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末期
140.★
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人生は転落するばかりで、次第に悪くなっていく。
そんなことが自分に起こるなんて、ヤネオシュンイチはここまできてもまだ思いもしていなかった。自分は有能で誰からも尊敬されて然るべき人間だと、自分でもずっと信じていたのだ。それでもこうして年を重ねていく内に、やがてはシュンイチもこうは認めるしかなくなっていた。
どんなに頭がよくて能力が高い人間でも、成功者になるとは限らない。
それどころか何の力もない能力もない人間が、親の七光りでノウノウと暮らすなんてのはよくあることなのだ。それでもシュンイチも落ちきるところまで落ちたからなのか、そこからは後はシュンイチの生活はユルユルと登り始めていると思う。安定して塾の講師を続けられるようになったのは、二年ほど前にあの夢を見なくなってからの事だ。あの夢を見なくなった理由は、実ははっきりとはしない。
※※※
自分のふりをした生意気なガキを思い切り蹴りつけようとしたら、突然に背後の格子戸からそれじゃ駄目だと何かが囁きかけてきたのだ。聞き覚えのない掠れて年老いた男の声に、思わず蹴りあげようとしたシュンイチの足が止まる。しかもその声はシュンイチにしか聞こえていないようで、蹴られないことにガキは戸惑いながらその場で凍りついたままだ。
それじゃ…………駄目だ、蹴ったり殴ったりじゃ駄目だ、お前。
低くまるで試験の答えを教えるみたいにヒッソリと嘲笑う声が、格子戸から土間に立って子供を蹴りつけようとしているシュンイチの背中に向かって話しかけてくる。お前はこれまでに何度もそうしてきただろうとその年老いた声に囁かれ、初めてこれが繰り返し行われていたことだったのにシュンイチは突然気がついていた。何度もどころではなく、何百何千とシュンイチは蹴りつけ殴り、拷問して殺して。その後は同じことを、こいつらから自分がされるという生々しい繰り返しの悪夢。
それじゃ駄目だ、吊るすのさ…………手も足も出ないよう、高い梁に。お前が。
括り、吊るす。先ずは殴りも蹴りもしない、結果は同じ殺すのでも蘇っても動けないように蛇の頭を捉えるようにして、何も出来ないようにしてから殺す。そうでないとそのガキどもは、その身体に記憶したものをお前にやり返してくる。だから、やりたかったら、括って死んでから殴るなりすればいい。そう低く背後から教えられて、シュンイチは目の前で不思議そうに自分を見上げる幼い自分の姿を見下ろす。
…………殺さないってことは?
ふと一瞬頭の中にその疑問が沸き上がると、格子戸の影は掠れて年老いた声で笑った。別に殺さなくてもいいが、お前はそれで気がすむのかね?その子供らはお前を何千回と愚か者扱いして殴り付け蹴りつけ恐怖に貶めてきたのに、お前はそれを仕返しもせずに解放してやるほど間抜けなのかと。
そう囁きかけられると沸々と怒りが沸き上がる。
シュンイチは何千回と蹴り殴り恐怖に陥れて殺されたのに、それをやった子供は殺されないなんてことはあってたまるものかと思う。勿論自分が先に殺したのは棚においてと思う部分も無いわけではないが、それは自分をここに閉じ込めた分の報復なのだという明らかな理由はある。
そうだろう?そう思うだろう?
