Deity

谷山佳与

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第1章 はじめまして平安京編

目覚め。

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結界を張ったあの日から、私が目を覚ましたのは3日後の明け方だった。

「ぅん?」
「おそよう、妃捺。」
「あれ?朱桜??私もしかしなくても、長くねてた?」
「寝てた寝てた。まる3日。」
「え?!あー、なんかごめん。」
「いや、いいさ。とりあえず水浴びするか?」
「うん、お風呂入りたい。」

ぐっと伸びをしながら、腕を回す。
うん、凝ってるなぁ。
そう思いながら、身体を起こすものの、軽く貧血を起こしふらついた。

「とりあえず飯だな。」
「玄武。いるか?」
「聞こえておる。なんじゃ?」
「滋養にいいご飯ほしい。妃捺が目覚めた。」
「スグにでも準備してこよう。」
「ついでに、春宮にも教えてやれ、心配していただろう?」
「分かった。」

雪ねぇは、そう返事をして姿をけした。

「あれから何か分かった事は?」
「とりあえずご飯が先。後で話すから。」
「分かった」

こくりと頷きそのまま朱桜の傍に座った。
程なくして、雪ねぇがお粥を持って来てくれた。
それを少しづつ冷まして食べている途中バタバタと足音が聞こえてきた。
そして、衝立から顔を見せたのは春宮様だった。

「時平大丈夫か?!」
「はい。お腹がすいた以外は元気ですよ?」
「そうか、よかった。」
「予定より長くなり、ご心配おかけいたしました。」
「目が覚めたのなら、よい。何か食べたいものはあるか?」
「今のところ特には。のち程内裏を案内してください。」
「体調がいいなら。私は執務に戻るから何かあれば呼んでくれ。」
「いえ、お伺いいたします。」

にっこり、微笑めばそうか?と首をかしげながらも、戻いった。
皇太子を陰陽師ごときが呼び出していいはずが無い。
ダメ、絶対ダメ!
1人うんうん頷いていたら、とりあえず食えと匙を押し込まれた。
食後青にぃと朱桜に簡易お風呂に湯を張ってもらい、汗を洗い流しサッパリすると、直衣に着替え春宮様様の執務室へと向かった。
場所は朱桜達が知っているらしい。

案内された場所に行けば、室内へと声を掛けると春宮様直々に出てこられて驚いた。
お付の人とかいないのだろうか?
室内へ招き入れられると執務が終わるのを待つことにした。
待っている間に朱桜達から報告を受ける。

結界は綺麗に張られており綻びはない事。
私が梨壷に住み着いてからは、白い女性の亡霊は現れていないこと。
私が浄化し結界を張ったのにも関わらず、藤壺、梅壺が邪気で汚れ始めているらしい。
そこが怪しい。
陛下のお后様達についても調べりる必要があるかしらねー。
その辺りは朱桜達にお願いしよう。
物的証拠があるなら、陛下にたよるかな?

「時平、具合わるいのか?」
「え?あ、大丈夫です。少し考えていたので。終わりましたか?」
「あぁ。さて、どこに行こうか」
「藤壺と、梅壺へ。確認したい事があるので。」
「分かった。」

そのまま、春宮様と藤壺梅壷へ向かった私は早々に後悔することになった。
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