悪役令息はNTRてしまいました。

リラックス@ピロー

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互いの口を離す時、仕上げとは分かりにペロリと唇を軽く舐める。
動きを止めていたエルマンはその瞬間弾かれたように動き出し再び唇を重ねた。

「んんっ、ッふ」
「ッは、ジェラルド」

先程までより荒々しく口内を蹂躙される。互いの唾液が混ざり合い口の端から垂れ落ちた。堪らないとばかりに名を呼ばれ、そこに含まれた劣情に気分が良くなる。エルマンの目から余裕はすでに取り払われていた。
いや、気付かなかっただけでこの男に最初から余裕なんてものは無かったのかもしれない。
目の前の男は、すでに理性をかなぐり捨てた獣となっていた。

エルマンの指により丁寧に解された場所へひたりと熱の塊が押し当てられる。指よりもはるかに大きな塊が己の内部を味わいたいと懇願していた。どくどくと脈打つそれは固く、比べようもないほど熱かった。

「・・・ッ、ふ、ぅ」
「っ」

エルマンが静かに息を呑んだ。
少なくない抵抗を押し除け、静かに腰が進められる。じわじわと腹を圧迫する質量に思わず息が乱れるが、それをあやすように優しく頭を撫でられた。
呼吸の邪魔をしないよう軽い口付けが何度も唇に落とされる。カサついていたエルマンの唇はどちらとも知れない唾液の所為で今は潤っている。

全てが収められる頃には、すでに息も絶え絶えとなっていた。苦しさや圧迫感ばかりが勝ちそうなものなのに、粘膜越しに感じる熱の脈動に快感を拾い始めていた。
好き勝手に腰を動かしそうなものだが、エルマンは額に汗をかきながらこちらを観察するように見ている。痛みや苦痛がないか、こちらを傷つけないよう注意話払っているようだった。
けれど今はそれがもどかしかった。十分に準備された場所は潤みじわじわと与えられる快感に焦れる。

「も、早く・・・ッ」

足をエルマンの腰に絡め、かかとでドンッと動きを促す。その行動の意図を察したのか内部を満たす塊が緩やかにストロークを始めた。

「ん、っ」

腰から背筋を通り頭の先まで小さな雷が迸るかのような快感が走る。じわじわと熱に侵され、己の思考がさらに霞んでいくのを感じた。
潤んだ内部を余す事なく味わおうとする熱の塊は、徐々に勢いを増していく。それに比例し耳を塞ぎたくなるような水音が室内に響いた。

「っ、あっ、ッふ」
「は、っ、・・・ずっとこの時を待ってた」

エルマンが目を細めこちらを見つめる。熱を帯びて薄い水膜が張られた瞳に光が反射しきらきらと輝いた。くしゃりと鼻に皺を寄せる表情は初めて見るもので、似合わない顔だと笑い飛ばそうとして失敗する。
自分でさえ知らなかった、一番感じる場所を容赦無く擦られ嬌声をあげる。

「そ、こ・・・ッ!」
「ッ、分かってる、ほら」

自分の意思から離れた内部が収縮しエルマンの杭を無自覚に締め付ける。エルマンの吐息と共に腰の動きが不意に止まった。

「っ、・・・!」

感じた事のない熱が不意に広がる。熱く、それでいて香油とは少し異なる水っぽい感覚と、悔しそうに眉間に皺を寄せる姿を見てこの男が達したのだと悟る。奇妙な多幸感に侵されながら、込み上げてくる感情のままに口を開いた。

「は、ははっ」

この男に愛しさを感じる日が来るとは思わなかった。己の心境の変化と、それでいてそれを不快とも思わない胸の内がおかしく笑いが込み上げてくる。
そこでふと、エルマンが自分よりも僅かに年下だった事を思い出す。
いけすかない粗野な男の印象が、肌を交えた事でガラリと反転した。

