【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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第一部 異世界らしい冒険

55. 異世界245日目 地図の解読

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 まずは宿の部屋で昨日の地図を見ながら考える。とりあえず伝記からは海賊の本拠地についての情報は得られそうにないし、すでに調べられていることだと思うので、この地図から解読する方が良さそうだ。

 まず、この天体が丸いと言うことはすでに認識されているみたいで、逆さまになっても魔力によって引っ張られるから落ちないという解釈がなされている。
 以前は地図関係の情報については秘匿されていたようだが、現在はかなりの精度のものが発行されている。ただしまだ探索されていないエリアなどは海岸線が適当に描かれていたりしているのはしょうがないところか?
 またメインの大陸は書かれているが、探索されていない島も結構あるようだ。沖合に行くと海の魔獣も多いみたいだしね。

 ガイド本にはこの地図データが取り込まれていて、最初はかなりアバウトな感じだったんだが、だいぶ精度が上がっている。地図の機能はガイド本のレベルが2に上がったところで追加された。また某地図アプリみたいに拡大縮小が可能なのでかなり使い勝手がいい。
 自分が行った場所はかなり正確に記載されるというオートマッピング機能付きだ。本から得た内容の地図はグレーなんだが、自分が歩くとその部分が修正されてカラーになっている。
 ガイド本はただの案内本だったんだけど、滞在期間が長くなればなるほどガイド本のチートさが見えてくるな。10日間だとここまでの機能は把握できないだろうからね。


 ルイサレムの町の南東方向の海にはかなりの島があるせいで、島の位置はかなりアバウトな感じ。まあ重要でないエリアの地図なんてそんなものかもしれないけどね。正直この島のどれかと言われても分からない状態である。とりあえずこの辺りの地図を更新することが先決かなあ?いったん船を出してもらって地図を更新しないといけないかもしれない。

 数字については一番考えられるのは、どこかの町からの距離となる。多くの町には場所を示す魔道具が置かれており、コンパスのような魔道具を使うと、登録した場所までの距離と方角が出るようになっている。コンパスによっていくつ登録できるのかは異なるが、これで進む方向や距離を確認することができるようだ。
 ただ距離が遠くなると検知ができなくなるらしく、ここからだとオーマトの町しか反応しないらしい。範囲を広くすると起点とする魔道具の消費魔素が半端ないことになるらしい。

 書かれている文字と数字は「とい322135  めい380102」となっている。翻訳なんだが、この文字の意味は分かっていないらしい。数字についても単位が不明だ。

 普通に考えると地図にはルイサレムの町が載っているからそこからの距離と考える感じか。「とい」か「めい」が東か南ということになって、そのあとが距離だろう。ただそんなことはすでに前の人が考えているだろうから、ダメだろうなあ。


 図書館に行って文字についていろいろと調べてみることにした。書かれている文字は古代ライハン語のようなので、図書館にある本とガイド本で古代ライハン語についていろいろと調べてみる。

 いろいろと本を調べてみたが、やはりこの文字の説明は見つからなかった。方位を示す言葉は別の言葉だったので、文字は方向ではなくて別の意味と言うことになるのか?
 古代ライハン語も完全に解読されたわけではないみたいだからねえ。遺跡に残っている言葉がある程度見つかっているくらいで、解読できるような資料が少ないらしい。かなりの文明レベルだったんだが、今の文明とはつながっていないようだ。なぜこの高度文明が滅びたのか分からないが、大きな戦争ではないかというのが通説である。

 結局一日費やしたが、大きな収穫はないままだった。まあそう簡単に意味が分かるようだったらもう宝は見つかっているよね。



 翌日も図書館に行って調べてみるが、昨日大体の本には目を通したので新しい発見はない。ガイド本を見ながらなにか手がかりになるようなものはないかとみていたんだが、本関係のページの最初になんか変なページが追加されていることに気がついた。
 ちなみにガイド本の取り込み本のところは、タブレットのような感じで本のタイトルなどからページが開くようになっている。取り込みの時にイメージすることで分類分けもできるし、後から変更することもできるというかなり便利なものだ。

 カーソルのようなところの横には「検索文字」と書かれていた。もしかして?

