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第35話 【番外編】けっこうなお点前です 其の2
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せっかく和子様と伴侶様にお招きいただいたのに、遅刻でございます。
でも、和子様達が発案された休憩所のことですので、仕方ありませんね。許していただけるでしょう。
和子様が住居を移られず、今までの館で伴侶様と過ごすと聞かされた時は、一瞬でしたけど、私達はどうなるのかと思ったのです。
帝の身の回りのお世話をして長い時間を過ごしてきた私達が、郷の仕事の何にお役に立てるか、全く解りませんでした。
「え? 帝の館のことは雪江達の方が詳しいでしょ? 部屋数だって、厨房のことだって、把握してるのは雪江達でしょ? それに雪江一人じゃ管理も難しいでしょ? だから、みんなは今まで通り館で過ごして、休憩に来た人達をもてなしてあげて? 雪江は、えぇと責任者だね」
にっこり笑う和子様に伴侶様が何事か耳打ちされました。
「あ。女将! 女将さんだって! 雪江が女将さん。ね? 深海、女将さんって一人なの?」
「うーん……大女将、女将、若女将……かな?」
「じゃあ、雪江の役職は大女将! 女将と若女将? は雪江が決めたら良いよ。決まったら教えてね?」
あれよあれよと言う間に役職までいただいてしまいました。しかもその他の新たな役職への任命を私に預けてくださるというのです。
正直、先帝では考えられないことでした。
この話はもう皆様で話し合われたことだったのでしょう、守護の皆様も和子様の言葉に反対されず、朱雀様などは
「瑠璃の桜を映すお前の瞳は綺麗だな」
と白虎様の頬を両手で挟んで愛を囁いておられました。
……仲良きことは美しきかな……です。
そんなお二人を見た和子様が伴侶様の手を引いて瑠璃の桜の木の真下に座られ、瑠璃の桜に伴侶様のことを事細かに紹介されておりましたっけ。
……いかに見目麗しいか。
……いかにお心が澄んでいらっしゃるか。
……いかに博学であるか。
……いかにすまほのげぇむがお上手か。
……いかに麒麟が降りた姿が凛々しかったか。
最後はもう、とにかく深海はすごい! の一点張りでしたけれど、大変愛らしいお姿でした。そんな和子様の口を顔を赤くして塞ぐ伴侶様も……仲良きことは美しきかな……でございました。
「雪江殿? 思い出し笑いですか?」
「ふふ、桜の木の下の和子様と伴侶様のことを思い出してしまって……」
「ああ! 一生懸命に説明してましたね、和子様」
くすりと笑う紅蘭さん。きっと思いは同じですわね。
伴侶様と出逢うきっかけともなった瑠璃の桜に、きちんと知って欲しかったのでしょう。
「ところで紅蘭さんはもう飲みましたか? こぉひぃ、という飲み物」
「えぇ! いただきました。最初は黒くて驚いたんですけど、和子様のおっしゃる通りに砂糖と牛乳を入れてみましたらとても美味しくて! きっと雪江殿も……」
「殿はやめてくださいってお願いしているじゃないですか? 若女将!」
本当は呼び捨てで良いのに……。けれど私の方が歳上ですので、紅蘭さんに呼び捨てはできないと言われてしまいました。少々残念です。
「あ! 雪江ー! 紅蘭ー! 早くおいでよー!」
館の窓から和子様が手を振ってくださいました。和子様の声に伴侶様も窓から手を振ってくださいます。本当にお二人は仲睦まじく、見ているこちらも幸せな気持ちにさせてくださいます。
紅蘭さんに聞きましたけど、お二人はお風呂も一緒で、本当に片時も離れないんですって。
「和子様、伴侶様、お招きいただきましたのに遅れて申し訳ご……」
「お疲れ様! 尾白から聞いてるよ! 色々とムダが出ないようにがんばってくれてるって! ありがとね」
労いのお言葉に胸が温かくなります。私が感激のあまり何も言えないでいると、紅蘭さんが説明を始めてくれました。
「もし材木が余るようなら、お皿や箸だけじゃなく、匙、しゃもじなども作っていただこうと思っております」
「大賛成だよ」
「俺にも手伝えることがあったら……」
「深海は大工仕事もできるの!?」
「ヤスリをかけたりはできるだろ? 多分……はい、お待たせしました。どうぞ」
ことん、と私と紅蘭さんの前にこぉひぃが置かれました。確かに真っ黒で、どうしたものかと紅蘭さんをチラリと見ますと、彼女は嬉しそうに口の端に微笑みを浮かべて、砂糖と牛乳に手を伸ばしておりました。
「まずはそのまま飲んでみたら良い。私はそのままいただいた」
尾白殿は何か胸の痞えが取れたような、穏やかな表情でした。何か良いことでもあったのでしょう。
「そうですわね、いただきます」
私がこぉひぃに口をつけるのを、和子様がキラキラの目で見ておられます……。
「ルーナ。雪江さんも飲みにくいだろ? 見ないの!」
「うー、だって。苦かったらお砂糖と牛乳を……」
すぐに渡そうとしてくださっていたみたいです。伴侶様にたしなめられて和子様は少し唇を尖らせたまま私から視線を外されました。
伴侶様はそんな和子様の頬を撫でて
「ルナは優しいね……でもじぃっと見てたらダメだよ? ルナだってイヤだろう?」
と穏やかに言い聞かせておられます。和子様はこくこくと頷いて、私に向き直ると
「こぉひぃ……気に入ってもらえるか心配で……つい見ちゃった。無礼だった。ごめんなさい」
と頭を下げられたのです。
もう一度申し上げます。
頭を下げるなど、先帝では考えられないことです!
