【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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第二部 異世界での訓練

221. 異世界1533日目 モクニク国へ

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 ルイトウを出発して国境の町のアルトバまでは10日もかかってしまった。寄り道をしているので時間がかかってしまうのはしょうがない。
 すでに夕方になっていたのでこの日はそのままこの町に泊まることにした。今からでもモクニク国に行くことはできるが、宿が取れなかったら困るので明日の朝一で国境を越えた方がいいだろう。夕食にはご飯と味噌汁に焼き魚という和食っぽいものを食べる。


 翌朝国境の窓口に行くと、ここには貴族用の窓口があったのでこっちに進む。こういう時は使わないともったいない。

「えっと・・・サビオニア国からタイカン国に入られたんですね。」

「ええ、それで間違いありません。」

 やっぱり聴かれてしまったよ。一定期間、身分証明証には入出国の記録が残っているので確認されてしまったようだ。たしか半年くらいだったと思うけど、正確な日時は記載されていないはずだ。

「いろいろあって、新しい連絡通路を使ってタイカン国にやってきたんです。新しい連絡通路のことはご存じですよね?」

 未だにサビオニアとの出入国には制限がかかっているし、特にサビオニアからタイカンへの連絡通路はさらに制約が厳しいみたいなので、不審に思われるのは仕方がない。ただ、すでに連絡通路は正式に開通しており、タイカン国にやってきた人はゼロではないはずだ。

「はい。ただサビオニアから連絡通路を通ってきたという人は初めてでしたので・・・。」

 一応上司へ確認に行ったみたいだが、自分が爵位を持っていることからそれ以上深く追求することができなかったみたい。タイカン国への入国も正式に手続きをしてもらっているので、不正なことは何もないからね。



 モクニク国側の国境の町オルクは特徴のあるところではないが、国境の町というだけあって人の出入りは多い。商品の流通も多いのでかなり発展しているんだが、今後新しい連絡通路が正式に稼働し始めたらこの町の賑わいも落ちていくだろうな。今はタイカンからの唯一の正式な流通経路だからなあ。
 カサス商会の人たちも新しい連絡通路の窓口になる町への出店を計画していると言っていた。町が大きくなるのは間違いないことだろうし、今後はサビオニアへの出店も考えていくらしい。
 しばらくコーランさんたちも大変だろうな。店を出すとなるとそこの支店長とかも考えないといけないだろうし、出店のための流通経路も確立しなければならないだろうからね。国の方も経済の立て直しのためにある程度商会には融通をしてくれるだろうが、その先陣をきる商会に入り込めるかどうかがネックだろう。

 首都のタイカンでは結構お金がかかるのにコーランさんと通信機で話をすることになったからなあ。どこまで接触できるかわからないが、ハクさんやロンさんのことは一応話しておいたんだよね。まあ新しい国では重要なポストに就いているみたいだから簡単には会えないかもしれないけどね。
 まだ公表されていない新しい連絡通路については自分から話すわけにもいかないので、ぼかしながらも少し伝えておいた。少しだけでも情報を与えておけばコーランさんならきっと気がつくだろう。


~コーランSide~
 サビオニアの政変のことはかなり驚いた。もともと政情が良くないと言うことは聞いていたのだが、まさか革命が起きるまでとは思っていなかった。しかもジュンイチさんたちがその国に行っているタイミングで起こるとは。無事だろうかとかなり心配したものだ。

 国境が封鎖され、連絡が断片的にしか入らない状況だったが、突然タイカン国に二人がやってきたと聞いてかなり驚いた。モクニク国に戻って来たのならわかるが、なぜタイカン国に?
 そう思っていたところ、その謎を解明することがあった。古代遺跡の連絡通路のことだ。どういう経緯かわからないが、おそらくその連絡通路を通ってタイカン国に行ったのだろう。あの二人のことだ、また何かに巻き込まれてしまったのかもしれない。


 その後、首都のタイカンの商会に訪れたときに二人と話す機会を作ってもらった。どうやらサビオニアの革命の関係者と知り合ったおかげで連絡通路を優先的に使わせてもらえたらしい。そのときの名前を聞いて驚いた。おそらく同一人物と思われるその一人は新たな国の大臣に名前があげられている人だった。
 今後サビオニアで商売を進めるにあたり、ジュンイチさんたちの名前を出していいとの許可をもらえたのはかなり助かった。そして次の言葉を聞いて驚いた。

「古代の連絡通路があったってことは、一つだけってことはないと思うんですよね?」

 それだけの言葉だったが、その可能性は高いと考えていいだろう。そしてわざわざそんな事ことを言ってきたのはなにかそのような情報があったと考えてもいいのかもしれない。
 すぐにモクニク国とタイカン国で情報を収集すると、不自然に町に投資が始まっている情報を得ることができた。疑ってみない限りはわからないが、間違いなく町の拡張を想定して調査を行っていた。
 今はまだ小さな町だが、ムニアとタラトクという二つの町がその拠点となるのではないかと思われる。すぐに支店を出す方向で調整を進めることにした。


 そしてサビオニアについても出店を進めていくことになった。他にも多くの商会がサビオニアとの交易を進めようと動いていた。もともとここ最近は交易量が下がっていてサビオニアの主要な輸出品であった鉱物などの価格が上がっていたこともある。
 ジュンイチさんから聞いた伝を使いコンタクトをとったところ、ジュンイチさんからも確認が取れたようでハク様の右腕と言われるロン様と面談することができたと報告があった。正式な手続きをするために私もサビオニアに行くことになったが、多くの商会が手続きに難航している中で話を進められているのはかなりありがたい。
 おそらく革命の前から話のついていた商会との競争とはなるし、かなりの先行投資をしなければならないが、十分に見返りが期待できる。現在ヤーマンの商会でサビオニアとの交易に参入できたというところは聞いていないので、距離があるとはいえ、かなり大きな商売になるだろう。
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