修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪

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初戦闘。

 市場から宿に戻って私と紗耶香ちゃんはまず洗濯物を取り込んだ。

 コウタはすぐにタープテントや安全ピン、バーベキューセットをスキルで購入。

 私はまた、スキルでパンを購入した。

 そして下の厨房へ行き、賄い用ハンバーグと自分達の分を焼く。
 パンでハンバーグを挟み込み、前回の残りのレタスやチーズを挟んで、ハンバーガーにした。

 ジャガイモを使ってもいいと厨房で言われたので、ついでにフライドポテトも揚げて添えた。

 揚げたてフライドポテトを賄いにつけると、厨房の人に「めちゃくちゃエールに合いそう」と、言われた。

 賄いに出したハンバーグとポテトが大変好評で、店のメニューに加えても良いかと聞かれた。

 そもそもレシピを考案したのは自分達ではないので、了承することにした。
 自分達は焼き鳥屋をやるから、自分達でハンバーグ屋をやる余裕が無い気がするのもあったし。


 * *

 ギャ──ッ!  
 ギギャアア──!!

「き、奇声が聞こえる件について……」

 コウタはやや青ざめながらも茶化した風のセリフをのたまった。
 手にはサバイバルナイフ。
 
 それは、市場に行った翌日の事。

 我々は様子見で、ついつい護衛も付けずに森に薪を拾いに来てしまった。
 こんな所で節約の為、貧乏性を発揮してしまった。


「ちょ、コウタ、お金払うから、薙刀とか、金属枠で買えない!?」
「ナタなら有るが、薙刀というあからさまな武器は無い。でもナイフなら有るぞ」
「サヤはナタでいいから買って。ナイフよりはリーチあんでしょ?」
「そうだ、チェーンソーは!?」

 強そう! ホラーゲームで振り回してるの見た!

「奏、声でかい。それは高いし……使い慣れてないだろう。講習も受けてないのに」
 コウタは人差し指を口の前で立て、シー!静かに! のポーズで声を抑えて喋った。
 そうだ! ごめんなさい! なるべく気配を殺さなきゃ。

「う、そうだった。五億くらい欲しい」
「斧だ、これを使え」
「ちょ、コウタ、斧はだいぶ重いんだけど」
「ナタよりは重い分、攻撃力が有るし薪割りにも使える」

 うう、ナタと斧、後で使う事を考えると、同じ物を買うよりはいいのかな。

「でもやっぱ重い……」

 ちゃんと振り回して敵と戦えるだろうか? 自信がない。

「じゃあ奏は俺のナイフを持って後ろにいろ。俺が斧を使う。てかチェーンソーなんか余計重そうだけどな」

 う、そうだった、チェーンソーは強そうだけど重そう。
 充電もどうするのか知らない。

 ザザっと、茂みから音がしたと思ったら、緑色のなんかが出て来た。
耳が尖って嫌な目つき。

「ゴブリンだ! 二人とも下がれ!」

 身体が緑色の、子供サイズのモンスター!!
 私と紗耶香ちゃんは慌てて後方へ下がる。

 バッ!! コウタは足元の砂を蹴り上げて、ゴブリンの目潰し!

「ギャッ!!」

 悲鳴を上げ、たまらず目を閉じたゴブリンに向かって、コウタは斧を振るった。

 狙いは急所の首だった。
 ゴブリンはあっさりと絶命した。

「今、場違いなほど軽快なレベルアップ音が脳内に響いたぞ。
人間の女を襲う悪いモンスターでも、二足歩行のヤツを倒すのは流石に精神に来るな」

「あ、守ってくれて、ありがとうコウタ」
「ありがとうコータ君、サヤびっくりして固まってた」
「油断するな、まだ他にもいるかも」

 う! 

「「怖……」」
「ちょっと見てくるから、二人とも待ってろ」

「い、行かないで、コウタ。そんなの大雨の日に田んぼ見てくるみたいなフラグに聞こえる」
「いや、斥候はいるだろ、いつの間にか敵に囲まれたら詰む」

 私の不安を他所に、コウタはゴブリンの血が着いたままの斧を持って、そっと様子を見に茂みの向こうへ行った。


「さ、紗耶香ちゃん、スプレータイプの化粧水買える? 今度でいいけど」
「カナデっち、今度でいいなら、今、何でそんな話を?」

「熊撃退スプレーっっぽいの自作できないかなって。唐辛子とか濃い濃度の劇物入っているの売ってないなら、今度自分で作ろうかと」

「ああ、なる。そういやさっきのコータ君も目つぶしからの攻撃だったね。
でもジェット噴射の強力スプレーじゃなくても攻撃届くかな?」
「か、風上に立てばワンチャン無いかな?」

「てかさ、スプレーもイイけど、足元にゴブリンの死体転がってるの気になる。ヤバイ」

 あ!!

「ど、どうしよう、このゴブリンの血の匂いで違うのが寄って来たら」
「じゃあ……これ触って……移動させるべき?」

「う、し、仕方ない、私がやる……」
「二人で運ぼう。子供くらいの大きさ有るし」

 私達は嫌々ながらも、私が腕、紗耶香ちゃんがゴブリンの足を持って運んだ。

「うう、神様は何故剣道有段者とか空手とか強そうな女子を選んで異世界転移させないのか。私なら強い人選ぶ」
「だよね、霊長類最強女子はアタシ達じゃないってーの」

 私と紗耶香ちゃんんは二人で涙目になって、ゴブリンを運んで捨てて、元の場所へ戻った。

「お前ら、勝手にいなくなるなよ、ビビるだろ」
「コウタ、ごめん、ゴブリンの死体そのまま置いてたら、血の匂いで他の魔物来るかな? って、離れたとこに捨てて来た」

「てか、コータ君、敵いた?」
「手負いの子鹿をゴブリンどもが囲んで倒して食ってた。奴らが鹿に夢中なうちに逃げよう。帰り道に枝は拾ってアイテムボックスに放り込むけど」
「りょ」

「あ、キノコ発見。 鑑定! ……お、出た、名称、ヌルコ。地球産ナメコと同じ味で食用可だって。
あ、あっちにも、こっちは……名称、ビラビラタケ。舞茸に似てると思ったらやっぱ舞茸だよ」


 すぐに帰ると思ったのに、コウタはキノコを見つけてしまった。

「コータ君、さりげ初鑑定じゃね? おめでとう?」
「ありがとう水木さん」


 コウタ、わりと余裕あるな。やっぱ男の子だから?

 コウタは鑑定眼で食べられるキノコを採り、さらに薪を見つけてささっと回収。
 ついでに薪を拾いつつも、私達はなる早で森から出て帰った。
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