【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

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第二部 長かった異世界旅行?

261. 異世界2365日目 戦いの訓練

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「ジュンイチ様とジェニファー様にはアムダのハッチの開放と核の破壊の役割を担ってもらいます。」

 最終決定された作戦に自分たちも参戦することとなった。このため、選抜された討伐隊の人たちと一緒にしばらく訓練を行うことになる。
 討伐隊は自分たち以外はアウトラス帝国の精鋭で編成されている。他国からの協力要請もあったようだが、やはり連携などのことを考えて普段から一緒に行動しているメンバーの方がいいだろうと言うことになった。言葉の問題もあるからね。
 ちなみにジェンはかなり普通に話せているが、自分は片言なので戦闘に関わる言葉を優先して覚えている状態だ。


 最初に自分たちの能力を確認してもらうため相手をしてもらったが、やはり全力でかかっても相手になるものではない。相手をしてもらっているのは騎士団の団長なんだから当たり前だけどね。

「突撃の能力については目を見張るものがある。これを使えば最後のとどめを刺す際には使えるだろう。あと隠密の能力についてもかなり高いな。魔道具を使えばまず悟られることはないだろう。」

 隠密の魔道具について説明したところ、魔道具に使う魔獣石についてはある程度提供してくれることになったので助かった。さすがに最高出力の性能については見せられなかったけどね。それでも普通の魔道具よりも性能はいいようだった。
 ちなみに最高出力で使えば気がつかれずに使えるのではないかという話もあるが、魔力を貯めたところで察知されることを考えると危険すぎるんだよね。古代兵器の索敵能力は不明のままだし。


 討伐隊に参加する兵士は全部で32名。いずれも優階位以上の実力を持っている人たちで、兵士の中でも精鋭と言っていい。この人達が4人ずつの6チームとなり、2チームずつが3交代で波状攻撃をかけていくようだ。そして離れたところに治癒魔法の担当4名が待機して治療に当たる。
 あと2名ずつが自分たちの護衛として一緒に突撃することになる。自分たちは少し離れたところから状況を確認し、行けるタイミングで兵器にとりつくという手はずとなっている。

 もちろん兵士の攻撃だけで倒すことが出来れば一番いい。動かなくなった後に核を破壊すればいいだけだからだ。
 ただ核を破壊するチャンスがなければ他の兵士のことはかまわず撤退するようにいわれる。おそらく今回の陣容で倒せななくても、次の機会のために核を破壊する手立てを残さなければならないと考えているのだろう。



 戦いの日程は今から15日後と決まった。もちろん訓練の状況と、天候によりずれる可能性はあるが、それまでに動きについて何度も確認することとなった。
 前に古代兵器と戦った冒険者達から意見を聞きながら戦い方を確認しているようだ。そのときよりも強くなっている可能性もあるが、戦い方には大きな差が無いだろうと言うことで戦い方の調整を行っていた。自分たちも連携についての確認を行うが、それ以外にも基礎的な訓練も行う。

 この訓練とは別に古代兵器が放つ光魔法についても議論を行った。光魔法を受けた跡を確認してみたが、熱で焼け焦げたような感じだった。試しに威力は弱いがレーザー光線の光魔法を使ってみたところ似た感じにはなったが、魔法防御で全く防げなかったと聞いているので魔法ではないのかもしれない。
 光を凝集しているのか、波動を出しているのかというところか?地球でもレーザー光線は実用化されていないので正直なところ原理が分からない。魔法ではイメージだけでやっているから使えるのであって、原理まで考えると無理だろうな。
 今のところ魔法防御ではなく、普通に物理的な防御として考えるべきだと言うことと、目を攻撃されないように注意することくらいかな。



 相手の動きや、動きを封じたときの状況によっていくつかのパターンが決められ、それによって自分たちの動きも変わってくる。まあどっちにしろ攻撃するのは最後になるのは間違いないけどね。
 先に護衛の人たちに突撃してもらい、そのあと、自分たちが突撃のスキルを使って一気に接近するというのが基本だ。そのときに攻撃を受けた場合、護衛の二人が身体を張ってでも防御するので核の破壊に集中するように言われている。

 問題は核を破壊した後がどうなるかだ。よくあるように爆発してしまう可能性も否定できない。とりあえず転移で逃げるようにはしておくつもりだが、一緒に戦う兵士達はどこまで逃げることが出来るかは不明だ。最悪、全員亡くなってしまうかもしれないな。
 このことについてはすでに情報共有しており、核の破壊を出来たところで、飛翔の魔道具で出来るだけ遠くに逃げることになっている。


