Vanishing Twins 

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45.三浦和希

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狂った世界の中で、和希は女の姿を求めていた。
あれから一週間以上が過ぎたが、一度もかおるからの電話は来ない。それなのに自分を地獄に落とす電話は何時までも何故かかわるがわる自分を呼び出す。昔こいつらを仲間だったと思ったのは勘違いだったと狂気に沈んだ心の中で和希は呟く。
既に自分は狂いきってしまったのだろう、犯されるために呼び出されているのに、大人しく腸を洗い念入りに準備して店に向かっている。自分の惨めさにもう泣くことも無くなっていた。犯されると一時は享楽にのまれ、何も分からくなって快感にはしたなく雌に堕ちる。それなのに、終わると再び激しい憎悪に包まれる自分に和希は気がついている。それも知らずに男達は嘲笑いながら、和希を何度も呼び出した。

「ほら、和希、しゃぶれ。」

高価なシャンパンボトルから酒を直接あおりながらソファーにふんぞり返る男が言う。自分を嫌いだと言った男の言葉に大人しく従い、床に四つん這いになったまま丁寧に口と舌で奉仕してネットリとねぶりあげる。背後から他の男に和希の事を乱暴に犯させながら、和希の口淫奉仕にギンギンに肉棒をおったててご満悦な男の姿を無表情に見える瞳で見つめる。
ここ数日で和希は体の快楽はどこかで一線を引いたように意識の向こうに遠退き、憎悪が深くなるほど同時に別な思考が可能になるのを知った。

「和希、そっち向いて跨がれ。」

その声に大人しく従い、素直にソファーの上の男に乗り背中を向けて肉棒を跨がる。既に柔らかく解れた穴はヌプヌプと喜んで男の肉棒を包み込み、抉られる歓喜の声を自分の体があげる。
この部屋の周囲には簡単に人を傷つけられる物ばかりだと、和希は心がそっと囁くのを聞いた。今日のプライベートルームの中には男が2人と和希だけだった。そして、狂い始めた自分は、前のようにただ快楽だけに全て呑まれない。

「おおっ!やっぱり和希のマンコグズグズですげぇ!ほら、腰ふれよ!締めろ!雌マンコ!」

甘く喜びに喘ぎながらズポズポ腰を上下にふりたててやれば、中で膨らみ反り返っていく肉棒の硬さを直に感じる。前から同じ穴に突っ込もうと男が前で仁王立ちになると、下から突き上げる男が乱暴に自分の足首を引き上げはしたないV字に足をつり上げた。
男の肉棒一本で支え上げ股を開かされ隠すこともなく晒される恥態に、目の前の男のギラギラと欲望に輝く目がネットリ絡むように視姦する。下から激しく肉棒を捩じ込む男の興奮の吐息がフッフッとリズミカルに首元の後ろで感じる。仁王立ちした男のいきり立つ肉棒が見え、下から突き上げる肉棒の上の縁を男が眺め回す。和希の目の前には和希と同じく涎を垂らしながらガチガチの肉棒がそそりたっている。しかし、肉棒をねじ込む前に男の指が先の肉棒と一緒に穴にメリメリと捩じ込まれる。

「んうっ!くうっ!んひぃ!」
「和希、雌マンコに指も入ったよ!チンポと指が2本だよ、本当にエロいなぁ!和希の雌マンコ!フィストも大喜びだもんねぇ、和希は。」
「んふぅ!指たくさん入れちゃあああっ!マンコ広がるぅ!チンポと指マンされてるぅ!」

下の男が腰を抉るように揺らすのとは別に、捩じ込まれる指が穴をメリメリと広げるように隙間を作り上げると男が笑いながら和希の膨れ上がった乳首を指で弾く。

「ほら、自分でこのエロおっぱい捏ねて摘まんで気持ちよくしてごらん!そしたらもっと穴広げてあげるよ!」
「やぁ!そんなの言わないでぇ!ひぃん!ダメぇ!壊れるぅ!壊れちゃうぅ!ああん!乳首弄くるのマンコにくるぅ!」

和希が言われた通り自分の乳首を激しく摘まみ弄りまわしながら、ヒイヒイ女のように泣きわめくと2人とも馬鹿のように喜ぶ。ヌポヌポグチグチ肉棒の隙間から指で穴を掻き回し興奮に息を荒く仁王立ちしていた男が、突然和希の股に屈みこみ肉棒を咥えこんだ穴の縁を舌でベロベロとねぶりだす。

「うへぇ!何やってんだよぉ!くすぐったいって!」
「あああっ!ひぃい!あひぃん!」
「突っ込まれながら、ここ舐めまわされると気持ちいいんだよ。な、和希気持ちいいよな?」

熱い興奮の吐息を吹き掛けながら穴の縁や周辺を執拗に舐め回し男の涎まみれにされ、睾丸を丸ごと口に飲まれ舌で揉みしだかれる。肉棒の裏や亀頭の裏側まで舐め回される快感に、和希は女のように腰をひくつかせ甲高い声で喘ぐ。悲鳴をあげる和希のひくつく雌穴の縁と一緒に、突きこむ肉棒の裏筋と睾丸まで舐め回される男も快感を感じ初め声を弾ませた。

「マンコ舐め、んひぃ!だめぇ!穴舐めちゃ駄目ぇ!マンコ舐めちゃ駄目ぇん!マンコ濡れちゃう!いくぅ!」
「おおぅ!なんか根本、舐められてっと、おおっ!んおっ!」
「んん、んむ、これ、気持ちいいだろ?ほら、んむ、ここもいいよな?和希。」
「あひぁ!やあ!またマンコくるぅ!おひぃ!おおっ!おふぅ!おおっ!おああぁ!」

ヌルリヌルリと再び男に深く股間に埋められ肉棒と睾丸の下を舐め回されると、和希はけだものめいた歓喜の声をあげる。和希の足が女が絶頂にいくときのように、宙に向けてピンと指を伸ばし突っ張ってヒクヒク痙攣する。

「すげぇ、ただ舐められただけでマンコ連続で雌いきだぜ?!雌穴キュウキュウ締め付けてやがるっ!」
「ここ性感帯なんだよ、和希、雌いきするくらい敏感マンコだから、ここも感じると思った、気持ちいいね?涎垂らして喜んじゃって。」

ヒクヒク痙攣しながら口の端から涎を溢す和希の顔を、男がギラギラと欲情しきったけだものの目で眺める。やがて和希が我にかえり両手で頻りに乳首を強く摘まみ捏ね回しながら、腰をくねらせ自分の勃起した肉棒の先で金属の輪をチャラチャラふりながら穴を蠢かせ肉棒に肉を絡み付かせる。

「そこ舐めるの気持ちいいけどぉ、オレ、オレぇチンポがいいよぉ!もっと生チンポ、雌マンコしてよぉ!雌マンコズコズコしてぇ!」
「はは、残念!和希ちゃんの性感帯開発はまた後でにしようぜ!和希ちゃんは、淫乱雌マンコをチンポでたっぷりホジホジされてもっと雌になりたいんだと!」
「そぉ、早くぅ!雌にしてぇ!オレの雌マンコにチンポ2本ズコズコぉ!チンポ好きぃ!オレぇチンポ大好きぃ!早くぅマンコにチンポちょうだぁい!」

はしたない雌のおねだりを乳首を摘まみあげながら迷いなく甘えた声で叫ぶ和希に、股間を舐め回した男がゴクリと唾液を飲みながら濡れて綻んだ穴を見つめる。下から貫く男が僅かに肉棒を引き抜き緩んだ穴が蠢きながら涎を溢すのに、下の男が和希を嘲笑いながら再びV字に足を固定する。

