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第二部 異世界での訓練
238. 異世界1764日目 貴族のつきあい
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騎士隊での訓練が始まってしばらくしたころ、サビオニアの大使館に行くようにラクマニアさんから連絡があった。どうも新しいサビオニア国で革命の功労者の褒章内容が発表されたが、その中に自分たちの名前があったらしい。
珍しい名前が二人並んでいること、出身国がヤーマンと言うこと、サビオニアに行っていた時期など考えて自分たちで間違いないと思ったようだ。ヤーマンにも確認をとったが同意見だったみたいでサビオニアの大使館に連絡したみたい。
さすがにいつもの格好というわけにはいかないと思い、礼服ではないが、失礼のない格好をしてサビオニアの大使館に行くと、身分証明証を確認されてから部屋に案内される。しばらくしてやって来たのは一緒に連絡通路の確認に行ったロンさんだった。
「ロンさんじゃないですか。お久しぶりです。」
久しぶりに会うので近づこうとすると護衛と思われる人が前に立ちはだかった。そういえば革命が成功したので結構高い地位に就いているのかもしれないな。
「この二人なら大丈夫だ。」
ロンさんはそう言って握手を求めてきた。
「その節は本当にお世話になった。二人がいなければ国の改革はもっと厳しいことになっていただろう。」
サビオニアの改革がある程度落ち着いたところで、ロンさん達一行は各国を訪問し、新しい国の正当性を説明などの外交や商売についての話をしているらしい。サビオニア国を出てからモクニク国、ヤーマン国、アルモニア国の後、ここハクセン国までやって来たようだ。
「ヤーマン国で二人がハクセンに行っていると聞いていたのだが、ハクセンからも二人の情報が入ったので間違いないと思ってね。
あまり二人のことを公にしないでほしいとは言われていたのだが、さすがにあれだけの事をしてもらえたのに何もないというわけにもいかなくてな。報奨金は厳しいが、褒章だけでも出そうという話になったのだ。」
報奨金が出せないことにかなりつらそうな表情をしている。
「そうだったのですね。でも黄玉章は高すぎじゃないですか?」
「何を言う。これでも足りないという意見も多かったんだぞ。まああくまで名誉だけだが受け取ってくれるよな?」
「断るわけにもいかないでしょう。」
特に褒章の儀式とかもあるわけではなく、用意された勲章を受け取る。このあとせめて食事だけでもと請われて一緒に昼食をとることになった。
せっかくなのでサビオニアの状況を聞いてみたところ、だいぶ落ち着いてきていて、輸出なども滞りなく進んでいるようだ。そして新しい連絡通路も公開されて、かなりの経済効果が出ているらしい。
「あのとき渡してもらった資料がとても役に立ったよ。タイカン国にもモクニク国にも連絡通路を使った場合の経済効果を説明することでかなり優位に交渉を進めることが出来たからね。あの資料がなければもっと時間がかかっていたと思う。」
「参考程度の資料なのでどこまで正確かは分かりませんよ。でも役に立ったのであれば良かったです。あの資料を作るのも結構時間はかかりましたからね。」
「もし、またこちらの国に来ることがあれば新しい連絡通路の調査もお願いするよ。」
「は、はは・・・考えておきますよ。」
ロンさん達はこのあともいろいろと行事が詰まっているらしく、大変そうだ。食事を終えてから宿に戻る。
「まさかこんな事になるとはねえ・・・。」
「さすがに貢献者として伏せるわけにもいかなかったって事かしらね。ちゃんとした式典でもなかったから他の人たちにはばれていないとは思うけど。」
「だけど3カ国から褒章されているっていうのはなかなかないんじゃないかなあ?うーん・・・正直言ってもらいすぎだな。」
「そうはいってもそうそう見せることはないでしょう?」
「まあね。公式のパーティーとかに出ない限りは褒章を見せる機会はないよな。」
12月にはいろいろな行事があるみたいで、ラクマニアさんたちもかなり忙しそうにしていた。結構な頻度で貴族のパーティーが行われているのだが、何度か自分たちも引っ張り出されることになった。まあ何事も経験だと自分を納得させたけどね。
