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…何だよ、その目は。
言いたい事があるならハッキリ言ったらどうなんだ。
つーか視線がな、痛い。超痛ぇ
目から何か出てんじゃねえのってくらいに。
「お待たせ~、お茶入ったよー。…なんで二人して見つめ合ってるの?」
「ちゃう。どこ見とんねん」
右に同じく。
お前の目は節穴か。
今だけは揃った意見を癪(しゃく)に思いながら、やっと視線を外せると
テーブルの上に置かれたものに目を向ける。
「今ね、緑茶にハマってて。那月君緑茶好き?」
「別に嫌いじゃない」
寧ろ口にする機会は多いな。
ああいう家だからかは分からないが、悠貴さんがよく淹れてくれる。
「そっか、良かった」
コポコポと急須(きゅうす)から湯飲みに手際よく注いでいく。
「はい。お茶請けもあるからね!」
「あ、ああ…」
返事をしながら、とりあえず湯飲みに口を付ける。
「…うまい」
その美味しさに、思わず感想が口をついて出てしまった。
「ふふ、ありがと~。お煎餅も食べて食べて!ここの美味しんだよ」
おお、確かにこれは旨(うま)いな。
醤油の焦がし風味とこの程よく歯応えのある食感
そこへまた緑茶を流し込むと、何杯でも何枚でもいけそうだ。
「…おい、何イチャコラしとんねん」
………………………あ。
如何にも不機嫌ですという声に、俺は漸くソイツの存在を忘れていた事を思い出したのだった。
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