「ほぉら、雌マンコ丸見えだぞ!淫乱!」
「あはぁ!ホントにマンコ丸見えぇ!早くぅオレの雌マンコに種付けしてぇ!種付けで雌いきしたいのぉ!種付けセックス大好きぃ!」
「ああ、こんなにおっきいチンポ咥えただけじゃ満足できないなんて、はしたないエロマンコだね、和希。すっかり淫乱雌マンコだ。」

興奮しながら少し引き抜かれた肉棒の嵌まった穴を親指でヤワヤワ撫で回す。和希の喘ぎと穴が蠢くひくつきをたっぷり指先で味わうと、亀頭を隙間に擦り合わせるように硬く勃起した肉棒を押し付ける。

「ほら、2本目のおチンポだよ、エロマンコにたっぷりぶちこんで種付けしてあげるよ、和希。」
「ああっああぁっ!マンコ壊れちゃうっ!でっかいチンポがズッポリ嵌まったマンコにぃもう1本でかチン、コジコジしてるぅ!マンコ壊されるぅ!ダメぇ!!チンポくるぅ!嵌まるぅ!嵌められちゃう!!」
「はは、大喜びしやがって、変態だな!ケツマンコにチンポが2本だぞ?!この種付け好きの淫乱雌マンコが!!」

グボリと音を立てて2本目が体内に捩じ込まれ、下の男が足首を更に引き上げ両足が左右にピンと伸びる。

「ほら、見える?和希!和希のおマンコが2本のチンポでズコズコされてるよ!イヤらしいね!」

和希はアダルトビデオのように大きく股間を曝して固定され自分の股間を覗きこむ姿勢のまま、2本の肉棒に貫かれる自分の雌穴を間近に見せつけられている。

「こんなにパックリお口を広げて、でかいチンポにたくさんマンコをズコズコされてるよ!ほら!恥ずかしいね!」

ズゴッズゴッと捩じ込まれる凶器のような肉棒を、快感に蕩けた瞳の和希が歓喜に涎を垂らし喘ぎ続けるのを上の男が満足そうに腰を打ち込む。

「ほら、おマンコ気持ちいいだろ?!太いのに奥までほじくられて、バコバコされて!和希の雌マンコぱっくり開ききっちゃって?!ほら!ほら!掘られてるよ!」
「んおっ!おひぃ!やだぁ掘らないでぇ!オレのマンコぉ、チンポがズッポリ入ってるぅ!でかチンポでこんな激しくズッコズッコしたらオレぇマンコ壊れちゃうよぉ!ズコズコやぁん!あひぃん!!おぉっ!」
「はは!何だよ!エロい事言いやがって、そんなにやならやめるか?種付け止めるか?おい!雌マンコ!」

激しく突き上げながら男が痛いほど足を引き、すっかり目の前に自分の勃起した肉棒を揺らしながら視界の先の深々と突き刺さる2本の肉棒を和希は上気して潤んだ目で見つめる。仁王立ちで上から突きおろす男が卑猥に笑う先で手を伸ばし、和希の肉棒を握りニチャニチャと自分の唾液で濡れるそれを撫で回す。

「ああ、和希イヤらしい。駄目なんて言って、こんなにギンギンにおったてて、目の前でおマンコをチンポでズコズコされるの興奮してるのばれてるよ?」
「ひぃい!雌チンポ触っちゃ駄目ぇ!!オレの雌チンポぉ!」
「はは!雌チンポかよ!ギンギンの雌チンポだなぁ?おい、もっと扱け!」

貫かれながら激しく扱きあげられ、和希は一際高く甲高い悲鳴をあげる。

「和希の雌チンポバキバキだし、雌マンコはグズグズの濡れ濡れだよ?!早く種付けして欲しくて雌マンコ甘えてグチュグチュだよ?!おマンコして貰って気持ちいいんだろ?ほら!おマンコ!」
「んひぃ!おマンコ気持ちいいぃ!おマンコ!」

