2 / 41
第一章 廃部決定! 天文部
1-1 わたしが主人公! 鳴海千尋
しおりを挟む
わたし、鳴海千尋は琴流女学院(通称 コトジョ)の新入生。
髪型はショートボブだ。ゲームが趣味の女の子である。顔は自分では可愛いと思っているが、体形がちょっとぽっちゃりしているのがコンプレックス。たくさん食べるので肉付きがよくなってしまった。でも自分では「太っている」とは思っていない。てんびん座のB型。
今日は高校の入学式。
この女子校である琴流女学院に進学した理由は、地元で自分の学力で入れるからというそれだけだった。
放課後、家に帰ってゲームしたいな。そう思いながら入学式を受けた。
頭がバーコードの校長先生の退屈な話を聞き終えて自分の教室に行くとみんな殺気立って友だちをつくろうとしている。
わたしは気後れして出遅れてしまった。どうしよう⁉
クラスの最初のホームルームで自己紹介が行われた。あがり症のわたしはしどろもどろで自己紹介してしまい、失敗したと思った。このままだと三年間ひとりぼっちになりそう……
最初の一日でクラスのなかにはすでに友だちグループができつつある。やばい、誰も誘ってくれない。
わたしはがっかりしながら家に帰った。
そして衝撃の事実を知った。この学校では部活動は強制加入。帰宅部は存在しない。
入学前に調べ忘れた痛恨のミスだった。部活が強制な学校は意外と多いのだ。
つぎの日体育館で新入生歓迎会が行われた。部活動の勧誘がはじまった。どれもピンとこない。そのなかでひとつだけ気になる部活があった。
「えー、うちは天文部です。星の観測は夜やるので、普段は楽しくおしゃべりしてます。来るもの拒まず、去るもの追わずでやってます。興味のあるかたは遊びに来てください」
天文部の部長・姫川天音と、副部長・折笠詩乃との出会いだった。じつに簡素な部活紹介だった。
姫川さんは高校生ながら華がある容姿で遠目に見ても美少女だった。
外国の血が入っているのだろうか。白い肌に亜麻色の髪のセミロング。髪先だけ黒のメッシュが入っている。照明を浴びて輝く瞳はアクアマリン色。
しゃべり方がちょっとけだるそうでギャップがある。折笠さんは姫川さんをサポートしながらはきはきと話し、快活な美少女だった。ふたりとも、アイドル級のルックスである。
部活やれば友だち出来るかも! 天文部ならわたしにもやれそうだ。星の観測がなければ早く帰れそう。わたしのほかにも一年生の見学者がいれば友だちになれる!
いいことずくめじゃないか。
放課後。
わたしは天文部の部室を探した。期待に胸を躍らせながら。校舎の三階、はしっこ。
ここだ! ノックして反応を待つと扉が開いて美少女が現れた。
「あら、一年生? 見学しに来たのかしら」
高校生にしてはやけに余裕がある美少女が歯を見せてはにかんだ。
「一年B組の鳴海千尋です。見学に来ました」
「わたしは天文部副部長の折笠詩乃。よろしくね」
そういった折笠詩乃先輩は制服が隆起するほどお胸が豊満で痩せている。モデル体型の美少女だった。
だがどこか母性を感じさせる顔つきの女性だった。髪型は後ろ髪を編んで胸の前へ垂らしいる。
「ヒメー、お客さん」
詩乃先輩が奥にいる女性に声をかけた。
「ヒメいうな」
ヒメと呼ばれた少女はプレイ中の携帯型ゲームにポーズをかけて振りかえった。
性格はいい加減なようだが容姿には気品と華がある。輝くような亜麻色の髪。大粒のアクアマリンのような瞳。
間近で見ると『聖少女』という言葉が連想された。
「あたしが天文部部長の姫川天音。よろしく」
微笑んだ美少女、姫川天音との運命的な出会いだった。
このときは彼女があんな人だとは思わなかった……。
イラストレーターはイナ葉様(Xアカウント@inaba_0717)無断転載禁止・AI学習禁止です。
