月の瞳に囚われて

深緋莉楓

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第27話 無何有郷

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 逢魔刻までの時間、自分から本当に穢れが抜けたのか、目の前にいる二人と同じ身体になったのか確かめたくて、果物を口にした。恐る恐る財布を触っては痺れに似た痛みに手を振る俺を見て二人はおもしろそうに笑っている。

「深海、開くぞ。良いか?」

 そう言った朱雀に頷いた途端、慌てて白虎が俺の腕を掴んだ。

「待って、燐。こちらの世界から郷に行く時の注意を聞いてもらってからでないと!」
「ああそうか……そうだな」
「深海さん。今から朱雀が道を開きます。道自体は昨日見たから解りますね?」

 真剣な様子の白虎に素直に頷く。

「右手を朱雀が、左手を私が引きます。深海さんは目を閉じて、何を聞いても……何が聞こえても、絶対に振り返らないでください。振り返るということはこの世界に未練があるということです」
「深海のじいさんとばあさんのことで白虎が反対したのはそこだ。この世にお前を覚えている人間が一人もいなければ、引き止めようと言葉をかけてくるヤツはいねえ。でも俺は二人と契約して記憶を消していない。それが白虎を不安にさせてんだよ。穢れの付け入る隙を与えちまった。あの二人の記憶も消してたらこんな不安はなかったはずだからな。で、もしお前が振り返ったら……」
「郷には行けない。ってことだろ?」
「行けないですし、深海さんの身体からは完璧に穢れが抜けていますから、こちらの世界に戻れるかもどうか。戻れても消えてしまうかも知れません……何も聞こえないかも知れないし、本当に解らないことだらけなんですけど……」

 穢れだって綺麗な世界に行きたいのだという。けれど実体もなく、自力で郷への道を開く程の強い思いもなく、郷へ迎えられるこの世の住人を羨んで呼び戻そうとするのだという。
 自分達は行けないのだから、お前も行くな、ということだろうか。
 身体に残った穢れや思い出がその呼びかけに反応して、どうでも良かったはずのことにもつい反応して振り返ってしまう人もいるらしい。

 似たような日本神話があったな、と思い出す。あれは死んだ妻を黄泉よみの国から連れ戻すのに、地上に出るまでは振り返ってはならないってヤツで。ギリシャ神話にもあったな。

「解った。俺は二人を信じて、ルナのことしか考えない。例えどんな声が聞こえてきても大丈夫。教えてくれてありがと!」
「うし。大丈夫そうだ。開くぞ……開っと」

 ガッシリ男らしい朱雀の手、スラリと長い指をした綺麗な白虎の手、それぞれに両手を繋がれて、俺は深呼吸一つで目を閉じた。
 これから真っ暗なもやの中に入る。

「では、行きます」
「お願いします」

 周りの空気が変わった。
 ヒヤリとした空気がゆったりと渦を巻いて、俺が何者か確かめるかのように頬や身体、髪を撫でていく。悪い気はしない。
 言われた通りに目を閉じて、ルナのことだけ考えた。

「あ」

 思わず足が止まった。ぎゅっと左手をきつく握られる。白虎が心配しているのがヒシヒシと伝わってくる。

「なんか聞こえんのか?」

 珍しく心配そうな朱雀の声がする。どんな顔をしてるのか見たいけど、目は開けない約束だから我慢だ。

「うん。じいちゃんとばあちゃんの声がする……ふふっ大丈夫! 深海がんばれよー! 幸せになれよー! って。紅白の神様、お願いします! って。紅白の神様って朱雀と白虎のことだろうね。行こう」
「……穢れは絡んでこれねぇか……よし、行こう」

 じいちゃんとばあちゃんの声援に背中を押されて、迷うことなく足を踏み出す。

 ものすごく長い時間、靄の中を歩いていたような気もするし、ほんの数百メートルを歩いただけの気もする。
 気付いたら冷たかった空気が少し温かかった。

「気分はどうだ、深海」
「……うん、平気」
「目を開けて良いですよ」

 白虎に促されて目を開けて、愕然とした。
 ルナが教えてくれた郷の風景。
 年中花が咲いていてとても美しい、とルナは懐かしむような慈しむような表情で教えてくれた。 

 今、俺が見ている世界は……。

 花なんて咲いていない。
 鳥一羽飛んでいないし、動物の鳴き声すらしない。
 元気のない枯れる寸前の緑。
 乾いた土地。

「な、に、コレ……」

 直感でコレは違うと思った。こんなのはルナが愛している世界じゃない。

「コレが無何有郷?」
「そうだよ。驚いた? よね。僕達も驚いてるんだよね」

 朱雀とも白虎とも違う、飄々とした口調の男の声に我に返ると、白虎と同じくらいの背丈の金茶色の髪の男がいた。

和子わこの伴侶殿でしょ? 良い男じゃん! 和子にお似合いだよぉ! 本当はさ? 僕が行って色々お話してみたかったんだけどね、朱雀と白虎がダメだって。僕じゃちゃんと見極められないって帝にも言われたんだよね、失礼だと思わない? 僕だってできるっての! てかさ、和子の話をちゃんと聞いていれば見極める必要も反対する必要もないと思わない? ないと思うんだけどなぁ~だってさ、御魂が呼び合ってんでしょ? じゃあ間違いないよねぇ! 何より和子が良いって言ってるんだから良いよね! それにたった二日で覚悟決めちゃうくらい和子のこと想ってくれてるんだから、僕からしたらなーんの文句もないよっ!」

