150 / 211
第三章 美少女学園一年目 芽吹き根付く乙女心
【第73話】 再教育(73)あおい
しおりを挟む
■あおい(25)
「おかえりなさい、お嬢様」
大きな玄関の前で、メイドのさくらが仰々しくお辞儀をした。
あおいもお嬢様らしく、スカートの前で手を合わせるようにお辞儀を返す。
お淑やか笑顔は、セーラー服に調和して愛らしい。
「ありがとう。さくらさん」
恭しくしているからといって、決してさくらたちに屈した訳ではない。
これ以上女に染められないためには、言うことに従うしかないのだ。
(大丈夫。何もおかしいところはないはず。付け入るスキを与えてはダメ)
二度と早紀からの調教を受けたくない。
あんな思いはしたくない。
ボロをだすわけにはいかないのだ。
アリスやさくらが近くにいる時は、どこか気持ちが落ち着かない。
そんな気持ちを笑顔に押し隠す。
平然を装って、短めのスカートを後ろで軽く押さえながら、三階の自室へと向かう。
きれいに整頓された薄ピンク基調の部屋だ。
セーラー服を脱いできれいにたたむと、シースルーのトップスとバルーンスカートに着替える。
勉強机に腰かけると、緊張が解けたのか、ほっと一息をついた。
「今日もなんとか乗り切れた」
そう呟いて、鍵の掛かった机の引き出しを開ける。
奥の方から大事そう取り出したのは、一冊のノート。
密かに付けているクリスティーナとの交換日記だ。
ぎっしりと文字の詰まった大学ノートに、文字を付け足していく。
女子高生のような丸文字で、今日の出来事や思い付いたこと一つ一つを事細かに書いていく。
しばらくクリスティーナに会えていないため、あおいの文字だけが増えていく。
(先輩たちに色々されて、心が折れそうになったけど、クリスティーナだって負けずに頑張っているんだもの。自分が負けるわけにはいかないの)
あおいはクリスティーナの過去を、日記を通して知った。
孤児院で戦う日々、妹のジェニーのこと。
そして、BS学園に連れてこられた経緯。
コクーンで経験した恥ずかしい出来事の数々が赤裸々に綴られていた。
(僕よりも大変な思いをしたクリスティーナも頑張っているんだもの。負けちゃダメ)
正直言って、挫けたこともある。
甘い誘惑に屈したことも数知れない。
理事長に体を許してしまったことやレズで感じてしまったことは、汚点として記憶に刻まれている。
それでも、クリスティーナは前を向いて、『女になる』という仕組まれた境遇を拒み、戦い続けている。
自分もこれくらいで、へこたれてはいけない。
転んだ数だけ起き上がればいいのだ。
愚痴をこぼし合い、お互いを励まし合うことで、少しは強い自分になれた。
クリスティーナのお陰で、自分はどうにか男を保てている。
体つきは男を失ってしまっても、せめて心だけは。
あおいが部屋でホッとしているのもつかの間、トントンとドアがノックされた。
まだ夕食には早い。こんな時間にどうしたのだろう。
扉を恐る恐る開けると、アリスとさくらが立っていた。二人とも黒い笑みを浮かべている。
「あおいお嬢様。約束を破りましたね。お仕置きの時間ですよ」
約束? お仕置き? いったいなんのこと?
訳がわからない。
あおいの頭は真っ白になった。
「おかえりなさい、お嬢様」
大きな玄関の前で、メイドのさくらが仰々しくお辞儀をした。
あおいもお嬢様らしく、スカートの前で手を合わせるようにお辞儀を返す。
お淑やか笑顔は、セーラー服に調和して愛らしい。
「ありがとう。さくらさん」
恭しくしているからといって、決してさくらたちに屈した訳ではない。
これ以上女に染められないためには、言うことに従うしかないのだ。
(大丈夫。何もおかしいところはないはず。付け入るスキを与えてはダメ)
二度と早紀からの調教を受けたくない。
あんな思いはしたくない。
ボロをだすわけにはいかないのだ。
アリスやさくらが近くにいる時は、どこか気持ちが落ち着かない。
そんな気持ちを笑顔に押し隠す。
平然を装って、短めのスカートを後ろで軽く押さえながら、三階の自室へと向かう。
きれいに整頓された薄ピンク基調の部屋だ。
セーラー服を脱いできれいにたたむと、シースルーのトップスとバルーンスカートに着替える。
勉強机に腰かけると、緊張が解けたのか、ほっと一息をついた。
「今日もなんとか乗り切れた」
そう呟いて、鍵の掛かった机の引き出しを開ける。
奥の方から大事そう取り出したのは、一冊のノート。
密かに付けているクリスティーナとの交換日記だ。
ぎっしりと文字の詰まった大学ノートに、文字を付け足していく。
女子高生のような丸文字で、今日の出来事や思い付いたこと一つ一つを事細かに書いていく。
しばらくクリスティーナに会えていないため、あおいの文字だけが増えていく。
(先輩たちに色々されて、心が折れそうになったけど、クリスティーナだって負けずに頑張っているんだもの。自分が負けるわけにはいかないの)
あおいはクリスティーナの過去を、日記を通して知った。
孤児院で戦う日々、妹のジェニーのこと。
そして、BS学園に連れてこられた経緯。
コクーンで経験した恥ずかしい出来事の数々が赤裸々に綴られていた。
(僕よりも大変な思いをしたクリスティーナも頑張っているんだもの。負けちゃダメ)
正直言って、挫けたこともある。
甘い誘惑に屈したことも数知れない。
理事長に体を許してしまったことやレズで感じてしまったことは、汚点として記憶に刻まれている。
それでも、クリスティーナは前を向いて、『女になる』という仕組まれた境遇を拒み、戦い続けている。
自分もこれくらいで、へこたれてはいけない。
転んだ数だけ起き上がればいいのだ。
愚痴をこぼし合い、お互いを励まし合うことで、少しは強い自分になれた。
クリスティーナのお陰で、自分はどうにか男を保てている。
体つきは男を失ってしまっても、せめて心だけは。
あおいが部屋でホッとしているのもつかの間、トントンとドアがノックされた。
まだ夕食には早い。こんな時間にどうしたのだろう。
扉を恐る恐る開けると、アリスとさくらが立っていた。二人とも黒い笑みを浮かべている。
「あおいお嬢様。約束を破りましたね。お仕置きの時間ですよ」
約束? お仕置き? いったいなんのこと?
訳がわからない。
あおいの頭は真っ白になった。
0
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる