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第四十三章 国際連合に対抗する魔王連合
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神降の国、王城、会議室。
王族が先頭に立って戦うという珍しい国である神降の国の軍事関連の資料や施設は王城に併設されている。王族の居住棟などと分かれていると言った方が正しいか? まぁとにかく、僕は現在軍事や政治の会議を行う密室に居た。情報漏洩を防ぐためにはそれなりの部屋が必要なのだ。
「……なんか知らない間にとんでもないことになってってるなー」
「知らない間にとはなんですか父上! しっかり報告していたでしょう!」
会議参加者は僕とベルゼブブとマンモンとライアー、神降の国の王族達に神父達、ひとまず主要各国の情報を共有しておいた。
『砂漠の国取っとけば良かったんですよ、戦争勝ったの貴方達なんですから』
「戦争早まるだけだ。管理できないし」
『俺的にはお菓子の国のが痛いと思うぜ、あの島の地下は魔界に近い、正義の国の近くでもあるから便所蝿がポカやらなきゃ重要な拠点になってたんだよ』
『地下に近~い……くっだらない洒落ですね』
借りてきた猫、という言葉を是非とも悪魔達に覚えて欲しい。客として来ている時くらい大人しくしろ。
『貴方達は寝返ったりしませんよね?』
「するとしたらここで言うと思うか?」
「父上! もう……すいません、もちろん国連につくつもりはありませんよ。今更ゴマすりをしたところで無駄でしょうし」
王の不安になる煽りをアポロンがすぐさま訂正し、感情的でない理由も添えて信用を高める。
「希少鉱石の国が向こうに付いたのは誤算だったよね……うちとも酒色の国とも仲良くしてたし」
「……これ、国連入ってない国あるの?」
ヘルメスが希少鉱石の国の意外な行動を嘆き、地図と各国の資料を睨み付けていたアルテミスが苛立ち紛れに呟く。
「妖鬼の国、温泉の国、娯楽の国、植物の国……で、神降と酒色だね」
仮面を被ったままでは見にくいだろう零も話を理解してくれていた。
「ふーん…………ぁ、書物の国は?」
「書物の国は国連で作られた図書館だよ。歴史書は忖度なしに、芸術は不自由なしに、危険だろうと保全する……完全に中立ということを示すため、独立国とされているだけだよ」
アルテミスの疑問に答えた零の情報は僕にとっても興味深いものだった。天使と悪魔が常駐し、普通に暮らしていること。そして本の内容で天使が攻めたこと。それらに矛盾点が生まれる。
『……でも、僕が前行った時には本の内容が何とかって天使に襲われてましたよ』
「完全に自由だとやりたい放題する人が出るからねぇ……それに、天使は正義の国政府以上に創造神の侮辱に対して敏感だし」
『悪魔が普通に司書してたり、天使が門番やったりしてたんですけど』
「それについては知らないけど……まぁ、悪魔は人間に化けていれば天使が見ない限りは分からないし、大人しくしてれば見つからないよね。天使は国連からの派遣だろうね」
人間に化けていれば天使以外には分からないというのは良い情報だ。正義の国とはいえ国内を天使が彷徨いているという訳でもあるまい、潜入は可能だ。
『正義の国と戦争になったとして、酒色の国に味方してくれそうな国ってあるかな。あと、疎開先も欲しいな。結界破れるのは天使連中にも居るから』
『それおかしくないですか?』
『……何が? まさか国民全員兵士にしろとか言わないよね』
『そっちじゃなくて、結界破れるって方ですよ。うちに張ってるのって魔法の結界ですよね? でも、魔法の国の結界は最近まで壊れなかったんですよ。天使が攻撃を加えたことも、戦争の爆撃とかに巻き込まれてたこともあったのに』
