天使の隠れ家

水瀬 文祐

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聖者の揺り籠(前編)

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 エリス・如月は殺すな。生け捕りにしろ。
 教官は命令の最後にそう付け加えた。それを聞いて教官の教えに人一倍素直に従ってきたグレンは初めて疑問を抱いた。
 エリス・如月は世界を混沌に陥れ、破壊と死の風をもたらした魔女だとされている。ならば、これ以上世界に悪を成さないように速やかなる死を与えるべきでは。万一仕損じでもしたら、厄介なことになる。グレンは正直者だったために挙手をし、その旨を教官に直接ぶつけた。
 教官は火のように顔を赤くして、グレンの頬を激しく打った。「愚か者が。貴様らは黙って命令に従っておればよい」、唾を吐き捨てるように言葉をグレンに叩きつけると、教官はグレンの髪を引っ張って顔を上げさせ、もう一度頬を打った。
 グレンは「申し訳ありません」と頬の痛みを堪えながら頭を下げた。
 教官はその後頭部を満足そうに見下ろして、「以後気を付けるように」と冷たく言い放って、任務の説明に戻った。
 任務は、所在を遂に突き止めたエリス・如月の確保。そしてその妨害に動くであろうと思われる、黒い天使の異名で知られるアンドロイド、「メサイア006」の破壊。
 エリス・如月は「聖者の揺り籠」と呼ばれるかつての研究施設に潜んでいることが確認され、一週間前二個小隊が彼女の拿捕に向かったが、部隊は音信不通となった。その後も斥候の報告では研究施設を出た形跡がないことから、彼女はそこで何か企んでいるのではないかと政府上層部は危惧し、兵士訓練学校生の中から優秀者を集めて部隊を結成した。そして今、グレンはその一員として部隊の中に並んでいる。
 なぜ、正規の兵士ではなく、学生兵を用いるのか。それほど軍の人員は逼迫しているのか。エリス・如月はここで何をしているのか、グレンには疑問が尽きなかったが、兵士というのは疑問を抱かないものだ、と自分を戒める。疑問を抱けば、それが迷いとなり、迷いは兵士の命を刈り取る。長生きしたければ、忠実であれ。戦争で死んだ伯父が口癖のように言っていた言葉だ。彼は忠実な兵士だった。そして戦地で死んだ。名誉ある最期だったらしい。だが、名誉があろうがなかろうが、死ねばそれまでだ。家族にとっては。
 グレンは自分を律しつつも、疑念を抱いた自分のその感じ方を蔑ろにしようとは思わなかった。疑問は兵士を殺すが、時に生かす命綱になることもある。
 「聖者の揺り籠」からほど近い拠点キャンプで、グレンたち学生兵は最終チェックを行っていた。装備品携行品の確認を終え、施設内の見取り図を頭に叩き込み、最後に念押しのように言われた言葉にグレンは疑問を抱き、そして殴られた。他の学生兵は教官の命令を是として疑うことはないようだった。
 グレンもかつてはそうだった。だが、そうでなくなってしまったのは、彼が鋭い嗅覚とでもいうべき、危険を嗅ぎ分ける防衛本能の持ち主だったことが関係している。つまりグレンは嗅ぎとったのだ。教官の命令を遂行することは、死を招くと。
 相手は「黒い天使」なのだ。エリス・如月を守る最強のアンドロイド。「天使の隠れ家」と呼ばれた研究施設を壊滅させ、実験用アンドロイドを逃亡させたことは記憶に新しい。隠れ家には屈強な護衛部隊がいたはずだが、彼らは「黒い天使」に傷一つつけることができず、あえなく皆殺しにあったという。正規の、しかも精鋭部隊でさえ、そのザマなのだ。学生兵などにどうしてあのアンドロイドを仕留めることができようか。教官たちは、政府は自分たちに死ねと言っているようなものだ、とグレンはヘルメットのバックルをとめながら思った。
「では行け、我が子らよ」
 教官の言葉を合図に、キャンプから飛び出し、崩れた瓦礫の影などに身を隠しつつ、「聖者の揺り籠」に近づいて行く。グレンは先頭を走り、ビルの外壁の大きな破片に隠れながら、前方を窺い、問題なさそうだと判断すると振り返って味方に進むよう合図をする。
「グレン、どう思う。『黒い天使』を俺たちで仕留められると思うか」
 追いついてきたクリスが汚染された砂塵除けのマスクから激しく息を吐きながら問う。初めての実戦での高揚感が呼吸を荒げさせているのかと思ったが、口調からこれは恐怖の感情かもしれない、とグレンは感じていた。
「……難しいだろう。だが、鈴城がこの作戦に参加しているのは、引っかかる」
 確かにな、とクリスも同意して、後ろを走っている鈴城の方を見やりながら頷く。
「鈴城卿の御曹司を、むざむざ死地に追いやるか、って話だな」
 グレンはクリスの言葉に頷いては見せるが、だが教官たちへの疑念を払拭するには至らなかった。この疑問が吉と出るか凶と出るか。追いついてきた鈴城たちの肩を叩き、前に進むよう示す。
 揺り籠の入り口は電子ロックがされていて、本来であれば生体認証などを済ませなければ開錠できない。そのためロックの端末パネルからネットワークにハッキングし、施設の中央システムから開錠するよう命令を出させる。鈴城はそのための技術要員だった。
 入り口の扉に辿り着くと、鈴城はすぐに端末にアクセスし、ハッキングを開始し、グレンたちは周囲を警戒する。敵は「黒い天使」だけとは限らない。エリス・如月の護衛には他の人間やアンドロイドがついているかもしれないし、彼女とは関係のない略奪者、山賊紛いの連中が急襲してこないとも限らない。
「鈴城。どれぐらいかかる」
 グレンたちの小隊のリーダーのライルが鈴城の操作する端末を覗き込みながら訊ねる。「五分。それぐらいはほしい」と鈴城が答えると、ライルは「三分だ。相手が誰か、忘れるな」と鈴城の肩を強く叩いて揺すり、厳しい声でそう言った。
 ライルは腕は確かなのだが、寡黙でとっつきにくいところがあった。通常なら、社交的で視野も広く、状況判断に優れたクリスが小隊長となってしかるべきだろう。だが、一匹狼的な気質のあるライルが小隊長に選ばれた。そのこともグレンにはしこりとなって引っかかっているのだが、それはクリスと親しいがための色眼鏡かもしれない、とも自分を顧みるのだった。
「できた。解除完了だ。開けるぞ」
 扉が開き、まずライルとグレンが先陣を切って中に入り、内部の安全確認を行う。風除室、ロビーと入り込むが、敵の気配はなかった。グレンは銃を構えて周囲を見回す。内部、ロビーは天井が崩れていたり、床が割れて隆起したりしていた。椅子やベンチなど調度品の残骸のようなものが方々に倒れて積まれ、雑然とした雰囲気だった。天井には砂が積もっているのか、隙間から細い滝のようにさらさらと砂が落ちている。
 見取り図ではロビーの奥に生体サンプルなどを展示する大きな部屋があり、それをぐるりと囲むように廊下が伸びており、その最奥にある研究室にエリス・如月がいる、と教官たちは見立てていた。
「この施設は、元々何の施設なんだ」
 廊下に出て、ガラスを隔てた展示室の割れたカプセルの残骸を見ながら、怪訝そうにクリスは鈴城に訊いた。
「ここはかつて如月幸一郎博士のラボだったと聞いてるよ。通常のアンドロイドよりも高性能なアンドロイドの研究、製造を行っていたとか。『黒い天使』もここで生まれたんじゃないかって噂だ」
 詳しいな、とライルが抑揚のない声で言う。感情の読み取りにくい声だ、とグレンは警戒をしながらも、聞き耳をたてる。
「時折流れてくるゴシップ誌やタブロイドを読むのが趣味でね。眉唾な噂には詳しくなった」
 へえ、とクリスは満更興味がないでもない声を上げる。
 グレンは静か過ぎる、と緊張感にじっとりと汗をかきながら思った。廊下は曲がり角の先も、展示室のガラス張りのおかげで見渡せる。敵の影はない。だが、仮にもエリス・如月が身を隠しているにしては、罠の一つもないのは不審だ。いかに「黒い天使」の能力が優れていようと、精鋭部隊を単騎で正面から殲滅できるとは考えにくい。罠などで攪乱し、浮足立ったところで各個撃破されていくならまだ分かる。だがその気配もない。
 それとも、罠は既に作動していて、自分たちが見逃しているのか。だが、それなら何らかの兆候があっていいはずだ。グレンは罠は起動していない、と確信しながらも、予感のように何か大きな罠に巻き込まれつつあるように思えて仕方なかった。
「緊張感をもて。情報が確かなら、エリス・如月はこの奥だ」
 ライルの口調には相変わらず抑揚がなく一本調子で、言葉にどんな感情が秘められているかグレンには読めなかった。だが、言っていること自体はライルに同意だった。エリス・如月がいるということは、そこに「黒い天使」もいるということだ。
