炎のように

418.それは唐突に sideアイセ

最初にこの人を見た時、不思議な雰囲気を持っている人だと思った。

ヴァンが懇意にしているという商人で、この揃いのペンダントを作ってくれた人。それから、あの日俺を見つけてくれた人。

 
「お察しの通り、オレは只の商人じゃないよ。…で、オレに何を聞きたいの？」

 
掴みどころのない琥珀色の瞳。ああ、やっぱりこの眼、どこかで…

 
「…誰かと、重なったような気がしたんです」
「オレが？」
「はい…」

 
ぎゅっと握った手に視線を落とす。初めて会った時に感じた不思議な雰囲気。
それは『誰か』の輪郭を刹那彷彿させたけれど、それが誰なのかは分からなかった。

 
「ふーん…、それってアルがまだ何でも屋をやってた頃の話？」
「…え」
「緑の隻眼に黒いローブの男っていえば、結構こっちの世界じゃ有名だったよ」
「こっちって…」
「分かるんじゃない？」

 
飄々とした笑みを向けられ、確信する。

 
「…確かに『只の商人』ではないですね」
「まあね。でもそのお陰でここにいるようなもんだし」
「？　どういう意味ですか？」
「気になる？」
「はい」
「よし、じゃあ恋バナしようか」
「………え？」

 

濃い花？