炎のように

404.回想終了

あれから、ヴァンは繫忙期とやらに入ってしまい会える回数は減ってしまった。

俺は今もあの時ヴァンが言っていた言葉の意味を探し続けていた。



…って、あれ？　そもそも何を思い出そうとしてたんだっけ…？

 

「…………あ、」

 

そ、そうだった。

 

ここ数日に何回か何故かヴァンの顔をまともに見れない時がある。原因は未だ不明だ。

しかも、それはいつもではない。偶に、なのだ。

だから、余計に予測がしづらい。

 

「…なんか、思い出したら恥ずかしくなってきた…」

 

熱を持った頬をパタパタと手で扇(あお)ぐ。

 

記憶を探れば何か分かるかもしれないと思っての事だったが、脱線に脱線を重ねた上、思い出すのは、「今考えたら結構恥ずかしくないか？」という記憶ばかりで

肝心の手がかり探しは完全に失敗に終わった。

 

「どうしよう…」
「何がだ？」
「いやちょっと悩み事といいますか…」
「悩み事？」
「はい…」

 
答えもまだ分かっていないし、話さなければならないことも問題も山済みだし…



……って、ん？

 

自然と成り立っていた会話に、はたと気が付く。

 

「あ、え、ヴァン！？」

 

バッと振り向くと、そこには今まで頭を占めていた張本人が立っていた。