母の黒いブーツ 〜熟女AV女優・彩子 その淫らな誇り〜

MisakiNonagase

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第5章:境界線の崩壊

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その夜から、僕の日常は音を立てて変質していった。

​朝、スマートフォンのアラームで目が覚めると、通知画面には母からのLINEが入っていた。

​「おはよう。今朝は冷えるから、ちゃんと上着を着ていきなさいね。野菜、明日には届くと思うから」

​かつては僕を温めてくれたその言葉が、今は冷酷な皮肉のように思えた。​数時間前まで、僕はモニタの中で、男たちに髪を掴まれ、泥を這うような喘ぎ声をあげていた彼女を見ていたのだ。

​野菜を段ボールに詰める母の指先と、カメラの前で白目を剥き、微かな泡を吹いていたあの口元。​聖域と泥濘(でいねい)が、僕の脳内で恐ろしいほどの速度で混濁していく。

​会社に向かう満員電車の中でも、僕は無意識にイヤホンを差し込み、昨夜保存した動画の一部を再生していた。

​画面を凝視することはできない。けれど、耳元で響く「彩子」の悲鳴。​それは、多くのファンから「神の演技」とまで称賛される、真に迫った絶望の音だった。

​「演技」なのか。それとも、母の心の奥底にあった「誰かに壊されたい」という本能の叫びなのか。

​昼休み、僕はネット掲示板の「彩子専用スレッド」を覗いた。​そこには、母の肉体を品評し、次の新作への期待を寄せる見知らぬ男たちの欲望が渦巻いていた。

​「彩子は、蹂躙されるときほど輝く」

​「あの涙は、どんな若手女優にも出せない深みがある」

​見知らぬ男たちの言葉に、僕は激しい怒りと、それ以上に歪んだ優越感を覚えた。

​お前たちが狂喜しているその「最高傑作」は、僕に「元気?」とLINEをくれる僕の母親なんだ。

​お前たちが夢中になっているその肌も、声も、涙も、本来は僕だけのものだったはずなんだ。​帰宅し、届いたばかりの段ボールを開ける。

​中には新聞紙に包まれた大根と、母の馴染み深い筆跡のメモ。​僕はその段ボールを床に置いたまま、再びパソコンの電源を入れた。

​今夜の作品は、ある「暴行」モノだ。
​色の白い母の背中が、冷たい床に押し付けられ、激しい衝撃に波打っている。​あまりの壮絶さに、僕は一瞬、動画を止めようとした。​母の顔は苦痛に歪み、視線は定まらず、本当に意識が飛んでしまっているのではないかと錯覚させるほど、その生命感は希薄になっていた。

​しかし、止めることはできなかった。​僕は、その無惨な母の姿を凝視しながら、手にした大根の土の感触を、どこか母の温もりと重ね合わせていた。

​息子としての僕が、画面の中の母を助け出したいと泣いている。​男としての僕が、画面の中の母をさらに汚したいと吼えている。

​「……母さん」

​その言葉は、祈りではなく、呪文のように僕の口から漏れた。​僕はもう、母を純粋に「お母さん」と呼ぶ資格を失っていた。​と同時に、僕は誰よりも深く、母の「女」としての深淵に触れている唯一の人間になったのだ。

​射精の瞬間、僕は母に電話をかけそうになった。

​「見たよ。全部見たよ」と。けれど、受話器を握る手は震え、結局僕は、ブラウザの履歴を消すことさえ忘れて、暗い部屋で一人、荒い息を吐き続けた。
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