グングン突きおろす勢いに、視界の前の自分の肉棒が反り返り激しくブルンブルンと涎を溢しながら揺れる。

「ほら!種付け止めるかってきいてんだろ?!答えろよ!雌マンコ!」
「やぁ!やめちゃだめぇ!お願い!種付けしてぇ!お願いもっとズポズポ、ズコズコマンコしてぇ!もっとぉ!」
「和希、たっぷりズコズコしてあげるから、そのまま目の前の雌チンポ咥えてごらん!先っぽの輪っか舐めなめして和希のでっかい雌チンポしゃぶって見せて。」

言われるがまま肉棒で犯されながら、舌を伸ばし自分の肉棒の先の輪を舐め回しそれごと亀頭部を咥えこむ。自分でヌメヌメと亀頭を愛撫する姿に男達が奇声をあげ笑う。

「すっげえ!自分のチンコフェラしながらマンコされてんの!変態!気持ちいいかよ!口マンコ!おおっ!雌マンコ締め付けやがって!変態マンコが!」
「ああ!最高だ!イヤらしく自分のオチンチンしゃぶりながら、雄に雌マンコに種付けされるなんて!和希!」

雌マンコの癖にオレに突っ込むの本当に大好きだな、お前。

興奮に上気して和希の穴に更に深く激しく捩じ込もうとする男の顔を自分自身を舐め回し犯される体と、切り離された心が馬鹿にしたように囁くのを聞いた。

今の時間は表のバーも客が多い。
今日は店に入った時カウンターの中は店長だけだったし、何時もの交代のバーテンダーは来るまでもう少し時間があるはずだ。何よりここ数回ここに呼び出されて和希は理解していた。完全に雌になってしまった和希に、もうあの男は興味を失ったのだ。だから、ここに呼び出されてもドアがタイミングよく開くことはないし、今までの準備はないし準備のために男が待ち構えていることもない。以前のようにここで準備のために湯を注がれ、あられもなく感じさせられることもないのだ。

分かりやすいよな、もう充分遊んだから飽きたって

そんな和希の恥態を、何時間も仕事を抜けてまであの男が監視している筈がない。だから、和希があのかおるがよく腰かけたソファーの上でこれから何をしようと、暫くは問題ない。

「ああっ!すっげぇ!和希、和希の雌マンコ気持ちいいよっ!出そうだ!」
「おおっ!オレもいい!もっと締めろ!中に種付けしてやる!」

目の前の雌マンコ男がご丁寧に何時ものように尿道を犯してくれた先っぽから和希の口が糸をひいて離れるのに、更に興奮した様子で男が唇に残る糸を舌で拭い吸いとる。男は気がつかれないと思っているのか、もうもう一人の男には隠す気もないのかベロベロと和希の唇を犯す。そして、激しく和希の乳を揉み大きく膨らんだ乳首をねちこく舐め回し吸い上げながら、バチンバチンと腰を奥に叩きつける。和希を元から嫌いだと言った男は、息を荒げながら後ろからはしたなくあげた和希の足首を掴み腰を激しくズコンズコンと突き上げ続けている。和希はされるまま2人に揺さぶられ、女のように甲高く悲鳴をあげ続ける。

「あっひっ!ひいっ!んっ!あんっ!ひんっ!」
「おおっ!和希のおっぱいカチカチになって!チンポズコズコ気持ちいいんだね?!乳首つねってあげようか?乳首で雌いき気持ちいいんだよね?ううっ!」
「おおっ!雌マンコ締め付けやがって!おおっおおっ!うおおっ!」

2人とも射精間近で勢いよく、腰をけだもののように振り立てている。自分で舐め回し吸い上げたせいで中途半端に差し込まれていた尿道を犯す金属棒が、激しい動作で吐き出されソファーの座面に滑り落ちていく。激しいけだものの腰ふりに室内はバツンバツン、グボグボズポズポと淫らにリズミカルな音だけで満たされた。

「うがっ!がっ!」

狂った世界の中で奇妙な音をたてて雌マンコ男が上から全体重でのし掛かりながら、和希の奥深くに突き立て今までになく肉棒を硬くそそりたたせドブドブと大量の射精を始める。

「んぅ!んはぁ!たくさん種付けぇ!マンコ気持ちいいっ!」
「ぐぐっう!うががっ!ぐげっ!」
「はは!ほんとだ、すげぇ出てる!良かったな、和希のマンコ種付け気持ちいいってさ!オレも出すぞ!雌マンコに種付けしてやるぅ!ううっ!うおおっ!」

グボグボ下から突き上げ男が嘲笑うのを聞きながら、和希は再び射精を受ける歓喜に尻を強く押し付けた。再びドボドボと腹の中に大量の射精の勢いを感じながら和希は狂った微笑みを浮かべ歓喜に声を震わせ尻を締める。全て吐き出した男が喘ぐような息を吐き、戸惑うように声をあげた。

「おい!重いからどけって、おい!」

上の雌マンコ男の体の重みに呻きながら和希の足をつかんでいた手を離すと、下の男がもがきながら膝で男の体を押す。膝に押され声もなくのし掛かっていた男の体が、グラリと傾いで滑るように大きな音を立てて床に崩れ落ちた。予想外の事態に呆気にとられた下の男が和希の体を解放し、ソロソロとソファーをおりしゃがみこんでその男の顔を覗きこむ。

「お、おい、へ……ふえええええ?!!」

情けない声だなと和希は、邪悪な微笑みを満面に浮かべながら手を伸ばしてから立ち上がり男を見下ろす。
男は自分の見たものが理解できたのかできなかったのか情けない声をあげながら後退り、和希の足に勢いよく背を押し付けた。男の背後で炭酸の弾けるおとをさせて、何かが床に滝のように滴り落ちる。ブルブルと全身を情けなく震わせながら怯えた瞳が真ん丸に見開かれているのは酷く滑稽だなと、振りかえって自分を見上げた顔を見下ろし和希は思った。

「か、かずき、ごめん、ゆるして。」

片言の男の声に許してやるよと囁き相手に酷く綺麗にニッコリ微笑みかけてから、和希は既に振り上げていた手をシャンパンボトルごと力一杯男めがけて振り下ろした。ゴシャッと鈍い音が響き渡った後、ゆっくりとしゃがみこんだ和希が男の髪を鷲掴みにして、意外そうな音を響かせ穏やかに話しかける。

「案外割れないんだ、シャンパンボトルって。なぁ、お前もそう思うよな。炭酸だからかな?すっげぇ頑丈だな。」

もう一度鮮やかに相手に笑いかけてから不意に無表情に変わった和希が、シャンパンボトルを振り上げ同じ動作を何度も繰り返す。暫くゴシャグシャッという音をさせ同じ動作を繰り返し、それでも割れなかったボトルをすっかり真紅の飛沫で染まった顔を向け改めて眺める。

「凄いな、結局割れない。もう、いいか?飽きたな?うん。」

独りで呟くように言うと、和希は自分を嫌いだと言った男の頭を離しボトルを丁寧にソファーの横に置く。
そして立ち上がり数歩歩み始めたが、唐突に思い出したように踵を返し男にしゃがみこむ。しゃがんだ股を伝う男達の吐き出した大量の精液も無視して、再び髪の毛を乱暴に鷲掴みにして既に顔の原型のない男を引き上げ形のない眼窩らしき場所を覗きこんだ。

「言い忘れてた。オレもお前のこと最初から気に入らなかったよ、良かった、オレ達気が合うな?」

にこやかに告げる和希は満足そうに男の頭を離すと、思い出したようにもう一度シャンパンボトルを取り上げ無造作にもう一人の足を掴んだ。



※※※



交代が急な病気で休むと連絡を寄越したこともあり、予定より店は早じまいすることにした。別段そのまま営業しても問題はないが、何処か落ち着かない気配に個人経営の利点ということでそうすることにした。バーカウンターの内側で小さなノートパソコンがボンヤリ光っていて、店のホームページを確認するが新しい予約はない。一緒に開けていたとあるチャットルームでは、昔馴染みが新しい面子に鼻を高くしている。

こいつも最初はそんな風じゃなかったんだけどな

そんなことを思いながらパソコンを眺め、自分のことも思い起こす。奥の部屋は最初からプライベートルームとして売りにした訳ではなかった。元々はカクテルや酒が売りのバーで、奧はイベントスペースにするつもりだったのだ。しかし、ひとつ前の店舗時代ここはSMクラブだったという経歴と、自分の経歴を知っている友人でもある前のオーナーから直に進められ購入した店だった。殆どの設備はその店舗のままだと言えば驚かれるが、実際には監視カメラの殆ども前の店舗時代のものなのだ。自分が細工したソファーのカメラすら配線は元々あったものだった。元々自分は調教師と言ったらかなり胡散臭いだろうが、実際に若い頃は何人も男も女も調教してオーナーと呼ばれる主に引き渡してきた。友人である前のオーナーに調教師をやめるなら、どうかとすすめられ何の気なしに始めてみた店だった。そんなことを生活の糧にしていた時期もあったんだとボンヤリ思いながら、目の前のパソコンで大ボラを叩いている男のログ眺める。

こいつもちゃんと相手を大事にしてればな、ここまで落ちぶれなかったろうに。

画面で女に話かけ淫らな言葉をかけまわる男は、大分昔にチャットで出会った普通の女性を調教したというのが自慢だ。しかし、実際にはその後男の仕打ちに女房にした女が、仕事しない上に浮気もするし無理矢理調教ばかりで愛想をつかして逃げられた情けない男だ。仕事もしない甲斐性なしだから当然なのだが、未だに自分の愚かさを知らない奴なので最近は会話も成り立たない。そんな風になってしまうと手におえない、今の若い奴等とたいして変わらないのだ。そう思いながらパタンと音をたててパソコンを閉じる。

今日のあいつの顔つき、流石にヤバイかったな。

小一時間程前に2人の後ろを幽鬼のように俯いて歩く姿に頭の中に黄色信号が点滅した。
最近の若いのは加減も知らない。
SMを楽しむにしても少しずつ責めを加え理性を崩して、少しずつ体も心も慣らして落としてやらないといけないのだ。しかも、相手ときちんと信頼関係なり服従心なりを築かないと長続きしない。ネットであった相手と上手い関係を続けていた友人がSMのSはサービスのSと言ったがある意味それは正しいと自分も思っている。M役の体や心の安全や安心を確保するのは並大抵ではないからだ。
そういう意味では、あの女のやり方は傍目に上手いこと相手を追い詰めて自分から全部選んだように錯覚させていた。その上に、痛みと快感を同時に与えることで苦痛すら快感にすり替えていた。
異常に目端のきく上に、誰かに紹介され連れ込まれたわけでもない、あっという間にそこにいたおかしな女だった。暫く交流してみて、彼女自身何か目的があってのことなのだと薄々感じてもいた。もしかしたら前にあいつ等が連れ込んだ女の血縁者だったかもしれない。

最初からあの坊やを狙ってたようだしな。

近郊の名家の息子は最初に他の客に連れ込まれた時から、あの部屋で自分を押さえつけられるものがいないと気付き暴君として君臨した。店としては他と比較しても金払いが良い上客だが、反面制御の効かない問題客でもあった。綺麗な顔して随分好き勝手にやりまくってきた罰が遂に当たったと言えなくもないが、とは言え最後にあいつ等に回させるとは手酷い仕打ちでもある。
しかも、一度女としてあつかった事で調子にのったのが仲間の内に2人もいて、そのどちらかか両方に毎日のように呼び出され続けている。仲間だと思っていた男に散々いいように女にされ尻を犯され、もしくは尻を犯されながら無理矢理跨がって肉棒を犯される。その上その間他の男達がいいように飲み食いした分も毎回全部支払うなんて自分だったら憤死ものだ。
流石に今日現れた時の坊やの死人のような顔つきを見ると、ここらで調子に乗るのを止めさせないと最終的に流血沙汰に成りかねない。
客足がうまい具合に途切れ表をcloseの札に変えて奥の監視カメラを覗いた瞬間、男はしまったと舌打ちした。
カメラの中には、男が2人床に倒れているのが映し出されていた。室内を遠視で見渡す画面には、一人は頭の周りがどす黒い水溜まりになっているのが見え、もう一人も何かしら違和感を感じるが一見ではただ倒れているようで状態は判別が効かない。
幾つかの画面の横では、シャワールームでまさに今シャワーを出していることを示すランプが点灯している。