掠れて年老いた声は自分のもののようにシュンイチの心の中に答えて、背後から丁寧にそのやり方を説明してきた。この土蔵の中には何度もアキコを縛っていたぶったのに使った縄はあるし、子供達はこの土蔵の中から出られない。だから安心してユックリとガキを手にかけるだけ、ギシギシとユックリ括った首を闇の中に沈むような梁にぶら下げてやるだけ。言われるがまま自分のふりをした子供を梁に吊るしてから隠れ回るアキコを捕まえると、幼いアキコは初めてシュンイチの顔を睨むようにして呟く。
「正しいこと、自分でかんがえられないの?傷つけるしか、しらないの?」
正義ぶった口調にシュンイチは奥歯を噛んで歯を剥き出し、ニィと自分の母がするように笑い駆けてやった。牛のように歯を剥き出し、お前の正しさなんか知るものかと嗤いかけるシュンイチに、幼いアキコは言葉を失う。そうしてもう一人と同じように梁に吊るされ汚物を滴らせて揺れる姿を、シュンイチは嗤いながら土間から眺めた。
「お前が悪い、悪いのは俺じゃない、お前が悪い。」
そう呟くとその言葉そのままに背後の格子戸から、掠れ声がその通りだと囁いてくる。悪いのは言うことを聞かないアキコの方で、自分が言うことは闇からもたらされた重大な予言なのだ。だから言う通りにするべきで、それはシュンイチの母親の一族では当然のことなのだ。遥か昔に異形に生まれついた爪弾きを座敷牢に閉じ込めて已む無く生かしてやったのだから、それは一族に有益な予言をするのは当然のこと。
……何の事だ?今のは
記憶にない筈の何かが突然に頭に浮かび、何かが頭の中で警鐘を鳴らす。自分のことではないのに自分のことのように頭の中に刷り込まれて、それに飲まれてしまっていると何かがシュンイチの過ちを訴えかけてきた。ところが背後の格子戸がいきなりガタガタと鳴り始めて、シュンイチはそれを忘れて振り返る。黒い影になった格子戸の向こうの年老いた声の主が、自分を閉じ込めていた格子戸を開けようとしていた。子供だけが死んだから鍵の効力が一時の間、消えたのだと掠れ声は暗く嗤いながら、ガタガタガダガダと戸を揺すり立てる。
本当にそれでいいのか?俺は本当に悪くないのか?
疑問が胸に膨らむ。何故ここに閉じ込められたのか、何故子供二人は何度も自分にいたぶられ、それを自分に繰り返し仕返したのか。それを考えると、本当にこれでいいのだろうかとシュンイチは戸惑う。
アキコが自分の傍から離れたのは何故か?
大切にしなかったからだと、何人から言われただろうか。自分を省みた方がいいと何人から言われただろうか。ハルカワやコイズミやコバヤカワと縁が切れたのは何故なのか。それを自分で考えずに、この影に従って本当にいいのか。しかしその答えをシュンイチが自分の中で見いだす前に、土蔵の扉は土埃を立てながら薄明かりを土蔵の中に落としたのだった。
※※※
あれから土蔵の夢はまるでみない。
土蔵の中でアキコをいたぶり調教する夢は楽しめないが、それでも土蔵から出たことは正解だったのだと思うまでそれほど時間はかからなかったし、全ては自分が正義なのだと分かるまでもあっという間だ。何故ならよく眠れるようになって、改めて女を奴隷にする意欲を持てるようになった。そうして自分の思うことが全て正しいと思えるようになるまでは、それほどかからない。
「黙って言うこと聞けよ?」
何度もアキコのような奴隷を手に入れよう考えて、無垢な奴隷を手に入れるために何度か幼い子供から奴隷を育てよう公園で子供を捕まえて物陰に引き込んだ。だけど思うとおりの経過にはならないと気がついたのは、子供には親がいるから面倒だと気がついたからだった。せめて自分の意思表示ができて、自分からシュンイチの所有物になると宣言出来る程度には成長していないとならない。
少し年を重ねると知恵がついて可愛げがなくなるが、シュンイチの方も写真や何か逆らえないものを手にすることで先ずは言うことを聞かせるよう躾ることを学んだ。お陰で様々なことを試して様々な手段をこうじて、どんな女も大概は暫くは大人しく言うなりになるようになった。
「お願い、許して……。」
