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1:茶髪の君
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1時間近くかけて大学の図書館に着いた。まだ10時を過ぎたところだ。大学の図書館は結構広い。白く塗られた鉄筋コンクリート造りで、2階建ての建物全部が本で埋め尽くされている。2階は専門書が多いという噂で、一度しか覗いた事はないけど、一階には雑誌や一般図書も多く配置されていて、なかなか面白かった。
俺は、貸出禁止の棚から旅行雑誌を手に取ると、入口近くに設置されている4人がけテーブルの1つの椅子を引いて座り、雑誌をめくってみた。
表紙に「夏のオススメ特集」とデカデカと載っているだけあって、中は、海とその周辺の紹介が多かった。今年の夏は友だちと一緒に海へ行くのもいいかもしれない。ここから日帰りで行くとしたら……やっぱり神奈川かな? パラパラとページをめくっていると、視界の端に2階からの幅の広い階段をゆっくりと降りてくる人物が映った。
『!』
何気なく目を向けた視線が外せない。
あれは……去年のオープンキャンパスで会った……駿也に似た人だ! 間違いない。去年見た時より、後ろの髪が伸びているけど、あの茶色い髪が目立つ。長身の体を、ダークグリーンの無地のVネックの長袖のシャツとブラックジーンズで包んでいる。一目でブランド物ではないと分かる、ありふれたデザインのシャツを無造作に着ているだけなのに、なんであんなに似合うんだろう……。
『貸し出し……?』
茶髪の男は2階から持ってきた本を、こちらに背を向けてカウンターに出すところだった。受付の男の人と何かを話しているがよく聞こえない。けど、やはり駿也に似た低い声が微かに響いてきていた。
「何年生だろ。」
思わず声が出た。慌てて周りを見渡す。近くには誰もいないし、誰かに聞こえる声ではないけど……。去年も見かけたんだから、1年生ではない事は確かだ。駿也ではないけど、駿也によく似た顔を持つ男。
『でも……駿也の方がもっと愛想良かったよな。』
去年すれ違った時の男の表情を思い浮かべる。無表情という訳じゃなかったけど、外国人と話をしていても、静かな雰囲気を醸し出していたような気がする。
去年の事を考えている間に、その男は本を受け取り、こちらには気づかないまま図書館から出て行った。横顔から目が話せない。あれで髪が黒くて黒縁メガネをかけていたら……完全に駿也だ。こっちには……気づかなかった。諦めて雑誌に目を向ける。
『諦めて……って……。何だか俺、女々しいな。……駿也のやつ……。』
今度会ったら、絶対に文句を言ってやるんだ。その後は、いくら雑誌のページを繰っても中々内容が頭に入ってこなかった。
俺は、貸出禁止の棚から旅行雑誌を手に取ると、入口近くに設置されている4人がけテーブルの1つの椅子を引いて座り、雑誌をめくってみた。
表紙に「夏のオススメ特集」とデカデカと載っているだけあって、中は、海とその周辺の紹介が多かった。今年の夏は友だちと一緒に海へ行くのもいいかもしれない。ここから日帰りで行くとしたら……やっぱり神奈川かな? パラパラとページをめくっていると、視界の端に2階からの幅の広い階段をゆっくりと降りてくる人物が映った。
『!』
何気なく目を向けた視線が外せない。
あれは……去年のオープンキャンパスで会った……駿也に似た人だ! 間違いない。去年見た時より、後ろの髪が伸びているけど、あの茶色い髪が目立つ。長身の体を、ダークグリーンの無地のVネックの長袖のシャツとブラックジーンズで包んでいる。一目でブランド物ではないと分かる、ありふれたデザインのシャツを無造作に着ているだけなのに、なんであんなに似合うんだろう……。
『貸し出し……?』
茶髪の男は2階から持ってきた本を、こちらに背を向けてカウンターに出すところだった。受付の男の人と何かを話しているがよく聞こえない。けど、やはり駿也に似た低い声が微かに響いてきていた。
「何年生だろ。」
思わず声が出た。慌てて周りを見渡す。近くには誰もいないし、誰かに聞こえる声ではないけど……。去年も見かけたんだから、1年生ではない事は確かだ。駿也ではないけど、駿也によく似た顔を持つ男。
『でも……駿也の方がもっと愛想良かったよな。』
去年すれ違った時の男の表情を思い浮かべる。無表情という訳じゃなかったけど、外国人と話をしていても、静かな雰囲気を醸し出していたような気がする。
去年の事を考えている間に、その男は本を受け取り、こちらには気づかないまま図書館から出て行った。横顔から目が話せない。あれで髪が黒くて黒縁メガネをかけていたら……完全に駿也だ。こっちには……気づかなかった。諦めて雑誌に目を向ける。
『諦めて……って……。何だか俺、女々しいな。……駿也のやつ……。』
今度会ったら、絶対に文句を言ってやるんだ。その後は、いくら雑誌のページを繰っても中々内容が頭に入ってこなかった。
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