いや、ミカエルが破った結界は魔法の国のものほど強くはなかったし、ウリエルが破ったのは天界から過剰供給があったからで──魔法の国を攻めるのにそこまで注力しなかったなんてありえるのか? 正義の国と地続きで彼らにとって冒涜的な魔法の国を攻め落とすのに酒色の国ほどの力を入れなかったとは考えにくい。ベルゼブブの疑問はもっともだ。
『……ボクが手抜きしてるって言いたいの?』
『いえ、ヘクセンナハトに劣るんじゃないかって』
『その子も魔法の国の結界についても詳しくは知らないけど……ボクは虐待魔以上邪神未満だからね』
『……ヘクセンナハトは貴方と邪神の間に入ると?』
兄、ライアー、ヘクセンナハト、ナイ……の順番だと? ヘクセンナハトは兄の前世で力はほぼ同じはずだ。もし魔法の国の結界が今の酒色の国のものより強いものであったとしたらそれはヘクセンナハトだけの力ではなく、ナイが手を加えたと考えるべきだ。
『多分、ナイが魔法の国の滅亡のタイミングを測るために結界に細工してたんだと思うけど』
『あ、そっちの方がぽいですね。ヘクセンナハトがそこまで強力とは思えませんし』
『……ボク手抜きしてないからね』
ライアーはじとっとした目でベルゼブブを睨んでいるが、当の彼女はそっぽを向いてしまっていて気付いていない。
『じゃあ逆にどうしてあのタイミングだったんです? あの日何かありました?』
『さぁ……祭りはやってたけど』
『あの日に魔物使い君を始末しちゃう気だったのかしら?』
彼らには説明出来ないが『黒』とのゲームがあったからそれはないだろう。ナイにとって僕が『黒』の名を奪ったのは誤算だったとは思うが、僕と『黒』で遊ぼうとしていたのは確実だ。彼の理想の流れは分からないし、分かる頭は欲しくないけれど。
だとしたらあの日に僕が死なない仕掛けが必要だ。魔物使いだから無意識の生存本能で即死することはないにしても、あの数を凌ぎ切るのは不可能だった。アルが来なければ死んで──アル? まさか……
『逆だよマンモン……魔法の国を魔物に襲わせた時、僕が死なないタイミングだったんだ。魔物使いの力が通じやすくて、魔法に耐性のある魔物を倒せる物理攻撃に特化した、強力な魔物が魔法の国の近くに来たタイミングだったんだよ……!』
『魔物使い様、それは……?』
『アルだよ! アルなら用意した魔物を蹴散らして魔物使いの力に忠誠を誓うって予想して、あの日に結界を解いて国を襲わせた! アルとの出会いは……アイツにっ、仕組まれて……!』
あの日の光景が脳裏に蘇る。戦火に映える返り血を浴びた銀毛や、凄惨な昨晩なんて冗談だと言うような美しい青空や、生まれて初めて僕に無償の愛を教えてくれた優しい体温──あの全てが仕組まれていた!
『……っ、だから、何だよ。アルの愛も僕の愛も本物だ……運命でも偶然でも必然でもなかったからって落ち込むようなロマンチストじゃないんだよ、バーカ…………必ずこの世界から追い出してやる』
「ちょっと、そっちだけで盛り上がらないでよ」
「ねぇ、空気読もうよ。今は黙ってた方がいいって」
頭を掻き毟りそうになり、綺麗に結い上げてもらったことを思い出して手を下ろす。独り言に熱くなっていたのをアルテミスに冷まされ、羞恥心が湧いて出る。
「……話戻していい? 酒色の国に味方しそうな国だったよね。とぉ、うちは?」
「今更正義の国につけると思うか? 酒色の国が潰されたら次はこっちだし……やられる前にやるしかない」
『娯楽の国は軍事とかないのよねぇ……俺が治めてるから国連加盟国じゃねぇってだけで、商売相手は加盟国ばっかだしよー……俺は当然こっちにつくけど、国は大したこと出来ねぇな。戦争に力入れるなら呪ってもいられねぇし……ゆっくり廃れる感じか』
「となると妖鬼の国と温泉の国……」
その二国に関する情報は少ないようで、アルテミスの呟きの後には沈黙が続いた。
『前はレヴィアタンが呪ってて……?』
『今は居ないので温泉の国は空白地帯ですね、レヴィが居るのと妖鬼の国と似た文化で加盟国になりにくかった感じですから……温泉の国は近々加盟すると思ってます。そもそもあんな観光大国と同盟したところで焼け石に水ですよ』
「妖鬼の国はどうなのよ」
『…………どうなんでしょう。あの国って神は?』
ベルゼブブが首を傾げるようならこの部屋に答えられる者は居ない。酒呑あたりを連れてくるべきだったな。せめて影に小烏を住まわせたままなら何かが変わったかもしれない。
『自然神がポンポコポンポコ湧きやがるんだろ?』
『いえ、国民の信仰がバラけるせいで神が増えて……?』
『あの国で言う神ってほとんどは強大化した妖怪だろ?』
ベルゼブブとマンモンとライアーが三人で会議を始めてしまった。
「……そもそも妖怪って何?」
「お兄ちゃんが教えてやろう! 人の強い感情が魔力として放出され、物や時空に焼き付いた時に稀に人格を持つことがある。それが妖怪だ……というのが最新の説だな」
「なんか俺の聞いた話と微妙に違うけど……まぁ、妖怪化が起こりやすい土壌ってのは共通だよね」
アポロンとヘルメスの情報を真実として統合していいのなら、妖鬼の国へ行ってナイや天使達への恨み辛みを吐き出し続ければ味方を無限に増やせるということになるな。
「王権神授には違いないんだし、向こうの王に接触しなきゃ始まらないだろ」
「父上は偶にまともなことを言う……しかし神降とも酒色とも関わりがなく、向こうの神の力も名も何も知らない、そんな国にどう関わればいいものか」
『……とりあえず妖鬼の国の勧誘については僕に任せてください。一応そこ出身の仲間も居ますから。あと、その……国ごとじゃなく味方を集める可能性について、いいですか』
戦争に向けての下準備の工程がどんどんと増えていく。このまま準備期間が長引き続けて戦争が始まらなければいい、始まる前に意義を失って終わればいい。そんな都合のいい未来を来ないと分かっていながらも願ってしまう。
王族が先頭に立って戦うという珍しい国である神降の国の軍事関連の資料や施設は王城に併設されている。王族の居住棟などと分かれていると言った方が正しいか? まぁとにかく、僕は現在軍事や政治の会議を行う密室に居た。情報漏洩を防ぐためにはそれなりの部屋が必要なのだ。
「……なんか知らない間にとんでもないことになってってるなー」
「知らない間にとはなんですか父上! しっかり報告していたでしょう!」
会議参加者は僕とベルゼブブとマンモンとライアー、神降の国の王族達に神父達、ひとまず主要各国の情報を共有しておいた。
『砂漠の国取っとけば良かったんですよ、戦争勝ったの貴方達なんですから』
「戦争早まるだけだ。管理できないし」
『俺的にはお菓子の国のが痛いと思うぜ、あの島の地下は魔界に近い、正義の国の近くでもあるから便所蝿がポカやらなきゃ重要な拠点になってたんだよ』
『地下に近~い……くっだらない洒落ですね』
借りてきた猫、という言葉を是非とも悪魔達に覚えて欲しい。客として来ている時くらい大人しくしろ。
『貴方達は寝返ったりしませんよね?』
「するとしたらここで言うと思うか?」
「父上! もう……すいません、もちろん国連につくつもりはありませんよ。今更ゴマすりをしたところで無駄でしょうし」
王の不安になる煽りをアポロンがすぐさま訂正し、感情的でない理由も添えて信用を高める。
「希少鉱石の国が向こうに付いたのは誤算だったよね……うちとも酒色の国とも仲良くしてたし」
「……これ、国連入ってない国あるの?」
ヘルメスが希少鉱石の国の意外な行動を嘆き、地図と各国の資料を睨み付けていたアルテミスが苛立ち紛れに呟く。
「妖鬼の国、温泉の国、娯楽の国、植物の国……で、神降と酒色だね」
仮面を被ったままでは見にくいだろう零も話を理解してくれていた。
「ふーん…………ぁ、書物の国は?」
「書物の国は国連で作られた図書館だよ。歴史書は忖度なしに、芸術は不自由なしに、危険だろうと保全する……完全に中立ということを示すため、独立国とされているだけだよ」
アルテミスの疑問に答えた零の情報は僕にとっても興味深いものだった。天使と悪魔が常駐し、普通に暮らしていること。そして本の内容で天使が攻めたこと。それらに矛盾点が生まれる。
