2 / 2
「さちの城」前編
しおりを挟む
心臓が、爆発しそうな鼓動をずっと鳴らし続けている。
シンデレラに聞こえるんじゃないかと言うくらい、大きな音で。
…お茶??なんで、どうして?
私には特に優れた特技とかは何もない。
容姿だってド平凡だし頭脳も平均、才能もなければお金もない。
17年間生きてきて特別なパーティーに呼ばれもしなかったし、シンデレラや白雪姫みたいなスーパースターだって、テレビや古い絵本でしかみたことがない。
つまりは今、この時が初対面。
こんな、姫の称号以外何も良いところの無い私と、お茶……ですって…?
じっと私の様子を見ていたシンデレラは、再び口を開いて、聞くまでもない返事を求めた。
「―――さぁ、いかが?」
あの有名な「カボチャの馬車」に揺られて、数十分。
もうすぐ正午になろうとしている中、あり得ない現状が今、私の前で起きている。
「紅茶は、どれもお好きなものをお取りになって。砂糖もミルクもありますわよ。」
「いッ、いえいえ!!私なんかにそんなお気遣い、勿体ないだすッ……」
………噛ん、だ。
今すぐ叫びたい。
よりによって、この人の目の前で、盛大に噛んだ。
だがしかし、シンデレラは聖母のような微笑みで受け流してくれた。
……聞かれたことには代わり無いけど。
それにしても、ヤッパリ変だ。
こんな私に一体何の用だろうか。
服装も使用人姿のまんまですごくみっともないし、靴もボロボロ。
本にはこの事も記されているんだろうけど、シンデレラにはシンデレラとしての物語があるわけだから、私のにはゲストとしてだって出られない。
本にはどう書かれてるんだろう。
ふと顔を上げると、バッチリシンデレラと目が合った。その事により、忘れていた極度の緊張が舞い戻ってきた。
(ヤバイヤバイやばい!!胃がッ…胃がねじ切れそうッ………)
一瞬目が合っただけでも見えたのはやはり、美しい微笑みだった。すごいなぁ、言い方悪くしちゃうと超余裕そう(私と違って)。
「―――こんなのがとてもそうとは思えないけど……ね」
「え?」
ん?とうとう痛み出したお腹を擦りながら悶絶していたせいか、シンデレラの放った一言を聞き取ることができなかった。しまった、なにか大切なことを言っていたとしたらどうしよう…!
「あら、着いたようね」
しかし、何事もないかのようにシンデレラがそう言ったから聞き間違えかと思った。
少しだけ引っ掛かっているものがあるものの、次の光景で私はそれが頭からすぽんと抜けてしまった。
「…?!えっ……あ、あれって、まさかッ………!」
「ええ、お城…ですわ。」
この国の人間に、「お城」、と投げ掛けて必ず思い付くものは、きっと一つしか無いだろう。
レンガ造りで建てられ、何百年も姫達に受け継がれ続けているもの。
ーー「さちの城」、そう呼ばれている、超豪華な城だ。
中のようすは他言禁止で入った者にしか分からないが、その全貌から大体は分かる。
とりあえずでかいし、綺麗だ。
ここに入れると言う事はすなわち、国民的大スターになることは大前提。つまり、この城に入れる事は『姫』となった者として最高の事なのである。
名前の由来は誰も知らない。「さち」という人が初代の姫だからと言う人もいれば、誰かの物語に出てくる姫の城から取られた名前と言う人もいる。
…聞いてみても、良いんだろうか。正直興味もあるし……
「…あっ、あの、少し……っていうか……ひ、一つだけ質問…しても、良いでしょうか…?」
私がそう言うと、シンデレラは顔色ひとつ変えずに答えてくれた。
「ええ、よろしくてよ。」
「そ、それじゃああの……『さち城』って、どうしてそう言う名前なんでしょうか?」
俯きがちではあるが、単刀直入に聞いてみる。でも、シンデレラもわからない可能性も無くはないのだ。
知らないと突き返される可能性もあるし、実際のところどうなのだろう…。
「…………」
…あれ。聞こえてたよね?やっぱり、知らないのかな……?
ーーーそう思ってちらりとシンデレラの顔を見てみると、先程の彼女とは打って変わった表情をしていた。
「……!?…っ、……えっと、あのっ………」
目は見開きがちで、口はほんの少しだけ開いていて、顔色はみるみるうちに悪くなっている。
っわ、私触れちゃいけないことに触れちゃったの…?!
