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第一章 開かれる女の子への道(葵編)
【第7話】 幼い記憶(後) ◆
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「ごめんなさいね。でもあおいちゃんが本当に男の子だったら、先生あやまらなくちゃいけないでしょ。だからどうしても確かめたかったの」
少しのぼせた葵に、早紀先生は微笑んで語り掛ける。
そして何度も葵の頭をゆっくりと撫でる。
頭を撫でてもらえる。
たったそれだけのことなのに、葵の体はほわんとした心地よさで包まれる。
頭から感じる手のぬくもりは、媚薬のように葵の思考力を奪っていく。
さっきまで怒っていたのが嘘のように、葵は「えへへ」と蕩けた笑顔を浮かべている。
「分かったでしょ? あおいちゃんは正真正銘の女の子だって。きっと頭を打った時に勘違いしちゃったのよ」
「そ、そうなの……かな」
葵の声からは、先ほどの自信が失われている。
だんだん先生の言っていることが正しいと思え始めてきていた。
早紀先生の言葉は、弱くなった葵の心の防壁を掻い潜りながら、その最深部へと届いていく。
「そう、あおいちゃんは女の子。割れ目ちゃんがあるのが証拠でしょ。おまんこっていうのよ。あおいちゃんは、女の子。とってもすてきな美少女なの。だから勇気を出して、言ってみなさい。あたしは女の子ですって」
葵はぼーっとした表情だ。
自分は男の子だとずっと信じていた。でも、すべての事実がそれを否定している。
葵は完全に混乱していた。
なぜ自分がさっきから「僕は男の子」と言い張っている理由すら分からなくなっていた。
それでも自分を女の子と認めないのは、男として残った最後の意地なのかもしれない。
だが、それも崩壊しつつある。
正直あと一押しで堕ちるだろう。早紀はさらに追い打ちをかける。
「あおいちゃんは、とってもいい子。だからきちんと言えるよね。あたしは女の子ですって。言えたらもっとなでなでしてあげるわ」
なでてほしい。先生にいい子って褒められたい。
幼児化している葵にとって、それは抗うことのできない欲求だった。
そして、ついに禁断の言葉を葵は口にしてしまう。
「ぼ、ぼくは、お、女の子……です」
ご褒美とばかりに頭をなでられて、葵はまんざらでもない笑みを浮かべている。
「ついに言えたわね。偉いわ、あおいちゃん。そうよ、あおいちゃんは女の子。これからもずっと女の子なの」
「えへへ。ねでなで、うれしいな。ぼく女の子。女の子。ぼく……女の子……」
男のプライドというダムが壊れてしまったのだろうか。
すっかり、とろけた顔で葵は同じ言葉を繰り返している。
「ぼく、女の子」
その言葉を言えば言うほど、葵の男としての自意識が浸食されていく。
その代わりに女性の自意識の、核のようなものが形成されていく。
葵の心の奥底に生じた女心の核は、やがて木の根が足を広げるように、彼女の精神の隅々まで広がっていく。
自分が女性なんだと、無意識のレベルで感じることこそが、葵をメスへと堕とす甘味な第一歩だ。
なでてほしいという単純な欲求から、男性としての自意識へのダメージを知らず知らずに与えている。
「うへへ……ぼく、女の子。女の子なの。もっとなでて」
涎をたらしながら、うっとりした顔は完全に少女の顔だった。
一人称がぼくになってしまっているが、初回だし問題ないだろうと早紀は結論付けた。
もはや早紀の言葉すら頭の中に入っていかないようだ。
早紀は、先ほどとは打って変わって黒い笑みを浮かべていた。
その顔はもう、優しい早紀先生ではなく、マッドサイエンティストの速水早紀だった。
「ふふふ。ようやく言えたわね。『僕は女の子』って。これはまだ、全ての始まりよ。今日の夢はあくまでも夢。あなたの深層心理でのできごと。でも、これを繰り返すうちにあなたの心も体もいずれは……ふふふ」
