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第一部 異世界の貴族達
128. 異世界588日目 ジェンの救出 その2
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「もう少しよろしいかな?」
話が一段落したところでラクマニア様がやってきた。これにはキザール爵もかなり驚いているようだ。こちらとしては予定通りなんだけどね。
「こ、これはこれは、王都の警備長官でもあるルイドルフ様自らやってくるとは驚きですな。今回の件はあなた様の指示で行われたものなのですかな?」
「まあ王都の警備の責任者でもあるからな。昨日の爆発騒ぎの件もあり、色々と確認しなければならないことも多いので私自ら来ることになったのだよ。」
「爆発事件についてはこちらも混乱している状況ですのでよろしくと言っていきましょう。ただルイドルフ様直々にとは驚きですな。」
「まあそれだけの内容だったと言うことでな。少し場所を変えたいがかまわないか?」
「はい?・・・わ、わかりました。」
ラクマニア様に言われて、自分が先導して屋敷の中を歩いて行く。行く方向を知ってキザール爵がなぜか雄弁になってきた。
「えっと、どちらに行かれるのでしょうかな?そちらは行き止まりになっています。」
「そっちは普段行かない場所なのであまり掃除もされていませんので、話なら別の部屋で・・・。」
「行っても何もないです。」
いろいろ言ってくるが、気にしないで先導していく。途中にセンサーのようなものもあるが、罠が作動するわけではないようなので大丈夫だろう。
「そっちは行き止まりらしいが大丈夫か?」
「はい、少しお待ち下さい。キザール様、申し訳ありませんが、少し協力をお願いしてよいでしょうか?」
「きょ、協力とはどういうことかな?」
キザール爵のすぐ横にいた兵士が取り押さえて、自分の指示する場所に手を当てさせると、何か扉が開くような音が聞こえてきた。ただ、壁は見た目変わらないので島で見たような幻影なんだと思う。扉が開くと壁の向こうの通路があるのがわかったしね。
「おそらくこちらが入口になっていますのでお進み下さい。どういうところかわかりませんので兵士の方もご一緒にお願いします。」
キザール爵は顔面蒼白になっているが、キザール爵を先頭にして壁の中へと入っていく。予想通り本当に壁があるわけではなく、幻覚のようなもので通路がつながっていた。
「ここは何なのかな?扉がおぬしの魔力で開けられると言うことなので知らないとは言わせないぞ。」
さすがに何を言っていいのかわからなくて口をパクパクさせている。そのあと「しらないことなんだな、私は何も知らないことなんだな。」としきりに言っているが、言い訳にならないだろう。
「うまく歩けないようなので手を貸してあげなさい。」
ラクマニア様はキザール爵を引き連れて中を進んでいく。少し狭い通路は下り坂になっており、少し天井が低くなっているが、結構な広さのスペースになっていた。どうやら2階建てに見える上の部分に空間を作っていているようだ。
罠はあくまで警戒用のセンサーみたいで特に何か罠が作動するわけではないので大丈夫だろう。まあほんとに罠があるなら先頭を歩くキザール爵がなにか反応するだろう。探索をかけたところ、部屋は3つほどあるようだ。扉が二つあり、この扉も魔力反応の扉になっていた。
まずは手前の部屋でキザール爵の手を当てて扉を開けさせると、部屋の中にジェンの姿を見つける。
「イチ~~、遅いよ~~~!!こわかったよ~~~!!」
ジェンが泣きながら抱きついてきた。
「助けるのが遅くなってごめんね。でも無事でよかったよ。」
近くには普段着の女性が2人と世話係と思われるメイドのような格好をした女性が3人いたんだが、こちらの姿をみてかなりおびえてしゃがみ込んでいた。
「わたしたちもさらわれてきたものなんです。さらってきた女性の世話をすれば生かしておいてやると言われて・・・。」