「ごめんなさい!」そういうつもりで息を吸い込むと、カボチャの馬車がキィッと音をたてて停車した。
「到着いたしました」
シンデレラに聞こえるんじゃないかと言うくらい、大きな音で。
…お茶??なんで、どうして?
私には特に優れた特技とかは何もない。
容姿だってド平凡だし頭脳も平均、才能もなければお金もない。
17年間生きてきて特別なパーティーに呼ばれもしなかったし、シンデレラや白雪姫みたいなスーパースターだって、テレビや古い絵本でしかみたことがない。
つまりは今、この時が初対面。
こんな、姫の称号以外何も良いところの無い私と、お茶……ですって…?
じっと私の様子を見ていたシンデレラは、再び口を開いて、聞くまでもない返事を求めた。
「―――さぁ、いかが?」
あの有名な「カボチャの馬車」に揺られて、数十分。
もうすぐ正午になろうとしている中、あり得ない現状が今、私の前で起きている。
「紅茶は、どれもお好きなものをお取りになって。砂糖もミルクもありますわよ。」
「いッ、いえいえ!!私なんかにそんなお気遣い、勿体ないだすッ……」
………噛ん、だ。
今すぐ叫びたい。
よりによって、この人の目の前で、盛大に噛んだ。
だがしかし、シンデレラは聖母のような微笑みで受け流してくれた。
……聞かれたことには代わり無いけど。
それにしても、ヤッパリ変だ。
こんな私に一体何の用だろうか。
服装も使用人姿のまんまですごくみっともないし、靴もボロボロ。
本にはこの事も記されているんだろうけど、シンデレラにはシンデレラとしての物語があるわけだから、私のにはゲストとしてだって出られない。
本にはどう書かれてるんだろう。
ふと顔を上げると、バッチリシンデレラと目が合った。その事により、忘れていた極度の緊張が舞い戻ってきた。
(ヤバイヤバイやばい!!胃がッ…胃がねじ切れそうッ………)
一瞬目が合っただけでも見えたのはやはり、美しい微笑みだった。すごいなぁ、言い方悪くしちゃうと超余裕そう(私と違って)。
「―――こんなのがとてもそうとは思えないけど……ね」
「え?」
ん?とうとう痛み出したお腹を擦りながら悶絶していたせいか、シンデレラの放った一言を聞き取ることができなかった。しまった、なにか大切なことを言っていたとしたらどうしよう…!
「あら、着いたようね」
しかし、何事もないかのようにシンデレラがそう言ったから聞き間違えかと思った。
少しだけ引っ掛かっているものがあるものの、次の光景で私はそれが頭からすぽんと抜けてしまった。
「…?!えっ……あ、あれって、まさかッ………!」
「ええ、お城…ですわ。」
この国の人間に、「お城」、と投げ掛けて必ず思い付くものは、きっと一つしか無いだろう。
レンガ造りで建てられ、何百年も姫達に受け継がれ続けているもの。
ーー「さちの城」、そう呼ばれている、超豪華な城だ。
中のようすは他言禁止で入った者にしか分からないが、その全貌から大体は分かる。
とりあえずでかいし、綺麗だ。
ここに入れると言う事はすなわち、国民的大スターになることは大前提。つまり、この城に入れる事は『姫』となった者として最高の事なのである。
名前の由来は誰も知らない。「さち」という人が初代の姫だからと言う人もいれば、誰かの物語に出てくる姫の城から取られた名前と言う人もいる。
…聞いてみても、良いんだろうか。正直興味もあるし……
「…あっ、あの、少し……っていうか……ひ、一つだけ質問…しても、良いでしょうか…?」
私がそう言うと、シンデレラは顔色ひとつ変えずに答えてくれた。
「ええ、よろしくてよ。」
「そ、それじゃああの……『さち城』って、どうしてそう言う名前なんでしょうか?」
俯きがちではあるが、単刀直入に聞いてみる。でも、シンデレラもわからない可能性も無くはないのだ。
知らないと突き返される可能性もあるし、実際のところどうなのだろう…。
「…………」
…あれ。聞こえてたよね?やっぱり、知らないのかな……?
ーーーそう思ってちらりとシンデレラの顔を見てみると、先程の彼女とは打って変わった表情をしていた。
「……!?…っ、……えっと、あのっ………」
目は見開きがちで、口はほんの少しだけ開いていて、顔色はみるみるうちに悪くなっている。
っわ、私触れちゃいけないことに触れちゃったの…?!
「ごめんなさい!」そういうつもりで息を吸い込むと、カボチャの馬車がキィッと音をたてて停車した。
「到着いたしました」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる