付与魔術師、結界術を極めて成り上がる 〜大罪人になったのに勇者パーティーに誘われたんだが〜

かさた

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勇者パーティー加入編

1話 ガルダ村のアルト

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「アルトよ。ワシを含む村の民は、お主の結界術が信用ならんのじゃよ。お主にわざわざ高い報酬を払う価値があるのかい?」

「は?」

 早朝に叩き起こされたので何事かと思えば、村長に意味のわからないことを言われてしまった。
 この村に生まれて16年になるけど、こんなことは初めてだ。

「そうよ! 昨日だってゴブリンが村のすぐそこに来ていたわ。あれじゃあ、安心して子供を遊ばせられないじゃない!」

「それだけじゃないぞ! 一昨日なんてワイバーンが上空を飛んでいただろ!」

 言いたい放題の村人がワイワイガヤガヤと目の前で騒いでいる。朝なのに元気だな、わざわざこんな時間に起こしやがって。

「はぁ…寝言は寝て言ってくれ。そもそも、僕の結界が無かったら寝る暇も無く死んでるんだぞ?」

「そう言うなら、お主の結界術の効果を証明しなされ!」

「そうだそうだ!」

「このインチキ詐欺師め‼︎    大体、お前の親父も胡散臭かったんだ! 信用できるもんか‼︎」

 今まで迷惑をかけないように生活をしてきたが、まさかこんな仕打ちを受けるとは思わなかった。まぁ確かに、結界の内側に居ればその効果は感じにくいかもしれないけど…。
 それにしても、今まで僕の結界に守られてきたのにこの仕打ちは酷いよな。もはや酷すぎて怒ることも出来ないし、今は親父の話なんて関係ないだろ。

「解いていいのか? もれなく全員、地獄に落ちるぞ」

「フン、脅したって無駄だね。研究のために色んな結界試してんだろ? どうせ役に立っていない結界ばっかなんだし、やってみろよクソ野郎」

 普段は温厚な人も今は声を荒げている。確かにこちらにも落ち度があったのかもしれない。それでも言い方っていうものがあると思う。自分の為にやっていたとは言え、それが村の役に立っていたんだから少しは気を遣ってもらいたいものだ。
 そんな風に思いつつも、僕は最後の忠告のためにもう一度口を開いた。

「村長、これで良いんだな? あの世で後悔しないでくれよ」

「良いからやってみなさい。そうすれば、お前さんの罪が暴かれるだろう」

「うん、それじゃあお別れだ。ご機嫌よう」

 そう言って僕が結界を解くと、村は一気に険悪な雰囲気に包まれた。村にいた鳥たちは一斉に飛び立ち、家畜の牛や豚も何やら落ち着かない様子である。

「は、ははっ、やっぱり何も起こらないじゃないか。おいインチキ結界師、今すぐ金返せよ」

 村人の誰かがそう言った。でも僕はそれを無視して、可哀想な村人たちにある事実を教えることにする。

「そう言えば伝え忘れていた。今僕が解いた結界だけど、効果は魔獣の侵入を妨害するだけじゃ無いんだ。農作物の成長を促進したり、時には村の周りの天候だって操っていた。まぁそのお陰でいいデータが得られたよ、今までありがとう」

「は、はぁ? う、嘘言うなよ! そんな神様みたいなこと、人間に出来るわけがないだろ‼︎」

「ああそれと…ここ最近、村周辺は魔獣の活動が活発だったんだけど、あれは魔物のスタンピードが原因だから。気をつけてね」

「え?」

 僕が村を去った日、ガルダ村は焼け野原となり、地図から跡形もなく消滅したのだった。
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