炎のように

碧月 晶

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422.頼る人

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 「身内か…」


様々なクッキーが並ぶ陳列棚を前に、ふと先程イグニートさんに言われた言葉を思い出す。

ヴァンに『頼れ』と言われた時、正直よく分からなかった。
今まで他人の手を必要とした事なんて、依頼のために仲介屋を利用するぐらいで。

でもそれはきっとヴァンが求めているものじゃない。
だってヴァンは利益や対価なく俺にそうしても良いと言っているのだから。




…『身内』と言われた時、真っ先に父さんや母さん、ウルの事が浮かんだ。

最も近しく、当たり前に頼れる存在。
知人や友人とは違う、何の躊躇いもいらない、そういう立ち位置にいる人達。


そんな存在だと思えと、言ってくれた。



「───…あ、そう…か」


そういう事だったのか。

 
 
ああ、本当に…ヴァンは凄いなぁ。



何もかも言う通りだった。
難しく考える必要なんてなかった。


なんて馬鹿なんだろう。


何が自信がない、だ。

そんなの、卑怯な自分を正当化しようとしていただけじゃないか。




「喜んでくれるかな…」




気が付けば、両手いっぱいにそれは溢れていた。
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