1 / 1
歪んだ息子と支配された母 境界線の向こう側
しおりを挟むエイトは二十二歳、家から通える大学に通うごく普通の学生だった。家族は五十二歳の母マリ、五十五歳の父、二十五歳の兄の四人。何の変哲もない、どこにでもある家庭。少なくとも、一年前まではそうだった。
きっかけは些細な、しかし決定的な瞬間だった。入浴中の母が録画し忘れたテレビ番組をセットするため、バスタオル一枚だけの姿でリビングに現れた。リモコンを拾おうとかがんだその時、タオルの隙間から見えた柔らかな肌の曲線──半尻のほんの一瞬のぞいた光景が、エイトの内側で何かをひっくり返した。
それからは堕ちていく一方だった。最初は罪悪感を覚えながらも、母子相姦を扱う専門サイトや動画を漁る日々。交際中の彼女との会話も上の空になり、やがて別れた。彼女の顔よりも、母の笑顔が頭に焼き付くようになった。
行動はエスカレートした。洗濯かごに投げ込まれたばかりの母の下着──特に深夜の、脱ぎたてのものには独特の温もりと香りがあった。これまで面倒に感じていた母との買い物も、今では積極的に付き合う口実に変わった。「肩が凝ってるみたいだね」とマッサージと称して触れる肌の感触。母は少し困惑しているようだったが、深くは追及しなかった。
転機は、両親の影響で家族全員が好きになった、デビュー四十年を超える大御所アーティストの地方公演だった。エイトは苦労してチケットを二枚手に入れ、母と泊まりがけで行く計画を立てた。父と兄には「母さんと二人で思い出作り」と説明した。
何も告げず、わざとツインルームを一室だけ予約した。
公演は素晴らしかった。興奮で頬を染める母を見ながら、エイトは決意を固めた。今夜しかない、と。
母が入浴を終え、バスローブをまとって部屋に戻ってきた時、エイトはすべてを打ち明けた。混乱し、拒絶する母に対し、エイトは言った。
「マリさん……マリ、好きなんだ」
そして続けた。
「僕も子供じゃないから、お互いの立場はわかってる。だから……今夜限りでいい。同じベッドで、ただ時間を共有させて。それだけでいい」
長い沈黙が流れた。母マリは言葉を発さず、かすかにうなずいた。
その夜、母子という一線は越えられた。血のつながりが、不思議な親和力を生むかのように、二人の身体は朝まで重なり合った。
マリは「一夜限り」と自分に言い聞かせた。しかしエイトが迫ってくると、またしても拒めなかった。家族の目を盗み、こっそりと関係を重ねていく日々。
「これではいけない」とマリは思う。それなのに、気づけば息子の身体を求める自分がいた。麻痺したような感覚。思考が曖昧になり、抵抗する意志が溶けていく。
エイトの欲望は留まるところを知らなかった。
行動はさらに先へ進んだ。車で郊外まで出かけ、恋人同士のように手を繋ぎ、腕を組む。親子だとバレないスリルが、背徳感をさらに煽った。ラブホテルの昼間のフリータイム。漫画喫茶のペアブースで、息を殺しながらの密会。
エイトは母専用のSNSアカウントをスマホで管理し始めた。モザイクなしの写真を投稿し、母のコーディネートを中心に更新していく。五十二歳とは思えない反響の高さに、エイトは複雑な興奮を覚えた。
同年代の女性からのフォロー以上に、男性からのコメントやダイレクトメッセージが増えていく。それらを母に見せると、マリは不快そうな表情を浮かべた。しかしエイトにとって、その少しの嫉妬が快楽に変わった。母に対する承認欲求が、歪んだ形で満たされていく。
マリの心は完全に受け身になっていた。エイトに支配され、思考さえ麻痺している。
ある日、エイトは危険な着想に至った。母に言い寄ってくる男性たちへの嫉妬──その刺激を可視化したい。中でも、真面目そうで清潔感のある若者に目を留めた。彼に母を差し出すことを思いついたのだ。
エイトはマリになりすましてメッセージを交わし、会う約束を取り付けた。待ち合わせ場所から最初のカフェ、そしてホテルへと向かう母の後を、少し離れてつけた。母が他人の腕に抱かれていくのを見て、エイトは激しい興奮に震えた。
その夜、大学生と身体を重ねた母に対し、エイトは嫉妬を交えた尋問を浴びせた。母の細かな反応が、さらに彼の欲望をかき立てた。
同じような行為を何度も繰り返すうち、マリは少しずつ壊れていった。目に力がなく、受け答えもぼんやりしていることが増えた。それでもエイトは満足せず、今度は目の前で母が他人としている様子を見たくなり、ハプニングバーへ通い始めた。
転機は、母が流行性の風邪で寝込んだ時に訪れた。
熱にうなされ、弱々しくベッドに横たわるマリの姿を見て、エイトは初めて我に返った。これまで自分がしてきたこと──母を支配し、弄び、少しずつ壊してきた行為の数々が、突如として巨大な罪悪感としてのしかかってきた。
汗で濡れた母の髪を整えながら、エイトは決意した。
他人を交えず、二人だけの関係に戻ろう。これ以上母を傷つけないように。
夜が更けるにつれ、熱は少しずつ引いていった。目を覚ましたマリは、ベッドサイドに座る息子の姿に気づき、かすかに微笑んだ。
「心配かけたね」
その言葉に、エイトの目から自然と涙がこぼれた。彼は母の手を握り、小声で呟いた。
「ごめんね、マリさん。もう……大丈夫。二人だけに戻ろう」
窓の外では、夜明け前の薄明かりが東の空をほんのりと染め始めていた。長く、暗い夜がようやく終わろうとしている。
二人のこれからがどうなるかは、まだわからない。越えてしまった境界線は、もう元には戻せない。それでも、この瞬間だけは、歪んだ愛が少しだけ純粋な形に戻ったように感じられた。
エイトは母の手を握ったまま、ゆっくりと夜明けを待った。
マリも、家族をはじめ、周りには決してバレてはいけないという理性だけはあるものの、エイトなしでは成り立たない暮らしがあることが自然となり、2人の母子は、今後も周りの目を盗んで身体を重ねていくことに。
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
会社員の青年と清掃員の老婆の超越した愛
MisakiNonagase
恋愛
二十六歳のレンが働くオフィスビルには、清掃員として七十歳のカズコも従事している。カズコは愛嬌のある笑顔と真面目な仕事ぶりで誰からも好かれていた。ある日の仕事帰りにレンがよく行く立ち飲み屋に入ると、カズコもいた。清掃員の青い作業服姿しか見たことのなかったレンは、ごく普通の装いだったがカズコの姿が輝いて見えた。それから少しづつ話すようになり、二人は年の差を越えて恋を育んでいくストーリーです。不倫は情事かもしれないが、この二人には情状という言葉がふさわしい。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる








