私もあのように飛んで行きたいと思った。
魔法使いとして役に立たなかったな…。これまで魔法一本で生きてきた。それを誇りに思っていたのになんだが崩された気分だった。
「おい、ブス」
「リオン様」
私がテラスでぼんやりと月を眺めているとリオン様がやってきた。
「お前、もう用済みなんだってな!」
「そう…なんです」
「……なんだいつもの元気がないな」
最近はリオン様と顔を合わせると軽い言い合いみたいになっていた。しかし、もうその元気はなかった。
「もう帰ることが決まってしまって…」
「兄様と結婚するんじゃないのかよ」
リオン様は拗ねた感じで言ってきた。
「そうでした」
ここのところマナの枯渇に気を取られてすっかり忘れていた。
「もしかして忘れていたのか?とにかく、もし辛かったら私に言え。私がお前を……引き取ってやってもいい!」
「引き取る?」
「…今、聖女を召喚したら兄様と結婚するように話が進んでいる」
決定ではないけど、と言われた。途端頭が真っ白になった。
「だからもし兄様に振られても私が…おい!」
気づいたら駆け出していた。シャルル様のところへ。しかし会えなかった。どうして…。どうして……。
聖女が召喚された。名前はマツリカという。とても綺麗な女性だった。私とは違い儚くてお花のような女性だと思った。
彼女が来てからマナの枯渇の問題は一気に解決した。その圧倒的な魔力は私たち魔法使いをもってしても敵わなかった。
そして彼女は全属性の魔法を使える上に光の魔法が秀でていた。
白魔法も死者蘇生以外は使えるので国中で引っ張りだこだった。
聖女とシャルル様はずっと一緒だった。とてもお似合いの2人に見えた。私なんて、何にも役に立たないのだ。
そして、運命の日がやってきた。
⭐︎
魔法使いの派遣の期間が終えて魔法使いと王様、王子たちが謁見の間に集められていた。
シャルル様に寄り添うように立っている聖女様が羨ましかった。
「シェリア、申し訳ないが今回の婚約は無かったことにしてくれないか」
彼からこうして絶望の底に落とす一言を言われるのだ。
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