 ライルのハンドサインでクリスが先行し、最奥の扉の横に張りつく。自動扉はロックされているらしく、クリスが鈴城を手招きする。グレンが鈴城の後方を守りつつ、ライルと鈴城が並走し、扉の前で再び端末を広げ、ネットワークに接続して扉の開錠を試みる。
「開けた瞬間、ということはありえるか?」
 グレンがライルに問うと、「充分に考えられる」と頷き、扉に向かって銃を構える。グレンとクリスもそれに倣う。
「開錠した。このまま開けていいかい」
 鈴城が端末から顔を上げてライルに確認すると、彼は「承知した。頼む」と鈴城に言ってグレンに向き直り、「俺、グレン、クリスの順で突入だ。間違ってもエリス・如月は殺すな」と指示する。グレンとクリスは黙って頷いた。
 扉が開く。ライルが銃を構えたまま扉の向こうに進み、グレンもその後を追う。ライルの銃口の動きに呼応して、それとは反対の動きをとることでライルの死角をカバーする。
 扉の中は研究施設になっていて、奥に巨大なモニターとコンソール、部屋の中央には展示室にあったのと同じような円柱形の生体カプセルが一基備え付けてあるが、カプセルは割れており、中身は何もない。床には何かの研究資料が散らばっていて、四人はそれを踏みしめながら部屋の中を進んで行く。しかしエリス・如月はおろか「黒い天使」の姿もなかった。
「どういうことだ……?」
 逃げられたのか、とグレンは疑う。襲撃の情報が漏れていた。だが、漏れていたなら精鋭部隊を軽々と撃破した「黒い天使」を擁する以上、エリス・如月が逃げなければならない理由とはなんだ。疑問が渦巻きながらも、不意打ちに備えて銃を構えたまま周囲を警戒するが、ライルとクリスは早々に警戒態勢を解き、奥のコンソールを調べていた。
「鈴城。このコンピューターのデータベースにアクセスできるか」
 多分、と頷くとライルは場所を空け、「やってくれ」と鈴城に促す。
 鈴城が作業につくと、グレンも警戒する必要はなさそうだ、と警戒態勢を解き、クリスに近寄って行って話しかける。「逃げられたのか」
 クリスは肩を竦めて口を曲げておどけてみせ、「恐れをなしたかな。学生兵に」と軽口を叩いた。
 しかし、ライルはここのコンピューターからどんな情報を引き出そうというんだ。そんな指令は受け取っていないはずだ。グレンは怪訝そうにライルと鈴城を眺めた。
「クリス。ライルはここで何を調べている。何がここのラボにはある」
 クリスは笑顔を向けてグレンのその問いに答えたが、目は笑っていなかった。グレンはクリスも知っている。と確信した。唯々諾々とライルの指示に従ったということは、鈴城もか。だとすると、小隊内で自分だけが正確な任務を伝えられていないことになる。厄介なことになるぞ、とグレンは内心冷や汗をかきながらも、親友に向かって自身も目が笑っていない笑顔を返した。
「そう怖い顔をするなよ。見てれば分かるさ」
 クリスはそう言うとグレンの元を離れ、鈴城に近付いて声をかける。「どうだ。アクセスできたか」
 鈴城は大仰な仕草で頭を抱えて見せると、「だめだ。生体認証とパスコードを要求されている」とコンソールの画面を指さした。
「突破できないのか」とライルは顔をしかめる。
「やってみたがだめだった。正規の手段で入るしか手はないよ」
「鈴城家の者なら認証されるという情報だぞ」
 苛立ったようにクリスが言うと、「クリス!」とライルが厳しい口調でそれを咎める。
 やはり、何か裏の任務がある。この任務は最初からエリス・如月の拿捕など目的にしてはいなかったのだ。だとすれば、どこからどこまでが嘘で、誰が嘘つきだ。ライルとクリス、鈴城か。教官たちか。それとも政府までが動いているのか。グレンには想像がつかなかった。問題なのは、目の前の状況が分からないことより、蚊帳の外にいる自分がなぜこの場にいるのかということだ。自分の立場の不明瞭さ、それがグレンを焦燥させた。
「鈴城、お前では解除できないということだな」、ライルが静かに訊くと、鈴城は「そうだね、僕には無理だ」と首を振る。
「そうか。クリス」
 ライルがおもむろにクリスに顔を向けて呼ぶ。クリスは「報告する」と頷いた。
 クリスがポケットから通信端末を取り出すのと同時に、ライルが銃口を鈴城の頭に押し付け、引き金を引いた。鈴城の頭は吹き飛んで血しぶきを上げ、コンソールに血が飛び散った。鈴城は悲鳴をあげる間もなく絶命し、その場に崩れ落ちた。
「任務報告。対象では解除できず。鈴城家は嘘をついていた模様」
 クリスが端末にそう告げている間、グレンは逃げるか否か悩んでいたが、恐らく背を向けた瞬間、ライルの正確無比な射撃が自分を射抜くだろうということが容易に想像された。それを裏付けるように、ライルの意識はコンソールと鈴城の遺体に向けられているようでありながら、グレンの動向を探っているようなところがあった。
「よって見せしめとして鈴城家嫡男、将嗣を始末した。その旨鈴城家に伝えてもらいたい」
「いや、待て」と掌を突きつけ、クリスを制止すると、ライルは腰からコンバットナイフを抜いて、鈴城の腕に突き立て、抉るようにその肉を裂いた。血が溢れ、床に血だまりを作りながら、ライルは傷口に手を差し込み、何かを腕の中から引き抜く。
 それは金属の骨格だった。ちょうど腕の骨と同じくらいの大きさだった。それが意味するところは、グレンにもすぐ分かった。
「こいつはアンドロイドだ。替え玉だ。してやられた」
「なら、本物の鈴城はどこに」、落ち着いたライルに比して、クリスは平常心を欠いているようだった。
「初めから本物の鈴城将嗣などいなかったのかもしれん」
 ライルの口調は淡々としていたが、そこには謀られた静かな怒りが満ちていた。
「じゃあデータは」
「やむをえまい。仕切り直しだ」
 くそっ、と苛立ちを露わにしてクリスは床を蹴る。そして顔を上げてライルと視線を交わし、「人身御供が必要だな」とぼそっと呟いた。それを聞き逃すグレンではなかった。
 グレンは銃口をクリスに向け、迷うことなく引き金に指をかけたが、銃を撃つ前にライルの目にも止まらぬ射撃がグレンの銃身を撃ち抜き、吹き飛ばしていた。衝撃にグレンはよろめき、痺れた手を押えて踏み止まるが、そのときには二人の銃口が自分を向いていて万事休すだと悟った。
「悪く思うなよ、グレン。おれだって心が痛いんだ」
 クリスは悲しそうな表情をしてみせるが、それが仮面に過ぎないことをグレンはようやく悟った。いや、知っていたのかもしれない。だが、友情というまやかしの霧に包まれて、見えるのに見えないふりをしてきたツケを、ここで支払わなければならないのかと思うと腹立たしいより笑えてくるのだった。
「人身御供と言ったな。どういう意味なんだ?」
「物事っていうのは形が大事でな。俺たちが鈴城を殺したのでは都合が悪いわけだ。一応善良な学生だからな。だから、グレン、お前が乱心して鈴城を殺したため、やむなく俺たちがお前を射殺したという形をとらせてもらうのさ。お前はそのためにここに招かれた」
 ライルはそこで初めて鉄仮面のような顔に笑みを浮かべた。
「随分饒舌だな、ライル」
 グレンは苦し紛れに苦笑する。腰に拳銃があるが、恐らく抜く前に撃ち殺されるだろうと思った。だが、何もしないよりは足掻いてみせる方がいいかもしれない。
「饒舌にもなるさ。任務は失敗だが、昔から何かと気に入らなかったお前を堂々と始末できるんだからな」
 ライルが両腕を広げて天を仰ぐ仕草を見せた、その隙を狙ってグレンは拳銃を抜き、ライルの胸に狙いを定めて撃った。つもりだった。撃つ瞬間、クリスの銃がライルばりの正確な射撃でグレンの銃を撃ち抜いて弾き飛ばしたのだった。
 いつも射撃で落第点をとってはグレンに泣きついていたクリスの射撃とは思えなかった。
「射撃が下手なのも、演技か」
 グレンはそこまで騙されるといっそ清々しい、とぎこちなく笑みを浮かべた。
「まあな」と肩を竦めると、「それじゃあさよならだ、グレン」と言ってクリスはグレンの胸に銃弾を叩きこむ。
 グレンは胸に鋭い痛みを感じて、堪えきれず膝を突いた。クリスは銃を下ろし、ライルが構えていた。とどめを刺すつもりだ、と分かったが、もはやグレンになす術はなかった。胸か頭か、撃ち抜かれるのを待っていたが、衝撃がこなかったので力を失ったグレンの体はゆっくりと前に倒れた。顔に研究資料の紙が貼りつく。どこか遠くでライルとクリスが慌てふためき、叫び声を上げながら銃を撃っているように思えた。だが、その銃弾はグレンの元に届くことはなかった。
 かすれて朧気になった視界の向こうを、黒い羽のようなものをもった何かが舞うように跳び回り、銃を撃っている気がした。助けなどくるはずがないが、とグレンは痛みに薄れゆく意識の中で考えながら、やがて銃声が止み、女の声で「安心しろ。死なせはしない」と言われたとき、「黒い天使」のことを思い出していた。
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