やりやがった、くそ、めんどくさい事になったな。

舌打ちしながら今まで録画がきちんとされているのを確認し、改めて画面を眺め目を細める。
綺麗な顔の坊やを呼び出し率先して犯していた方がどうやら殴られるかどうかした様子で、もう一人最初皆が帰った後に坊やに跨がって喜んでいた男は一見すると床にただ倒れているようにも見える。しかし、映るカメラを切り替えていく内に、あの自分が仕込んだソファーの映像が映し出された瞬間男は吐き気を催した。
あの後も何度も自分を犯した穴に、あの坊やが容赦なく捩じ込んだのだろう。画面のど真ん中にシャンパンボトルらしきモノがすっかり埋まり、穴からその底だけを曝し無惨に足を広げた姿に背筋が凍るのを感じた。

どう考えても、あの坊やが。やっぱりやっちまったか

体を洗っているのか、まだシャワーのランプは消えない。状況を確認しに行くにも店を通りそこを通るしかない設備なのだから、男は目元をおさえこの後の警察沙汰を考え呻き声をあげた。どう見ても30センチ近い瓶を尻に捩じ込まれる一人は確実に死んでいるようだし、もう一人もあの血溜まりだと良くて虫の息だと思えば、警察を呼ぶしかない。恐らくよくてもここでの営業は終わり、上手くいけば坊やの家に賠償させて他の場所だろうと思案しながら、男はこめかみを押さえながらポケットのスマホを取り出す。
瞬間スマホに熱い飛沫がかかって、男はこのスマホ防水だったかと意味もなく考えた自分に首を傾げた。ビシャビシャと勢いよく飛沫が手を濡らし、どこの水漏れだと疑問に思う頭に激しい赤信号が灯るのが分かる。

「ふふ、ほんとに全部撮ってんだ?確かにこれじゃ丸見えだな、あの部屋。うける、なんだよ、あのソファーにカメラついてんだ?」

背後から澄んだ笑い声がして、振り返る前に自分の首元から前にここに来る前に見つけたのだろう店の備品のナイフが抜き取られるのが見えた。
既にきちんとシャワールームでシャワーを浴びたのだろう髪から滴をたらした和希の穏やかな微笑みが、視界の端に見えながら自分の体が床に崩れ落ちるのが分かる。
ハクハクと喉を押さえ喘ぐように息をすると喉の奥に熱い血液が流れ込むのが感じられる。その状況で男は、自分を見下ろす笑顔に気がつく。

「あんたさぁ、オレに飽きたんだよね?だから、準備も監視もしなくなったんだよね?でしょ?」

気にした風でもなく全裸のまましゃがみこんだ和希が、穏やかな声で囁きながら手際よく男の服を引き下げ脱がす。喉の傷は致命的ではないのか血を吐き出しながら男がゴボゴボ呻くのを眺めながら、和希は血に濡れた手で下着から取り出した男の肉棒を扱き始める。

「正直さ?オレ、あんたのチンポ気持ち良かったよ。あんたアナルセックス上手だよね。あいつ等のただ突っ込むだけのと比べるとよぉく分かる。年の功ってやつ?あんたとしちゃうと、アナルセックス癖になるね。またしたいかも、マジで。」