大人の方が簡単で最初は可愛いとか綺麗だとのせてやって、酒で酔わせてしまえばこちらのものだった。酩酊した後に縛って、タップリと催淫クリームを穴に塗りこんでやってから、散々玩具と言葉で責め立てて濡れ穴をほじくってやるのだ。
「いやぁっ!あぅううっ!!やめてぇえ!」
「嫌じゃねぇだろ?グチョグチョだぞ?!チンポを旨そうに咥えてるじゃないか。変態だな、グチョマンでズッポリだぞ?豚が!」
一晩中責め立てて何回か気持ちよくなってグッタリしたところで、はしたない格好の写真を撮ってやれば大概がシュンイチの言うなりだ。股をおっぴろげて膣に張り型を捩じ込んで、拘束された姿の写真を何枚も撮ってメールだ送りつけてやると大人しく言うことを聞いてやってくる。それでも上手く言うことをきかなきゃ、またモギとサダトモを呼び出して三人で一晩中犯し続けて嵌め撮りすればいい。
「許してえぇ!ひぃい!!」
ラブホテルの中やカラオケボックスの中。羞恥心を煽りながら捩じ込まれ、いかされまくってやがては性交しか考えられない奴隷に少しずつ変えていく。前と後ろに一度に逸物を捩じ込まれ口でもしゃぶりながら、穴と言う穴に種付けされていればそれで何度も果てるように次第になってくる。
「フィさん、こいつ中だししていいの?」
「ああ、言うこと聞くようにタップリ種付けしてやれ。」
「いやぁ!!やめて!許して!!」
「うるさい!黙れ!!」
ただ問題なのは、アキコのような痛みにも従順な女はそうそういないことだった。叩けば泣いて煩いだけの女が多くて、尻を打たれて絶頂に達するような女は出会えない。陰茎には喜んでも鞭では喜ばない、複数には喜んでも縄で吊るされての輪姦は拒絶。ソフトならいいけどハードなSMは嫌だとか、女って生き物はどこまでいっても我儘だ。
「ヤネオさん、目標が高いんですよ。」
モギとサダトモはシュンイチの愚痴にそんなことを言う。最近の女は根性がないからアナルはよくても緊縛は無理なんだと笑う若い友人に、シュンイチはアキコのことを再び考える自分に気がつく。
実はアキコによく似た女とネットで一度交流したが、相手はシュンイチに怯えたように姿を消していた。
赤い縁の眼鏡に、ふっくらした胸元。エクボの出来る口元までそっくりで、本人かと思いはしたがアキコならシュンイチはから逃げる筈もない。
何しろ俺は唯一無二の存在なのだ…………
アキコにとってシュンイチは唯一無二の主人で、その思いは再びシュンイチの中に確りと根付き揺るぐことはなくなった。一度はアキコのことは諦めてみたはずだったが、あの夢から逃れて自由になったことで、改めてその意思だけは確固たるものになったのだ。
シュンイチは世の中に一人しかいないのだから、今もアキコは自分のことを待っている筈。
同時にそう考えながら今度は高校生に手を出し始めたのは、大人の関与が少ないのと自発的な意思表示が可能だからだ。それに自分がアルバイトで教えているのに高校生がいたのもあって、物色がしやすかった。高校生なら馬鹿でも構わないのは、その後躾が容易いからで女子高生を手に入れ掛けもしたのだ。
あれは中々上手くいった方だった。
従順で大人しい物も知らない女子高生を一人手にいれかけ、数ヶ月もかけてした調教は順調だった。駅前で露出も出来るし、公園でセックスも出来たし多人数での性行為も従順に言うことを聞くところまでいったのだ。その上他に何人か女子高生をつれてこいと言えば、馬鹿だがその奴隷は大人しく従う。
「いい子だな、カナは。」
その一言で何でも言うことを聞くし、馬鹿な高校生の親だけあって塾で教えていると挨拶したら両親まで上手く丸め込まれた。やっとのことで二号がつくれたと安堵したのにやはり女子高生は馬鹿で、シュンイチの性奴隷なのに彼女気取りで時に泣き出したりするのだ。
それでも二号は二号だ。
シュンイチはニヤニヤ笑いながら、殆ど裸みたいな服を着た二号奴隷の腰を抱き寄せて周りに見えるように尻を撫でながら歩き出す。二号は駅前でそんな格好でシュンイチのことを待つことで、何人もの男に舐めるような視線で裸を想像され露骨なセックス目的でナンパされ続けていた。このままだと物陰に連れ込まれ、見ず知らずの男に犯されるかもと二号は怯えきってシュンイチの言うなりだ。
そしてカラオケボックスのいつもの部屋に連れ込むと、シュンイチは主人として当然のように二号に命令する。
