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番外編 後日談
18. ジェンの親友
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二人に会った翌日、ジェンは町の外へと出かけていった。もし日程がずれていたら普通に連絡を取っていたんだけど、ちょうどタイミングも良かったから行ってくると言って出て行った。もう20年以上前のことなんだけど、大丈夫かなあ・・・。
~~ジェンSide~~
メイサンとルミナに会えてよかった。もっと早く会いに来たかったけど、いろいろあってこれなかったからね。
こっちに来てから本当に不安だったときに助けてくれた二人。あのときこの二人と会えなかったらどうなっていただろう?正直なところ本当の両親のように思っている。夕べは遅くまでずっと語り合ったのよね。
オカニウムに来て会いたい人はあと二人。アキラとマラルは元気にしているかしら。一応少し話は聞いているんだけど、私のことをどう思ってくれているのかとても不安なのよね。
あっちの世界でも友人と呼ぶ人は出来たし、親友と言ってもおかしくないくらい深いつきあいの人もいる。でもアキラとマラルほど何でも話せる友人は出来なかった。だからこそ会うのが怖い。
それで少し賭をしてみることにした。実は今回オカニウムに来るのを後回しにしたのもその約束があったからだ。コーランさんにも魔符核のことは今回の事が終わるまで販売するのは待ってもらっている。おそらくあれを販売したらばれてしまうだろうからね。
ちょうど今日がその日になる。少し早い時間に出発して目的の場所へとやって来た。町が拡張されたけど、内陸の方には広がっていなかったのでよかった。約束の場所はまだ当時のまま残っていた。
ここは初めて3人で魔獣を退治した場所だ。あの頃はスライムを倒すのも大変だったのよね。アキラは毒スライムにやられてしまったし・・・。懐かしいなあ。
「もし何かあったときは私達の出会いの場所に集まって私のことを思い出してほしい。」
二人に伝えた言葉だ。最後に会ったときに3人で狩りをしたときの場所の話になり、あれが私達の本当の出会いと言ってもいいわねという話になったのだ。
もちろん何かの目印があるわけでもないし、近くにちょっと特徴のある岩があるくらいの変哲のない場所だ。
もう20年も経ったけど、来てくれているのだろうか? 1時間ほど待っていたが、誰かが現れることはなかった。さすがに20年は長かったわよね・・・。うーん、どうしようかなあ・・・。
来た道を引き返していると、すごい勢いで車が一台やって来て、車を止めると中から女性が二人出てきた。
「ほら、もう1時間も遅くなったじゃない。」
「これでも急いで戻ってきたのよ。まさか途中で車が動かなくなるとは思わなかったわよ。」
「まあ仕事であちこち行っているのは分かっているけどね。まあ少し遅れたけどこのくらいならよしとするかな。」
「それじゃあ、少し離れたところで待機しておいてね。」
「さて、今回も少し飲みながら話でもしますか。」
覚えてくれていた・・・。
20年経ったいまでも覚えてくれていたんだ・・・。
「あ、すみませんね。騒がしくしてしまって・・・。えっ?」
「マルラどうしたの?」
「アキラ、マルラ・・・。ただいま。『仮パーティーアマジの3人で初めて一緒に戦った場所』で良かったかな。えへへへ。」
「「ジェ、ジェン?!」」
「ま、間違いないよね。その合い言葉・・・ほんとにジェンなんだよね?」
「姿が変わっていないことは驚いたけど、間違いないよね?」
「うん、ごめんね心配かけて。」
二人が私に駆け寄ってきて抱きついてきた。
「どこに行っていたのよ!!無くなったと言っても信じられなくて、あの夢を見てからずっと待っていたわよ!!」
「ほんとうに、本当に戻ってきたのね。」
しばらくして落ち着いてきてから話をする。
あれから毎年この日のこの時間に二人で集まっていたようだ。仕事のこともあるけど、この日だけはわがままを許してほしいと伝えて、他の国に行っていたときもわざわざ戻ってきていたらしい。アムダの英雄についていろいろと聞かれたけど、このことだけは誰にも話さなかったようだ。
二人のことを聞くと今は子供達も成人してアキラは孫までいるようだ。話は尽きず、しばらくしてから町に戻り、夜遅くまで話が続いた。
だけど本当のことを話すことが出来なくてごめんね。本当は私にも子供が出来たよって言いたいけど、向こうの世界のことを言わないのはこの世界に来るときに私達が課した制約なんだ。よほどのことが無い限りはこれを破るわけにはいかない。
~アキラSide~
ジェンが亡くなったあと、国で行われた追悼式に出席した。そのときに他の知り合いと話をして同じような夢を見ていた事を聞いて驚いた。もしかして本当に戻ってくるのかな?
町に戻った後、マルラとジェンとのことについて改めて話をした。最後に会ったときに話した約束を続けていこうと言うことだった。
おたがい忙しくなってきても、その日だけは絶対にここに戻ってきて集まろうと決めた。さすがに天候が悪すぎるときはこの場所にとどまるのはあきらめてすぐに町に戻っていたけど、天気がいいときは二人でジェンのことを飲みながら語り合った。
そしてもう20年以上この行事は続いている。途中どうしても都合が付かなくて出来なかったことが一度だけあるけど、それ以外はなんとか都合を合わせて集まってきた。
今年は車のトラブルでマルラが遅れてしまったけど、予定よりも1時間ほど遅れて到着した。最近は車でこの場所まで送ってもらい、ピクニック気分で語り合うのがパターンになっている。
今はお互いに忙しくてなかなか会うことが出来ないから、余計に話すことが尽きないのよね。もういい加減に仕事を引退したいと思っているんだけど、マルラは副支店長だし、私も事務長になっているからなかなかやめさせてくれないのよね。
車を降りるとこんなところに珍しく冒険者と思われる人がいた。少し警戒はしたけど、近くに護衛もいるから大丈夫かな?
マルラが少し声をかけたんだけど、なぜか固まっている。どうしたのかと思って立っていた女性の方を向くと声をかけてきた。
「アキラ、マルラ・・・。ただいま。『仮パーティーアマジの3人で初めて一緒に戦った場所』で良かったかな。えへへへ。」
笑いながら驚くことを言ってきた。
え?え?なんでその合い言葉を知っているの?3人だけの秘密だったことなのに。旦那にも話したことのないのに・・・。
それにその姿・・・当時のままだよね?だけど、だけど、間違いないよね。
「「ジェ、ジェン?!」」
「ま、間違いないよね。その合い言葉・・・ほんとにジェンなんだよね?」
「姿が変わっていないことは驚いたけど、間違いないよね?」
「うん、ごめんね心配かけて。」
しばらく声も出なかった。でもお互いの顔を見て笑いながら泣いていた。本当に戻ってきたのね。
このあとお酒を酌み交わしながらいろいろと話をした。戻ってきてからもいろいろとあってこっちに来るのが遅れたことを謝っていた。
昨日この町に着いてからメイサンとルミナに会ってきたらしい。夕べはずっと3人で話していたようだ。
その後ジュンイチさんとも再会したけど、ジェンと同じく当時の姿のままだった。本当に時間を超えてきたのね。二人はこのあとハクセンやアルモニアにも行ってお世話になった人たちに会ってくるみたい。また落ち着いたらこの町にも戻ってくると言っている。
ただ彼らの事は内緒にしておいてくれと言われたんだけど、仕方が無いわよね。二人が生きていると分かったらいろいろと大変なことになりそうだからね。
~~ジェンSide~~
メイサンとルミナに会えてよかった。もっと早く会いに来たかったけど、いろいろあってこれなかったからね。
こっちに来てから本当に不安だったときに助けてくれた二人。あのときこの二人と会えなかったらどうなっていただろう?正直なところ本当の両親のように思っている。夕べは遅くまでずっと語り合ったのよね。
オカニウムに来て会いたい人はあと二人。アキラとマラルは元気にしているかしら。一応少し話は聞いているんだけど、私のことをどう思ってくれているのかとても不安なのよね。
あっちの世界でも友人と呼ぶ人は出来たし、親友と言ってもおかしくないくらい深いつきあいの人もいる。でもアキラとマラルほど何でも話せる友人は出来なかった。だからこそ会うのが怖い。
それで少し賭をしてみることにした。実は今回オカニウムに来るのを後回しにしたのもその約束があったからだ。コーランさんにも魔符核のことは今回の事が終わるまで販売するのは待ってもらっている。おそらくあれを販売したらばれてしまうだろうからね。
ちょうど今日がその日になる。少し早い時間に出発して目的の場所へとやって来た。町が拡張されたけど、内陸の方には広がっていなかったのでよかった。約束の場所はまだ当時のまま残っていた。
ここは初めて3人で魔獣を退治した場所だ。あの頃はスライムを倒すのも大変だったのよね。アキラは毒スライムにやられてしまったし・・・。懐かしいなあ。
「もし何かあったときは私達の出会いの場所に集まって私のことを思い出してほしい。」
二人に伝えた言葉だ。最後に会ったときに3人で狩りをしたときの場所の話になり、あれが私達の本当の出会いと言ってもいいわねという話になったのだ。
もちろん何かの目印があるわけでもないし、近くにちょっと特徴のある岩があるくらいの変哲のない場所だ。
もう20年も経ったけど、来てくれているのだろうか? 1時間ほど待っていたが、誰かが現れることはなかった。さすがに20年は長かったわよね・・・。うーん、どうしようかなあ・・・。
来た道を引き返していると、すごい勢いで車が一台やって来て、車を止めると中から女性が二人出てきた。
「ほら、もう1時間も遅くなったじゃない。」
「これでも急いで戻ってきたのよ。まさか途中で車が動かなくなるとは思わなかったわよ。」
「まあ仕事であちこち行っているのは分かっているけどね。まあ少し遅れたけどこのくらいならよしとするかな。」
「それじゃあ、少し離れたところで待機しておいてね。」
「さて、今回も少し飲みながら話でもしますか。」
覚えてくれていた・・・。
20年経ったいまでも覚えてくれていたんだ・・・。
「あ、すみませんね。騒がしくしてしまって・・・。えっ?」
「マルラどうしたの?」
「アキラ、マルラ・・・。ただいま。『仮パーティーアマジの3人で初めて一緒に戦った場所』で良かったかな。えへへへ。」
「「ジェ、ジェン?!」」
「ま、間違いないよね。その合い言葉・・・ほんとにジェンなんだよね?」
「姿が変わっていないことは驚いたけど、間違いないよね?」
「うん、ごめんね心配かけて。」
二人が私に駆け寄ってきて抱きついてきた。
「どこに行っていたのよ!!無くなったと言っても信じられなくて、あの夢を見てからずっと待っていたわよ!!」
「ほんとうに、本当に戻ってきたのね。」
しばらくして落ち着いてきてから話をする。
あれから毎年この日のこの時間に二人で集まっていたようだ。仕事のこともあるけど、この日だけはわがままを許してほしいと伝えて、他の国に行っていたときもわざわざ戻ってきていたらしい。アムダの英雄についていろいろと聞かれたけど、このことだけは誰にも話さなかったようだ。
二人のことを聞くと今は子供達も成人してアキラは孫までいるようだ。話は尽きず、しばらくしてから町に戻り、夜遅くまで話が続いた。
だけど本当のことを話すことが出来なくてごめんね。本当は私にも子供が出来たよって言いたいけど、向こうの世界のことを言わないのはこの世界に来るときに私達が課した制約なんだ。よほどのことが無い限りはこれを破るわけにはいかない。
~アキラSide~
ジェンが亡くなったあと、国で行われた追悼式に出席した。そのときに他の知り合いと話をして同じような夢を見ていた事を聞いて驚いた。もしかして本当に戻ってくるのかな?
町に戻った後、マルラとジェンとのことについて改めて話をした。最後に会ったときに話した約束を続けていこうと言うことだった。
おたがい忙しくなってきても、その日だけは絶対にここに戻ってきて集まろうと決めた。さすがに天候が悪すぎるときはこの場所にとどまるのはあきらめてすぐに町に戻っていたけど、天気がいいときは二人でジェンのことを飲みながら語り合った。
そしてもう20年以上この行事は続いている。途中どうしても都合が付かなくて出来なかったことが一度だけあるけど、それ以外はなんとか都合を合わせて集まってきた。
今年は車のトラブルでマルラが遅れてしまったけど、予定よりも1時間ほど遅れて到着した。最近は車でこの場所まで送ってもらい、ピクニック気分で語り合うのがパターンになっている。
今はお互いに忙しくてなかなか会うことが出来ないから、余計に話すことが尽きないのよね。もういい加減に仕事を引退したいと思っているんだけど、マルラは副支店長だし、私も事務長になっているからなかなかやめさせてくれないのよね。
車を降りるとこんなところに珍しく冒険者と思われる人がいた。少し警戒はしたけど、近くに護衛もいるから大丈夫かな?
マルラが少し声をかけたんだけど、なぜか固まっている。どうしたのかと思って立っていた女性の方を向くと声をかけてきた。
「アキラ、マルラ・・・。ただいま。『仮パーティーアマジの3人で初めて一緒に戦った場所』で良かったかな。えへへへ。」
笑いながら驚くことを言ってきた。
え?え?なんでその合い言葉を知っているの?3人だけの秘密だったことなのに。旦那にも話したことのないのに・・・。
それにその姿・・・当時のままだよね?だけど、だけど、間違いないよね。
「「ジェ、ジェン?!」」
「ま、間違いないよね。その合い言葉・・・ほんとにジェンなんだよね?」
「姿が変わっていないことは驚いたけど、間違いないよね?」
「うん、ごめんね心配かけて。」
しばらく声も出なかった。でもお互いの顔を見て笑いながら泣いていた。本当に戻ってきたのね。
このあとお酒を酌み交わしながらいろいろと話をした。戻ってきてからもいろいろとあってこっちに来るのが遅れたことを謝っていた。
昨日この町に着いてからメイサンとルミナに会ってきたらしい。夕べはずっと3人で話していたようだ。
その後ジュンイチさんとも再会したけど、ジェンと同じく当時の姿のままだった。本当に時間を超えてきたのね。二人はこのあとハクセンやアルモニアにも行ってお世話になった人たちに会ってくるみたい。また落ち着いたらこの町にも戻ってくると言っている。
ただ彼らの事は内緒にしておいてくれと言われたんだけど、仕方が無いわよね。二人が生きていると分かったらいろいろと大変なことになりそうだからね。
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