Deity

谷山佳与

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第4章 終わりと始まり編

永遠の輪廻 4。

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既にある程度準備を整えていた雪華にお礼をいい、雪華、蒼月の力を借りて早急に禊をする。
冷たい水で頭から何度かかぶる。

「ひぇっ・・・・うぅー・・・・」

冷たい・・・・。こればかりは本当に慣れない。
一気に体温が奪われていく感じと、色々なものが研ぎ澄まされていく感覚を感じる。
朱桜に髪の毛を乾かしてもらい、準備された衣装に着替えていく。
敦平様には、宮様の執務に問題がないのでしたら、いらしてもらっても構いません。
と、伝言を頼んだ。高い割合で宮様は来るだろう。

腰巻、肌襦袢、白い小袖、緋袴、絹で出来た千早の前を胸紐で結ぶ。
髪は後ろでひとつ結びにし、和紙の上から水引で結ぶ。

鈴を持ち準備ができると、蒼月にまま絢音の元へ連れていってもらうことにした。
絢音が居る殿舎の前庭には祭壇が準備されていた。
陰陽頭、準備が早い。
章平様の姿を見つけると、少し離れたところから声をかける。

「章平様。準備ありがとうございます。」
「姫さん。肝心の、火はどうするんだ?」
「それは朱雀に付けてもらうので大丈夫です。騰蛇を喚ぶ程ではないので。」
「と、うだ殿を?前から思っていたけど、姫さん神将達とかなり仲がいい?」
「え?そうですね。白虎も朱雀も私の世話役ですし。玄武と青龍は私の舞いの練習に付き合ってくれますし、騰蛇は武術を教えてもらいました。」
「何その環境。」
「ふふ。まぁ、私は特殊な一族の子ですので。色々制約があるのですよ。」

クスクスと笑えば、目の端に春宮様の姿を映した。
章平様に一言謝罪を入れれば、春宮様の元へと向かう。

「宮様。色々と根回ししていただきまして有難うございます。」
「本当は私が色々傍で準備をしたかったのだけれどね。」
「宮様は宮様にしかできないことをしていただかないと、敦平様を初めとする多くの方々が困りますから。もちろん私も、困ります。」
「菊華の君!準備ができました。」

陰陽頭に声を掛けられて振り返れば、絢音も視える位置に座っている。

「では、行ってまいりますね。」

そう、言うと祭壇の前に立つ。

「朱雀。」
「ここに。」
「浄化の炎を。」

そう発せれば、組まれた木材に火が灯る。

ーーー絢の君。藤原真音殿。

心でその名を紡げばふわりと女性が現れ絢音がぴくりと反応を示す。
大丈夫だと、微笑み掛け、しゃんと静かに鈴を鳴らす。
ゆっくりと印を踏み、軽やかに舞う。

ーーーどうか、この二つの御霊が天へ昇れますように。
ーーー輪廻の輪に戻れますように。

霊力、神力を徐々に開放させながら、炎の前で舞い続ける。
地を蹴るたび、舞うたび、私を中心に風が産まれる。

ーーー来世は幸せな家庭が築けますよう。
ーーー再び逢えますよう。
ーーー苦しみなど無いと気づきますよう。

全身全霊を祈りに乗せ二人を送る。

ーーー藤原真音殿、絢の君どうか・・・
ーーー囚われている楔より解放されますよう。

次第に風は強まり、そして絢音・・・真音と絢の君の体が光に包まれる。
天からは光が降り注ぎ、光の道を創る。
もう、大丈夫だと、心配ないと微笑むと、真音は絢の君の姿に泣きそうで嬉しそうな表情をした。

『陰陽師のお姫様、ありがとうございます。』
『ご迷惑をかけてしまい申し訳ない。』

それぞれかけられた言葉に、笑を零す。
もう、大丈夫。
二人一緒だから、上でお子も待っていると伝えれば、驚かれたが素直に二人は上へ昇っていた。

もう、少し。
伝う汗と、弾む息に多少の苦しさは感じるものの、舞い続ける。
あれ?
晴明様も来られたのだと、今更ながら気がつく。

『姫、そのまま、力を都全体に解放出来ますか?』

背後にピッタリと寄り添い同じように舞いはじめた蒼月に、素直に頷く。
大きく鈴を鳴らし、力を都全体に行き渡るよう解放する。
渦巻いていた風は一気に私を中心として広がり、春一番の様な強風を都全体をかけめぐらせた。
白虎に送らせた風と一緒に広がったので、重いもの悪しきものは一掃出来たはずだ。
後は、章平様に都の状況を見てきてもらおうかな。
と決めると、静かに舞いを終わらせた。


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