髪型はショートボブだ。ゲームが趣味の女の子である。顔は自分では可愛いと思っているが、体形がちょっとぽっちゃりしているのがコンプレックス。たくさん食べるので肉付きがよくなってしまった。でも自分では「太っている」とは思っていない。てんびん座のB型。
今日は高校の入学式。
この女子校である琴流女学院に進学した理由は、地元で自分の学力で入れるからというそれだけだった。
放課後、家に帰ってゲームしたいな。そう思いながら入学式を受けた。
頭がバーコードの校長先生の退屈な話を聞き終えて自分の教室に行くとみんな殺気立って友だちをつくろうとしている。
わたしは気後れして出遅れてしまった。どうしよう⁉
クラスの最初のホームルームで自己紹介が行われた。あがり症のわたしはしどろもどろで自己紹介してしまい、失敗したと思った。このままだと三年間ひとりぼっちになりそう……
最初の一日でクラスのなかにはすでに友だちグループができつつある。やばい、誰も誘ってくれない。
わたしはがっかりしながら家に帰った。
そして衝撃の事実を知った。この学校では部活動は強制加入。帰宅部は存在しない。
入学前に調べ忘れた痛恨のミスだった。部活が強制な学校は意外と多いのだ。
つぎの日体育館で新入生歓迎会が行われた。部活動の勧誘がはじまった。どれもピンとこない。そのなかでひとつだけ気になる部活があった。
「えー、うちは天文部です。星の観測は夜やるので、普段は楽しくおしゃべりしてます。来るもの拒まず、去るもの追わずでやってます。興味のあるかたは遊びに来てください」
天文部の部長・姫川天音と、副部長・折笠詩乃との出会いだった。じつに簡素な部活紹介だった。
姫川さんは高校生ながら華がある容姿で遠目に見ても美少女だった。
外国の血が入っているのだろうか。白い肌に亜麻色の髪のセミロング。髪先だけ黒のメッシュが入っている。照明を浴びて輝く瞳はアクアマリン色。
しゃべり方がちょっとけだるそうでギャップがある。折笠さんは姫川さんをサポートしながらはきはきと話し、快活な美少女だった。ふたりとも、アイドル級のルックスである。
部活やれば友だち出来るかも! 天文部ならわたしにもやれそうだ。星の観測がなければ早く帰れそう。わたしのほかにも一年生の見学者がいれば友だちになれる!
いいことずくめじゃないか。
放課後。
わたしは天文部の部室を探した。期待に胸を躍らせながら。校舎の三階、はしっこ。
ここだ! ノックして反応を待つと扉が開いて美少女が現れた。
「あら、一年生? 見学しに来たのかしら」
高校生にしてはやけに余裕がある美少女が歯を見せてはにかんだ。
「一年B組の鳴海千尋です。見学に来ました」
「わたしは天文部副部長の折笠詩乃。よろしくね」
そういった折笠詩乃先輩は制服が隆起するほどお胸が豊満で痩せている。モデル体型の美少女だった。
だがどこか母性を感じさせる顔つきの女性だった。髪型は後ろ髪を編んで胸の前へ垂らしいる。
「ヒメー、お客さん」
詩乃先輩が奥にいる女性に声をかけた。
「ヒメいうな」
ヒメと呼ばれた少女はプレイ中の携帯型ゲームにポーズをかけて振りかえった。
性格はいい加減なようだが容姿には気品と華がある。輝くような亜麻色の髪。大粒のアクアマリンのような瞳。
間近で見ると『聖少女』という言葉が連想された。
「あたしが天文部部長の姫川天音。よろしく」
微笑んだ美少女、姫川天音との運命的な出会いだった。
このときは彼女があんな人だとは思わなかった……。
イラストレーターはイナ葉様(Xアカウント@inaba_0717)無断転載禁止・AI学習禁止です。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