~ジェンSide~
 今回の遠征に行く前に、どこまで話をするかイチと話し合った。特に魔獣石の破壊についてはね。島の遺跡で核の破壊について書かれているのを見てからいろいろと試してみたところ、破壊できるようになっていたからだ。

 ただこれが今のこの世界の人たちに可能かと言われると無理だろう。もしそれを出来るようになるとすればかなりの科学の知識が必要となってくるからだ。そもそも説明しても理解できない可能性もあるし、教えていいのかも分からない。それ以前に私たちもちゃんと理解していないことだから難しいのよね。

 そして核の破壊が出来ることを伝えてしまったら、おそらく古代兵器の討伐に私たちはかり出されるだろう。もちろんそのまま倒すことが出来れば問題は無いけれど、わざわざ他の国に助言を求めてくるという時点で難しいと考えられるわ。

「古代兵器の討伐に参加してって言われたらどうするの?」

「うーん、そのまま倒すことが出来るなら問題は無いんだけど、倒せないと判断されたら核の破壊をする方向に考えるよね。そうなったら参加せざるを得ないかなあ・・・。」

「死ぬ可能性があっても?」

「自分が死んでもみんなが助かるのならと言う自己犠牲の考えはないけどね。申し訳ないけど、もし無理と思ったら逃げようと考えているよ。転移魔法を使えばぎりぎりでも逃げることが出来ると思うんだ。」

「たしかにその手はあるわね。」

「もちろんそれでも絶対に死なないという保証はないけど、下手したらまたこの世界が滅んでしまう可能性もあるわけだからね。こっちの世界に来てからいろいろ助けてもらった人たちへの恩返しをしたいと思っているんだ。
 当然ぎりぎりまで戦うし、みんなを見捨てるという訳じゃないよ。でもいざというときには逃げるという選択肢は先に考えておくべきだと思うんだ。特に討伐で倒せなかった場合、古代兵器を倒すと言うことはかなり厳しいと言うことになるし、もし自分たちがいなくなれば核を破壊する手段がなくなってしまうと言うことになるからね。
 もし転移してしまったとしても、道しるべの玉を持っていたと説明すればどうにかなると思うんだよ。転移先はサクラにしておけばいいと思うからね。」

「申し訳ないけど、そうした方がいいかもしれないわね。」

「ああ。だからもし核の破壊と言うことになれば協力はしようと思っているからね。」

「わかったわ。そのときはもちろん私も参加するわよ。いくら言ってもこれは譲れないわ。」

 もしかしたらイチは自分だけ参加するつもりだったかもしれないけど、そんなつもりはないからね。

「わ、わかったよ。」


 このあとヤーマン国王陛下に説明した後、アウトラス帝国に行くことになったのよね。まさかこんな形でアウトラス帝国に行くことになるとは思わなかったわ。
 飛行艇は思ったよりは快適だったわ。ちゃんとカーテンで仕切ってくれるし、シートもいい物だったからね。スペースが狭いのはしょうが無いけど、防音魔法とかもあるから、ある意味地球の飛行機よりは快適なのかも。

 アウトラス帝国の王都はさすがに栄えていたわ。サクラよりも大きいという感じがするわね。護衛が付いたけど、折角だからとイチとのデートを楽しんだわ。なんとなく故郷と雰囲気が似ているのも良かったわね。

 会議にはデリアンとカルアがやって来ていたのには驚いたのよね。しかも二人は結婚したことを聞いて驚いたわ。カルアに聞くと、ちょっとだまし討ちみたいな感じで結婚することになったようだけど、お互いに好きだったことが再確認できたみたいで幸せそうだった。

 打ち合わせでは古代兵器の驚異についての説明を受けた。このままだと誰も倒せなくなってしまう可能性もありそうなのよね。今はこの大陸だけだけど、他の大陸に移動しないという保証はないわ。飛行能力が無いとも言い切れないからね。
 予想通り核の破壊についての話になったのだけど、やっぱり他の誰にも破壊することは出来ないようだった。イチが目線を送ってきたのでうなずいて同意したわ。やっぱりこの世界を見殺しにすることは出来ないからね。


~あとがき~
 なんとか最後まで書き上げました。ただまだ最終確認をしていく必要があるので、本日より毎日アップしていく形になります。今週の日曜日に完結予定です。
 もうこれ以上の話の展開を考えるのは無理なので、皆さんが納得できる終わりか分かりませんが、お楽しみください。
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