こっちの世界のパーティーでも社交ダンスのようなものがあるらしく、ダンスの練習をしなければならなくなった。ダンスの種類が違うとは言え、もともと教養のあるジェンはすぐに踊れるようになったんだが、全くやったことがない自分には結構難易度が高かった。
騎士隊での訓練と平行してがんばって練習する。最初は全くだめだったんだが、加護の影響もあるのか、それなりの形にはなってきた。
なんとか形にはなったので社交界デビューすることになったんだけど、衣装も作ったので結構な出費となってしまった。まあ既製品の直し程度のものなんだけどそれでも結構な金額だ。
パーティーには変装の魔道具は使用せずにヤーマンの貴族として参加した。基本的にパーティーは呼ばれた人だけの参加なんだが、パーティーによっては友人枠で参加することは可能なのだ。それと王宮で行われるものは爵位があって事前に届け出ていれば参加は出来るようになっている。これにも参加したからね。
もらった褒賞は着けていった方がいいと言われたので着けていったんだが、やはり目立っていたみたい。特にサビオニアの褒章はなあ。そうそうに披露することになるとは思わなかった。
王宮のパーティーに行くと見知った騎士の人たちもいたんだが、変装のこともあるし、化粧とか格好のせいもあってか気がつかれなかったようだ。カレニアさんは気がついたみたいでかなり驚いていたけどね。
ラクマニアさん達と一緒に来たせいか、いろいろと探りを入れてくる貴族達も多かったけど、商売の関係とだけ言っておいた。実際に商売で他国の貴族とつながりがあることは多いようだからね。詳細については商売柄明かせなくても問題はないはずだ。
折角なので踊ったり、食事をしたりしながらパーティーの雰囲気を味わうが、変な腹の探り合いが面倒だ。ジェンは割り切って楽しんでいるようだけどね。
いくつかのパーティーにはハックツベルトさん達も参加しており、挨拶にいくと奥さん達と踊らされて困ってしまった。さすがに断るわけにもいかないからなあ。周りの人たちは自分たちみたいな若造が声をかけていたのに驚いているようだった。まあラクマニアさんと対抗できる唯一の実力者らしいからね。
ラザニアさんは最初の打ち合わせのあとで何度か会うことになったけど、正直なところ貴族の中では一番付き合いやすい人だった。事前に聞いていたのと大違いで、その話をするとラクマニアさん達もかなり驚いていたんだよね。
~カレニアSide~
雪が多くなってくると、多くの貴族は他の町への移動が難しくなって家に引きこもることが多くなる。そのせいもあっていろいろなパーティーが開かれることが多くなってしまう。もちろん王都に滞在している貴族だけだが、それでも結構な人数が集まる。冬になれば出費が少なくなるので経済活動の一端という意味もあるらしい。
王宮でもしばしばパーティーが行われるため、交代で警備に当たるのだが、パーティーに参加したメンバーの中に驚きの二人がいた。普段は魔道具で見た目を変えているし、印象も全く異なるため、他の騎士は気がついていないようだが、間違いないだろう。入場の時の名前も二人の本当の名前が呼ばれていたからな。ジュンイチとジェニファーか。本当につかめない二人だ。
胸に褒章を着けているのはいいのだが、ハクセンのものだけでなく、ヤーマンとサビオニアの褒章まで身につけていた。しかもサビオニアは黄玉章だ。正直最初は偽物かと思ってしまったが、こんなところに偽物の褒章を着けてくる人などいないだろう。
驚いたのはその交友関係だ。一緒にやって来たのが騎士隊に推薦してきたルイアニア爵というのは分かるが、ルイドルフ家当主のラクマニア爵とも親しげに話している。あの方と対等に話しているというのが正直言って驚きしかない。家族の方々とも親しそうだし、一緒にダンスまで踊っていた。
さらに驚いたのはラクマニア爵とライバル関係にあるハックツベルト家当主のピルファイア爵のところに向かったときだ。なぜ挨拶に行ったのか分からないが、そのときは周りの人たちに緊張が広がっていた。
しかしその心配は杞憂に終わった。親しげに話した後、それぞれがパートナー同士でダンスを踊ったからだ。そのあと子息のラザニア爵とも親しげに話していたので、急に挨拶したわけではなく、もともと親交があったのだろう。
しかしいくら他国の貴族とはいえ、あの二つの派閥のトップと交友関係があるというのはどういうことなのだろう?そのあと彼らに声をかけていた人たちもいたが、大半の貴族は遠巻きに見ているだけだった。変にちょっかいを出して反感を買うのを恐れたのだろうな。
パーティーの翌日、訓練場で会った二人に話を聞いたが、特に隠すことなくパーティーに参加したことを素直に認めた。ただ他の人たちには内緒にしてほしいと言われたがな。
ただ彼らはあくまで平民なので、特に気にせずに今までと同じ扱いにしてほしいと言われて驚いた。あの二人と親しげに話せる関係の二人にどう対応すればいいのか、しばらく頭を悩ませることになった。
珍しい名前が二人並んでいること、出身国がヤーマンと言うこと、サビオニアに行っていた時期など考えて自分たちで間違いないと思ったようだ。ヤーマンにも確認をとったが同意見だったみたいでサビオニアの大使館に連絡したみたい。
さすがにいつもの格好というわけにはいかないと思い、礼服ではないが、失礼のない格好をしてサビオニアの大使館に行くと、身分証明証を確認されてから部屋に案内される。しばらくしてやって来たのは一緒に連絡通路の確認に行ったロンさんだった。
「ロンさんじゃないですか。お久しぶりです。」
久しぶりに会うので近づこうとすると護衛と思われる人が前に立ちはだかった。そういえば革命が成功したので結構高い地位に就いているのかもしれないな。
「この二人なら大丈夫だ。」
ロンさんはそう言って握手を求めてきた。
「その節は本当にお世話になった。二人がいなければ国の改革はもっと厳しいことになっていただろう。」
サビオニアの改革がある程度落ち着いたところで、ロンさん達一行は各国を訪問し、新しい国の正当性を説明などの外交や商売についての話をしているらしい。サビオニア国を出てからモクニク国、ヤーマン国、アルモニア国の後、ここハクセン国までやって来たようだ。
「ヤーマン国で二人がハクセンに行っていると聞いていたのだが、ハクセンからも二人の情報が入ったので間違いないと思ってね。
あまり二人のことを公にしないでほしいとは言われていたのだが、さすがにあれだけの事をしてもらえたのに何もないというわけにもいかなくてな。報奨金は厳しいが、褒章だけでも出そうという話になったのだ。」
報奨金が出せないことにかなりつらそうな表情をしている。
「そうだったのですね。でも黄玉章は高すぎじゃないですか?」
「何を言う。これでも足りないという意見も多かったんだぞ。まああくまで名誉だけだが受け取ってくれるよな?」
「断るわけにもいかないでしょう。」
特に褒章の儀式とかもあるわけではなく、用意された勲章を受け取る。このあとせめて食事だけでもと請われて一緒に昼食をとることになった。
せっかくなのでサビオニアの状況を聞いてみたところ、だいぶ落ち着いてきていて、輸出なども滞りなく進んでいるようだ。そして新しい連絡通路も公開されて、かなりの経済効果が出ているらしい。
「あのとき渡してもらった資料がとても役に立ったよ。タイカン国にもモクニク国にも連絡通路を使った場合の経済効果を説明することでかなり優位に交渉を進めることが出来たからね。あの資料がなければもっと時間がかかっていたと思う。」
「参考程度の資料なのでどこまで正確かは分かりませんよ。でも役に立ったのであれば良かったです。あの資料を作るのも結構時間はかかりましたからね。」
「もし、またこちらの国に来ることがあれば新しい連絡通路の調査もお願いするよ。」
「は、はは・・・考えておきますよ。」
ロンさん達はこのあともいろいろと行事が詰まっているらしく、大変そうだ。食事を終えてから宿に戻る。
「まさかこんな事になるとはねえ・・・。」
「さすがに貢献者として伏せるわけにもいかなかったって事かしらね。ちゃんとした式典でもなかったから他の人たちにはばれていないとは思うけど。」
「だけど3カ国から褒章されているっていうのはなかなかないんじゃないかなあ?うーん・・・正直言ってもらいすぎだな。」
「そうはいってもそうそう見せることはないでしょう?」
「まあね。公式のパーティーとかに出ない限りは褒章を見せる機会はないよな。」
12月にはいろいろな行事があるみたいで、ラクマニアさんたちもかなり忙しそうにしていた。結構な頻度で貴族のパーティーが行われているのだが、何度か自分たちも引っ張り出されることになった。まあ何事も経験だと自分を納得させたけどね。
こっちの世界のパーティーでも社交ダンスのようなものがあるらしく、ダンスの練習をしなければならなくなった。ダンスの種類が違うとは言え、もともと教養のあるジェンはすぐに踊れるようになったんだが、全くやったことがない自分には結構難易度が高かった。
騎士隊での訓練と平行してがんばって練習する。最初は全くだめだったんだが、加護の影響もあるのか、それなりの形にはなってきた。