 すっげぇ喋る……。とにかく喋る……。ということは、だ。

「青龍さん……?」
「うわあ! 嬉しいなぁ! 僕のこと知ってるの? そうそう、自己紹介がまだだったよね! 僕、青龍です! 青龍さん、なんて呼ばれると恥ずかしいから、青龍って呼んでくださいな、と。で、ようこそ郷へぶぶぶぶ」

 朱雀の掌が喋り続ける青龍の口を塞いで、それでも何か喋り続けている彼からは

「へぶぶぶぶ、ふごむごがごご」

 と理解不能な音が聞こえている。

「……よく来た」

 青龍の背後から現れた男は確かにあのゲームの寡黙な主人公に似ていた。髪の色が違うくらいで、よく似ている。濃い緑の髪に茶色の目。その目がじっとこちらを見つめている。
 今この瞬間、この男に俺は見極められている。幸いなのは尾白のような敵意はない、ということだ。

「玄武さんですね。初めまして」
「…………呼び捨て…………許可する」
「……ありがとうございます」
「…………敬語…………拒否する」

 認められたってことかな、と白虎を見ると、大きく頷いたので認められたのだと思う。
 朱雀は相変わらず青龍の口を押さえていて、青龍はちょっとだけ……くたり、としている。

「白虎、あれ、大丈夫……?」
「ええ、いつものことです。はい、ちょっと! そこの二人!」

 ぱん、と手を打ち鳴らして二人を呼ぶ。

「さっさと始めますよ! 深海さん、これから貴方を郷の住人にする為に力を与えます。本当は館でゆっくりと行いたいところですが、ここで許してくださいね」
「え、住人になるには一人が認めてくれたら良いんじゃないの?」
「そうだけどな。まぁ、四方守護が全員認めたなら帝も話ぐらいは聞くだろ」
「っぷはっ! そうだよね! 会わない話さないそして反対なんて僕はどうかと思うなぁ! だから……あぐっもごご……」
「玄武も来てくれたってことは、貴方も私達と同意だと思って良いですね?」
「……良い」

 目を閉じて、と言われて従うと、コツンと誰かの額が合わさってきた。

──全てを受け入れ生きるよう──

 頭の中に響く白虎の声に頷くと、次は朱雀、その次は青龍、そして玄武と声が続く。
 玄武の額が離れたと同時に、一瞬鳥肌が立った。
 そして感じるのはさっき感じた漠然としたイメージの違いよりも、もっとはっきりとした違和感だった。
 キョロキョロと辺りを見回しても風景自体に変わりはない。
 ただ、空気がひどく騒ついている。

「解るか? 深海」
「行きましょう、か。帝の元に和子もいますから」

 苦い顔をしているのは白虎だけではなかった。あの飄々とした青龍でさえ微妙な顔をしている。

「あのねぇ、和子の伴侶殿も……知っといた方が良いと思うんだけど……あの、僕が話して良い?」

 朱雀に、ありのままのことを余計な感想や私情を挟まず的確に話せ、と言われて青龍はがんばる、と答えて俺の隣に並んだ。

「えぇと、和子が声を封じられているのは知ってるよね? その頃郷はまだこんなじゃなかった。この一ヶ月で変わったんだよ。花、咲いてないでしょ? でもね枯れたワケじゃないんだよ。花弁を閉ざして……咲くことを拒否してる。花が次々と咲くことを拒否して、鳥は歌うことをやめた。湧き水も減ったよ。そういうのをね、帝は和子が伴侶殿と引き離そうとする帝に対しての反抗だって決め付けて監禁してる。あ、和子は反抗なんてしてないよ! 確かに和子なら力を使って介入すればこういうことはできるだろうけど、そんなことする人じゃないからね。つまり、郷が今こんななのは、和子のせいじゃなくて帝のせいなんだよ。もう僕達の力じゃどうにもならないんだけど、相変わらず帝はやっぱり僕達の話も聞いちゃくれない……」
「監禁ってなんだよ!?」
「帝はさ、郷がこうなったのは和子のせいだと思ってて、早く郷を元の状態に戻せって和子に命令してるんだけど、そもそも和子のせいじゃないから戻らないでしょ? ……帝が思い改めてくれたらマシになるとは思うんだけど……郷が元に戻らないからイライラしてて、今度は和子が伴侶殿のいた世界へ行けないようにして、この世界にも介入できないように力を封じてる……お前のせいで郷が滅ぶのを、見てろって……も、ムリだよ……」
「だからか? だから郷に来たのにルナの思いすら届いて来ないのか? 監禁? 声だけじゃ足りねぇのか!?  なんだよ、ふざけんな……ふざけんなよっやっぱクソだな!」

