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第三十八章 乱雑なる国家運営と国家防衛
危機への対処
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僕はライアーに空間転移を頼み、一先ずヴェーン邸に向かった。酒色の国全域に炎を孕んだ大きな雨粒が降り注いでいたため、ナイも居ないしもう解かれないだろうからと国を覆う結界を張り直してもらった。
国中が赤く燃えている……仲間と合流したらすぐに兄とライアーに消火活動を頼まなくては。それとも酒呑に雨を降らすよう言って──いや、今の状況で雨が降れば被害が増えるかもしれない。魔法だけで消火し、倒壊した建物も戻していこう。
ヴェーン邸の庭に降り、ライアーの土の補給を待ちながら、天使を退けた後ばかりを考える。家の結界も解けていた、フェルは無事だろうか──そう考えた瞬間、フェルの声が聞こえた。翼を広げて飛び立ち、身体を作り終えるまで待てというライアーの声を無視してフェルを探すと炎の塊を見つけた。透過を意識して炎に飛び込んで、中に居た天使らしき女の首に手を添え、透過を解いて押し倒した。
腕が炭化して、右足も失って、それでも再生しながらベルフェゴールが『堕落の呪』を発動するのを待った。呪いが天使に効くのかどうかは賭けだったが、上手い具合に眠ってくれた。
『ふぅっ…………兄さん、フェルは?』
ライアーがもうフェルを治してくれていると思って、フェルが泣きながら再会を喜んでくれると信じて、振り返る。しかし、そこにあったのは真っ黒な炭の塊だけだった。
『……兄さん? な、何してるんだよっ! 早く治してよ!』
天使に飛びかかった時一瞬見えた天使の足の下にあった黒い塊は人型をしていた。
『……無理だよ、ヘル。ただの炎で焼かれた訳じゃない、これは概念的なものでもある……データの復元が出来ない、って言えば分かってもらえるかな、魔法はかけられない』
『は……? じゃあ、フェルは……?』
ライアーは黙って首を振る。
『…………嘘』
足の力が勝手に抜けて、フェルだったらしい炭が目の前に来る。触れればまだ熱くて、ぐすぐすと崩れていく。
『僕は、治せたよ?』
僕の燃やされた手足は再生出来た。
『……そりゃ、ヘルは……自由意志だっけ? それだから、データごと焼き尽くされようとキミの自由意志に基づいて再生されるよ』
『…………フェル、は』
『……プログラムの出来が良いだけのただのショゴスだからね』
プログラム? ショゴス? 何それ。フェルはフェルだ。僕のたった一人の大切な弟だ。片割れなんだ。
『さっき、お兄ちゃんって……聞こえたんだ。助けてって、言ってた』
本当についさっきの事なのに、そう叫んだフェルは──
『ヘル……その………………ぁ、アルちゃん、おかえり。悪魔さん起きた?』
僕を気遣って何か言おうとしたライアーは邸宅から出てきたアルを見つけ、そちらに意識を移す。僕に言うことが思い付かなくて逃げたくなったりでもしたのだろう。
『おっはよう黒い人! 十年前に会いたかったよぉー、それならすっごい美少年だったはずぅ!』
『何か、違う……?』
『薬の影響だな。少々、ハイだ』
『イィエッスッ! ハァーイッ! 世界が輝いて見えるぜぃっ!』
『…………くすりこわい』
サタンのアドバイス通り検挙で取り上げた麻薬を打たせてみたが、上手く目を覚ましてくれたらしい。薬の効果が切れた後が心配だが、悪魔だし何とかなるだろうと前々から決めていたことだ。
『お兄ちゃーん! 帰って来てくれてたんだ、よかったぁ……怖かったよ』
癇に障る声に顔を上げれば、無傷のフェルが立っていた。
『…………え?』
