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番外編 後日談

5. 再び冒険者登録

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門を入るとすぐに駐車場スペースのようなところがあり、かなりの数の車が並んでいた。むき出しの立体駐車場のような感じで、縦に5台の車が止められるようになっていて、見える範囲では全部で100台くらいのスペースがあるが、そのうちの半分くらいが埋まっている。地下にもスペースがあるみたいなので結構な台数なのかな?

案内を見ると、町中を走るにはその町の発行している許可証が必要みたいなので、許可されていない車をここに止めていかないといけないようだ。やっぱり車が増えたので町に入るのは規制をかけているのかな?それとも駐車スペースの問題なのだろうか?



町の通りは以前より拡張されて広くなっていた。平日にもかかわらず人通りは結構多い。いくつか記憶にあるお店もあるが、さすがに年月が経っているせいかかなり新しいお店が多い。道路拡張でお店の場所が変わっているのかもしれないけどね。

「とりあえず状況が分かるまではあまりおおっぴらに動かない方がいいだろうな。」

「私たちのことがどういう扱いになっているかが問題なのよね。」

「身分証明証を見ると前の時から変わっていないけど、どこかで更新とかできるのかな?」

役場に行って手続き関係の案内を見てみると、身分証明証の更新は自動で出来るようだ。更新機械に更新手数料の50ドールを入れて身分証明証をかざすとすぐに更新できた。

名前:ジュンイチ
生年月日:998年10月30日
年齢:44歳
職業:冒険者(良階位・アース 停止中) ハクセン下位爵 ヤーマン中位爵 アウトラス中位爵
賞罰:ハクセン緑玉章 ヤーマン緑玉章、サビオニア黄玉章、アウトラス黄玉章、アルモニア紫玉章
資格:車運転(大型・中型・小型)(停止中)
クラス:戦士、魔道士、聖者、賢者、芸術家、技術者、神の祝福
婚姻:ジェニファー

更新前と大きく変わっていないけど、職業の冒険者と資格の車運転が停止中になっている。しかも車運転は大型、中型、小型という分類が付いていた。

他にはアウトラスの褒章が追加されているんだが、アムダの討伐で褒賞がもらえたのだろうか?しかも黄玉賞なので中位爵の肩書きが付いている。
あとアルモニアも褒賞をもらえているな。アムダ討伐では無いと思うんだけど、理由が不明だ。それにヤーマンの爵位が中位爵になっているのも理由が分からない。

褒章がそのまま残っていると言うことは褒章を出した国がまだあるということでいいのかな?あと爵位というものもなくなっていないと言うことか。
ただ5つの国から褒賞をもらっているというのはちょっと見られるとまずいかもしれないな。爵位も3つあるし・・・。

「なんかいろいろ褒章が増えているし、爵位も増えているんだけど、何でだろ?」

「私の方もだわ。理由は分からないけど、これは見られないようにしておいた方がいいわよね。」

「ああ、犯罪ではないから非表示には出来るからまだいいけど、変なトラブルに巻き込まれたくはないからね。」

「あと車運転だけど、前に講習を受けたときは免許の期限とかなかったよね?しかも種別まで出来ているみたいだけど。」

「ほんとだわ。乗る人が増えてきたのでいろいろ変わっているのかもしれないわね。」

そういえばうちの祖父が免許を取ったころはあまり種別がなかったとか言っていたな。徐々に厳しくなっていったとか言っていたように思う。

「とりあえず、先に冒険者登録の更新をやっておくか?」

「そうね。そのあとで調べ物をしましょう。」



役場に行って案内を見てみると、冒険者の手続きは前と同じく治安・警備の窓口となるようだ。簡単な案内があったので読んでみると、仕事内容やおおよその収入などが解説されていた。
魔獣の討伐記録などは自動で認証されるようになっているようだが、冒険者登録の期限や再登録については自動では出来ないみたいで窓口に行かないといけないようだ。

「すみません。冒険者の再登録をお願いします。」

まだ時間が早いせいか窓口は空いているので良かった。身分証明証を提示するが、身分証明証を見たあと何度もこちらの顔を伺ってきた。少し笑っているように見えたのは気のせいかな?

「えっと、どうかされましたか?」

「あ、いえ、すみません。

えっと・・・おふたりとも休止申請は行われていませんね。えっと、この場合はどうなるんだったかしら・・・。えっと、ああ、再登録にお一人1万・・・じゃなかった3万ドールかかりますがどうなさいますか?」

どうやら新人みたいでマニュアルを見ながら対応しているようだ。
しかし良階位の再開手続きはひとり3万ドールもするのか・・・。まあ仕方が無いな。そのくらいのお金はあるので大丈夫だろう。

「お願いします。」

「分かりました。支払いはの説明の後でお願いしますね。
えっと、あ、すみません。休止期間が5年を超えていますので、更新されたとしても以前の階位より1つ下の階位からの開始となるようです。」

