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31.降臨 sideルカ
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ノヴァと呼ばれた魔族の男と何かを話していたかと思えば、突然重力が増したかのようにズンと周囲の空気が重くなった。
何だと見れば、黒い霧――濃い魔力の渦が自称魔王の彼が座っていた椅子ごと飲み込んでいた。
あまりの魔力量に驚く。
しかもさっきまで普通に話していたのに、彼からは全くと言って良いほど魔力を感じなかった。
それは直ぐ隣りに立っていたノヴァも同じだったようで、大きく目を見開いている。
「んー、こんな感じかな」
黒々とした渦の中心からカツン…と靴音を響かせ、金に近い明るい茶髪が現れ、徐々にその身体が露わになっていく。
癖っ毛のある髪の間から生える、黒く大きな角。きらりと光る鋭い爪。
薄かった瞳の色は、地獄の業火のように炎々と燃えている。
「なんかこれ…ドラキュラっぽい?」
「ねえ」と話し掛けられたノヴァがはっと我に返る。
「どしたの」と動く形の良い唇の隙間からは尖った牙が見え隠れしている。
圧倒的な支配者の風格を纏ったその出で立ちはまさに、『魔王』と呼ぶに相応しかった。
何だと見れば、黒い霧――濃い魔力の渦が自称魔王の彼が座っていた椅子ごと飲み込んでいた。
あまりの魔力量に驚く。
しかもさっきまで普通に話していたのに、彼からは全くと言って良いほど魔力を感じなかった。
それは直ぐ隣りに立っていたノヴァも同じだったようで、大きく目を見開いている。
「んー、こんな感じかな」
黒々とした渦の中心からカツン…と靴音を響かせ、金に近い明るい茶髪が現れ、徐々にその身体が露わになっていく。
癖っ毛のある髪の間から生える、黒く大きな角。きらりと光る鋭い爪。
薄かった瞳の色は、地獄の業火のように炎々と燃えている。
「なんかこれ…ドラキュラっぽい?」
「ねえ」と話し掛けられたノヴァがはっと我に返る。
「どしたの」と動く形の良い唇の隙間からは尖った牙が見え隠れしている。
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