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本屋の休憩
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「い、生田くん……。」
「『裕一郎』。あの時そう教えたろ?」
頭の上の手が僕の頬まで降りてきた。
「裕一郎……。」
「クーっ……思ったよりクルな……。」
裕一郎が顎を撫でていた腕をスッと下げて、なぜか、胸の下に持っていった。
「僕には分からないんだけど。」
「当たり前だな。でも、今ここで話すわけにはいかない。俺は今縛られてる。なあ、今誰かと付き合ってる?」
裕一郎の頼んだコーヒーを店員が運んできた。僕はアザのついた手がカップを持ち上げるのを見ながら、黙って首を横に振った。
「そっか……俺、陽介が好き。初めてバックヤードで話してからずっと陽介が気になってた。」
「……。」
裕一郎が笑顔で僕の事を見ているけど、なんて言ったらいいか分からない。まるで狐につままれた気分。これはそんな気持ちに違いない。
「アキラが陽介だと知ってからもその気持ちは変わらなかった。むしろ嬉しかったんだ。」
「ゆ、裕一郎……。」
『陽介……すげー好き。』
最後に肌を重ねた時の裕一郎の声が蘇る。あれは、あれはリップサービスじゃなくて……本心だった?
「でも、陽介が好きな人に会えるのを待ってるって聞いて、身を引いた。でも、陽介が待ってたオジサンが俺だとしたら、俺たちは両思いだ。違うか?」
「……。」
涙が出てきた。そう……僕はいつの間にか裕一郎が好きだったんだ。もう、オジサンの事などどうでも良くなってた僕がいる。いつだか、裕一郎と幸せになりたい、そう自覚したんじゃなかったか?
「泣くなよ。……全く、どちらが年上かわかりゃしない。」
裕一郎のアザのある手が、僕の頬の涙を拭った。いつの間にか、僕の目から涙が溢れ出ていた。
「陽介。俺、4月になるまでここから出られないんだ。」
「え?」
裕一郎の口から出た言葉が何を言ってるのか分からなかった。
「俺、ここに住んでる。もちろん仕事で。でも、4月になるまでここから出ない契約を交わしたんだ。」
「契約……。」
ここに住んでるって、このショッピングモールに? どういう事なんだ?
「だけど、それも3月31日まで。……なぁ、陽介。4月1日になったら、陽介のマンションに行ってもいい? 引っ越してはないだろ?」
「……。」
裕一郎を見つめたまま無意識に頷いていた。まだ、僕には分からない事だらけだ。どういう事? 仕事で……さっきも縛られてるって言ってた。
「ダメだと言っても行くけどな。陽介、4月1日の夕方6時半、マンションで待ってて。絶対に行く。」
裕一郎が真剣な眼差しで僕を見てきた。この表情は……どこかで見たことがある。
僕は裕一郎の顔から目が離せずに、ただ、黙って頷いた。
「ほら、まだ全然食べてないだろ。食べて。それとも俺が食べさせるか?」
急に変わった口調に我に返ってテーブルを見る。一口齧っただけのクロワッサンが皿に乗っていた。
「た、た、食べるよ。」
慌ててたまごサンドを取り上げる。お腹が空いていたはずなのに、口に入れても、何故だかどんな味をしているのか全然分からなかった。
「ホラ、早く食べろよ。もしかして俺に食べさせて欲しい?」
戯けた口調の裕一郎の言葉と、優しく微笑みながらこちらを見ている裕一郎の表情が気になって、それどころじゃなかった。
「『裕一郎』。あの時そう教えたろ?」
頭の上の手が僕の頬まで降りてきた。
「裕一郎……。」
「クーっ……思ったよりクルな……。」
裕一郎が顎を撫でていた腕をスッと下げて、なぜか、胸の下に持っていった。
「僕には分からないんだけど。」
「当たり前だな。でも、今ここで話すわけにはいかない。俺は今縛られてる。なあ、今誰かと付き合ってる?」
裕一郎の頼んだコーヒーを店員が運んできた。僕はアザのついた手がカップを持ち上げるのを見ながら、黙って首を横に振った。
「そっか……俺、陽介が好き。初めてバックヤードで話してからずっと陽介が気になってた。」
「……。」
裕一郎が笑顔で僕の事を見ているけど、なんて言ったらいいか分からない。まるで狐につままれた気分。これはそんな気持ちに違いない。
「アキラが陽介だと知ってからもその気持ちは変わらなかった。むしろ嬉しかったんだ。」
「ゆ、裕一郎……。」
『陽介……すげー好き。』
最後に肌を重ねた時の裕一郎の声が蘇る。あれは、あれはリップサービスじゃなくて……本心だった?
「でも、陽介が好きな人に会えるのを待ってるって聞いて、身を引いた。でも、陽介が待ってたオジサンが俺だとしたら、俺たちは両思いだ。違うか?」
「……。」
涙が出てきた。そう……僕はいつの間にか裕一郎が好きだったんだ。もう、オジサンの事などどうでも良くなってた僕がいる。いつだか、裕一郎と幸せになりたい、そう自覚したんじゃなかったか?
「泣くなよ。……全く、どちらが年上かわかりゃしない。」
裕一郎のアザのある手が、僕の頬の涙を拭った。いつの間にか、僕の目から涙が溢れ出ていた。
「陽介。俺、4月になるまでここから出られないんだ。」
「え?」
裕一郎の口から出た言葉が何を言ってるのか分からなかった。
「俺、ここに住んでる。もちろん仕事で。でも、4月になるまでここから出ない契約を交わしたんだ。」
「契約……。」
ここに住んでるって、このショッピングモールに? どういう事なんだ?
「だけど、それも3月31日まで。……なぁ、陽介。4月1日になったら、陽介のマンションに行ってもいい? 引っ越してはないだろ?」
「……。」
裕一郎を見つめたまま無意識に頷いていた。まだ、僕には分からない事だらけだ。どういう事? 仕事で……さっきも縛られてるって言ってた。
「ダメだと言っても行くけどな。陽介、4月1日の夕方6時半、マンションで待ってて。絶対に行く。」
裕一郎が真剣な眼差しで僕を見てきた。この表情は……どこかで見たことがある。
僕は裕一郎の顔から目が離せずに、ただ、黙って頷いた。
「ほら、まだ全然食べてないだろ。食べて。それとも俺が食べさせるか?」
急に変わった口調に我に返ってテーブルを見る。一口齧っただけのクロワッサンが皿に乗っていた。
「た、た、食べるよ。」
慌ててたまごサンドを取り上げる。お腹が空いていたはずなのに、口に入れても、何故だかどんな味をしているのか全然分からなかった。
「ホラ、早く食べろよ。もしかして俺に食べさせて欲しい?」
戯けた口調の裕一郎の言葉と、優しく微笑みながらこちらを見ている裕一郎の表情が気になって、それどころじゃなかった。
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