「えっ、前の階位のままにはならないんですか?」

「そうですね・・・。あ、もし前と同じ階位を希望するのであれば、実技試験を受けて合格すれば大丈夫みたいです。どうなさいますか?」

5年以上になると実力も落ちているという判断か。まあ試験を受けられるなら受けて良階位のままの方がいいかな。また昇格試験を受けるのも面倒だしね。

「その試験はすぐに受けることが出来るのですか?」

「そうですね。良階位の方ですので、ちょっとすぐには厳しいかもしれません。

あ・・・、ちょっと待ってください。

確認しなければなりませんが、ちょうど優階位の冒険者の方がこの町に滞在していますので確認をしてみます。たしかしばらくは町に滞在すると言っていたはずです。
申し訳ありませんが、確認をとりますので明日のお昼前にもう一度来てもらうことは出来ますか?了承が得られたら数日中には試験を受けることが出来るはずです。都合はいかがでしょうか?」

「わかりました。
受けるか受けないかについては明日日程を確認したあとでもいいですか?」

「ええ、日程を確認してから受けるかどうか決めてもらってかまいません。
ただ、再登録の確認試験は申請から1ヶ月以内に行わなければなりませんが、手続きを進めてかまいませんか?」

まあ特に急ぐ理由もないから遅くても数日以内に試験を受けられると考えたら大丈夫だろう。もし良階位の実力が無いと判断されたのなら素直にあきらめるしかないしね。

「ジェン、数日くらいはかまわないよね?」

「ええ、別に急ぐ旅でもないから大丈夫よ。」

「手続きを進めてもらってかまいません。よろしくお願いします。」

支払いをすませると手続きはすぐに完了した。前は数日かかると言われていたんだが、かなり自動化されたのかもしれないな。
とりあえず上階位ではあるが、冒険者としての身分証明証はできたので大丈夫だな。


登録が出来たので支払いのためにカードにお金の入金をすることにした。やはり現金での支払いは大変な場合があるからな。たぶん以前よりもさらにカード支払いが進んでいると思うし。

少しお金が残っていたと思うけど、10年も経っているのでおそらく残金は精算されているはずだ。


今は自動で入出金が出来るようになっているみたいなので大分楽になった。もちろん金額が大きいと窓口でないとだめみたいだけど、1日1万ドールまでなら普通に下ろせるようだ。


残金を確認してみると、まだお金が残っていた。残金というにはあまりに金額が多すぎるんだが・・・。

「え?どういうこと?」

横の機械で操作していたジェンからも驚きの声が聞こえた。

「10年でお金は精算されるという話じゃなかった?しかもあのときお金はほとんど全部下ろしていったよね?」

「えっと・・・、履歴を見るとアムダの討伐の後にまとめて振り込まれているわね。討伐報酬って事なのかしら?そのあともアウトラス国とカサス商会から定期的にお金が振り込まれているわね。」

「振り込みされているから精算されていなかったのかな?」

「アウトラス国は貴族の報酬か何かなのかな?カサス商会も律儀に振り込みをしてくれているのか?まあ、おかげで当面の金銭の心配は無いと考えていいな。」

「カサス商会にはどのみち顔を出さないといけないからそのときに確認しましょう。」


このあと車の免許についての資料を見てみると、免許の更新についての記載があった。
どうやら8年ほど前に免許が更新制になったみたいで、5年おきに更新しないと免許が取り消しになってしまうようだ。ただしその前に取得していた人に限り10年の猶予が設けられていた。

「8年前ということはぎりぎり間に合うと言うことかな。危なかった。」

交通課の受付に行くと猶予期間は認められるが、更新するには半日の講習を受けなければならないようだ。すぐに受けることが出来るようなので翌日の昼から予約をとっておく。


~受付の担当者~
今日やってきた冒険者の再登録の人には驚いた。44歳なのにどう見ても20歳以下にしか見えなかったからね。もちろん年齢を重ねてもあまり変わらない人たちもいるけどそれでももう少し年齢は上に見えるはずなのよね。
私の家系は標準的なので44歳と言えばかなり老けてしまうだろうな。老化の遅い人たちが少しうらやましいと思うのはしょうが無いわ。


名前の確認をしたときにはちょっと笑ってしまった。アムダの英雄の二人と同じ名前だったからね。あの年齢でジュンイチとジェニファーって言うことは改名したのかしらね。手続きは結構大変らしいけど。
パーティー名まであの英雄にあわせるなんてよほどあの二人のことが好きなんでしょうね。名前が同じ人は時々見かけるけど、二人組で同じ名前でさらにパーティー名まで同じというのは初めて聞くわ。

ジェニファーさんはかなりいい線行っていると思うわ。自分の持っているイメージとはちょっと違うけど、美人には違いないからね。でもジュンイチさんはちょっと残念なところね。悪くはないけど、やっぱりイメージからはかなり外れているわね。


確認試験をお願いしてみるけど、あの方達はどう思うかしら。アムダの英雄を直接知っている人たちだから気分を害するかしら?でもあこがれている人たちに対しては大丈夫かしらね。とりあえず連絡を取ってみるしかないわよね。
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