何を思ってか裸のまま饒舌に語り続け綺麗な顔で微笑む和希の姿は、男にとってはっきり言って歪で狂気としか感じられない。今すぐ性行為したいとでも言うのか執拗に手で扱き刺激され続ける。しかし、先程の凄惨なボトルを捩じ込まれた男の姿が脳裏にちらつき背筋が震えるばかりだ。

「ね?立たないかなぁ?口でしよっか?オレ上手いもんね?あんたに教えられたからさぁ?」

不意に和希が躊躇いもせずに血塗れの肉棒を咥え、味も気にする風でもなく教え込まれた丹念さで愛撫し始める。

「ぐぅっ!ううっ!ぐぶっ!」

確かに教え込まれた口淫はあっという間に肉棒を歓喜に立ち上がらせる程熟練していた。ヌプヌプ喉置くまで吸い上げ扱きあげ、そそりたった肉棒を離すと和希はニッコリ微笑みそれを撫で回す。

「上手いもんだよね、オレ。すっかり覚えたよ?気持ちいいでしょ?あんたのおかげ。ああ、あいつ等どうなったか見た?これだと今一分かんなくない?」

すっかり勃起した肉棒を柔らかく撫で回され、このまま和希が跨がり腰をふるのかと思っていた男は視線を画面に向け話し続ける姿を見つめる。手の動きは熟練の娼婦のように緩急をつけて快感を生み出し、苦しい呼吸に更に息をあらげるような追い討ちをかけてくる。

「あいつの目ん玉、オレの尿道に突っ込んだヤツで掻き回してやったんだ。そんで、後から雌マンコにボトル突っ込んで腹の上から踏んだんだけどさ、シャンパンボトルってすごいよね?」

和希の言葉にどんどん男の顔が青ざめるのに、指の刺激は丹念で肉棒だけが何時までも場違いにそそりたち続ける。

「もう一人の頭、何回殴ってもあのボトル割れなかったんだよ、だから踏んでやっと腹ん中で割れたと思うんだよね。凄い固いんだね、知らなかったなぁ。あれ?少し柔くなっちゃった?ああ、こんな話してるから?ごめん、もう止めるよ?」

おかしくなってると男は心の中で呟き脂汗をかきながら和希の淀みのない笑顔を見つめる。どうにかして逃げないとと視線を泳がせた瞬間、和希の肉棒を扱く手が力一杯肉棒を握りしめた。悲鳴もあげられず仰け反る男の瞳を、無表情になった和希の真っ暗な瞳が覗きこんでくる。

「あーあ、喉切るんじゃなかった、あんたに聞こうと思ったんだけどかおるのこと聞けないなぁ。ね?答えられないよね?オレの質問。」

その言葉に必死で首を横にふり答えると意思表示をするのに、和希はにこやかに微笑みなから更に思い切り手に力を込める。握りつぶされそうな痛みに痙攣しながら血を吹き反り返る姿を、和希がおかしそうに声をあげて笑った。

「だっせぇ格好。喋れないもんな、もういいか?オレも飽きちゃった。いいよね?うん、いいや、飽きたし。」

にこやかに告げると和希は躊躇いもなく握りしめていた根本をナイフで真横に薙ぎ払った。手の中でビクビク痙攣の動きをするものを、事も無げに床に放り投げ痛みと苦痛に悶絶する瞳を眺める。

「どれくらい血でたら死ぬ?待ってんの飽きたから、一人でいい?早く死なないかな、まだ?」

退屈そうに告げる言葉にゴボゴボと男の喉がなる。それなのに自分を見つめ続ける目に苛立ち、和希は血塗れのナイフで彼の目を横殴りに凪ぎ払う。くぐもった音の後で男の身動きか止まり意識を失うのを確かめると、和希はもう一度男の姿を眺め回す。

「何だ、もうちょっと悲しくるかなって思ったけどなぁ。」

詰まらなそうに和希は呟き、諦めたように踵を返した。
暫くシャワー室を使用しているランプが点灯し続け、やがて音もなく消える。そして、暫くして微かにドアを軋ませる音がして、そこは完全な静寂に包み込まれた。
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