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4:3年と3か月前
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「駿也が突然、王子様役でステージに上がって来たんだ。」
体育館を背にして、目の前のプールの壁を見つめながら俺は口を開いた。あの時のことを少しだけ聞いてみたい。
「……そう。どうしても最後のキスシーンは隆介にやらせたくなかった。例えフリだとしても。」
駿也は目の前にある枯れかけた雑草を一つちぎって眺め始めた。
「本当にキスしたじゃん。」
フリだった筈なのに、駿也がわざとマントで覆い隠して……びっくりしたんだ。
「嫌だった?」
駿也がエノコログサの茎をクルクル回しながら聞いてきた。顔がこちらを向いている。俺は、慌てて顔を逸らした。
「い、いや、嫌だとかそういう事ではなくて……。初めてだったし。」
少しだけ恥ずかしい。顔が赤くなっているのが分かる。駿也が回すエノコログサの穂の部分をジッと見つめた。
「俺は苦しかった。」
「なぜ?」
駿也の言葉にまた顔を上げる。駿也も自分の持つ草の穂の先を眺めていた。
「望との初めてのキスなのに、薬を仕込むためのキスをした。何も説明せず……俺が、自分の事を覚えていて欲しい……その一心でだ。利己的で……次の日に帰るまでずっと悩んでいた。」
「次の日まで?」
「帰って自分の家に帰るタクシーの中まで、だな。望が3年以上ずっとメールをしてくれていた事を知って、もう後悔なんて頭から吹き飛んだ。」
望に会いたい、その気持ちだけで家まで駆けつけたんだ。そう言った駿也が草を投げ捨てて、左手を俺の肩に回して来た。
「キスしていい?」
右手で唇をそっと撫でて、俺が返事をする前に口を塞がれた。
『だから、俺の返事は待たないのかって……。』
でも、駿也からのキスに満たされている自分がいる。一瞬、過去にいる事も、自分の母校にいる事も、そしてもう1人の自分たちがいる事も忘れてキスに夢中になった。
「ン……ん。」
駿也の舌が俺の下唇を撫でて入ってくる、と思ったら、すぐに離れていった。
「望……舌出して。」
言われた通りに少しだけ舌を出すと、すぐに舌先に吸い付かれた。だんだんキスが深くなる。駿也の舌が自在に俺の口内を探っていった。俺も駿也の舌を追いかける。……何だか変な気分だ。
「ンン……。」
「望……声が漏れてる。」
駿也の声に我に返った。慌てて口を閉じる。その瞬間に、駿也に抱きしめられた。
「望……俺、我慢できないかもしれない。」
耳元で囁かれて全身に痺れが走った。我慢できないと言われても……嫌じゃない。次の展開を待ち望んでいる自分がいる。
駿也にだったら……駿也とだったら経験してみたい自分もいるんだ。
ガラガラガラ
体育館の重い扉がゆっくりと開く音がした。駿也と顔を見合わせて、体を離し、這うように移動し体育館の裏側を覗いた。ステージ裏に続く扉を、白雪姫の衣装を纏った俺と、制服姿の駿也がまさに入っていくところだった。
体育館を背にして、目の前のプールの壁を見つめながら俺は口を開いた。あの時のことを少しだけ聞いてみたい。
「……そう。どうしても最後のキスシーンは隆介にやらせたくなかった。例えフリだとしても。」
駿也は目の前にある枯れかけた雑草を一つちぎって眺め始めた。
「本当にキスしたじゃん。」
フリだった筈なのに、駿也がわざとマントで覆い隠して……びっくりしたんだ。
「嫌だった?」
駿也がエノコログサの茎をクルクル回しながら聞いてきた。顔がこちらを向いている。俺は、慌てて顔を逸らした。
「い、いや、嫌だとかそういう事ではなくて……。初めてだったし。」
少しだけ恥ずかしい。顔が赤くなっているのが分かる。駿也が回すエノコログサの穂の部分をジッと見つめた。
「俺は苦しかった。」
「なぜ?」
駿也の言葉にまた顔を上げる。駿也も自分の持つ草の穂の先を眺めていた。
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「次の日まで?」
「帰って自分の家に帰るタクシーの中まで、だな。望が3年以上ずっとメールをしてくれていた事を知って、もう後悔なんて頭から吹き飛んだ。」
望に会いたい、その気持ちだけで家まで駆けつけたんだ。そう言った駿也が草を投げ捨てて、左手を俺の肩に回して来た。
「キスしていい?」
右手で唇をそっと撫でて、俺が返事をする前に口を塞がれた。
『だから、俺の返事は待たないのかって……。』
でも、駿也からのキスに満たされている自分がいる。一瞬、過去にいる事も、自分の母校にいる事も、そしてもう1人の自分たちがいる事も忘れてキスに夢中になった。
「ン……ん。」
駿也の舌が俺の下唇を撫でて入ってくる、と思ったら、すぐに離れていった。
「望……舌出して。」
言われた通りに少しだけ舌を出すと、すぐに舌先に吸い付かれた。だんだんキスが深くなる。駿也の舌が自在に俺の口内を探っていった。俺も駿也の舌を追いかける。……何だか変な気分だ。
「ンン……。」
「望……声が漏れてる。」
駿也の声に我に返った。慌てて口を閉じる。その瞬間に、駿也に抱きしめられた。
「望……俺、我慢できないかもしれない。」
耳元で囁かれて全身に痺れが走った。我慢できないと言われても……嫌じゃない。次の展開を待ち望んでいる自分がいる。
駿也にだったら……駿也とだったら経験してみたい自分もいるんだ。
ガラガラガラ
体育館の重い扉がゆっくりと開く音がした。駿也と顔を見合わせて、体を離し、這うように移動し体育館の裏側を覗いた。ステージ裏に続く扉を、白雪姫の衣装を纏った俺と、制服姿の駿也がまさに入っていくところだった。
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