 誰も俺をとがめなかった。
 それどころか……。

「さあ、そのクソに会いに行きましょう。会いに行かなければ和子に会えませんし。あのね、深海さん。郷は今の郷の在り方を拒否しているんです。はっきり言ってしまえば、帝を拒否しているんですよ。あの人はいつの間にか郷の平穏は自分一人の力で成り立っていると勘違いしてしまった。私達のことも和子のことも共に郷を支えていく仲間ではなく手下だと思うようになってしまった。長く帝と呼ばれていたからでしょうか……私からしたら帝もただの役職名でしかありませんがね」
「そうそう。俺達四方守護の直談判も無視するようなクソにいつまでも私達の大切な和子を拘束されてちゃたまんねぇからな。返してもらおうぜ」
「だよね! 和子の声も笑顔も大切だもんね。僕、和子が話してくれる伴侶殿の話大好きなんだよ。こぉひぃって美味しいんでしょ? げえむってすごいんでしょ? 早く行って封印解いてもらお!」
「…………伴侶殿…………かまわん…………守る」

 四人一致で俺の背中を押す。言葉とか雰囲気じゃなくて、本当に掌を当てて押してくれる。
 その手に押されて、花一輪開いていない花畑を抜け、明らかに水の足りていない田畑の脇を通り、閑散とした町を歩いた。
 しばらく歩いて立派な大木が見えると朱雀がその木を指差して

「ほら、深海! あれが瑠璃の桜の木だ。話したろう?」

 と少し得意そうに言った。
 瑠璃の桜があるということはもう帝の庭なんだろう。
 近付くと瑠璃の桜の側に人影が見える。

「皆様お待ちを」
「尾白……」
「もう皆様、力を与えたのですか?」

 そうだと答えた朱雀に、尾白はそうですか、と顔を歪めた。相変わらず嫌われているらしい。

「はぁ……五人目が私では格が劣るでしょう……」

 俺から目を逸らして不機嫌そうに呟いた尾白の言葉の意味がすぐには理解できなかった。
 五人目がって、それって……。

「尾白、さん?」
「あ、あぁー、あの、時は、その、悪かったな。ヒドいことを言った……」
「五人目は和子だ。もう決めている。大丈夫、帝が何をしようとも深海は俺達が守る。だからよ、六人目になってやってくんねぇかな?」

 無言の尾白の肩を微笑んで叩く朱雀はとても落ち着いていた。

「で? 尾白がここにいるってことはめぼしい奴らは集まってるんだな?」
「はい。帝がお待ちです」
「ふん、先に集めて俺達以外の者が深海に力を与えないようにしたか。よく出れたな? 尾白……脅されたか?」
「私は……あの時確かに思ったのです。決して離してはならない御魂をこの手で裂いた、と。嘘はつけません。それで消されるならそれも仕方のないことです」

 それ以上何も言わず背を向けた尾白に着いて立派な館の門をくぐった。
 広い廊下ですれ違う綺麗な着物をまとった女性達からは好奇と、同情に似たものと、期待を込めた眼差しを投げかけられた。

 一際ひときわ豪華絢爛な扉の前で立ち止まった尾白が振り返って俺を見て口の端に笑みを浮かべた。

「六人目は私でよろしいか? 和子様の伴侶殿」

 バカみたいにブンブン頭を縦に振るしかできなかった。そんな俺の頭を良いタイミングで掴んだ朱雀が得意技を繰り出して、白虎が背中をさすってくれる。

「行こうか」

 観音開きの扉を青龍と玄武が開ける。やたらと広い部屋の奥のやたらと豪華な椅子に座ってこちらを睨む爺さんがいた。

「勘違いもはなはだしい穢れが郷にまで来るとはな! 呆れるわ! しかも四方守護までたぶらかしたか? 惑わされたか? 情けない」

 殴らないでいる自信がどんどんなくなっていく。

「帝、初対面でずいぶんと失礼ですね? この方から穢れなんて出ていませんよ? そんなことも解りませんか? 会って話さなくては何も解りませんよ?」

 朱雀と白虎に手を引かれ進むと、広間に集まった人達がザッと避けて道を作ってくれた。

 帝を正面に見据え、俺の右に朱雀。その隣に白虎。左に玄武。その奥に青龍が座った。

「ルナに会いたい」

 俺の願いを帝は鼻で笑って、何も聞こえなかったかのように一人優雅に湯呑みに口をつけた。

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