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二度目の5月
359.ストケシア
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5月4日
昨日は雪ちゃんのお家だった場所に二人で行った後、少し追想に耽っている様子の雪ちゃんと並んで駅に向かっていた矢先。実際私って本当にこう言うところが巻き込まれ体質なんだって思うんだよね、ここで会わないでおきたいところで確実にその人と出会うっていうかさ。うん、予想出来ると思うんだけど雪ちゃんとお出掛けしようとしている矢先に、駅前で五十嵐君と背の高い男の人が一緒に歩いているのに出くわしちゃったんです。まあここいら辺で生活しているなら、出会う可能性は無くはないんだよね。ううしかもタイミング悪いことに、真正面きって彼に出会ってしまったので私は見ないふりも出来ず。
「宮井さん!!」
「あ、海翔?」
隣の男の人の声を背中に嬉しそうに駆け寄ってきた五十嵐君が、隣にいる雪ちゃんの事を見上げあからさまに眉を潜める。
「ここ出会うならやっぱり二人で一緒に出掛けても良かったじゃない?宮井さん。」
えええ?あのですね、隣に雪ちゃんがいるのをみてましたよね?五十嵐君って案外そういうとこ見えてないっていうか、スルーしてるっていうか。いや別に街で出会うのは悪いわけではないんだけど、ああ、やっぱり!さっきまで穏やかな様子だった雪ちゃんが、あからさまに智美君バリの冷え冷えの冷気を放ち始めてる。
「麻希子、彼は?」
「あ、クラスメイトの五十嵐君、です。」
私の言葉に五十嵐君は改めて雪ちゃんの事を見上げ、眉を潜めて口を開く。
「……宮井さん、この人……。」
えっとですね、なんて説明したらいいのか。この場合、年上彼氏は公にしてもいい事なんでしょうか?っていうか、公にするのは土志田センセのカードは何色になるのだろう。うーんと、でもどう見たってなぁ手を繋いで歩いてるんだし、これは素直に言うしかないか
「………香坂の兄貴?」
「はい?」
何でここで智美君って、ああそうだった!最近背が伸びた智美君って一層雪ちゃんと似てきてるんだった。そう言われちゃうと確かに智美君のお兄さんでも通用しちゃうなぁ、実際血は繋がってるし顔立ちはそっくりなんだもんね。予想外の言葉に雪ちゃんが微妙な顔に変わったのに気がつくけど、これってどう説明するのがベストなんだか私にもよく分からない。そんなことを考えていたら五十嵐君の隣に立っていた背の高い中々渋い男の人が、五十嵐君の頭をこらと叩いてから賑やかに微笑みかけてくる。
「海翔のクラスメイト?可愛い子だね。こいつ馬鹿みたいな人見知りだから、クラスでも凄く迷惑かけてるでしょう?」
「あ、いえ。」
はいとも言えず言葉を濁してしまった私に、賑やかに微笑んでいるその人は藤咲といいますと丁寧に頭を下げて五十嵐君の保護者ですと教えてくれた。って人見知り………?そう言われた五十嵐君は苦い顔で、そんなことないと不貞腐れ顔だ。そして藤咲さんはその視線で雪ちゃんの事を眺めたかと思うと、ニッコリ微笑みかけながら口を開く。
「スカウトしたいところだけど、清楚なお嬢さんとデート中なんだから邪魔しちゃ悪いね。ほら行くぞ、海翔。」
清楚な娘なんて言われてちょっと恥ずかしいけど、藤咲さんの方は雪ちゃんが彼氏だとあっという間に見抜いてしまったらしい。まあ手も繋いでいるし、お出掛けしようとしている真っ只中だもん。五十嵐君の方はえええっ?!って顔で雪ちゃんの事をマジマジと眺めていたけど、藤咲さんに無理やり連れられて行く。んん、年上彼氏はバレちゃったけど、五十嵐君が他の人に言うかなぁ?言ったとしてもここら辺の友達って、仁君達だしなぁ。言っても問題ない気が………あ、駄目だ、仁君からセンセの耳にはいるか………。
「麻希子?」
「あ、うん。」
「あの子はどんな関係なのかな?」
はぅっ!しまった!!五十嵐君がどうこうよりも、隣で久々のブラック雪ちゃんが!どんな関係って言いましてもクラスメイトでして、って説明しても、ただのクラスメイトに二人でお出掛けに誘われるのかな?って黒~い笑顔で言われてしまう。ひゃーっ!私悪くない!ちゃんと断ってるし!全部断ってるし!!雪ちゃんを優先してるのにぃ!
