俺が送ったメールは瞬時に既読になる。けど、アイツからの返事は一切ないんだ。……俺はいつまで待っていればいい? 〜明日のその先〜

もこ

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1:オープンキャンパス

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「へー、意外と近かったな。」
良太の呟きが聞こえた。友だち10人と待ち合わせをした駅から、5つ目の駅で電車を降りる。駅を出ると、目の前の電柱に『欅藝大オープンキャンパス』の看板と、矢印の表示がくくりつけられていた。大学の……学生か? 首から『案内係』と赤い太字で書かれたホルダーをぶら下げた女の人が、パンフレットを配っていた。

「欅央高校ですか?」
「はい。」
女の人の問いに隆介が答える。途端にその人が笑顔になった。
「私も卒業生。欅央高校からは毎年沢山の子が入学してるの。また来年会ったらよろしくね?」
白いブラウスに茶色のサラサラしたズボンみたいなスカート。黒くパーマがかった髪を1つにまとめている。今は3年だというその人の顔を覚えてないのはしょうがないかも知れない。俺たちが入学する前に卒業した人だ。

「凄く大人っぽい人だったわね!?」
隣で美久ちゃんが話しかけてきた。美久ちゃんをはじめ、今日はみんな制服。けど周りを見渡すと、私服の人も多いような気がする。全員がオープンキャンパスに行くわけじゃないと思うけど……。

「うん、そうだね。」
俺がそう言った途端に俺の肩に腕が回された。
「なになに? あの女の人、望の好み? ダメ。お前は俺のモノ。」
伸一……冗談が過ぎる。駿也がここにいたら……いるはずのない駿也の面影を思い出して、ため息を押し殺した。

「伸一君、何度言ったら分かるの!? 望君の肩に腕を回すの禁止っ!」
美久ちゃんが伸一の腕を引き剥がしてくれた。美久ちゃんは相変わらず長いストレートの髪の毛をポニーテールにしている。今日はゴムの周りに紺色のシュシュをつけて、制服に合わせている。とても可愛い。そんな俺も、野郎にばかり肩を組まれる生活が長くなって最早何も感じなくなった。

「美久ちゃん、クラスが違くなってもいちいち突っかかってくるけど……もしかして本当に……ヤキモチ?」
伸一の言葉に美久ちゃんが赤くなる。美久ちゃんは2年の文化祭以来、隆介に片想いをしている。いつだったか、学校帰りに2人で歩いていて教えてもらった。1年前の俺ならば、たぶん非常にがっかりしていただろうが、全然違う俺がいて自分でも驚きだ。それ以来、事あるごとに相談に乗る仲になった。女子の中では1番仲がいいかもしれない。

「ち、違うから……ほんとに違う。ね? 望君?」
「美久ちゃんと俺が何かあるわけないだろ? 俺、美久ちゃんの好きな奴知ってるし。」
笑顔を貼り付けて言った俺の言葉にみんなが群がった。

「えっ!? 誰だれ?」
「教えて?」
「美久ちゃんと望は何かあると思ってた。」

話しかけてきた友だちの中には隆介がいる。相変わらず背が高い。……お前だよ。言ってやりたい気持ちをグッと堪える。美久ちゃんはもし、大学が一緒になったら告るって言ってた。隆介は夢にも思ってないって感じだ。美久ちゃんの好きな相手は誰か、みんなで盛り上がりながら、大学までの道を歩いて行った。




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