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04 寒い地域
◆◆◆ 公爵サイド ◆◆◆
『公爵ぅーーっ! 新妻との初夜すっぽかして何してんだ! ここにずっといたの!? なんて男なの!』
執務室に入ってくるなり、貴族令嬢らしからぬ暴言が脳内に飛んできた。
でも、彼女が怒るのも最もだ。
文句は言えない。
痛いとか、辛いとか、化け物公爵と言われる私に抱かれ、恐怖にまみれるだろう彼女の感情に触れたくなくて、彼女を……新婦を放置したのは私だ。
彼女が内心の怒りを隠しもしない顔で促された執務机に座った。
「こちらの本と帳簿をご覧になって、公爵夫人としてこの公爵家の予算等を管理することになります、御茶と茶菓子はテーブルに置いておりますので、後はよろしくお願いいたします」
家令はそう伝えて執務室から出て行った。
『はーーっ!? 書類と計算が嫌いなのにそんな仕事を私がするの!? 数字に強い会計士を雇えよ!』
家令の言葉を聞いた後に執務室に私と二人で残された彼女は顔を赤くしたり青ざめたりしていた。
なるほど、書類と計算が嫌いらしい。
しかし世の女性は帳簿を……金を使うのが好きだから帳簿の管理はやりたがると本に書いてあったが、嘘だったのか?
それでも彼女は家令が部屋から出た後に、一応帳簿や書類を手にして見ては……首をかしげた。
『百歩譲って雇った会計士が横領とかするといけないから絶対に公爵夫人が最終的には家計簿を見る必要があるってことなら仕方ないけど……せめて……電卓とか欲しいわ、私が計算ミスったらどうするのよ? ラノベでよくある魔道具師とやらはいないの? あるいは錬金術師!!』
彼女はぷくーっと、頬を膨らませた。
まるで本に出てくる幼い少女のように。
この部屋には今、私と彼女しかいないからどんな表情をしてくれても構わないのだが。
彼女の脳内には度々知らない単語が出てくる。
デンタク?
一応探りをいれてみるか。
「なにか、必要なものはありますか?」
私の問いに彼女は毅然とした顔をして言った。
「会計士と電卓が欲しいです。
最後の最後で公爵夫人の私の確認が必要でも、その手前で、ほとんどやってくれる会計士が欲しいです!
私は姉と違いアカデミーにもかよっておりませんし、お世辞にも数字に強いとは言えません。
大事な領地の税金で間違いをおかすのが怖いですし、便利な魔道具があれば助かる者が多くなります!」
かなりの早口でまくし立てられた。
「デンタクとやらのことを詳しく教えていただけますか?」
「はい。いわゆる計算をしてくれる機械です。数字と記号を打ち込むと人間の頭の代わりに正しい答えを導き出してくれる便利な道具です」
彼女は紙を手にし、何やら書き込んだ。
そして簡単に図解しましたと言ってデンタクの絵を見せてきた。
計算には強くないとはいえ、絵はだいぶ上手い。
分かりやすく描いてある。
「なるほど、数字と記号がついたボタンを押すと正解が出てくる道具……確かにこれがあれば大変便利なので、作らせてみます」
「助かります! 電卓の研究費は私の予算から出して頂いていただければいいので、ぜひよろしくお願いいたします!」
彼女はぱあっと輝くような笑顔で喜んだ。
「予算は公爵家の雑費からで大丈夫です」
「雑費? よくわかりませんが確かに商品になれば価値があるでしょうからお好きにどうぞ」
『予算がどこから捻出されようが世に出れば絶対に売れるから、損にはならないはず……ところで北部って北海道みたいな寒いところなら、じゃがいもとかアスパラガスとか育てるのにいいのでは?
書類見るになんか食料は輸入が多いわね?
領地は広いけど春夏とかの暖かい時期が短いせい?
海産物はどう? 美味しい蟹とかいないの?』
ホッカイドウ?
どこだそれは?
そしてカニ? あんなに硬くて危険なハサミまで持つ可食部の少ない生き物をわざわざ食べたいのか?
