俺が送ったメールは瞬時に既読になる。けど、アイツからの返事は一切ないんだ。……俺はいつまで待っていればいい? 〜明日のその先〜

もこ

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1:欅葉祭

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『駿也、欅葉祭だぞ。観に来ないか?』
送ったメールは、いつものように瞬時に既読がついた。俺はベッドから出ずにスマホを弄ってグダグダしていた。今日は調子が悪い。……学校に行きたくない。

11月になって文化祭がやって来た。去年駿也がいなくなった日から一年近く経った。今年の俺は教室展示組。女子たちが作ったお菓子と温かい飲み物を提供してカフェを開く。本格的なカフェにしたいと、ネットで見つけた安いカフェエプロンを全員で揃えた。

『返事もないのに、来るわけないか……。』
でも……去年のことを懐かしんで現れるかな。そんな事を考えながら、ベッドから抜け出した。制服に着替える。姿見に写った姿は1年前とほぼ変わらない。身長も1年前から2㎝しか伸びていない。まだ170には届いていなかった。

『せめて父さんぐらいにはなりたかったよなあ。』
ため息を吐きかけた時、下から母さんの声が聞こえた。

「望っ!遅刻するわよっ。沙耶も起きてきなさいっ!」
「はーい。」
隣の部屋からドタドタと物音が聞こえ、扉の閉まる音と階段を降りていく音が聞こえた。

『さ、行くか。』
俺も朝食を取ろうと、大きく伸びをして部屋の扉を開けた。



「今日はお弁当はいらないんでしょ?」
「うん。」
聞くのが遅くないか? 欲しいって言ったらどうするわけ? 朝食の目玉焼きをつつきながら考える。
「何食べるの?」
「まだ決めてない。」

去年は駿也の作った唐揚げを食べた……広い体育館の片隅で。何故か鼻の奥がツンと痛む。駿也は今、どこにいるんだろ。持ち上げた味噌汁の中に、黒縁メガネをかけた駿也の顔が浮かんだ。

「そういえば、駿也くんだっけ? 今どこに住んでるの?」
超能力者か、というタイミングでよく母さんは駿也の話題を出してくる。最近は、滅多になかったけど……。
「俺もハッキリとは知らないんだよね。」
だけど、もはや駿也の話題を振って欲しくない。そんな思いで言葉を続ける。
「多分遠くだな。あまり話せないし。事情があるんじゃない?」

「私、今日行くから。」
隣から口を出した沙耶の顔を見る。思わず言葉が口について出た。
「来なくていい。」
「ええっ! 早苗ちゃんと約束したし。来年は私も欅央高校に通うし。」

沙耶は中学3年だ。「今年は望と妹の受験が重なって大変だわ」が母さんの口癖になった。何が大変なんだか。試験を受けるのは俺たちなのに……お金か?
「来ても相手しないからな。」
沙耶を横目で睨みつけるが、妹はいっこうに怯んだ様子はなかった。
「そんな事、分かってるから。お母さん? お小遣いちょうだい。」




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