『はっ……?』
アルとベルフェゴールに着いてきたらしいフェルが僕の隣に膝をつく。フェルの姿を見て僕とライアーは素っ頓狂な声を漏らし、ぽかんと口を開けた。
『……お兄ちゃん? どうしたの?』
『フェ……ル……? 本物?』
『う、うん……どうしたの?』
『…………燃やされたんじゃ』
『燃やされた……? 僕、窓拭きしてて……結界が消えるの見て、やばいと思ったから悪魔さん起こしに行ったんだよ。槍とか降ってきて怖くて怖くて……お兄ちゃん来てって祈ってたら、お姉ちゃん部屋に入ってきて…………燃やされては、ないよ?』
じゃあこの黒い塊は、四肢を失った人型に見える炭は誰? その声は出なかったが指差しは出来た。
『え……な、何これ……』
気味悪がりながらも僕と同じ手を腹だろう部位に触れさせる。すると想像以上に容易にボロっと崩れた、中が空洞だったようだ。
『ひぃっ…………ん? あれ、これ……お皿?』
崩れたことへの怯えは中にあった皿への好奇心に塗り潰されたようだ。皿も焦げてはいたが中にあったためか黒焦げという訳ではない、側面の模様も見て取れた。犬の肉球に骨、dogという文字……クラールの皿だ。
『何か入ってたみたいだけど……分析する?』
何も言えないまま頷くとフェルは指先を溶かし、皿の中にこびりついていた焦げに触れさせた。
『……鶏肉、米、卵……かな?』
『弟君がよくクラールに作ってくれていた粥だな』
『アル……これ、どういうことか分かる?』
僕にはもう分からない。死んでしまったと思ったフェルは無傷で、フェルだと思われていた死体からクラールの食事が出てきて──頭が痛くなってきた。
『…………ヘル、弟君は家事をする際によく分裂していたな?』
『今日もしてたよ。風呂、窓掃除の僕と、洗濯、炊事の僕に……え? まさか』
『……洗濯と炊事を担当していた方の弟君では無いか?』
家事をこなすために分裂したフェルの片方が死んでしまったと? いや、死んだというのは正しいのか? 分裂していて片方が無事ならフェルは死んではいないのではないか? でも、助けてと叫んでいたから意思は確かにあって、今目の前に居るフェルにも同じように意思がある。命としては……半分が二つ? 一時的に二つ? 混乱してきた。フェルは死んだのか? それとも生きているのか? それすらあやふやだ。
『そうかも……チラッと見たけどキッチンのところ槍落ちてたし、外に逃げたんだ。それで……』
『……弟君、普段、分裂して家事が終わった後はどうしているんだ?』
『同化してるよ。脳も二つになってるから、それも一つにして、記憶は二倍時間があった感じになる』
『同化するまでは片方に何が起こっているかは……』
『分かんないよ』
これまで過ごした記憶はどちらにもあるけれど、分裂した後で別の家事をこなした記憶は同化後に統合される。数時間で性格がコロッと変わる訳もないし、家事の度に分裂しているから常に二人以上居る訳ではない。
つまり──大きく見ればフェルは無事に生きている。けれどクラールのためにお粥を作ってくれていた数時間分のフェルは死んでしまった。
『…………とりあえず、生きててよかった、フェル……僕、君にもう会えないって思って、どんどん頭の中ぐちゃぐちゃになっててて……よかったよフェルぅ……』
『僕は割と何ともなかったから……泣かれても困るけど』
抱き締めようとしたらやんわりと押し返された。僕は燃やされて死んでしまった方のフェルに視線を落とし、慎重に抱き上げた。
『……ごめんね、フェル。間に合わなくて……助けてって言ってくれたのに、ダメなお兄ちゃんだね……』
涙を落とせば穴が空いて、手を震わせれば崩れて、抱き締めれば壊れてしまう。
『…………ありがとう、フェル……さよなら』
