数合わせから始まる俺様の独占欲

日矩 凛太郎

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その後の二人の仕事風景

あの日描いた空想にため息を一つ

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城崎は図面に目を落とし、鉛筆で寸法を書き込みながら、工事現場の進捗確認資料を整理していた。朝からの打ち合わせと現場確認で、机の上は紙の山とタブレット、そして資料フォルダで埋まっている。

「城崎さん、この書類、確認してもらえますか?」

女性職員の小さな声に手を止め、顔を上げる。笑顔で差し出された資料に、いつもの穏やかな視線を送る。

「ん、助かる」
手渡された書類を受け取りながら、ふと脳裏に浮かんだのは土曜の夜、浅見さんと一緒に歩いた駅前の通りだった。

「(…少し、焦っちまった)」

彼女の些細な初めてを少しづつ俺で染まっていく。それに胸の奥に疼いたのを今でも覚えてる。

手を繋いだだけで照れて見てくれないのも、触れる度に反応してくれるのも、時たま見せる素のところも…あまりの初々しさに俺の方が悶えそうになる。

…流石に顔には出さねぇけど。

けれどふと思っちまった。もしあの先を望んだら、あの人はどう答えるのだろうか。

ただの好奇心じゃない。他のやつのことも悪く言えねぇ…俺にしか見せないあの初々しさに噛み付いて、真っ赤にしてやりたいという欲望的な探究心。

「(初デートでそれは有り得ねぇだろ)」

ほんの一時。彼女と別れる間際に思い描いてしまった、望もうとしていた自分に腹が立つ


頭では現場の進行や安全管理を優先しているのに、心の片隅で彼女の笑顔や小さく頬を染めた仕草がちらつく。資料に書き込みを入れながらも、ペンの動きが一瞬止まることもある。

「城崎さん、これ、どうしますか?」

また声をかけられる。今度は別の女性職員で、仕事の話題を淡々と進めてくる。城崎は一呼吸置き、手元の資料と頭の中の浅見さんのイメージを交互に切り替える。

「この仕様で進めて大丈夫。現場には午後に行く予定だから、直接確認してくる」

答えながら、軽く目配せ。その瞳には普段の刺々しさはなく、周囲の女性陣も安心させる柔らかさを持っていた。

「(次は、もっとたらふく食わせよう)」

城崎はふと、書類にメモを書き込みながら、頭の中で土曜のデートの続きを思い描く。彼女と向き合うときの距離感、会話の間合い、そして視線のやり取り……それらが、自然に日常の中で彼のモチベーションになっていた。

「城崎さん、昼休み、書類整理手伝いますよ」


女性陣の声に引き戻され、彼は小さく頷き、再び現実に意識を戻す。

「…ん」

仕事に集中しながらも、頭の片隅で浅見さんとの次の時間を考える城崎。プロフェッショナルとしての顔と、心の奥の小さな期待が、静かに混ざり合っていた。
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