【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

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85. 異世界1290日目 未発見の遺跡の調査

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85. 異世界1290日目 未発見の遺跡の調査
「いろいろあって追い出されたけど、まあ治療が間に合ったから良かったかな?まあ、言いたいことは一杯あるけど、この国の貴族の横暴を考えるとしょうが無いかなあ。納得できたわけじゃないけどね。」

「そうね。子供達が助かったとわかったら誤解も解けるでしょ。まあ貴族がやったことは帳消しにはならないけど、私達への悪意はなくなると信じたいわ。」

「だけど、ペンダントを首に提げていたのは不注意だったなあ。途中で貴族と気付かれたときにしまっておいたらこんなことにはならなかったのにね。」

「仕方が無いわよ。治療の方に集中していて、後でといいながらすっかり忘れていたんだもん。防具を脱いだから見えていたことに気がつかなかったしね。」

 何か見返りを求めてやってことじゃないけど、少しくらいは感謝くらいはしてほしかったなあ。あんなことがあったあとだから町の人達の気持ちもわからんでもないんだけどね。

 町を出てから少し走ったところで拠点を出して休憩を取ることにした。さすがに徹夜なうえ、精神的にかなり疲れているのでこのまま走ると危ないと思ったからだ。2時間ほどの仮眠をとってからもう少し走り、今日は早めに拠点を出して寝ることにした。



 このあともう一つの町を越えると道路がなくなったのでここで車を収納してから走って行くことになった。久々の歩いての移動だなあ。
 どちらかというと岩場の多いサバンナという感じなのでまだ走りやすいのが救いだ。地球の四駆とかだったら走って行けそうなところなんだけど、さすがにこっちの車で無理するのは厳しい。
 その辺の車について一から開発してもらうかなあ?でも単純に4つのタイヤが動くだけじゃなくて回転数とか調整する機構も必要だし、その機構を説明するのがちょっとやっかいなんだよなあ。さすがに自作は無理だろうしね。

「ジェン、久しぶりの走っての長距離移動だけど大丈夫?」

「ええ、収納魔法があるからバッグを背負って走っていたときに比べると大分楽だわ。装備も体にちゃんと合わせたものだから動くのにも邪魔にならないからね。」

 以前はバッグを背負って走っていたことから考えるとかなり楽なのは確かだ。武器も収納しているから邪魔にはならないしね。

「夜はさすがに交代で見張りをしないといけないと思うから早めに拠点を出して休むことにするよ。魔獣も結構いるみたいだからね。」

「わかったわ。」

 ちなみに飛翔魔法は結構早く移動できるようにはなっているんだけど、長時間の移動の場合は速度的には走るのと変わらないことと、精神的にかなり疲労するため、移動手段として連続して使うのは厳しいという状態だ。なので障害物を越えたり、何かあったときに使う程度にしている。
 魔道具を補助に使うとそれなりには使えるけど、魔獣石の消費の問題も出てくるし、飛んでの移動は空を飛ぶ魔獣の標的になりやすいので危ないというのもある。飛んでいるときはさすがに索敵範囲を絞らないと無理なので、いきなり襲われてしまう危険性も高いからね。
 これでも結構訓練したんだけどなかなか思うようにはならない。小説みたいに自由に飛び回るというのは諦めた方がいいだろうな。まあ他の人に見られても結構まずいことになりかねないしね。


 このあたりは冒険者もあまり来ないようなので魔獣の数が多い。目的は狩りではないのでできるだけ魔獣との遭遇は避けながら進んでいく。今のところ上階位くらいまでしか見かけないけど、もっと西に行ったら良階位の魔獣とかも出てきそうだなあ。

 途中で拠点に泊まりながら西へと進むと、予想通り途中から良階位の魔獣も見かけるようになってきた。さすがにこうなってくると拠点で安らかに眠るというわけにもいかないので交代で寝ることになってしまった。
 このため5時には拠点を出す場所を決めて夕食をとり、6時からは交代で眠ることになった。早めに休憩を取るので3時間ずつは眠ることができるので疲労はそれほど無い。

 車が使えなくなってから4日目にやっと目的の地域までやってきた。ちょっとずつ標高が高くなってきていて、岩場が多くなってきている。また遺跡がなくなっているということが無いことを願う。

 やっと目的の場所にやってきたが何もなかった。何もなかったと言うよりは、目的の場所は地面の下だった。これは埋もれてしまったんだろうか?それとも地下に造られていたのだろうか?おなかもすいたのでサンドイッチで簡単に昼食を済ませてから探索に取りかかる。


 地面を探索をすると、ここも岩盤のように固いものがあるみたいだ。

「例の島で地面を探索したときと感覚が似ているね。」

「そうね。ここも地下に結構なエリアの施設が広がっているのかな?島のように今も設備が使える感じだったらいいのになあ。」

 地面の探索をしながら調査していると、高台の一部が壊れているところがあった。

「これって遺跡の一部が崩れたのかな?かなりの広さみたいだけど、高さも50キヤルドくらいあるよね。結構な広さの空洞だったということかな?」

「島の遺跡の時にもあった大きな空洞と一緒かな?草とかも生えているので崩壊したのはかなり前だと思うけど、とりあえず見てみるしかないわね。」

 飛翔魔法で下まで降りてみるが、下の部分はがれきに埋もれてしまっていてぱっと見では遺跡があるようには見えない。ただ壊れていると言うことは魔力が維持できていなかったと言うことなのだろうか?

「遺跡があるかはがれきを除かないとよくわからないけど、崖の一部を見る限りは遺跡だった感じだよね?かなり風化しているけど模様のようなものも見えるし。」

「うん、でもがれきの量を考えたら取り除くのにかなり時間がかかりそうだから、時間を考えると先に拠点を決めた方がいいんじゃない?」

 崖の近くはさすがに怖いので、崩壊したがれきをある程度片付けたホールの中心あたりに拠点を出す。拠点を出した後は、拠点の周りを一定区間空けてからがれき積み重ねて壁のようにしておく。収納魔法と重量軽減魔法があると思ったよりも楽に動かすことができた。壁はかなりの厚さになるのでこれだけでも十分に魔獣を防ぐことができると思う。壁の高さも3キヤルドくらいにしたからね。

 場所が確保できたところで広範囲に探索して魔獣がいないかを確認すると、良階位までの魔獣がいるみたいだ。

「このあたりは魔素が薄いのか、ここまで来る途中よりは魔獣の階位が低いような感じがするね。とりあえず探索に引っかかる魔獣は倒しておいた方がいいだろうね。良階位の魔獣だけは先に二人で倒して、そのあとは手分けして魔獣を狩っていこう。」

「もう訓練という前提でなくて魔法主体でいいんだよね?」

「うん、今は時間や安全を重視した方がいいからね。素材はできるだけ確保した方がいいけど、無理はしなくていいからね。」

 良階位の魔物は蹴兎だけだったのでまだよかった。そのあとは手分けして魔獣を狩っていく。とりあえず拠点を建てたところから索敵に引っかかる魔獣はすべて倒しておいた。
 あとはどのくらいの周期でどの程度の魔獣が湧いてくるかだな。上階位レベルであれば拠点の魔獣よけで大丈夫だけど、良階位が湧くようだったら気をつけなければならない。
 まあ拠点がある上、かなり頑丈に壁も造ったので良階位の魔獣でもすぐに襲われてやられることは無いとは思うんだけどね。

 一通りの準備が終わったところで拠点に入り、夕食をとる。大丈夫とは思うんだが、安心はできないので交代で寝ることにした。遺跡の調査にはかなり時間がかかりそうなのである程度問題ないとわかればちゃんと睡眠をとるようにした方がいいかもしれないね。



 0時に起きてから朝食をとり、今日から遺跡の発掘に取りかかる。まずは道しるべの玉の方向の壁のがれきを除いていく。崩壊している岩がかなり多いので時間がかかってしまうのはしょうが無い。
 岩を収納してから拠点の壁の補強をする感じに置いていくと、何重にも壁ができてきたので正直良階位の魔獣でもいきなり襲いかかるのは無理じゃないかな?一番外側の壁は高さ5キヤルドもあるし、途中に罠も仕掛けているしね。
 このがれきの整理だけで数日費やしてしまったけど、まあその分安全な拠点ができたからよしとしよう。草や木が生えている状態から考えると、天井が壊れてから何十年も経った感じはしない。おそらく長くても10年とかなのかな?もともと樹木が少ないエリアなのでわかりにくいな。