抱き締めて、抱き締めて、抱き締めて、壊した。炭を服に染み込ませるような気概で力を込めて、フェルが居た痕跡を消した。
『お、お兄ちゃん……? 僕は生きてるよ? 割合的に見れば97%くらいの僕はここに居るよ?』
『3%分に言ってるんだよ。3%だろうと何だろうと、このフェルにとっては100%で、僕に助けを求めて、応えてもらえないまま死んじゃったんだ。お兄ちゃんって、呼んで、苦しんで、助けてもらえない絶望の中で、意識も何もかも焼き尽くされて……』
『そんなに重く考えないでよぉ! 僕ここに居るから落ち込まないでお兄ちゃん、僕はお兄ちゃんが助けに来てくれたって思えてるから!』
重く考えないで? 落ち込まないで? 無理だ、弟が死んだんだ。助けを求められたのに助けられなくて死んだんだ。裏庭ではなく正面玄関に転移していれば、ライアーが身体を作る間ぼうっと考え事なんてしていなければ、助けられたのに。
『お兄ちゃん……泣かないで、お兄ちゃん、僕はここだよお兄ちゃん』
『…………兄さん、そこの天使封印しておいて。あと、アルとクラールにかけてある結界、フェルにもあげて。他の皆もフェルと同じようなことになってるかも、数秒の差で助けられないなんてもうやだ。早く行かなきゃ……早く、早く皆を探して』
涙を拭われながら、しゃくり上げながら、ライアーの服の裾を引く。
『分かったよ。封印に……えと、結界、服に書くよ?』
『ぁ、はい、どうぞ……』
ライアーは指を噛んで黒い液体を血のように垂らすとフェルの服に魔法陣を描いた。
『…………よし、出来た。さ……大仕事だ、超広域探知魔法……皆、どこかな……』
居場所は分かってもどれ程の危機にさらされているかまでは分からない。鬼達は魔獣達とも一緒だろうしきっと大丈夫、メルは一人なら危ないし、セネカは一人でも大丈夫だろう……なんて、皆の強さ──特に耐久力や再生可能かどうかから鑑みて一番に迎えに行くべき仲間を決める。順位を付けるようで気分が悪いが、必要なことだ。
位置が分かったと顔を上げたライアーの手を取り、迎えに行く者の名前を言った。
国中が赤く燃えている……仲間と合流したらすぐに兄とライアーに消火活動を頼まなくては。それとも酒呑に雨を降らすよう言って──いや、今の状況で雨が降れば被害が増えるかもしれない。魔法だけで消火し、倒壊した建物も戻していこう。
ヴェーン邸の庭に降り、ライアーの土の補給を待ちながら、天使を退けた後ばかりを考える。家の結界も解けていた、フェルは無事だろうか──そう考えた瞬間、フェルの声が聞こえた。翼を広げて飛び立ち、身体を作り終えるまで待てというライアーの声を無視してフェルを探すと炎の塊を見つけた。透過を意識して炎に飛び込んで、中に居た天使らしき女の首に手を添え、透過を解いて押し倒した。
腕が炭化して、右足も失って、それでも再生しながらベルフェゴールが『堕落の呪』を発動するのを待った。呪いが天使に効くのかどうかは賭けだったが、上手い具合に眠ってくれた。
『ふぅっ…………兄さん、フェルは?』
ライアーがもうフェルを治してくれていると思って、フェルが泣きながら再会を喜んでくれると信じて、振り返る。しかし、そこにあったのは真っ黒な炭の塊だけだった。
『……兄さん? な、何してるんだよっ! 早く治してよ!』
天使に飛びかかった時一瞬見えた天使の足の下にあった黒い塊は人型をしていた。
『……無理だよ、ヘル。ただの炎で焼かれた訳じゃない、これは概念的なものでもある……データの復元が出来ない、って言えば分かってもらえるかな、魔法はかけられない』
『は……? じゃあ、フェルは……?』
ライアーは黙って首を振る。
『…………嘘』