「まず服脱げ、カナ。」
「でも、シュンイチさん私。」
素直に言うことを聞けばいいのに何故か今日に限って、二号はシュンイチに口答えをして、よかった気分を台無しにした。
「いいから早く脱げよ!」
「聞いてよ!」
珍しく更に反抗した二号にシュンイチは不機嫌そうな奥歯を噛む表情に変わったが、それでも言わないとといいたげに二号は更に口を開いた。
「赤ちゃん……出来たみたい。」
馬鹿で愚図だから妊娠したとか言い始めたが、孕んだらすぐ下ろせと正直に思う。自分の性欲処理ができなくなるような間抜けなことをするのが間違いなんだ。それに大体にして馬鹿だから気がついてないだろうけれど、
「俺の子供だって証拠あんのか?お前、モギともサダトモとも生でやったよな?他にも居るんだろ?どうせ。」
唖然とする二号の顔に本当に馬鹿な奴だとシュンイチは思う。アキコは全く他人とは性交をしていなかったから、シュンイチの子供だと言われれば納得だ。でも目の前の二号は言われるがまま、シュンイチの目の前でモギとサダトモの逸物を咥えこんだアバズレ。世間知らずで馬鹿で間の抜けた、女子高生なんだから、さっさと脱いで言う通りにするべきだ。
「おい、早く四つん這いになれ、淫乱雌豚。」
そう言うとやっと大人しく下着になって四つん這いに這う。それに気晴らしに歌いながら、当然のようにドカリと背中にシュンイチが座りこんだ。このカラオケボックスはシュンイチが何度もこういうことに使ったり乱交に使っている場所で、シュンイチを崇めているようだから何も文句は言わない。何しろ裸の女に座っているところに、店員が飲み物を運んできてもシュンイチは平然としていられる。
それなのに二号が逆らったその日に限って、全く予想外のことが起こったのだ。
そんなことが自分に起こるなんて、ヤネオシュンイチはここまできてもまだ思いもしていなかった。自分は有能で誰からも尊敬されて然るべき人間だと、自分でもずっと信じていたのだ。それでもこうして年を重ねていく内に、やがてはシュンイチもこうは認めるしかなくなっていた。
どんなに頭がよくて能力が高い人間でも、成功者になるとは限らない。
それどころか何の力もない能力もない人間が、親の七光りでノウノウと暮らすなんてのはよくあることなのだ。それでもシュンイチも落ちきるところまで落ちたからなのか、そこからは後はシュンイチの生活はユルユルと登り始めていると思う。安定して塾の講師を続けられるようになったのは、二年ほど前にあの夢を見なくなってからの事だ。あの夢を見なくなった理由は、実ははっきりとはしない。
※※※
自分のふりをした生意気なガキを思い切り蹴りつけようとしたら、突然に背後の格子戸からそれじゃ駄目だと何かが囁きかけてきたのだ。聞き覚えのない掠れて年老いた男の声に、思わず蹴りあげようとしたシュンイチの足が止まる。しかもその声はシュンイチにしか聞こえていないようで、蹴られないことにガキは戸惑いながらその場で凍りついたままだ。
それじゃ…………駄目だ、蹴ったり殴ったりじゃ駄目だ、お前。
低くまるで試験の答えを教えるみたいにヒッソリと嘲笑う声が、格子戸から土間に立って子供を蹴りつけようとしているシュンイチの背中に向かって話しかけてくる。お前はこれまでに何度もそうしてきただろうとその年老いた声に囁かれ、初めてこれが繰り返し行われていたことだったのにシュンイチは突然気がついていた。何度もどころではなく、何百何千とシュンイチは蹴りつけ殴り、拷問して殺して。その後は同じことを、こいつらから自分がされるという生々しい繰り返しの悪夢。
それじゃ駄目だ、吊るすのさ…………手も足も出ないよう、高い梁に。お前が。
括り、吊るす。先ずは殴りも蹴りもしない、結果は同じ殺すのでも蘇っても動けないように蛇の頭を捉えるようにして、何も出来ないようにしてから殺す。そうでないとそのガキどもは、その身体に記憶したものをお前にやり返してくる。だから、やりたかったら、括って死んでから殴るなりすればいい。そう低く背後から教えられて、シュンイチは目の前で不思議そうに自分を見上げる幼い自分の姿を見下ろす。
…………殺さないってことは?
ふと一瞬頭の中にその疑問が沸き上がると、格子戸の影は掠れて年老いた声で笑った。別に殺さなくてもいいが、お前はそれで気がすむのかね?その子供らはお前を何千回と愚か者扱いして殴り付け蹴りつけ恐怖に貶めてきたのに、お前はそれを仕返しもせずに解放してやるほど間抜けなのかと。
そう囁きかけられると沸々と怒りが沸き上がる。
シュンイチは何千回と蹴り殴り恐怖に陥れて殺されたのに、それをやった子供は殺されないなんてことはあってたまるものかと思う。勿論自分が先に殺したのは棚においてと思う部分も無いわけではないが、それは自分をここに閉じ込めた分の報復なのだという明らかな理由はある。
そうだろう?そう思うだろう?
掠れて年老いた声は自分のもののようにシュンイチの心の中に答えて、背後から丁寧にそのやり方を説明してきた。この土蔵の中には何度もアキコを縛っていたぶったのに使った縄はあるし、子供達はこの土蔵の中から出られない。だから安心してユックリとガキを手にかけるだけ、ギシギシとユックリ括った首を闇の中に沈むような梁にぶら下げてやるだけ。言われるがまま自分のふりをした子供を梁に吊るしてから隠れ回るアキコを捕まえると、幼いアキコは初めてシュンイチの顔を睨むようにして呟く。
「正しいこと、自分でかんがえられないの?傷つけるしか、しらないの?」
正義ぶった口調にシュンイチは奥歯を噛んで歯を剥き出し、ニィと自分の母がするように笑い駆けてやった。牛のように歯を剥き出し、お前の正しさなんか知るものかと嗤いかけるシュンイチに、幼いアキコは言葉を失う。そうしてもう一人と同じように梁に吊るされ汚物を滴らせて揺れる姿を、シュンイチは嗤いながら土間から眺めた。
「お前が悪い、悪いのは俺じゃない、お前が悪い。」
そう呟くとその言葉そのままに背後の格子戸から、掠れ声がその通りだと囁いてくる。悪いのは言うことを聞かないアキコの方で、自分が言うことは闇からもたらされた重大な予言なのだ。だから言う通りにするべきで、それはシュンイチの母親の一族では当然のことなのだ。遥か昔に異形に生まれついた爪弾きを座敷牢に閉じ込めて已む無く生かしてやったのだから、それは一族に有益な予言をするのは当然のこと。
……何の事だ?今のは
記憶にない筈の何かが突然に頭に浮かび、何かが頭の中で警鐘を鳴らす。自分のことではないのに自分のことのように頭の中に刷り込まれて、それに飲まれてしまっていると何かがシュンイチの過ちを訴えかけてきた。ところが背後の格子戸がいきなりガタガタと鳴り始めて、シュンイチはそれを忘れて振り返る。黒い影になった格子戸の向こうの年老いた声の主が、自分を閉じ込めていた格子戸を開けようとしていた。子供だけが死んだから鍵の効力が一時の間、消えたのだと掠れ声は暗く嗤いながら、ガタガタガダガダと戸を揺すり立てる。
本当にそれでいいのか?俺は本当に悪くないのか?