でも捕れなくはないから、シェフと……漁師に通達をしておくか。
見知らぬ冬の長い、寒い土地に嫁がされて不安だろうし、食べ物くらいは好みのものを揃えてやらねば。
『公爵ぅーーっ! 新妻との初夜すっぽかして何してんだ! ここにずっといたの!? なんて男なの!』
執務室に入ってくるなり、貴族令嬢らしからぬ暴言が脳内に飛んできた。
でも、彼女が怒るのも最もだ。
文句は言えない。
痛いとか、辛いとか、化け物公爵と言われる私に抱かれ、恐怖にまみれるだろう彼女の感情に触れたくなくて、彼女を……新婦を放置したのは私だ。
彼女が内心の怒りを隠しもしない顔で促された執務机に座った。
「こちらの本と帳簿をご覧になって、公爵夫人としてこの公爵家の予算等を管理することになります、御茶と茶菓子はテーブルに置いておりますので、後はよろしくお願いいたします」
家令はそう伝えて執務室から出て行った。
『はーーっ!? 書類と計算が嫌いなのにそんな仕事を私がするの!? 数字に強い会計士を雇えよ!』
家令の言葉を聞いた後に執務室に私と二人で残された彼女は顔を赤くしたり青ざめたりしていた。
なるほど、書類と計算が嫌いらしい。
しかし世の女性は帳簿を……金を使うのが好きだから帳簿の管理はやりたがると本に書いてあったが、嘘だったのか?
それでも彼女は家令が部屋から出た後に、一応帳簿や書類を手にして見ては……首をかしげた。
『百歩譲って雇った会計士が横領とかするといけないから絶対に公爵夫人が最終的には家計簿を見る必要があるってことなら仕方ないけど……せめて……電卓とか欲しいわ、私が計算ミスったらどうするのよ? ラノベでよくある魔道具師とやらはいないの? あるいは錬金術師!!』
彼女はぷくーっと、頬を膨らませた。
まるで本に出てくる幼い少女のように。
この部屋には今、私と彼女しかいないからどんな表情をしてくれても構わないのだが。
彼女の脳内には度々知らない単語が出てくる。
デンタク?
一応探りをいれてみるか。
「なにか、必要なものはありますか?」
私の問いに彼女は毅然とした顔をして言った。
「会計士と電卓が欲しいです。
最後の最後で公爵夫人の私の確認が必要でも、その手前で、ほとんどやってくれる会計士が欲しいです!
私は姉と違いアカデミーにもかよっておりませんし、お世辞にも数字に強いとは言えません。
大事な領地の税金で間違いをおかすのが怖いですし、便利な魔道具があれば助かる者が多くなります!」
かなりの早口でまくし立てられた。
「デンタクとやらのことを詳しく教えていただけますか?」
「はい。いわゆる計算をしてくれる機械です。数字と記号を打ち込むと人間の頭の代わりに正しい答えを導き出してくれる便利な道具です」
彼女は紙を手にし、何やら書き込んだ。
そして簡単に図解しましたと言ってデンタクの絵を見せてきた。
計算には強くないとはいえ、絵はだいぶ上手い。
分かりやすく描いてある。
「なるほど、数字と記号がついたボタンを押すと正解が出てくる道具……確かにこれがあれば大変便利なので、作らせてみます」
「助かります! 電卓の研究費は私の予算から出して頂いていただければいいので、ぜひよろしくお願いいたします!」
彼女はぱあっと輝くような笑顔で喜んだ。
「予算は公爵家の雑費からで大丈夫です」
「雑費? よくわかりませんが確かに商品になれば価値があるでしょうからお好きにどうぞ」
『予算がどこから捻出されようが世に出れば絶対に売れるから、損にはならないはず……ところで北部って北海道みたいな寒いところなら、じゃがいもとかアスパラガスとか育てるのにいいのでは?
書類見るになんか食料は輸入が多いわね?
領地は広いけど春夏とかの暖かい時期が短いせい?
海産物はどう? 美味しい蟹とかいないの?』
ホッカイドウ?
どこだそれは?
そしてカニ? あんなに硬くて危険なハサミまで持つ可食部の少ない生き物をわざわざ食べたいのか?
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