そんな事態のお陰でその後雪ちゃんはずっと指を絡めて手を繋いで歩くし、何かっていうとスキンシップ多くて・私は、はううってなり続けるはめに。雪ちゃんの最近のスキンシップ、前と全然違って密着度が高いんだもん。下手するとお部屋の中でするようなこと……お膝に座らされるとか……外でさせようとするんだもん!うう、恥ずかしいのにっ!しかも、雪ちゃんてばこの間温泉旅行したばっかりなのに、再び旅行に行くってお金っ!どういうこと?!
「……仕事してから今まで一度も旅行に行ったこともないんだよ?俺。」
いやいや、それはわかるよ?大学卒業して直ぐお仕事初めて、しかも宇野静子さんと結婚してたし、宇野さんは病気の上に衛がいたから。それどころじゃなく過ごしてきたのは、当然わかってます。でもだからと言ってこんな短期間にですね?しかも、何気なく電車の指定席もちゃんととってるし!!何時から計画してたの?!これ!
「出版社って、ほら旅行雑誌も作ってるから、コネがね。」
「コネって、それにしてもゴールデンウィークだよ?予約って。」
「海外とか飛行機に乗る訳じゃないから、幾つか方向さえずらせば問題ないよ。ね?」
いや、ね?じゃないよ!雪ちゃんてば、先月から何かと箍外れてませんか?!何処に連れてかれるの?!私。そう聞くとニッコリ笑いながら雪ちゃんはこんなことを言い出す。
「この間のは麻希子のお誕生日のプレゼントでしょ?今回のは俺の誕生日のプレゼント。」
プレゼントって他の人から貰うものでは?そう思わず問いかけると、これから麻希子を貰うからなんてブラック智雪さんで微笑まれてしまった私。と言うわけでこの間は北上したけど、今回は南に向かって連れ出されている次第です。
昨日は雪ちゃんのお家だった場所に二人で行った後、少し追想に耽っている様子の雪ちゃんと並んで駅に向かっていた矢先。実際私って本当にこう言うところが巻き込まれ体質なんだって思うんだよね、ここで会わないでおきたいところで確実にその人と出会うっていうかさ。うん、予想出来ると思うんだけど雪ちゃんとお出掛けしようとしている矢先に、駅前で五十嵐君と背の高い男の人が一緒に歩いているのに出くわしちゃったんです。まあここいら辺で生活しているなら、出会う可能性は無くはないんだよね。ううしかもタイミング悪いことに、真正面きって彼に出会ってしまったので私は見ないふりも出来ず。
「宮井さん!!」
「あ、海翔?」
隣の男の人の声を背中に嬉しそうに駆け寄ってきた五十嵐君が、隣にいる雪ちゃんの事を見上げあからさまに眉を潜める。
「ここ出会うならやっぱり二人で一緒に出掛けても良かったじゃない?宮井さん。」
えええ?あのですね、隣に雪ちゃんがいるのをみてましたよね?五十嵐君って案外そういうとこ見えてないっていうか、スルーしてるっていうか。いや別に街で出会うのは悪いわけではないんだけど、ああ、やっぱり!さっきまで穏やかな様子だった雪ちゃんが、あからさまに智美君バリの冷え冷えの冷気を放ち始めてる。
「麻希子、彼は?」
「あ、クラスメイトの五十嵐君、です。」
私の言葉に五十嵐君は改めて雪ちゃんの事を見上げ、眉を潜めて口を開く。
「……宮井さん、この人……。」
えっとですね、なんて説明したらいいのか。この場合、年上彼氏は公にしてもいい事なんでしょうか?っていうか、公にするのは土志田センセのカードは何色になるのだろう。うーんと、でもどう見たってなぁ手を繋いで歩いてるんだし、これは素直に言うしかないか
「………香坂の兄貴?」
「はい?」