疑問が胸に膨らむ。何故ここに閉じ込められたのか、何故子供二人は何度も自分にいたぶられ、それを自分に繰り返し仕返したのか。それを考えると、本当にこれでいいのだろうかとシュンイチは戸惑う。
アキコが自分の傍から離れたのは何故か?
大切にしなかったからだと、何人から言われただろうか。自分を省みた方がいいと何人から言われただろうか。ハルカワやコイズミやコバヤカワと縁が切れたのは何故なのか。それを自分で考えずに、この影に従って本当にいいのか。しかしその答えをシュンイチが自分の中で見いだす前に、土蔵の扉は土埃を立てながら薄明かりを土蔵の中に落としたのだった。
※※※
あれから土蔵の夢はまるでみない。
土蔵の中でアキコをいたぶり調教する夢は楽しめないが、それでも土蔵から出たことは正解だったのだと思うまでそれほど時間はかからなかったし、全ては自分が正義なのだと分かるまでもあっという間だ。何故ならよく眠れるようになって、改めて女を奴隷にする意欲を持てるようになった。そうして自分の思うことが全て正しいと思えるようになるまでは、それほどかからない。
「黙って言うこと聞けよ?」
何度もアキコのような奴隷を手に入れよう考えて、無垢な奴隷を手に入れるために何度か幼い子供から奴隷を育てよう公園で子供を捕まえて物陰に引き込んだ。だけど思うとおりの経過にはならないと気がついたのは、子供には親がいるから面倒だと気がついたからだった。せめて自分の意思表示ができて、自分からシュンイチの所有物になると宣言出来る程度には成長していないとならない。
少し年を重ねると知恵がついて可愛げがなくなるが、シュンイチの方も写真や何か逆らえないものを手にすることで先ずは言うことを聞かせるよう躾ることを学んだ。お陰で様々なことを試して様々な手段をこうじて、どんな女も大概は暫くは大人しく言うなりになるようになった。
「お願い、許して……。」
大人の方が簡単で最初は可愛いとか綺麗だとのせてやって、酒で酔わせてしまえばこちらのものだった。酩酊した後に縛って、タップリと催淫クリームを穴に塗りこんでやってから、散々玩具と言葉で責め立てて濡れ穴をほじくってやるのだ。
「いやぁっ!あぅううっ!!やめてぇえ!」
「嫌じゃねぇだろ?グチョグチョだぞ?!チンポを旨そうに咥えてるじゃないか。変態だな、グチョマンでズッポリだぞ?豚が!」
一晩中責め立てて何回か気持ちよくなってグッタリしたところで、はしたない格好の写真を撮ってやれば大概がシュンイチの言うなりだ。股をおっぴろげて膣に張り型を捩じ込んで、拘束された姿の写真を何枚も撮ってメールだ送りつけてやると大人しく言うことを聞いてやってくる。それでも上手く言うことをきかなきゃ、またモギとサダトモを呼び出して三人で一晩中犯し続けて嵌め撮りすればいい。
「許してえぇ!ひぃい!!」
ラブホテルの中やカラオケボックスの中。羞恥心を煽りながら捩じ込まれ、いかされまくってやがては性交しか考えられない奴隷に少しずつ変えていく。前と後ろに一度に逸物を捩じ込まれ口でもしゃぶりながら、穴と言う穴に種付けされていればそれで何度も果てるように次第になってくる。
「フィさん、こいつ中だししていいの?」
「ああ、言うこと聞くようにタップリ種付けしてやれ。」
「いやぁ!!やめて!許して!!」
「うるさい!黙れ!!」
ただ問題なのは、アキコのような痛みにも従順な女はそうそういないことだった。叩けば泣いて煩いだけの女が多くて、尻を打たれて絶頂に達するような女は出会えない。陰茎には喜んでも鞭では喜ばない、複数には喜んでも縄で吊るされての輪姦は拒絶。ソフトならいいけどハードなSMは嫌だとか、女って生き物はどこまでいっても我儘だ。
「ヤネオさん、目標が高いんですよ。」
モギとサダトモはシュンイチの愚痴にそんなことを言う。最近の女は根性がないからアナルはよくても緊縛は無理なんだと笑う若い友人に、シュンイチはアキコのことを再び考える自分に気がつく。
