【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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第一部 異世界王族からの依頼

151. 異世界782日目 試練の遺跡からの脱出

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 朝になったところで朝食をとり、改めて扉を調べてみる。扉自体はもともとあったもののようだが、扉に大きなかんぬきのような鍵がはまっている。これってこっち側から鍵をかけているわけじゃないよね?
 一応開かないか力を入れてみるが扉は全く動かない。やはりかんぬきのような鍵でロックされているようだ。鍵を鑑定してみると、なんとオリハルコンとミスリルをあわせた合金のようなものなのでとてもではないが壊すことはできそうにない。
 鍵を調べていると、鍵の一部が開いて何かをはめ込む感じの穴と小さなプレートのような版があった。

「ここに何かをはめ込んで魔力認証かな?」

 一緒に調べていたジェンとクリスさんと話をしていると、穴の形を見たクリスさんが何かを取り出してきた。

「ここにはめるのはこれかな?今回の試練の時に持たされた王家の印なんだけど。祭壇にあったものと同じような感じだな。」

 確かにちょうどはまりそうな感じだ。今回の儀式は王家の男性だけがすると言っていたよな。王家の印をここにはめるということはこの門を開けるための操作を儀式として伝えていたんじゃないのか?いや、逆か?王家の儀式の内容をこの門の封印に利用したのか?王家の血の下に封印すると言うことは血?遺伝子か?

「クリスさん、王家の儀式って王家の印をはめる以外に血をプレートにつけるとか言うようなことをしませんでした?」

「ちょうど今話そうかと思っていたのだが、王家の儀式について話を聞いたのか?」

「いえ、単なる推測です。」

「たしかにここにあるようなプレートに血を垂らすことになっている。後で見届け人がなにかを確認することになっているのだが、今回はそれをする前に転移してきた。」

「過去にこの儀式のあと、王家から出た王族はいませんでした?」

「ああ、儀式を受けた後、しばらくしてから王家を出たものが過去に2回ほどあったと聞いた。私のように事前の話ではなく、かなり突然のことだったらしいが、理由はよくわからない。
 以前は成人を迎えた時に行っていたらしいが今は婚姻の際にやることになっている。」

 どこまで王家の中でこの儀式の内容を理解しているのかわからないけど、王家に連なる男系であればなにかしらの反応をすると言うことなんだろう。それで反応しない人は不義の子と言うことか?それができるのならもっと小さいうちに確認すればいいのに何か理由でもあるのかね?

「王家の儀式がここの鍵を開ける方法になったのか、鍵を開ける儀式が王家の儀式になったのかわかりませんが、やり方は同じではないかと思います。」

「確かにそうかもな。それではやってみるか?」

「待ってください!
 扉の向こうに何があるかわからないので注意しておかないといけません。いきなり扉が開いて、もし魔獣がいたら大変です。索敵ができないので戦闘態勢だけは整えておきましょう。」

 ランドリアさんの指示で、門の前に王家の剣のメンバーが、後ろからの攻撃に備えて蠍の尾のメンバーが、自分とジェンはクリスさんと一緒に鍵のところで待機して両面のサポートを行うことになった。

「それではお願いします。」

 クリスさんは王家の印をはめた後、指を少し切って血をプレートに押し当てる。するとプレートが光り、鍵が外れたような音がした。

「よかった。鍵は開いたみたい。」

 扉は自動で開くわけではないようなのでアルドさんとランドリアさんの二人で扉を開けてもらうと無事に扉が開いた。
 索敵をすると、中には魔獣がいることがわかったが、上階位レベルだったのですぐに討伐することができた。

 扉の向こうには魔獣石が結構転がっている。おそらくここで生まれては死んでいった魔獣なのかもしれない。魔獣石を回収すると結構な金額になっていた。
 通路は暗いので光魔法で光源を作る。わずかだけど空気の流れがあるので空気孔でもあるのかな?一応安全君も稼働してみると特に問題はないみたいだったのでこの点は大丈夫なのかな?

 扉の反対側にも同じような構造で鍵がついているのでどちらからでも開けられるようになっているみたいだ。中の魔獣が出てきても困るので、扉を閉めておく。鍵についてはとりあえずいいだろう。


 通路の広さは車2台が通れそうな感じでかなり広い。あたりの壁を調べてみるが特に何があるわけではない。索敵しても魔獣の気配は感じないのでおそらくは大丈夫だろう。とりあえず先に進むしかない。

 1時間ほど歩くと行き止まりになってしまったが、突き当たりは壁ではなく土に埋まっている感じだ。
 通路が壊れたのか?それとも封印の時に通路も閉じたのかな?完全に封鎖しているわけではなく、土砂を詰め込んだという感じだ。

 とりあえず進んでいくしかないんだが、ここからは収納バッグを使って土砂を取り除いていくしかない。ただそのままだと収納できないので少しずつしか取り除けないのが面倒だ。収納バッグを持っている人は多いので人海戦術でなんとかなるか。
 通路が壊れているわけではなかったみたいでよかったが思ったよりも時間がかかる。
 しばらくすると再び扉が出てきた。周りの土を除いて見ると、同じように封印されているみたいだったのでこちらも鍵を開けて扉を開く。扉を開けると再び土砂が流れ込んできた。

 そこからさらに少し掘り進むと、土が崩れて空洞になっていた。出口か?
 そこは人がギリギリ通れるくらいの洞窟のようになっていたので慎重に進んでいくと、光が見えてきた。辺りを確認しながら外に出ると青空が広がって太陽も見えていた。ほんとに外だよな?全員が出てきたところで一旦何人か扉のところに戻り扉を閉めてから土を戻しておいた。

 洞窟の入り口は崖の脇にあってかなりわかりにくく、入りにくいようになっている。この辺りも偽装なのかもしれないね。

 ガイド本で場所を確認すると遺跡の丘のかなり南の方にやってきているようだ。一応王家が管理する塀の内側になっているようだ。こっちは森のようになっているので車で移動することはできないので歩いて行くしかない。それでもなんとか暗くなる前に祭壇の場所に戻ることができた。

 祭壇まで一緒にやってきていた兵士達が自分たちの姿を見て驚きの声を上げていたが、クリスさんたちの姿を見て泣きながら喜んでいた。よかったなあ。
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