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第3章 絡まった糸をたぐり寄せれば編
溢れ出した感情は君のもの〜春宮side〜
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菊華から入内を希望する旨を聞いたのは、三日前。
自身がどこに似ても結局狙われるのであれば、どこに居ても同じで何より狙っている犯人が宮中、大内裏に潜んでいる可能性があることから、当初時平として戻るつもりが、菊華の方が動きやすいのでは無いかという結論の下、父上に相談が上がったそうだ。
父上は菊華の素性はもちろん知っていて、それでも秘密にしなければならぬことがいくつかあるらしく少し悩まれていた。
悩まれていた理由は、入内に関しては、有難い話で、皇室側ではとても良い縁談ではあると言うこと、しかし、菊華は神の力を色濃く継いでおり、神に寵愛され、更に花嫁にもなれる身分であるということだった。
つまり菊華の意思で相談を持ち上げられた今回の入内は、母上の実家の力もあるが、神が寵愛しており、妨害が入ったとしたら、彼女を寵愛している神が怒る可能性がある、と。
その話を、晴明自身から聞けば、私の元へ娘を入内させようとして、菊華の入内を反対していた大臣達は黙った。
私自身も、時平として参内している時に、彼女付きに何度か会ったことがあるが、菊華中心に動き、そして悪意のある者に対しての威圧が半端ない。
正直出会った当初は、私ですら敵対認識だったのだろう。
それが近頃、菊華の方から寄ってくるので、警戒を少し緩めた程度で、泣かそうものなら内裏は荒れる。
神の怒りというのは、妖に逢うよりも恐ろしいものであろう。
妖にあっても、神に嫌われていなければ、穢れも落とせる。
しかし、怒りを買ったのであれば破滅しか道は無い。
なので菊華が私の正妃候補として入内することは、彼女の立場を説明した後すんなりと決まった。
話し合いの後、父上から迎えに行くよう促され、更に行く前に母上の元へ行き菊華へ渡すものがあるそうなのでそれを持っていくようにと言われた。
その言い草からして、菊華を入内させることは、晴明から相談を受けた時点で決まっていたのであろう。
そして菊華の立場を確実のものにする為にわざと、あの様な場を設けられたのだと納得した。
安倍邸へ菊華を迎えに行き、正装に着替えた菊華は幼さが少し残るものの、美しかった。
そのまま内裏へ戻れば、身なりを少し整えて、弘徽殿の母上のところへ挨拶に行くと、タイミングを見計らったように父上まで弘徽殿にやってきた。
周りへの牽制の意味も含め菊華を〔春宮妃〕と呼び、尚且つ帝と皇后の庇護下にいる娘という認識を植えつけた。
菊華もそれを理解しているようで、特に何か言うわけでもなく、挨拶をし、弘徽殿を退室した。
自身がどこに似ても結局狙われるのであれば、どこに居ても同じで何より狙っている犯人が宮中、大内裏に潜んでいる可能性があることから、当初時平として戻るつもりが、菊華の方が動きやすいのでは無いかという結論の下、父上に相談が上がったそうだ。
父上は菊華の素性はもちろん知っていて、それでも秘密にしなければならぬことがいくつかあるらしく少し悩まれていた。
悩まれていた理由は、入内に関しては、有難い話で、皇室側ではとても良い縁談ではあると言うこと、しかし、菊華は神の力を色濃く継いでおり、神に寵愛され、更に花嫁にもなれる身分であるということだった。
つまり菊華の意思で相談を持ち上げられた今回の入内は、母上の実家の力もあるが、神が寵愛しており、妨害が入ったとしたら、彼女を寵愛している神が怒る可能性がある、と。
その話を、晴明自身から聞けば、私の元へ娘を入内させようとして、菊華の入内を反対していた大臣達は黙った。
私自身も、時平として参内している時に、彼女付きに何度か会ったことがあるが、菊華中心に動き、そして悪意のある者に対しての威圧が半端ない。
正直出会った当初は、私ですら敵対認識だったのだろう。
それが近頃、菊華の方から寄ってくるので、警戒を少し緩めた程度で、泣かそうものなら内裏は荒れる。
神の怒りというのは、妖に逢うよりも恐ろしいものであろう。
妖にあっても、神に嫌われていなければ、穢れも落とせる。
しかし、怒りを買ったのであれば破滅しか道は無い。
なので菊華が私の正妃候補として入内することは、彼女の立場を説明した後すんなりと決まった。
話し合いの後、父上から迎えに行くよう促され、更に行く前に母上の元へ行き菊華へ渡すものがあるそうなのでそれを持っていくようにと言われた。
その言い草からして、菊華を入内させることは、晴明から相談を受けた時点で決まっていたのであろう。
そして菊華の立場を確実のものにする為にわざと、あの様な場を設けられたのだと納得した。
安倍邸へ菊華を迎えに行き、正装に着替えた菊華は幼さが少し残るものの、美しかった。
そのまま内裏へ戻れば、身なりを少し整えて、弘徽殿の母上のところへ挨拶に行くと、タイミングを見計らったように父上まで弘徽殿にやってきた。
周りへの牽制の意味も含め菊華を〔春宮妃〕と呼び、尚且つ帝と皇后の庇護下にいる娘という認識を植えつけた。
菊華もそれを理解しているようで、特に何か言うわけでもなく、挨拶をし、弘徽殿を退室した。
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