【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

文字の大きさ
218 / 430
第二部 異世界の貴族達2

198. 異世界1258日目 不穏な噂

しおりを挟む
 遺跡を出発してからこの国の最南端にあるまだ見つかっていないと思われる遺跡に向かうため南下を開始する。距離を考えると1ヶ月くらいはかかるかなあ?変なトラブルもいやなのでできるだけどこにも寄らずに一気に走って行くことにした。
 10日ほど走ったところでオカロニアという大きな町の近くまでやってきた。あまり町には寄らないようにしていたんだが、さすがに全く寄らないのも悲しいのでこの町には少し寄っていくことにした。

 この国の中では交易が盛んな方の町なのか、町を出入りする人は結構多くて行列ができていた。町に入ると、他の町に比べてお店などに置いている商品が多い感じがする。王都よりも多くないか?特に平民エリアの出店の品揃えの差が顕著だ。なにか闇での商売が行われているんだろうか?何かの横流し品なのかな?値段も他よりも安く売られているしね。

 お昼は食堂で食べたんだが、値段はやはり同じくらいだが、内容は上という印象だ。周りの声に耳を傾けているとちょっと気になる内容が聞こえてきた。どうも東の方の町で反乱が起きているらしい。鎮圧はされたということみたいだが、反乱が他の町にも飛び火しているようなことも言っている。

「ジェン、この話どう思う?」

「正直、この噂話だけじゃよくわからないけど、全くデマというわけでもなさそうだよね?」

 今まで少し聞いた話だと、貴族の横暴は昔からなんだが、今は国王もひどいらしく、領主と国からの重税で生活がしゃれにならない状況のようだ。国政がうまくいっていないせいで外交がうまくいかなくなり、物資も不足しているみたいだしね。
 反乱自体は今までも時々起きていたみたいだが、今回は結構規模が大きいというような話だ。さすがにあまりにひどすぎて頻発しているのか?

「貴族エリアでも平民エリアでも話が出ているからやっぱり反乱が起きたのは間違いないだろうね。どこまで拡大しているかはわからないけどね。」

「そうねえ。ただ単発での反乱ではないようだったら、他の国からの介入とかもあるかもしれないわね。組織的な反乱とかだと、その資金源とかその裏に何かしらのやりとりがないとうまくいかないはずだから。」

「そういうもの?」

「そういうものよ。」

 ジェンが言うにはどこかの国がこの国の利権を狙っていて、それに都合の良い国に変えるために反乱軍に資金援助をしたりすることはよくあるらしい。まあたしかに地球でもそんなことはあったよね。たしかこの国は鉱物とか宝石とかが有名だったように思う。


 役場に行って他の町の情報を聞いてみるが、あまり情報は得られなかった。まあ変に吹聴すると大変なことになるから情報統制はされているのだろう。
 とりあえず噂レベルだが、反乱が起きたのは間違いなさそうなのでしばらく国の中が荒れてしまうかもしれないね。まあすぐにどうこうなるとは思わないけど、注意はしておいた方が良さそうだ。

 町の雰囲気も悪くなさそうだったので少し買い出しをしてから宿に泊まる。宿の値段は他と変わらないが、レベル的には他よりもいい感じだった。



 途中で行商の団体と遭遇していろいろと話を聞いたりとか、優階位の魔獣が出てきたりとかいろいろあったけど、特に大きな問題にもならず南下していく。しかし街道沿いに優階位の魔獣が出てくること自体ヤバイ気もする・・・。
 結構な距離を走ってきたせいか、徐々に気候も変わってきた。まあ熱帯から温帯になってきたという感じだろうか?南半球なので今は春という感じかな?まあちょうど南下してきているので気温はそれほど変わらない感じで良かったけどね。
 こっちの国も南の方は冬には雪が降るみたいだから冬になる前にはある程度北上しておかないといけないな。

 遺跡を出発してから20日ほどかかってサビオニア国の南にある結構大きなニンモニアという町までやってきた。規模としてはオカロニアと同じくらいだろうか?このあたりの海岸は切り立った断崖になっていることもあり、海岸沿いに大きな港町はできなかったらしい。このためこの町は内陸の方に位置している。
 戦争とは縁が無かったのか、魔獣対策と思われる城壁があるくらいなので町の大きさの割には城壁が低い。もちろん小さな町に比べると頑丈な造りにはなっているけどね。気になることもあるので、情報を仕入れる目的もあり町に寄っていくことにした。

 貴族用の門を抜けるとそのまま貴族エリアにつながっているのは他と同じだ。ちょうどお昼時だったのでまずは貴族エリアにあるお店に入って食事をしながら周りの情報に耳を傾けてみる。もちろんこっそり魔法を使うので結構はっきり言っていることを聞くことができるのだ。
 国の発表によるとすでに反乱は鎮圧されていると言っているみたいだが、まだ反乱は収まっていなくて拡大中という話も聞こえてくる。まあ国の発表と実際に遭遇した人からの伝聞とかの情報が違っているのはよくあることだね。
 このあと平民エリアにも行って、ちょっと遅い時間だったが人の多そうなお店で軽く食事をとる。こちらでも周りから聞こえてくるのは同じような内容だった。ただ小さな声で反乱に合流しようかと言っている人達もいたのが気になった。

 正直なところ正確な情報を知っている人はいないと考えた方がいいみたいなので、どっちにしろ東の方の町にはしばらく行かない方が良さそうだな。

 お店を見て回るが、特に購入するようなものはなかった。役場とお店で魔獣の素材を買い取ってもらってから出発する。
 このあとは西にある遺跡に向かうことになるが、残念ながら遺跡までは道がないようなので途中からは走って行くしかないだろうなあ。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...