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4:明日のその先
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「駿也、こんなもんかな?」
俺は、自分の初めての作品に満足していた。テレビ台の上に作りつけた50㎝幅の飾り棚。構造上重いものはお勧めしないけど、ビデオテープぐらいなら、めい一杯並べて置いても大丈夫なはずだ。
「ああ、凄いな、望。手先が器用だったんだな。」
キッチンから出てきた駿也が俺の頭にチュッとキスをした。
駿也と初めて身体を繋げてから2ヶ月が立った。明日から4月。俺は3年生になる。単位は全て来るはずだから、今年の授業は楽なはずだ。駿也は4年生。卒論に関してたまに学校に行く他は、取らないといけない授業はないんだとか。
「色もいいだろ?」
1番の自慢はサイドに入れた飾り。波をイメージして、ノミを振るってヤスリをかけた。左右同じようにするのに1番、時間がかかった。
「この床にマッチしている。サンキュー、望。また頼む。」
ダークブラウンの色を合わせるのに、色付きのニスを二度塗りしたかいがあった。俺は満足して目を離すと、工具入れに新品の電動ドライバーを片付けた。
「それで? 引っ越しはいつにするんだ?」
駿也が作ったカレーをこたつの上に乗せて隣に腰を下ろした。俺は近々、駿也とルームシェアをするという名目でここに引っ越してくることにしていた。親には、「大学3年になるから、自由にさせて。」と言ったけど、特に反対はされなかった。
『悪いことはしないでよ!?』
母さんはそう付け加えたけど、悪いことって何だよ? きっと良太の事が頭に残っているんだと思うけど……。
良太はあれから姿を見せていない。連絡を取った雅人の話では、学校を辞めて遠くに引っ越したらしい。家族全員で。良太は大麻を使っていた訳ではなく、売り子をしていたとか。でも、もうどうでもいいと思ってる俺がいる。もう会うことはないと信じたい。
「ん? 土曜日。引っ越しって言っても何も持ってくるもの無いじゃん。着替えぐらいだし。」
少しずつ学校で使うものは運び入れてる。机も持ってこようかと思ったけど、特にレポートを書くだけなら、このこたつで済む事だし、パソコンや本を置いておける棚があればそれで充分だ。
「明後日か……待ち遠しい。」
駿也が俺の肩を引き寄せて、首筋にキスをしてきた。途端に背中から腰にかけて言いようのない痺れが広がった。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってって! 俺これからバイトっ!」
これで今まで何度流されてきたことか……。今日はダメだ。ようやく慣れてきたカフェでのバイトを休むわけにはいかない。それにキスマークをつけてバイトに行くのも……勘弁して欲しい。
「そうだな。俺もバイトだった。じゃ、食べるか。」
駿也が頭に顔をつけてチュッとリップ音を響かせ、スプーンを取り上げた。
俺は、自分の初めての作品に満足していた。テレビ台の上に作りつけた50㎝幅の飾り棚。構造上重いものはお勧めしないけど、ビデオテープぐらいなら、めい一杯並べて置いても大丈夫なはずだ。
「ああ、凄いな、望。手先が器用だったんだな。」
キッチンから出てきた駿也が俺の頭にチュッとキスをした。
駿也と初めて身体を繋げてから2ヶ月が立った。明日から4月。俺は3年生になる。単位は全て来るはずだから、今年の授業は楽なはずだ。駿也は4年生。卒論に関してたまに学校に行く他は、取らないといけない授業はないんだとか。
「色もいいだろ?」
1番の自慢はサイドに入れた飾り。波をイメージして、ノミを振るってヤスリをかけた。左右同じようにするのに1番、時間がかかった。
「この床にマッチしている。サンキュー、望。また頼む。」
ダークブラウンの色を合わせるのに、色付きのニスを二度塗りしたかいがあった。俺は満足して目を離すと、工具入れに新品の電動ドライバーを片付けた。
「それで? 引っ越しはいつにするんだ?」
駿也が作ったカレーをこたつの上に乗せて隣に腰を下ろした。俺は近々、駿也とルームシェアをするという名目でここに引っ越してくることにしていた。親には、「大学3年になるから、自由にさせて。」と言ったけど、特に反対はされなかった。
『悪いことはしないでよ!?』
母さんはそう付け加えたけど、悪いことって何だよ? きっと良太の事が頭に残っているんだと思うけど……。
良太はあれから姿を見せていない。連絡を取った雅人の話では、学校を辞めて遠くに引っ越したらしい。家族全員で。良太は大麻を使っていた訳ではなく、売り子をしていたとか。でも、もうどうでもいいと思ってる俺がいる。もう会うことはないと信じたい。
「ん? 土曜日。引っ越しって言っても何も持ってくるもの無いじゃん。着替えぐらいだし。」
少しずつ学校で使うものは運び入れてる。机も持ってこようかと思ったけど、特にレポートを書くだけなら、このこたつで済む事だし、パソコンや本を置いておける棚があればそれで充分だ。
「明後日か……待ち遠しい。」
駿也が俺の肩を引き寄せて、首筋にキスをしてきた。途端に背中から腰にかけて言いようのない痺れが広がった。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってって! 俺これからバイトっ!」
これで今まで何度流されてきたことか……。今日はダメだ。ようやく慣れてきたカフェでのバイトを休むわけにはいかない。それにキスマークをつけてバイトに行くのも……勘弁して欲しい。
「そうだな。俺もバイトだった。じゃ、食べるか。」
駿也が頭に顔をつけてチュッとリップ音を響かせ、スプーンを取り上げた。
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