実はアキコによく似た女とネットで一度交流したが、相手はシュンイチに怯えたように姿を消していた。
赤い縁の眼鏡に、ふっくらした胸元。エクボの出来る口元までそっくりで、本人かと思いはしたがアキコならシュンイチはから逃げる筈もない。
何しろ俺は唯一無二の存在なのだ…………
アキコにとってシュンイチは唯一無二の主人で、その思いは再びシュンイチの中に確りと根付き揺るぐことはなくなった。一度はアキコのことは諦めてみたはずだったが、あの夢から逃れて自由になったことで、改めてその意思だけは確固たるものになったのだ。
シュンイチは世の中に一人しかいないのだから、今もアキコは自分のことを待っている筈。
同時にそう考えながら今度は高校生に手を出し始めたのは、大人の関与が少ないのと自発的な意思表示が可能だからだ。それに自分がアルバイトで教えているのに高校生がいたのもあって、物色がしやすかった。高校生なら馬鹿でも構わないのは、その後躾が容易いからで女子高生を手に入れ掛けもしたのだ。
あれは中々上手くいった方だった。
従順で大人しい物も知らない女子高生を一人手にいれかけ、数ヶ月もかけてした調教は順調だった。駅前で露出も出来るし、公園でセックスも出来たし多人数での性行為も従順に言うことを聞くところまでいったのだ。その上他に何人か女子高生をつれてこいと言えば、馬鹿だがその奴隷は大人しく従う。
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それでも二号は二号だ。
シュンイチはニヤニヤ笑いながら、殆ど裸みたいな服を着た二号奴隷の腰を抱き寄せて周りに見えるように尻を撫でながら歩き出す。二号は駅前でそんな格好でシュンイチのことを待つことで、何人もの男に舐めるような視線で裸を想像され露骨なセックス目的でナンパされ続けていた。このままだと物陰に連れ込まれ、見ず知らずの男に犯されるかもと二号は怯えきってシュンイチの言うなりだ。
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「でも、シュンイチさん私。」
素直に言うことを聞けばいいのに何故か今日に限って、二号はシュンイチに口答えをして、よかった気分を台無しにした。
「いいから早く脱げよ!」
「聞いてよ!」
珍しく更に反抗した二号にシュンイチは不機嫌そうな奥歯を噛む表情に変わったが、それでも言わないとといいたげに二号は更に口を開いた。
「赤ちゃん……出来たみたい。」
馬鹿で愚図だから妊娠したとか言い始めたが、孕んだらすぐ下ろせと正直に思う。自分の性欲処理ができなくなるような間抜けなことをするのが間違いなんだ。それに大体にして馬鹿だから気がついてないだろうけれど、
「俺の子供だって証拠あんのか?お前、モギともサダトモとも生でやったよな?他にも居るんだろ?どうせ。」
唖然とする二号の顔に本当に馬鹿な奴だとシュンイチは思う。アキコは全く他人とは性交をしていなかったから、シュンイチの子供だと言われれば納得だ。でも目の前の二号は言われるがまま、シュンイチの目の前でモギとサダトモの逸物を咥えこんだアバズレ。世間知らずで馬鹿で間の抜けた、女子高生なんだから、さっさと脱いで言う通りにするべきだ。
「おい、早く四つん這いになれ、淫乱雌豚。」
そう言うとやっと大人しく下着になって四つん這いに這う。それに気晴らしに歌いながら、当然のようにドカリと背中にシュンイチが座りこんだ。このカラオケボックスはシュンイチが何度もこういうことに使ったり乱交に使っている場所で、シュンイチを崇めているようだから何も文句は言わない。何しろ裸の女に座っているところに、店員が飲み物を運んできてもシュンイチは平然としていられる。
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