『……でも、僕が前行った時には本の内容が何とかって天使に襲われてましたよ』
「完全に自由だとやりたい放題する人が出るからねぇ……それに、天使は正義の国政府以上に創造神の侮辱に対して敏感だし」
『悪魔が普通に司書してたり、天使が門番やったりしてたんですけど』
「それについては知らないけど……まぁ、悪魔は人間に化けていれば天使が見ない限りは分からないし、大人しくしてれば見つからないよね。天使は国連からの派遣だろうね」
人間に化けていれば天使以外には分からないというのは良い情報だ。正義の国とはいえ国内を天使が彷徨いているという訳でもあるまい、潜入は可能だ。
『正義の国と戦争になったとして、酒色の国に味方してくれそうな国ってあるかな。あと、疎開先も欲しいな。結界破れるのは天使連中にも居るから』
『それおかしくないですか?』
『……何が? まさか国民全員兵士にしろとか言わないよね』
『そっちじゃなくて、結界破れるって方ですよ。うちに張ってるのって魔法の結界ですよね? でも、魔法の国の結界は最近まで壊れなかったんですよ。天使が攻撃を加えたことも、戦争の爆撃とかに巻き込まれてたこともあったのに』
いや、ミカエルが破った結界は魔法の国のものほど強くはなかったし、ウリエルが破ったのは天界から過剰供給があったからで──魔法の国を攻めるのにそこまで注力しなかったなんてありえるのか? 正義の国と地続きで彼らにとって冒涜的な魔法の国を攻め落とすのに酒色の国ほどの力を入れなかったとは考えにくい。ベルゼブブの疑問はもっともだ。
『……ボクが手抜きしてるって言いたいの?』
『いえ、ヘクセンナハトに劣るんじゃないかって』
『その子も魔法の国の結界についても詳しくは知らないけど……ボクは虐待魔以上邪神未満だからね』
『……ヘクセンナハトは貴方と邪神の間に入ると?』
兄、ライアー、ヘクセンナハト、ナイ……の順番だと? ヘクセンナハトは兄の前世で力はほぼ同じはずだ。もし魔法の国の結界が今の酒色の国のものより強いものであったとしたらそれはヘクセンナハトだけの力ではなく、ナイが手を加えたと考えるべきだ。
『多分、ナイが魔法の国の滅亡のタイミングを測るために結界に細工してたんだと思うけど』
『あ、そっちの方がぽいですね。ヘクセンナハトがそこまで強力とは思えませんし』
『……ボク手抜きしてないからね』
ライアーはじとっとした目でベルゼブブを睨んでいるが、当の彼女はそっぽを向いてしまっていて気付いていない。
『じゃあ逆にどうしてあのタイミングだったんです? あの日何かありました?』
『さぁ……祭りはやってたけど』
『あの日に魔物使い君を始末しちゃう気だったのかしら?』
彼らには説明出来ないが『黒』とのゲームがあったからそれはないだろう。ナイにとって僕が『黒』の名を奪ったのは誤算だったとは思うが、僕と『黒』で遊ぼうとしていたのは確実だ。彼の理想の流れは分からないし、分かる頭は欲しくないけれど。
だとしたらあの日に僕が死なない仕掛けが必要だ。魔物使いだから無意識の生存本能で即死することはないにしても、あの数を凌ぎ切るのは不可能だった。アルが来なければ死んで──アル? まさか……
『逆だよマンモン……魔法の国を魔物に襲わせた時、僕が死なないタイミングだったんだ。魔物使いの力が通じやすくて、魔法に耐性のある魔物を倒せる物理攻撃に特化した、強力な魔物が魔法の国の近くに来たタイミングだったんだよ……!』
『魔物使い様、それは……?』
『アルだよ! アルなら用意した魔物を蹴散らして魔物使いの力に忠誠を誓うって予想して、あの日に結界を解いて国を襲わせた! アルとの出会いは……アイツにっ、仕組まれて……!』
あの日の光景が脳裏に蘇る。戦火に映える返り血を浴びた銀毛や、凄惨な昨晩なんて冗談だと言うような美しい青空や、生まれて初めて僕に無償の愛を教えてくれた優しい体温──あの全てが仕組まれていた!