早紀の頭には、乙女の恥じらいを覚えた最高の美少女の姿が浮かんでいた。
少しのぼせた葵に、早紀先生は微笑んで語り掛ける。
そして何度も葵の頭をゆっくりと撫でる。
頭を撫でてもらえる。
たったそれだけのことなのに、葵の体はほわんとした心地よさで包まれる。
頭から感じる手のぬくもりは、媚薬のように葵の思考力を奪っていく。
さっきまで怒っていたのが嘘のように、葵は「えへへ」と蕩けた笑顔を浮かべている。
「分かったでしょ? あおいちゃんは正真正銘の女の子だって。きっと頭を打った時に勘違いしちゃったのよ」
「そ、そうなの……かな」
葵の声からは、先ほどの自信が失われている。
だんだん先生の言っていることが正しいと思え始めてきていた。
早紀先生の言葉は、弱くなった葵の心の防壁を掻い潜りながら、その最深部へと届いていく。
「そう、あおいちゃんは女の子。割れ目ちゃんがあるのが証拠でしょ。おまんこっていうのよ。あおいちゃんは、女の子。とってもすてきな美少女なの。だから勇気を出して、言ってみなさい。あたしは女の子ですって」
葵はぼーっとした表情だ。
自分は男の子だとずっと信じていた。でも、すべての事実がそれを否定している。
葵は完全に混乱していた。
なぜ自分がさっきから「僕は男の子」と言い張っている理由すら分からなくなっていた。
それでも自分を女の子と認めないのは、男として残った最後の意地なのかもしれない。
だが、それも崩壊しつつある。
正直あと一押しで堕ちるだろう。早紀はさらに追い打ちをかける。
「あおいちゃんは、とってもいい子。だからきちんと言えるよね。あたしは女の子ですって。言えたらもっとなでなでしてあげるわ」
なでてほしい。先生にいい子って褒められたい。
幼児化している葵にとって、それは抗うことのできない欲求だった。
そして、ついに禁断の言葉を葵は口にしてしまう。
「ぼ、ぼくは、お、女の子……です」
ご褒美とばかりに頭をなでられて、葵はまんざらでもない笑みを浮かべている。
「ついに言えたわね。偉いわ、あおいちゃん。そうよ、あおいちゃんは女の子。これからもずっと女の子なの」
「えへへ。ねでなで、うれしいな。ぼく女の子。女の子。ぼく……女の子……」
男のプライドというダムが壊れてしまったのだろうか。
すっかり、とろけた顔で葵は同じ言葉を繰り返している。
「ぼく、女の子」
その言葉を言えば言うほど、葵の男としての自意識が浸食されていく。
その代わりに女性の自意識の、核のようなものが形成されていく。
葵の心の奥底に生じた女心の核は、やがて木の根が足を広げるように、彼女の精神の隅々まで広がっていく。
自分が女性なんだと、無意識のレベルで感じることこそが、葵をメスへと堕とす甘味な第一歩だ。
なでてほしいという単純な欲求から、男性としての自意識へのダメージを知らず知らずに与えている。
「うへへ……ぼく、女の子。女の子なの。もっとなでて」
涎をたらしながら、うっとりした顔は完全に少女の顔だった。
一人称がぼくになってしまっているが、初回だし問題ないだろうと早紀は結論付けた。
もはや早紀の言葉すら頭の中に入っていかないようだ。
早紀は、先ほどとは打って変わって黒い笑みを浮かべていた。
その顔はもう、優しい早紀先生ではなく、マッドサイエンティストの速水早紀だった。
「ふふふ。ようやく言えたわね。『僕は女の子』って。これはまだ、全ての始まりよ。今日の夢はあくまでも夢。あなたの深層心理でのできごと。でも、これを繰り返すうちにあなたの心も体もいずれは……ふふふ」
早紀の頭には、乙女の恥じらいを覚えた最高の美少女の姿が浮かんでいた。
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