足の力が勝手に抜けて、フェルだったらしい炭が目の前に来る。触れればまだ熱くて、ぐすぐすと崩れていく。
『僕は、治せたよ?』
僕の燃やされた手足は再生出来た。
『……そりゃ、ヘルは……自由意志だっけ? それだから、データごと焼き尽くされようとキミの自由意志に基づいて再生されるよ』
『…………フェル、は』
『……プログラムの出来が良いだけのただのショゴスだからね』
プログラム? ショゴス? 何それ。フェルはフェルだ。僕のたった一人の大切な弟だ。片割れなんだ。
『さっき、お兄ちゃんって……聞こえたんだ。助けてって、言ってた』
本当についさっきの事なのに、そう叫んだフェルは──
『ヘル……その………………ぁ、アルちゃん、おかえり。悪魔さん起きた?』
僕を気遣って何か言おうとしたライアーは邸宅から出てきたアルを見つけ、そちらに意識を移す。僕に言うことが思い付かなくて逃げたくなったりでもしたのだろう。
『おっはよう黒い人! 十年前に会いたかったよぉー、それならすっごい美少年だったはずぅ!』
『何か、違う……?』
『薬の影響だな。少々、ハイだ』
『イィエッスッ! ハァーイッ! 世界が輝いて見えるぜぃっ!』
『…………くすりこわい』
サタンのアドバイス通り検挙で取り上げた麻薬を打たせてみたが、上手く目を覚ましてくれたらしい。薬の効果が切れた後が心配だが、悪魔だし何とかなるだろうと前々から決めていたことだ。
『お兄ちゃーん! 帰って来てくれてたんだ、よかったぁ……怖かったよ』
癇に障る声に顔を上げれば、無傷のフェルが立っていた。
『…………え?』
『はっ……?』
アルとベルフェゴールに着いてきたらしいフェルが僕の隣に膝をつく。フェルの姿を見て僕とライアーは素っ頓狂な声を漏らし、ぽかんと口を開けた。
『……お兄ちゃん? どうしたの?』
『フェ……ル……? 本物?』
『う、うん……どうしたの?』
『…………燃やされたんじゃ』
『燃やされた……? 僕、窓拭きしてて……結界が消えるの見て、やばいと思ったから悪魔さん起こしに行ったんだよ。槍とか降ってきて怖くて怖くて……お兄ちゃん来てって祈ってたら、お姉ちゃん部屋に入ってきて…………燃やされては、ないよ?』
じゃあこの黒い塊は、四肢を失った人型に見える炭は誰? その声は出なかったが指差しは出来た。
『え……な、何これ……』
気味悪がりながらも僕と同じ手を腹だろう部位に触れさせる。すると想像以上に容易にボロっと崩れた、中が空洞だったようだ。
『ひぃっ…………ん? あれ、これ……お皿?』
崩れたことへの怯えは中にあった皿への好奇心に塗り潰されたようだ。皿も焦げてはいたが中にあったためか黒焦げという訳ではない、側面の模様も見て取れた。犬の肉球に骨、dogという文字……クラールの皿だ。
『何か入ってたみたいだけど……分析する?』
何も言えないまま頷くとフェルは指先を溶かし、皿の中にこびりついていた焦げに触れさせた。
『……鶏肉、米、卵……かな?』
『弟君がよくクラールに作ってくれていた粥だな』
『アル……これ、どういうことか分かる?』
僕にはもう分からない。死んでしまったと思ったフェルは無傷で、フェルだと思われていた死体からクラールの食事が出てきて──頭が痛くなってきた。
『…………ヘル、弟君は家事をする際によく分裂していたな?』
『今日もしてたよ。風呂、窓掃除の僕と、洗濯、炊事の僕に……え? まさか』
『……洗濯と炊事を担当していた方の弟君では無いか?』
家事をこなすために分裂したフェルの片方が死んでしまったと? いや、死んだというのは正しいのか? 分裂していて片方が無事ならフェルは死んではいないのではないか? でも、助けてと叫んでいたから意思は確かにあって、今目の前に居るフェルにも同じように意思がある。命としては……半分が二つ? 一時的に二つ? 混乱してきた。フェルは死んだのか? それとも生きているのか? それすらあやふやだ。
