俺が送ったメールは瞬時に既読になる。けど、アイツからの返事は一切ないんだ。……俺はいつまで待っていればいい？ 〜明日のその先〜

２：俺からの……キス？

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「えっ？　ええっ！？」
いきなり直球で訊ねられて動揺した。キス？　……駿也と……そして良太。そこまで考えて、またあの時の良太の香水が漂ってくるような気がした。き、気持ち悪い……。あれはキスなんかじゃない。頭から消し去らなければ……。でも、駿也にされたキスは？　……嫌じゃなかった。無理矢理だったけど、今なら分かる。嫌じゃなかったんだ。

「望くん、経験あるんだ……意外。」
美久ちゃんの言葉に現実に引き戻される。意外って……ちょっと失礼だな！？　俺も大学生だ。キスの一つや二つ……。いや、経験があるとはいえないか。どちらもキスをしたというよりされたっていう……。

「望くん、キスしてくれる？」
「へっ！？」

美久ちゃんの言葉が何を言っているのか理解するのに、大分時間がかかった。

「な、な、何を言ってるの？」
焦って声が上擦っても、恥ずかしいと思う暇がなかった。顔が熱くなる。美久ちゃんと何でこんな話になってるわけ？

「望くんとなら、キスしてもいいかなって……。そして言ってやるの。待てなかったんだって。」
隆介に？　えっ！？　俺、隆介とも友だちなんだけど……。

「少しぐらいヤキモチ焼いてくれた方が、隆介くんも変わってくれるかなって……。」
それって、失敗する流れじゃない？　俺も隆介と友だちやめる羽目になるような……。隆介はずっと俺と美久ちゃんのことを誤解してたわけだし……。

「望くんの名前は出さないから。絶対。こんな事頼めるのは望くんだけなの。」
「えっと……それって、1番ダメなやつじゃないか？」
な、何がダメなのかは言えないけど、きっとダメなやつだ。ここは断るべきだ。

「何が？　望くんの名前は絶対に出さないから。望くんは今まで通りにしていてくれていいから……。」
「お、俺、隆介と友だちでいたい。」

「そんなの分かってるって。これは私のわがまま。事故だったって思ってくれていいから。ほんの少しだけでいいから……。」
美久ちゃんの目から涙が溢れてきて慌てた。ど、どうする？　このままでいいのか？　美久ちゃんを泣かせたままで？

『よし。』
どこを歩いていたのかわからなかったが、俺は、咄嗟に決意すると、あたりを見渡して美久ちゃんを細い路地裏に誘った。

「美久ちゃん……これは……友情のキスだよ。……いい？」
頷いた美久ちゃんが俺の背中に手を回してきた。美久ちゃんの顔を持ち上げる。……手が緊張で震えた。唇を合わせようと、ゆっくりと顔を近づけてていく……。美久ちゃんは全身が震えていた。