炎のように

碧月 晶

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362.火の能力者

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枝葉を巻き込んで吹き立つ壁の向こう、その輪郭は歪んで見えた。


「…アル」


でも、その声はこちらまではっきりと通って

しゃくり上げながら、俺はただ聞きたくないと頭を振る。


「……やめて、来ないでください…っ、俺は…っ…」


痛い


「アル」


痛い、痛い


「お、れは、そっちには…いられない…!」


止めろ


「も、ヤなんです…おれは、俺は…!」


声が震えて、喉がひきつる。



痛い


痛い、痛い


痛い、痛い、痛い



怪我はもう治っているはずなのに
どうしてこんなにも痛いの。


肋骨が軋んで、心臓や肺が圧迫される。



「…アル、先に言っておく。悪いが力加減は出来そうにない」



何に対して断ったのか俺が分かりかねている間に、ヴァンはスラリと剣を鞘から抜いた。

そして、瞬時に炎がそれを覆い尽くした。


赤々と燃える剣を手に一歩ずつ歩を進めるヴァンから

何をするつもりだと警戒するように、合わせて俺も一歩ずつ退く。


「アル」
「…………」
「今からそっちへ行く。だから、逃げるな」
「…!」




なんで

なんでまだそんな顔で笑いかけてくれるんだ
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感想 3

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