 闘技場か何かのスペースだったのか、壁にいくつか扉が見つかったんだけど、中は倉庫のような感じだった。もともとは鍵がかかっていたみたいだけど、すでに魔力が通っていないせいか壊れてしまっているのであっさりと開けることができた。
 中には何かが置かれていたような跡があるけど、すでにかなりの年月が経っていたせいか何があったのかよくわからない状態だった。もう風化してしまっている感じで、金属と思われるものが少し残っているくらいだ。金属は鉄だったので風化してしまっているのはしょうが無いな。
 数日かけてがれきの整理が終わったけど、遺跡の端にあったのか、通路は一つだけだった。それ以外には倉庫になっているだけだった。

 通路の壁は一応大丈夫そうだけど、崩れてもおかしくないので何かあればすぐに脱出しなければならない。もしもの時のために部屋になるような形に加工した岩を収納している。崩れてきたらひとまずその下に入ればなんとかなると思っている。

 あまり振動を立てないように進んでいくけど、中には魔獣の気配もあるので気をつけなければならない。途中現れる魔獣は振動が起こらないように魔法で一気に仕留めていく。まあ出てくるのは並階位と上階位の魔獣なのでまだよかった。前みたいに良階位の魔獣が出てくるのは勘弁してほしいところだ。

 しばらく歩くと広いエリアに出た。暗くてよくわからないけど、ヤーマンでみた遺跡のようなところだろうか?ただここは光がないせいか木々は生えていないようだ。

「強い魔獣の気配もないので光魔法であたりを照らしてみるよ。」

「ええ、その方がいいわね。私も一緒に光魔法を出すわ。」

 かなり強めに光り魔法を出すとあたりの様子が見えるようになった。

「町!?」

 そこにあったのは様々な建物の集まった町だった。もちろん人の気配はないけど、間違いなく町の跡だった。ここは天井まで30キヤルドくらいの大きなホールとなっているが、壊れてしまったらしゃれにならないだろう。

 途中襲ってくる魔獣を倒しながら町の調査を続ける。もともといた住人はここでなくなったわけではないのだろうか?急にいなくなったにしては生活の跡という感じがない。
 ポンペイの町のように急に死んでしまったらいろいろと生活の形跡が残っていてもいいはずだ。風化してしまっているので正確にはわからないけど、ほとんどのものが持ち出された後という感じだった。
 広さも結構あるのでここの調査だけでもかなりの日数を費やしてしまうことになるだろう。途中でこの町の地図を見つけることができたので良かったけどね。岩に刻まれていたから残ってくれていて助かった。

 先ほどのエリアから通路でこのエリアにつながっているんだけど、建物の数から考えて2000~4000人くらいの規模だろうか?町と言うよりはシェルターと言った感じなのかもしれない。

 居住エリアの奥には頑丈そうな扉があって奥に通路がつながっている。通路を進むとコンピューターのようなものが置かれていたような部屋があった。もちろんぼろぼろで動く感じではないけど、おそらくコントロールルームではないかと思う。ちなみに転移先はこの途中にあった少し広めの部屋だった。