まだすべてが終わっていないのでジェンを落ち着かせてから他の女性達と一緒に兵士達に任せて自分はラクマニア様と隣の部屋へ。ここの入口にも魔力認証があったが、こちらも強引に開けさせる。
こちらの部屋の中はかなり豪華な作りとなっており、高いと思われる絵画など美術品が飾られていた。ベッドとかまであるのはおそらくそっち目的なんだろう。
「さて、隣にいた女性達はなんなのかについてはあとで聞くことにしてこの部屋についても説明してもらおうか。」
「え・・・その・・・この部屋は・・・。」
「ルイドルフ様、こちらの壁の先にも部屋がありますのでまずはそちらを見た方がいいかもしれません。」
そういって同じような位置に隠しプレートを発見する。なんかだいたいこういう隠し方って同じ傾向だよなあ・・・。もっとわかりにくくすればいいのにね。
キザール爵の手を当てさせると扉が開き、部屋の中にはこちらの部屋のものよりもさらに高価そうな技術品や工芸品などが並んでいた。本棚にいろいろな書類もあるし、大きめの金庫も置かれているので結構な金額になりそうだ。
「なるほど、かなりの金額になりそうなコレクションだな。どう考えてもおぬしの収入に見合わないようなものがあるようだが、これはどういう経緯で入手したのかな?
先ほどおぬしが言った言葉を覚えているかな?追徴金は3倍の額になり、さらに過去に遡って精算されると言うことをな。
細かなことはあとでじっくり聞くことにする。連れて行け!!」
わめき出す前に口を塞がれていたため、何やら言っていたようだが、屈強な兵士4人がかりで運ばれていった。
「それでは私は事後処理があるので失礼するよ。今回の件はかなり大がかりなものになるのでしばらくは忙しくなりそうだが、また追って連絡しよう。
いろいろと心配なこともあるのでジェニファー殿としばらくはうちに泊まっておくように。屋敷のものにはすでに伝えているから心配しなくていい。
ただ、しばらく外出は控えてもらうことになるが、そこは我慢して欲しい。」
「わかりました。いろいろとご心配いただきありがとうございます。」
保護されたジェンと一緒に屋敷を出てからラクマニア様の屋敷へと向かう。しばらくはこの家でかくまってくれることとなった。
話が一段落したところでラクマニア様がやってきた。これにはキザール爵もかなり驚いているようだ。こちらとしては予定通りなんだけどね。
「こ、これはこれは、王都の警備長官でもあるルイドルフ様自らやってくるとは驚きですな。今回の件はあなた様の指示で行われたものなのですかな?」
「まあ王都の警備の責任者でもあるからな。昨日の爆発騒ぎの件もあり、色々と確認しなければならないことも多いので私自ら来ることになったのだよ。」
「爆発事件についてはこちらも混乱している状況ですのでよろしくと言っていきましょう。ただルイドルフ様直々にとは驚きですな。」
「まあそれだけの内容だったと言うことでな。少し場所を変えたいがかまわないか?」
「はい?・・・わ、わかりました。」
ラクマニア様に言われて、自分が先導して屋敷の中を歩いて行く。行く方向を知ってキザール爵がなぜか雄弁になってきた。
「えっと、どちらに行かれるのでしょうかな?そちらは行き止まりになっています。」
「そっちは普段行かない場所なのであまり掃除もされていませんので、話なら別の部屋で・・・。」
「行っても何もないです。」
いろいろ言ってくるが、気にしないで先導していく。途中にセンサーのようなものもあるが、罠が作動するわけではないようなので大丈夫だろう。
「そっちは行き止まりらしいが大丈夫か?」
「はい、少しお待ち下さい。キザール様、申し訳ありませんが、少し協力をお願いしてよいでしょうか?」
「きょ、協力とはどういうことかな?」
キザール爵のすぐ横にいた兵士が取り押さえて、自分の指示する場所に手を当てさせると、何か扉が開くような音が聞こえてきた。ただ、壁は見た目変わらないので島で見たような幻影なんだと思う。扉が開くと壁の向こうの通路があるのがわかったしね。