『そうかも……チラッと見たけどキッチンのところ槍落ちてたし、外に逃げたんだ。それで……』
『……弟君、普段、分裂して家事が終わった後はどうしているんだ?』
『同化してるよ。脳も二つになってるから、それも一つにして、記憶は二倍時間があった感じになる』
『同化するまでは片方に何が起こっているかは……』
『分かんないよ』
これまで過ごした記憶はどちらにもあるけれど、分裂した後で別の家事をこなした記憶は同化後に統合される。数時間で性格がコロッと変わる訳もないし、家事の度に分裂しているから常に二人以上居る訳ではない。
つまり──大きく見ればフェルは無事に生きている。けれどクラールのためにお粥を作ってくれていた数時間分のフェルは死んでしまった。
『…………とりあえず、生きててよかった、フェル……僕、君にもう会えないって思って、どんどん頭の中ぐちゃぐちゃになっててて……よかったよフェルぅ……』
『僕は割と何ともなかったから……泣かれても困るけど』
抱き締めようとしたらやんわりと押し返された。僕は燃やされて死んでしまった方のフェルに視線を落とし、慎重に抱き上げた。
『……ごめんね、フェル。間に合わなくて……助けてって言ってくれたのに、ダメなお兄ちゃんだね……』
涙を落とせば穴が空いて、手を震わせれば崩れて、抱き締めれば壊れてしまう。
『…………ありがとう、フェル……さよなら』
抱き締めて、抱き締めて、抱き締めて、壊した。炭を服に染み込ませるような気概で力を込めて、フェルが居た痕跡を消した。
『お、お兄ちゃん……? 僕は生きてるよ? 割合的に見れば97%くらいの僕はここに居るよ?』
『3%分に言ってるんだよ。3%だろうと何だろうと、このフェルにとっては100%で、僕に助けを求めて、応えてもらえないまま死んじゃったんだ。お兄ちゃんって、呼んで、苦しんで、助けてもらえない絶望の中で、意識も何もかも焼き尽くされて……』
『そんなに重く考えないでよぉ! 僕ここに居るから落ち込まないでお兄ちゃん、僕はお兄ちゃんが助けに来てくれたって思えてるから!』
重く考えないで? 落ち込まないで? 無理だ、弟が死んだんだ。助けを求められたのに助けられなくて死んだんだ。裏庭ではなく正面玄関に転移していれば、ライアーが身体を作る間ぼうっと考え事なんてしていなければ、助けられたのに。
『お兄ちゃん……泣かないで、お兄ちゃん、僕はここだよお兄ちゃん』
『…………兄さん、そこの天使封印しておいて。あと、アルとクラールにかけてある結界、フェルにもあげて。他の皆もフェルと同じようなことになってるかも、数秒の差で助けられないなんてもうやだ。早く行かなきゃ……早く、早く皆を探して』
涙を拭われながら、しゃくり上げながら、ライアーの服の裾を引く。
『分かったよ。封印に……えと、結界、服に書くよ?』
『ぁ、はい、どうぞ……』
ライアーは指を噛んで黒い液体を血のように垂らすとフェルの服に魔法陣を描いた。
『…………よし、出来た。さ……大仕事だ、超広域探知魔法……皆、どこかな……』
居場所は分かってもどれ程の危機にさらされているかまでは分からない。鬼達は魔獣達とも一緒だろうしきっと大丈夫、メルは一人なら危ないし、セネカは一人でも大丈夫だろう……なんて、皆の強さ──特に耐久力や再生可能かどうかから鑑みて一番に迎えに行くべき仲間を決める。順位を付けるようで気分が悪いが、必要なことだ。
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