 残っている金属はミスリルなどの合金みたいなので、他の遺跡とかでも回収されているものだろう。本とかも置いていたのかもしれないけど、棚のような跡だけが残っていた。

 簡単な調査だけでも二日もかかったくらいなので、一つ一つ建物とか見ていったらどのくらい時間がかかるかは正直わからないな。

「ジェン、せっかくここまできたんだからゆっくり調査しようと思っているけどいいか?」

「いいわよ。特に急ぐ旅でもないし、もともと遺跡の調査をするために来たようなものだしね。ただ島の遺跡みたいに快適ではないのが残念なところね。」

「あそこはなぜか動力が残っていたからね。でも魔道具があるからまだいいんじゃないか?拠点があるだけでもかなり快適だしね。」

 とりあえず腰を落ち着けて遺跡の調査をすることになった。まあ少なくとも1ヶ月とかで終わるものでもないだろうからのんびりやっていくしかないな。



 最初の頃は安全の確保を考えて夜は交代で見張りを行っていたんだけど、湧いてくるのは上階位の魔獣だけで、良階位の魔獣は奥地からやってくる感じだった。このため定期的に狩りをすれば大丈夫と言うことがわかったのでだいぶ楽になった。まあかなり頑丈な壁があるからそれだけでも十分なのかもしれないけどね。
 3日調査、1日訓練、1日休みのいつもの5日サイクルで行った。訓練は狩りを行ったり、ジェンと二人で模擬戦を行ったりだ。
 休日はお弁当を作ってピクニックに行ったり、拠点で本を読んだり、一日じゃれ合ったりした。最初の頃はさすがに自制していたんだけど、ある程度経って安全とわかると自制が効かなかったからなあ。
 二人ともそこまで知識が無かったんだけど、やっぱり自然といろいろとやることも増えてくるし、ジェンがこっそりとそっち系の本を買っていたのには驚いた。それで最近はサービスが良くなってきたんだなあ・・・。そういうとかなり本気でビンタされた。そのあと機嫌を直してもらうまでが大変だったよ。



 すべての調査を終えるのに結局3ヶ月もかかってしまったのはしょうが無いだろう。まあ拠点も快適だったし、不自由なかったからこれだけ長くいても特に気にならなかった。それに一人だったら耐えられなかったかもしれないけど、ジェンと二人だったからね。
 探索を使いながら建物を一つ一つ調べていったし、残ったものから金属関係を抽出したりとかやることは一杯だった。さすがに後半は飽きてきて休暇の割合が多くなったのは仕方が無いだろう。

 色々と調査してわかったことはここが自給自足を基本とした避難所だったと言うことだった。古代文明滅亡の際に使ったものかどうかはわからないけど、いわゆるシェルターのようなものだろう。
 最初にいたところは闘技場とかでなく、農園のようなところだったみたいだ。どのような環境だったのかわからないが、水分も多かったせいで崩壊が早かったと思われる。もしかしたらギリギリまで植物が育っていて壁をもろくしていたのかもしれない。
 居住エリアには様々な建物があり、中には教会があったんだけど、教会は前の神を祀ったものだった。役場のような建物などもあり、一つの町として機能していたと思われる。宿屋という感じのところはなかったので外と交流があったわけではなかったのだろう。
 その奥にはコントロールルームがあり、いくつかの部屋は動力などになっていたと思われる装置が色々と置かれていた。
 あと他でも見た魔獣から魔素を吸収するための部屋と思われるところがあった。すでに機能は失われていたし、魔獣石はすべてなくなっていたので、機能が無くなった後で魔獣石のみ消費されたのかもしれない。

 ここに住んでいた人はここで亡くなったのではなく、ここを出て行ったような感じだった。一つ気になったのはコントロールルームの壁に削られた文字だ。「失われていく」や「わからなくなった」という文字が刻まれていたのだ。
 これはやはり知識が失われたと言うことなんだろうか?いくら先端技術があったとしても原理を失ってしまえばその文明は滅びてしまうだろう。町の機能が失われてしまったらもっと住みやすい場所に移動するだろう。
 それ以前にどのくらいの期間ここで生活していたのかわからないけど、ずっとここにこもった生活と言うことが果たしてできたのだろうか?数ヶ月ならまだしも年単位になってしまうといろいろとひずみが出てくるだろう。

 いろいろと謎は残ったんだけど、特に手がかりになるようなものはこれ以上見つからなかった。とはいえ、今回の遺跡の調査の戦利品はそれなりにあった。


 扉などはオリハルコンやミスリルがそれなりに使われていたので1キグムのインゴットとして取り出している。他にも金や銀などの貴金属や金属も取り出してインゴットにしている。そのほかケーブル関係がかなりの量あったので、全部とまではいかなかったが、かなりの量を確保した。
 値段を考えると売るだけでもかなりの金額になるけど、オリハルコンとミスリルはせっかくなら装備にこれを使いたいところだよね。今の自分たちには加工はできないからどこかに頼まないといけない。加工費がかかるけど、材料費持ち込みなら安くなるだろう。

 収納バッグはなんと5つ見つかった。3つは隠し扉のようになったところにあったんだけど、隠した本人が忘れてしまったのかもしれない。中にものが入っていたらしく、隠し扉が吹っ飛んでいて近くにアクセサリーとかが散らばっていたので見つけることができた。他にも何かが入っていたようだけど、朽ちてしまっていてよくわからなかった。
 収納バッグの大きさは2つは2キリル、2つは5キリルだったけど、1つは30キリルとかなり大きなものだった。これだけでも一財産だな。
 あとはアクセサリー関係でミスリルなどで作られた物だけは残っていた。宝石などは見つからなかったのでやはり住人が出て行くときに持っていったんだろう。あったのはこの収納バッグに入っていたものだけである。
 他にもミスリルなどが入った魔符核の魔道具は残っていたんだが、そこまでたいしたものではない。まあ結構な数があったので売ればそれなりの金額にはなると思うけどね。収納バッグもあったのでできるだけ持って帰ることにした。

 他にもいくつか役に立ちそうなものも見つかったのでここに来た甲斐はあったというものだ。今までの遺跡にもあったかもしれないけど、素材としてすべて加工されてしまっていたんだろうなあ。材料にミスリルとかが使われているものだったからね。まあそのおかげで朽ちずに残っていたんだろうけど。


~ジェンSide~
 今回の遺跡は最初見たときは本当に驚いてしまったわ。まさかこんな町がそのまま残っているなんてすごいわね。洞窟に住んでいたという感じじゃなくてほんとうに地下に造られた都市という感じだったからね。
 いくらシェルターだったとしてもここに住んでいた人達はかなりのお金持ちだったのかなあ?いくら古代の技術があってもそんなに簡単に造れる物じゃないわよね。

 今回の遺跡調査の最後は金属の抽出とか単調な作業も多くてつらかったけど、途中でピクニックに行ったりとかいろいろと楽しいこともあったわ。根を詰めてやっていたらやっぱり大変だったと思う。イチは長期で何かやるときは一定サイクルで行うことが多いから助かっているのよね。

 今回は山登りに行ったりとか、川で魚釣りをしたりとかいろいろと楽しんだんだけど、驚いたのはその途中で温泉を見つけたことだったわ。川の付近で湯気が上がっているのを見つけたので行ってみると温泉が湧いていたのにはイチも驚いていた。
 温泉はそのまま川に流れ込んでいたので、イチはさっそく湯船を掘ってからお湯をためるといい感じの温泉になったのよね。地球では河原を掘ると温泉が出るところに行ったことがあるらしいけど、掘るのが大変で小さな湯船しか作れなかったらしくて、土魔法があって良かったと言っていた。
 あたりに魔獣も出るので先に魔獣の退治をしておかなければならなかったし、入っているときも索敵をしなければならなかったけど、十分温泉を楽しめたのは良かったわ。イチもかなり喜んでいたからね。イチが手を出してきたけど、さすがに最後までは自重したわよ。おかげで拠点に戻ってからが大変だったけどね。

 アキラが持たせてくれた本をイチに見つかったときは本当に恥ずかしかったわ。最近はいろいろとやってあげるととても喜んでいたので頑張っていたんだけど、しばらくはお預けにしたら最後は土下座して謝ってきたのよね。まあ、私も我慢できなくなるから許してあげたけど・・・。


~~~~~

 転移魔法はこっちの国に来るときに自分も使えるようになっていた。ただ覚えたからと言っていきなり転移ができるようになるわけではない。先行して習得していたジェンには少し話を聞いていたんだけど、正直よくわからない数値が浮かんでくるのだ。
 今回の鍛錬で転移魔法のレベルが2に上がったんだけど、このレベルでも転移ができるわけではない。転移するにはレベル3以上が必要になってくるみたいなんだけど、とりあえずこの検証をいくつか行った。

 転移魔法って小説などでは定番のものなんだけど、そんな簡単なものなのかといつも思っているものだ。SFに出てくるワープとかもそうだけど、転移先についてはコンピュータでいろいろと複雑な計算をして空間軸をつなげて移動するとか、異空間経由で別の場所に移動するとか結構大変なものとなっている。
 まあ魔法なのでそんな複雑なことを考えなくても使えると言うことでいいのかもしれないけど、そんなに簡単に使えるというのもかなり怖いと思ってしまう。覚えたら自由に使えるとなれば犯罪に使い放題になってしまう。

 転移魔法についてはこの世界の文献を読んだんだが、基本的には何もわかっていないというレベルだ。転移魔法というものがあって離れた場所に移動できると言うだけのものだ。それとおそらく道しるべの玉に関わる伝承だ。
 そこで唯一参考となるのがガイド本である。簡単だけどガイド本に説明が書かれているのが救いだった。レベル1では自分のいる座標軸を確認することができるようになると説明されていた。

 現在地の位置情報と念じると、かなりの桁数の数値が3つ浮かんでくるが、その数値の基準がよくわからない。道しるべの玉の示すような緯度・経度・標高と言うわけではないし、動かなくても数値を念じるたびに数値がちょっとずつ変わっていくのだ。
 ただジェンと少し離れた場所で数字を確認するとやはり若干の差があるのは確認できた。その数値の差から考えると、一番下の数字の距離が0.01ヤルド(0.01mm)くらいという感じだった。数字が変わっていくため正確ではないけど単位的にはそのくらいのものだ。かなり細かいということになる。
 その距離から表示される数値を考えると、表示される数字の距離は地球から太陽くらいの距離に相当する。つまり地球のどこからの数値ではなく、太陽系のどこかの宇宙空間からの距離と言うことなのかな?数値が変わるのはよくある宇宙が膨張しているとか、地球が公転・自転しているということが関係しているのだろうか。まあ宇宙の膨張とかも本当なのかわからないからなんとも言えないけどね。
 宇宙誕生の最初の地点とかだったら数値がもっと大変なことになってしまっていただろう。なんでこの位置が起点なのかは考えても仕方が無いのでそれは放置しておく。

 そしてレベル2で転移先の座標の指定ができるようになるとなっているんだけど、位置情報は刻一刻と変わっているので転移先を指定できないと言うことになる。もしこれがずれてしまったら「石の中にいる」になりかねない。まあ転移できませんとなると思うけど、変なところに転移してしまうと言うこともあり得るのだ。
 ここで考えたのは座標軸を示すのがあくまで参考としてであり、現在地からどの方向にどれだけ移動すればいいのかというのがわかればいいのではないかと言うことだった。しかし色々と確認してみると、やはり自転や公転の影響なのか、方向も変わってしまうのでだめだった。
 お手上げだと思ったところで道しるべの玉のことを思い出した。これを確認すると、今まで表示されていた数値の他に転移魔法で出る数値が一緒に表示されていたのだ。これは転移魔法を使える人だけが見えるものなのかもしれない。
 これを使えばあまり考えることなく転移できると言うことなのか?道しるべの玉は思った以上に優れたナビシステムなのかもしれない。

 実際に転移できるかどうかはレベルが上がってみなければわからないけど、転移ができそうなことはわかったのでほっとする。
 しかし転移魔法ができるようになってもこれがなかったらおそらく転移できないと言うことだよね?転移したら宇宙空間だったとか言うこともあってもおかしくないので正直怖すぎだよ。自転で位置が変わっていると言うだけでもかなりの距離を動いているわけだからね。

 あと、転移の時の運動量とかがどうなるのかわからないけど、転移の瞬間の運動エネルギーが0として転移されるのかな?そうしないと別の場所に転移したときの運動エネルギーの方向が変なことになるよね?