何でここで智美君って、ああそうだった!最近背が伸びた智美君って一層雪ちゃんと似てきてるんだった。そう言われちゃうと確かに智美君のお兄さんでも通用しちゃうなぁ、実際血は繋がってるし顔立ちはそっくりなんだもんね。予想外の言葉に雪ちゃんが微妙な顔に変わったのに気がつくけど、これってどう説明するのがベストなんだか私にもよく分からない。そんなことを考えていたら五十嵐君の隣に立っていた背の高い中々渋い男の人が、五十嵐君の頭をこらと叩いてから賑やかに微笑みかけてくる。
「海翔のクラスメイト?可愛い子だね。こいつ馬鹿みたいな人見知りだから、クラスでも凄く迷惑かけてるでしょう?」
「あ、いえ。」
はいとも言えず言葉を濁してしまった私に、賑やかに微笑んでいるその人は藤咲といいますと丁寧に頭を下げて五十嵐君の保護者ですと教えてくれた。って人見知り………?そう言われた五十嵐君は苦い顔で、そんなことないと不貞腐れ顔だ。そして藤咲さんはその視線で雪ちゃんの事を眺めたかと思うと、ニッコリ微笑みかけながら口を開く。
「スカウトしたいところだけど、清楚なお嬢さんとデート中なんだから邪魔しちゃ悪いね。ほら行くぞ、海翔。」
清楚な娘なんて言われてちょっと恥ずかしいけど、藤咲さんの方は雪ちゃんが彼氏だとあっという間に見抜いてしまったらしい。まあ手も繋いでいるし、お出掛けしようとしている真っ只中だもん。五十嵐君の方はえええっ?!って顔で雪ちゃんの事をマジマジと眺めていたけど、藤咲さんに無理やり連れられて行く。んん、年上彼氏はバレちゃったけど、五十嵐君が他の人に言うかなぁ?言ったとしてもここら辺の友達って、仁君達だしなぁ。言っても問題ない気が………あ、駄目だ、仁君からセンセの耳にはいるか………。
「麻希子?」
「あ、うん。」
「あの子はどんな関係なのかな?」
はぅっ!しまった!!五十嵐君がどうこうよりも、隣で久々のブラック雪ちゃんが!どんな関係って言いましてもクラスメイトでして、って説明しても、ただのクラスメイトに二人でお出掛けに誘われるのかな?って黒~い笑顔で言われてしまう。ひゃーっ!私悪くない!ちゃんと断ってるし!全部断ってるし!!雪ちゃんを優先してるのにぃ!
そんな事態のお陰でその後雪ちゃんはずっと指を絡めて手を繋いで歩くし、何かっていうとスキンシップ多くて・私は、はううってなり続けるはめに。雪ちゃんの最近のスキンシップ、前と全然違って密着度が高いんだもん。下手するとお部屋の中でするようなこと……お膝に座らされるとか……外でさせようとするんだもん!うう、恥ずかしいのにっ!しかも、雪ちゃんてばこの間温泉旅行したばっかりなのに、再び旅行に行くってお金っ!どういうこと?!
「……仕事してから今まで一度も旅行に行ったこともないんだよ?俺。」
いやいや、それはわかるよ?大学卒業して直ぐお仕事初めて、しかも宇野静子さんと結婚してたし、宇野さんは病気の上に衛がいたから。それどころじゃなく過ごしてきたのは、当然わかってます。でもだからと言ってこんな短期間にですね?しかも、何気なく電車の指定席もちゃんととってるし!!何時から計画してたの?!これ!
「出版社って、ほら旅行雑誌も作ってるから、コネがね。」
「コネって、それにしてもゴールデンウィークだよ?予約って。」
「海外とか飛行機に乗る訳じゃないから、幾つか方向さえずらせば問題ないよ。ね?」
いや、ね?じゃないよ!雪ちゃんてば、先月から何かと箍外れてませんか?!何処に連れてかれるの?!私。そう聞くとニッコリ笑いながら雪ちゃんはこんなことを言い出す。
「この間のは麻希子のお誕生日のプレゼントでしょ?今回のは俺の誕生日のプレゼント。」
プレゼントって他の人から貰うものでは?そう思わず問いかけると、これから麻希子を貰うからなんてブラック智雪さんで微笑まれてしまった私。と言うわけでこの間は北上したけど、今回は南に向かって連れ出されている次第です。
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