 入力するキーボードのようなものはないので頭の中で文字を念じてみると、その言葉の引っかかる部分が抽出されて表示されていた。もしかしてガイド本のレベル-3は検索機能の追加もあるのか?ジェンにも確認してみると、同じように検索できるようだった。

 とりあえず「とい」という古代ライハン語を検索してみると、一つだけ引っかかった。引っかかったのは文章ではなく、写真のような絵の中に書かれている文字だった。絵の部分も検索かけてくれるのか・・・。

 何の写真かと見てみると、どうやらトウセイ大陸にある古代遺跡の柱に刻まれていたもののようだ。下の方は見えなくなっているが、同じ文字が書かれている。

 「とい 61 85 86」
 「   27 53  」

 下の見えない部分は「めい」の可能性が高い。数字については下の2桁が見えていないという感じか?
 あと、よく見てみると、数字の間に空白があるので文字は2文字が3つ連なっていると考えた方がいいかもしれない。

 海賊の島
 とい 32 21 35 めい 38 01 02
 トウセイ大陸
 とい 61 85 86 めい 27 53 ??

 正式にはこんな感じか?

 どこかの都市を起点とした距離なんだろうか?
 地図で海賊の島とトウセイ大陸の遺跡の位置関係を見ると、遺跡の方が北東にある感じか。遺跡の数字は「とい」は数字が大きく、「めい」は数字が小さい。ということは起点となる場所はもっと西で北の方と言うことか?しかも結構遠い感じだ。

 「なんかどこかでこんな感じの数字を見たような気もするんだが・・・。」と悩んでいると、「あ!!」とジェンが声をあげる。周りから注目を浴びてしまった。すみません。

「これって経度と緯度みたいなものじゃない?」

「たしかにそんな感じかも。」

 地球で現在地を確認するためにできたもので現代ではGPSで位置把握しているもので、地球単位での現在地を示すのに有効な方法だったはずだ。

 今回の地図の数値と見つかっていた場所を確認してから場所を確認すると、経度の0点はホクサイ大陸の西の方か、ナンホウ大陸の東の方と言うことになる。緯度に関しては極点が0か?


 起点となるのなら町か何かがあったはずだと思い、古代遺跡について調べてみると、経度0になるホクサイ大陸に大きめの古代遺跡があることが分かった。とりあえず遺跡の中央付近にあったみたいな塔の跡を0として考えることにしよう。
 ガイド本にあった世界地図をベースにトウセイ大陸の遺跡を見てみると、それぞれの3つの数字が100等分という感じで考えればいいようだ。外周が地球と同じ40000kmとすると、一番下の数値の1つが40mくらいとなる。
 大きな都市間の距離や方向は魔道具で確認されているので、位置自体に大きなずれはないと考えていいだろう。

 それを前提に遺跡の位置を確認すると緯度(とい)が考えていた数値と合っていることがわかった。緯度(めい)については最後の数字が分からないが、大体あっているとみていいだろう。
 これをもとに海賊の島の場所を考えると、ルイサレムの南東方向に行ったところと言うことがわかる。なんとなく目星は付いたのであとはこの付近の地図を更新することが必要だな。


 図書館にも付近の地図はあったんだが、島の配置についてはかなりアバウトだったので港の事務所にも行ってみる。ここにも地図が置いてあったので確認してみるが、やはり正確に確認するには現地に行ってみるしかなさそうだ。
 ショウバンさんからの紹介状を見せて、船を出してもらうことをお願いすると、明後日だったら1日大丈夫との返事をもらう。お願いすると、明後日の朝1時には港に来てくれと言われる。



 お昼も食べずにいろいろと調べていたんだが、もうすでに夕方になっていた。さすがにおなかもすいてきたので早めの夕食を取りに行く。さすがにちょっと違うものを食べたいなあと思ってカレーの匂いにつられて入ってみると、シーフードカレーのお店だった。ナンのようなものにつけて食べておなかも満足した。


 しかし、緯度と経度って地球では普通に使っていたけど、この世界では普通じゃないよなあ?まだ確定ではないけど、古代文明ってかなり進んだ科学力を持っていたんじゃないだろうか?
 緯度経度って自分たちの時は衛星との通信で位置を把握していたし、その前は測定が結構大変だったと思うんだけど、この世界ではどうなんだろう?魔法があるからそれでなんとかなっているのかねえ?
 まあ今も各都市までの距離と方向を認識させる魔道具があるから、それと同じようにある地点に基準の装置を置いてそれに対する表示をするようにすればいいのかもしれない。ただ今でも探知する距離がそれほどないのに、惑星規模で探知できるのか?
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