 例えば地球の反対側に移動したとしたら運動エネルギーが真反対になるので転移した瞬間に吹っ飛んでしまうことになるぞ。
 でも運動エネルギーが0ってことは分子の振動もないってことになるので絶対零度まで温度が下がってしまわないか?まあそれを言うなら収納魔法も同じなので何かしらの力が働いてくれると信じたい。



 今回鍛錬したことでまたちょっとずつスキルが上がっていた。
 戦闘関係は二人とも体術が4になり、他に1だったものが2にあがった。ジェンも戦士クラスが3まで上がっていたのでやはり他の武器についても覚えて正解だったね。普段使わない装備は初心者用の装備を一式持ち運んでいるからね。ただ2までは結構あっさりと上がってくれるんだけど、ここからが大変だ。

 他には自分は突撃が、ジェンは回避がそれぞれレベル4に上がった。レベルが上がるとやはり動くときの補助が大きくなったのが実感できる。思った以上に素早く動くからね。

 魔素の扱いについては自分も魔素放出が4に上がり、さらに二人ともに魔素操作が5まであがっていた。やっとレベル5のスキルが出始めてほっとしている。そして光と闇魔法もレベル4まで上がっていた。
 レベルが上がったせいか、クラスが魔法使いから魔道士になっていた。なんかちょっと上位クラスになったというのが実感できる。クラスで魔道士を持っている人はそんなにいないと思うからね。

 次元魔法は二人ともレベル3になっているので二人で200キリル分の容量となって荷物はかなり余裕となっている。正直100キリルとなるとどれだけ入るのかざっくりでもわかりにくくて困ってしまう。もう一段階上がったらもう収納に関しては気にしなくていいレベルだろう。
 これ以外にも収納バッグだけで合計で60キリルくらいあるのでダミー用に小さいものを残して売ってしまってもいいのかもしれない。まあこれはオークションとか出せるときに考えよう。

 肉体強化などの強化系は魔素操作が上がったせいか全体的に上がった。このあたりは戦闘にかなり影響しているのでありがたいスキルだ。魔力や治癒力強化も自分もレベルが上がっていた。

 知識関係も少しだけレベルが5に上がるものが出てきた。自分は算学と自然科学、ジェンは植物学、医学だ。今回は結構勉強にも力を入れていたからね。レベル5のものが出てきてがぜんやる気も出てきている。どのくらいで上がるのかが見えてきたからね。

 言語はナンホウ大陸の言葉は大方習得できている。もちろんジェンの方が習得が早いので今はジェンに習いながら勉強している感じだ。ジェンは古代語まで習得し始めているのでなかなかすごい。

 技術関係ではジェンの調合レベルが4に上がっていた。技術系のスキルを上げるのは結構厳しいと思っていたんだけど、移動中に薬草を見つけては治癒薬とかをよく作っているからね。正直かなりたまっているのでどうしようかと思っているところだ。カサス商会に引き取ってもらうのがいいかもしれないな。

 索敵や隠密のレベルも4にあがったのはとてもうれしい。まあしょっちゅう使っているスキルなのであがってもおかしくは無かったんだけどね。あと罠関係のスキルも上がってくれた。

 解体のスキルはいろいろと新しい魔獣の解体をしたおかげかレベルが4に上がってくれた。やはり良階位の魔獣を倒して解体する機会が増えたのが大きいのだろう。解体魔法の時間もさらに短くなってきたしね。

 装備は自分で補修しながら使っていることもあり、今のところ新しいものには変えていない。まあ今は狩りも魔法をメインにしているので装備への負担も小さいからね。さすがに遠出しているときに装備が壊れたらしゃれにならないので安全が一番だ。


~ジュンイチとジェニファーのステータス~

名前:ジュンイチ(大岡純一郎)
生年月日:998年10月30日
年齢:20歳
国籍:ヤーマン国
職業:冒険者(良階位・アース) ハクセン下位爵 ヤーマン下位爵
賞罰:ハクセン緑玉章 ヤーマン緑玉章
資格:車運転
クラス:戦士(武術力向上-3)、魔道士(魔力向上-4)、治癒士(治癒力向上-2)、学者(思考力向上-3)、技術者(技術力向上-3)、神の祝福(物理耐性上昇-4、魔法耐性上昇-4、能力吸収上昇-2)
婚姻:ジェニファー

スキル:
体術-4、片手剣-4、両手剣-2、短剣-3、槍-2、斧-2、杖-2、槌-3、弓-1、盾-4、刀剣-1
威圧-3、突撃-4、回避-3
一般魔法-4、火魔法-4、風魔法-4、水魔法-4、土魔法-4、氷魔法-4、雷魔法-4、光魔法-4、闇魔法-4、次元魔法-3、転移魔法-2
治癒魔法-4、回復魔法-4
肉体硬化-4、筋力強化-4、持久力強化-4、俊敏強化-4、魔力強化-3、治癒力強化-3
毒耐性-4、麻痺耐性-4、睡眠耐性-4
演奏-1、歌唱-1、絵画-2、彫刻-2、舞踊-1、植栽-1、工作-3、料理-3、裁縫-2
日本語-5、英語-5、ヤーマン語-5、ライハンドリア公用語-5、ハクセン語-4、モクニク語-4、サビオニア語-4、古代ライハン語-2、古代ホクサイ語-2、スペイン語-2、タイカン語-3、古代ナンホウ語-2
思考強化-3、鑑定-4
索敵-4、罠探知-4、罠解除-4、隠密-4
鍛冶-3、調合-2、錬金-3、付与-3、商人-3
採掘-2、採取-2、解体-4、解体魔法-4

知識スキル:
戦学-4、武学-4、防学-4
魔法学-4、魔素吸収-4、魔素放出-3、魔素操作-5
算学-5、自然科学-5、社会科学-4、生物学-4、植物学-4、地学-4-、神学-4、医学-4、天文学-4、言語学-5
罠学-4、鍛冶学-4、調合学-3、錬金学-3、付与学-4
ガイド本-3

秘匿スキル:
カムヒの祝福(魔術吸収上昇)
アミナの祝福(知識吸収上昇)
タミスの祝福(技術吸収上昇)
イギナの祝福(芸術吸収上昇)


名前:ジェニファー(ジェニファー・クーコ)
生年月日:998年12月15日
年齢:20歳
国籍:ヤーマン国
職業:冒険者(良階位・アース) ハクセン下位爵 ヤーマン下位爵
賞罰:ハクセン緑玉章 ヤーマン緑玉章
資格:車運転
クラス:戦士(武術力向上-2)、魔道士(魔力向上-4)、治癒士(治癒力向上-2)、学者(思考力向上-3)、技術者(技術力向上-3)、神の祝福(物理耐性上昇-4、魔法耐性上昇-4、能力吸収上昇-2)
婚姻;ジュンイチ

スキル:
体術-4、片手剣-2、両手剣-2、短剣-4、槍-2、斧-2、杖-3、槌-2、弓-2、盾-4
威圧-3、突撃-3、回避-4
一般魔法-4、火魔法-4、風魔法-4、水魔法-4、土魔法-4、氷魔法-4、雷魔法-4、光魔法-4、闇魔法-4、次元魔法-3、転移魔法-2
治癒魔法-4、回復魔法-4
肉体硬化-4、筋力強化-4、持久力強化-4、俊敏強化-4、魔力強化-3、治癒力強化-3
毒耐性-4、麻痺耐性-4、睡眠耐性-4
演奏-3、歌唱-2、絵画-3、彫刻-1、舞踊-3、植栽-1、工作-1、料理-3、裁縫-2
英語-5、スペイン語-4、ドイツ語-3、フランス語-3、中国語-2、日本語-5、ヤーマン語-5、ライハンドリア公用語-5、ハクセン語-4、モクニク語-4、サビオニア語-4、古代ライハン語-2、古代ホクサイ語-2、タイカン語-4、古代ナンホウ語-2、古代トウセイ語-2、古代キクライ語-2、アウトラス語-1、キクライ語-1
思考強化-3、鑑定-4
索敵-4、罠探知-2、罠解除-2、隠密-4
鍛冶-3、調合-4、錬金-2、付与-3、商人-3
採掘-2、採取-2、解体-4、解体魔法-4

知識スキル:
戦学-4、武学-4、防学-4
魔法学-4、魔素吸収-4、魔素放出-4、魔素操作-5
算学-4、自然科学-4、社会科学-4、生物学-4、植物学-5、地学-4、神学-4、医学-5、天文学-4、言語学-5
罠学-3、鍛冶学-4、調合学-4、錬金学-3、付与学-4
ガイド本-3

秘匿スキル:
カムヒの祝福(魔術吸収上昇)
アミナの祝福(知識吸収上昇)
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上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
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それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

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 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

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手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

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命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

レベルアップは異世界がおすすめ!

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レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

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