「ん、ふふ、っ」
「・・・おい、流石に笑いすぎだろう」
「いや、案外わかりやすいものだな」

気の向くままなエルマンの髪に両手を伸ばし、大型犬を撫でるようにわしわしとかき混ぜる。

「エルマン、お前・・・結構かわいいな?」
「・・・は、」

クラレンスに向ける嫉妬に駆られた目を見ようと、俺たちの邪魔をしなければそれで良いとしか思わなかった。それなのに今日、この男のあらゆる顔を見て興味がくすぐられてばかりだ。
それを不思議だと思えど不快ではないからさらに始末が悪い。

「は、っん、ん?」
「・・・これでも、そんな口が叩けるか?」

けれどその余裕が保ったのも、僅かに圧迫感が薄れていた、挿入されたままの塊が硬さを取り戻すまでだった。
香油と精液によりぬかるんだ場所は先程より滑りが良く、抽挿は少しの突っかかりもなくスムーズなものとなった。勢いを増した動きにより、痺れるような快感が短いスパンで何度も背筋を駆け抜ける。

「あぁっ!奥・・・ッふか、」
「っは、ああ、奥が好きだよな。ここをこうやって突くと健気に俺の事を締め付ける」

入り口付近まで一度腰を引かれ、ずるりと奥まで挿入される。トントンと奥を軽く叩くように動かされると、腰が溶けそうなほどの快感に襲われた。
入り口にほど近い場所を激しく擦られるのも良いが、甘やかすように奥を優しく突かれる事も好きだった。

快感に視界が明滅し思わず逃げるように目を閉じる。

「・・・目を閉じず、俺の事を見てくれ」

汗で張り付いた前髪を大きな手のひらでかき上げられる。熱に浮かされた額がひやりとした空気に冷やされた。
瞼の裏でパチパチと光が弾けるのを感じながら、エルマンの言葉に促されそっと目蓋を開ける。
涙で潤んだ視界も何度か瞬きを繰り返せばクリアなものに戻った。

「その目が好きなんだ、あの日俺を掬い上げた・・・燃え盛る炎と同じ赤い色」
「炎・・・、っん!はぁっ、ぁあっ」

先程まで優しくあやされていた奥をゴツンと力強く突かれる。その衝撃に視界がぶれ、堪えるようにエルマンの逞しい首に腕を回す。

「ッひ、んんっ、っぅ」

これまでの甘さが嘘のように性急に奥を繰り返し穿たれる。殊更強く奥を突かれ、その瞬間ぶわりと激しい快感が頭を突き抜けた。

小刻みに身体全体が麻痺し、思考が拡散する。

他人に抱かれ後ろで絶頂する体験は初めてだった。理性がひとかけらも残らずただ襲いくる快楽に身を任せるほかない。暴力的なまでのその感覚は苦痛にも似ているが、頭の中は多幸感で満たされている。

「ーーーは、っあ、ッ」

達した事で重だるい身体は重力のままにベッドへ沈み込みそうだ。けれど不意にエルマンのものを抜かれ、内部が擦られる感覚に声をもらす。
肩に手を掛けられうつ伏せに体勢を変えられると、腰だけ高く上げた状態で再び挿入された。

「あぁっ、ん、ッ!ふ、」
「まだ終わりじゃない、もう一回、ッは、俺に付き合ってもらう」

仰向けから伏せる形に体勢が変わった所為で、先程と違った場所を擦られた。感じる場所を新たに見つけ出され、思わず額をベッドに押し付ける。腰の動きが更に激しいものに変わる。奥を丹念に突かれていた先程とは異なり、浅い部分を激しく擦られた。
快感から逃れようと無意識にベッドを掴んだ手に、そっとエルマンの手が重ねられた。
思考力を飛ばした目で指同士が絡められる様子を見つめる。

「あ、もっ、・・・ッ!」
「ああ、俺も」

浅い場所から深い場所へぐっと腰を進められる。
エルマンが絶頂を極めるタイミングで、同じように二度目の精を吐き出していた。

「ッ!ーーーっ」

不意に首の後ろへ痛みが走る。

食い込む歯の感触に、その痛みが何を示すか一瞬理性を取り戻す。けれど次の瞬間、思考とは裏腹に己の番を得た喜びが身体中を満たした。
体力の限界に視界が白く明滅し意識が遠のいて行く。


薄れゆく意識の中、獲物を手に入れ満足げに目を細めるエルマンの姿を見た。
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