なんとか形にはなったので社交界デビューすることになったんだけど、衣装も作ったので結構な出費となってしまった。まあ既製品の直し程度のものなんだけどそれでも結構な金額だ。
パーティーには変装の魔道具は使用せずにヤーマンの貴族として参加した。基本的にパーティーは呼ばれた人だけの参加なんだが、パーティーによっては友人枠で参加することは可能なのだ。それと王宮で行われるものは爵位があって事前に届け出ていれば参加は出来るようになっている。これにも参加したからね。
もらった褒賞は着けていった方がいいと言われたので着けていったんだが、やはり目立っていたみたい。特にサビオニアの褒章はなあ。そうそうに披露することになるとは思わなかった。
王宮のパーティーに行くと見知った騎士の人たちもいたんだが、変装のこともあるし、化粧とか格好のせいもあってか気がつかれなかったようだ。カレニアさんは気がついたみたいでかなり驚いていたけどね。
ラクマニアさん達と一緒に来たせいか、いろいろと探りを入れてくる貴族達も多かったけど、商売の関係とだけ言っておいた。実際に商売で他国の貴族とつながりがあることは多いようだからね。詳細については商売柄明かせなくても問題はないはずだ。
折角なので踊ったり、食事をしたりしながらパーティーの雰囲気を味わうが、変な腹の探り合いが面倒だ。ジェンは割り切って楽しんでいるようだけどね。
いくつかのパーティーにはハックツベルトさん達も参加しており、挨拶にいくと奥さん達と踊らされて困ってしまった。さすがに断るわけにもいかないからなあ。周りの人たちは自分たちみたいな若造が声をかけていたのに驚いているようだった。まあラクマニアさんと対抗できる唯一の実力者らしいからね。
ラザニアさんは最初の打ち合わせのあとで何度か会うことになったけど、正直なところ貴族の中では一番付き合いやすい人だった。事前に聞いていたのと大違いで、その話をするとラクマニアさん達もかなり驚いていたんだよね。
~カレニアSide~
雪が多くなってくると、多くの貴族は他の町への移動が難しくなって家に引きこもることが多くなる。そのせいもあっていろいろなパーティーが開かれることが多くなってしまう。もちろん王都に滞在している貴族だけだが、それでも結構な人数が集まる。冬になれば出費が少なくなるので経済活動の一端という意味もあるらしい。
王宮でもしばしばパーティーが行われるため、交代で警備に当たるのだが、パーティーに参加したメンバーの中に驚きの二人がいた。普段は魔道具で見た目を変えているし、印象も全く異なるため、他の騎士は気がついていないようだが、間違いないだろう。入場の時の名前も二人の本当の名前が呼ばれていたからな。ジュンイチとジェニファーか。本当につかめない二人だ。
胸に褒章を着けているのはいいのだが、ハクセンのものだけでなく、ヤーマンとサビオニアの褒章まで身につけていた。しかもサビオニアは黄玉章だ。正直最初は偽物かと思ってしまったが、こんなところに偽物の褒章を着けてくる人などいないだろう。
驚いたのはその交友関係だ。一緒にやって来たのが騎士隊に推薦してきたルイアニア爵というのは分かるが、ルイドルフ家当主のラクマニア爵とも親しげに話している。あの方と対等に話しているというのが正直言って驚きしかない。家族の方々とも親しそうだし、一緒にダンスまで踊っていた。
さらに驚いたのはラクマニア爵とライバル関係にあるハックツベルト家当主のピルファイア爵のところに向かったときだ。なぜ挨拶に行ったのか分からないが、そのときは周りの人たちに緊張が広がっていた。
しかしその心配は杞憂に終わった。親しげに話した後、それぞれがパートナー同士でダンスを踊ったからだ。そのあと子息のラザニア爵とも親しげに話していたので、急に挨拶したわけではなく、もともと親交があったのだろう。
しかしいくら他国の貴族とはいえ、あの二つの派閥のトップと交友関係があるというのはどういうことなのだろう?そのあと彼らに声をかけていた人たちもいたが、大半の貴族は遠巻きに見ているだけだった。変にちょっかいを出して反感を買うのを恐れたのだろうな。
パーティーの翌日、訓練場で会った二人に話を聞いたが、特に隠すことなくパーティーに参加したことを素直に認めた。ただ他の人たちには内緒にしてほしいと言われたがな。
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