『……っ、だから、何だよ。アルの愛も僕の愛も本物だ……運命でも偶然でも必然でもなかったからって落ち込むようなロマンチストじゃないんだよ、バーカ…………必ずこの世界から追い出してやる』
「ちょっと、そっちだけで盛り上がらないでよ」
「ねぇ、空気読もうよ。今は黙ってた方がいいって」
頭を掻き毟りそうになり、綺麗に結い上げてもらったことを思い出して手を下ろす。独り言に熱くなっていたのをアルテミスに冷まされ、羞恥心が湧いて出る。
「……話戻していい? 酒色の国に味方しそうな国だったよね。とぉ、うちは?」
「今更正義の国につけると思うか? 酒色の国が潰されたら次はこっちだし……やられる前にやるしかない」
『娯楽の国は軍事とかないのよねぇ……俺が治めてるから国連加盟国じゃねぇってだけで、商売相手は加盟国ばっかだしよー……俺は当然こっちにつくけど、国は大したこと出来ねぇな。戦争に力入れるなら呪ってもいられねぇし……ゆっくり廃れる感じか』
「となると妖鬼の国と温泉の国……」
その二国に関する情報は少ないようで、アルテミスの呟きの後には沈黙が続いた。
『前はレヴィアタンが呪ってて……?』
『今は居ないので温泉の国は空白地帯ですね、レヴィが居るのと妖鬼の国と似た文化で加盟国になりにくかった感じですから……温泉の国は近々加盟すると思ってます。そもそもあんな観光大国と同盟したところで焼け石に水ですよ』
「妖鬼の国はどうなのよ」
『…………どうなんでしょう。あの国って神は?』
ベルゼブブが首を傾げるようならこの部屋に答えられる者は居ない。酒呑あたりを連れてくるべきだったな。せめて影に小烏を住まわせたままなら何かが変わったかもしれない。
『自然神がポンポコポンポコ湧きやがるんだろ?』
『いえ、国民の信仰がバラけるせいで神が増えて……?』
『あの国で言う神ってほとんどは強大化した妖怪だろ?』
ベルゼブブとマンモンとライアーが三人で会議を始めてしまった。
「……そもそも妖怪って何?」
「お兄ちゃんが教えてやろう! 人の強い感情が魔力として放出され、物や時空に焼き付いた時に稀に人格を持つことがある。それが妖怪だ……というのが最新の説だな」
「なんか俺の聞いた話と微妙に違うけど……まぁ、妖怪化が起こりやすい土壌ってのは共通だよね」
アポロンとヘルメスの情報を真実として統合していいのなら、妖鬼の国へ行ってナイや天使達への恨み辛みを吐き出し続ければ味方を無限に増やせるということになるな。
「王権神授には違いないんだし、向こうの王に接触しなきゃ始まらないだろ」
「父上は偶にまともなことを言う……しかし神降とも酒色とも関わりがなく、向こうの神の力も名も何も知らない、そんな国にどう関わればいいものか」
『……とりあえず妖鬼の国の勧誘については僕に任せてください。一応そこ出身の仲間も居ますから。あと、その……国ごとじゃなく味方を集める可能性について、いいですか』
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