「おそらくこちらが入口になっていますのでお進み下さい。どういうところかわかりませんので兵士の方もご一緒にお願いします。」
キザール爵は顔面蒼白になっているが、キザール爵を先頭にして壁の中へと入っていく。予想通り本当に壁があるわけではなく、幻覚のようなもので通路がつながっていた。
「ここは何なのかな?扉がおぬしの魔力で開けられると言うことなので知らないとは言わせないぞ。」
さすがに何を言っていいのかわからなくて口をパクパクさせている。そのあと「しらないことなんだな、私は何も知らないことなんだな。」としきりに言っているが、言い訳にならないだろう。
「うまく歩けないようなので手を貸してあげなさい。」
ラクマニア様はキザール爵を引き連れて中を進んでいく。少し狭い通路は下り坂になっており、少し天井が低くなっているが、結構な広さのスペースになっていた。どうやら2階建てに見える上の部分に空間を作っていているようだ。
罠はあくまで警戒用のセンサーみたいで特に何か罠が作動するわけではないので大丈夫だろう。まあほんとに罠があるなら先頭を歩くキザール爵がなにか反応するだろう。探索をかけたところ、部屋は3つほどあるようだ。扉が二つあり、この扉も魔力反応の扉になっていた。
まずは手前の部屋でキザール爵の手を当てて扉を開けさせると、部屋の中にジェンの姿を見つける。
「イチ~~、遅いよ~~~!!こわかったよ~~~!!」
ジェンが泣きながら抱きついてきた。
「助けるのが遅くなってごめんね。でも無事でよかったよ。」
近くには普段着の女性が2人と世話係と思われるメイドのような格好をした女性が3人いたんだが、こちらの姿をみてかなりおびえてしゃがみ込んでいた。
「わたしたちもさらわれてきたものなんです。さらってきた女性の世話をすれば生かしておいてやると言われて・・・。」
まだすべてが終わっていないのでジェンを落ち着かせてから他の女性達と一緒に兵士達に任せて自分はラクマニア様と隣の部屋へ。ここの入口にも魔力認証があったが、こちらも強引に開けさせる。
こちらの部屋の中はかなり豪華な作りとなっており、高いと思われる絵画など美術品が飾られていた。ベッドとかまであるのはおそらくそっち目的なんだろう。
「さて、隣にいた女性達はなんなのかについてはあとで聞くことにしてこの部屋についても説明してもらおうか。」
「え・・・その・・・この部屋は・・・。」
「ルイドルフ様、こちらの壁の先にも部屋がありますのでまずはそちらを見た方がいいかもしれません。」
そういって同じような位置に隠しプレートを発見する。なんかだいたいこういう隠し方って同じ傾向だよなあ・・・。もっとわかりにくくすればいいのにね。
キザール爵の手を当てさせると扉が開き、部屋の中にはこちらの部屋のものよりもさらに高価そうな技術品や工芸品などが並んでいた。本棚にいろいろな書類もあるし、大きめの金庫も置かれているので結構な金額になりそうだ。
「なるほど、かなりの金額になりそうなコレクションだな。どう考えてもおぬしの収入に見合わないようなものがあるようだが、これはどういう経緯で入手したのかな?
先ほどおぬしが言った言葉を覚えているかな?追徴金は3倍の額になり、さらに過去に遡って精算されると言うことをな。
細かなことはあとでじっくり聞くことにする。連れて行け!!」
わめき出す前に口を塞がれていたため、何やら言っていたようだが、屈強な兵士4人がかりで運ばれていった。
「それでは私は事後処理があるので失礼するよ。今回の件はかなり大がかりなものになるのでしばらくは忙しくなりそうだが、また追って連絡しよう。
いろいろと心配なこともあるのでジェニファー殿としばらくはうちに泊まっておくように。屋敷のものにはすでに伝えているから心配しなくていい。
ただ、しばらく外出は控えてもらうことになるが、そこは我慢して欲しい。」
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