私は畏れ多く感じつつも、和子様のお気遣いも伴侶様のお気遣いも嬉しくてたまりませんでした。
「和子様、お砂糖と牛乳をくださいますか? 私には少々苦うございます」
「はい! ちょっとずつだよ!」
こぉひぃのことなら任せて! と胸を張る和子様。確かに伴侶様を除けばこの中で一番こぉひぃに通じていらっしゃるのは和子様ですね。
伴侶様は和子様に微笑みを投げかけると、紅蘭さんに何やらせがまれて、照れ臭そうに頭を掻いておられます。
「作るのは良いけど……紅蘭さんに教えるって緊張します…」
「甘くてふわふわだと聞いた。そうなのか? 紅蘭殿」
「そうなんです! 蜂蜜をかけていただくと本当に美味しいんですのよ! あれを教えていただければ、休憩所でお茶受けにできるんじゃないかと考えているのです」
休憩所、と聞いて大女将である私が黙っているワケにはいきません。
私は皆さんの顔を見渡しました。
「伴侶殿が作る菓子の話だ」
「お菓子?」
「けぇき。きっとお茶にもこぉひぃにも合うよ! でもさっき聞いたら全部深海の直感なんだって」
「その直感を盗むのが私に課せられた使命ですわね! がんばります!」
大袈裟だよ、と伴侶様は一つ溜め息をついて、初めてのこぉひぃを口にした私を心配して水を勧めてくださいました。
和子様は伴侶様に腕を絡めて、けぇきをねだっていらっしゃいます。
伴侶様のいらした世界では、男子厨房に近寄らずではないのでしょうか?
「今度な、今度」
「いつでございましょう!?」
身を乗り出した紅蘭さんは真剣そのものです。真剣に伴侶様からけぇきの極意を盗むつもりのようです。
休憩所で、お茶受けに、けぇき。
私はけぇきを見たこともございませんけど、とても素敵に思えました。
この口の中に広がるこぉひぃの芳しい香に合う、甘くてふわふわなお菓子……。
きっと休憩所を訪れた郷の方々も喜んでくださるに違いありません!
「その時は是非! 私も呼んでくださいまし! 私も作れるようになりたいです!」
「ゆ、雪江さんまで……」
「大女将と若女将のお願いは聞かなきゃダメだよ?」
和子様の弾むような声に伴侶様は笑いながら頷いて、紅蘭さんに厨房の予定を聞いて三日後、と約束してくださいました。
「三日後! またみんな来てね! 朱雀達も呼ぼうね!」
本当に嬉しそうな幸せそうな和子様の笑顔。
けぇきがどれ程甘くて美味しい物かは解りませんが、今この瞬間、私達は和子様達の笑顔とこぉひぃに癒されております。
でも、和子様達が発案された休憩所のことですので、仕方ありませんね。許していただけるでしょう。
和子様が住居を移られず、今までの館で伴侶様と過ごすと聞かされた時は、一瞬でしたけど、私達はどうなるのかと思ったのです。
帝の身の回りのお世話をして長い時間を過ごしてきた私達が、郷の仕事の何にお役に立てるか、全く解りませんでした。
「え? 帝の館のことは雪江達の方が詳しいでしょ? 部屋数だって、厨房のことだって、把握してるのは雪江達でしょ? それに雪江一人じゃ管理も難しいでしょ? だから、みんなは今まで通り館で過ごして、休憩に来た人達をもてなしてあげて? 雪江は、えぇと責任者だね」
にっこり笑う和子様に伴侶様が何事か耳打ちされました。
「あ。女将! 女将さんだって! 雪江が女将さん。ね? 深海、女将さんって一人なの?」
「うーん……大女将、女将、若女将……かな?」
「じゃあ、雪江の役職は大女将! 女将と若女将? は雪江が決めたら良いよ。決まったら教えてね?」
あれよあれよと言う間に役職までいただいてしまいました。しかもその他の新たな役職への任命を私に預けてくださるというのです。
正直、先帝では考えられないことでした。
この話はもう皆様で話し合われたことだったのでしょう、守護の皆様も和子様の言葉に反対されず、朱雀様などは
「瑠璃の桜を映すお前の瞳は綺麗だな」
と白虎様の頬を両手で挟んで愛を囁いておられました。
……仲良きことは美しきかな……です。
そんなお二人を見た和子様が伴侶様の手を引いて瑠璃の桜の木の真下に座られ、瑠璃の桜に伴侶様のことを事細かに紹介されておりましたっけ。
……いかに見目麗しいか。
……いかにお心が澄んでいらっしゃるか。
……いかに博学であるか。
……いかにすまほのげぇむがお上手か。
……いかに麒麟が降りた姿が凛々しかったか。
最後はもう、とにかく深海はすごい! の一点張りでしたけれど、大変愛らしいお姿でした。そんな和子様の口を顔を赤くして塞ぐ伴侶様も……仲良きことは美しきかな……でございました。
「雪江殿? 思い出し笑いですか?」
「ふふ、桜の木の下の和子様と伴侶様のことを思い出してしまって……」
「ああ! 一生懸命に説明してましたね、和子様」
くすりと笑う紅蘭さん。きっと思いは同じですわね。
伴侶様と出逢うきっかけともなった瑠璃の桜に、きちんと知って欲しかったのでしょう。
「ところで紅蘭さんはもう飲みましたか? こぉひぃ、という飲み物」
「えぇ! いただきました。最初は黒くて驚いたんですけど、和子様のおっしゃる通りに砂糖と牛乳を入れてみましたらとても美味しくて! きっと雪江殿も……」
「殿はやめてくださいってお願いしているじゃないですか? 若女将!」
本当は呼び捨てで良いのに……。けれど私の方が歳上ですので、紅蘭さんに呼び捨てはできないと言われてしまいました。少々残念です。
「あ! 雪江ー! 紅蘭ー! 早くおいでよー!」
館の窓から和子様が手を振ってくださいました。和子様の声に伴侶様も窓から手を振ってくださいます。本当にお二人は仲睦まじく、見ているこちらも幸せな気持ちにさせてくださいます。
紅蘭さんに聞きましたけど、お二人はお風呂も一緒で、本当に片時も離れないんですって。
「和子様、伴侶様、お招きいただきましたのに遅れて申し訳ご……」
「お疲れ様! 尾白から聞いてるよ! 色々とムダが出ないようにがんばってくれてるって! ありがとね」
労いのお言葉に胸が温かくなります。私が感激のあまり何も言えないでいると、紅蘭さんが説明を始めてくれました。
「もし材木が余るようなら、お皿や箸だけじゃなく、匙、しゃもじなども作っていただこうと思っております」
「大賛成だよ」
「俺にも手伝えることがあったら……」
「深海は大工仕事もできるの!?」
「ヤスリをかけたりはできるだろ? 多分……はい、お待たせしました。どうぞ」
ことん、と私と紅蘭さんの前にこぉひぃが置かれました。確かに真っ黒で、どうしたものかと紅蘭さんをチラリと見ますと、彼女は嬉しそうに口の端に微笑みを浮かべて、砂糖と牛乳に手を伸ばしておりました。
「まずはそのまま飲んでみたら良い。私はそのままいただいた」
尾白殿は何か胸の痞えが取れたような、穏やかな表情でした。何か良いことでもあったのでしょう。
「そうですわね、いただきます」
私がこぉひぃに口をつけるのを、和子様がキラキラの目で見ておられます……。
「ルーナ。雪江さんも飲みにくいだろ? 見ないの!」
「うー、だって。苦かったらお砂糖と牛乳を……」
すぐに渡そうとしてくださっていたみたいです。伴侶様にたしなめられて和子様は少し唇を尖らせたまま私から視線を外されました。
伴侶様はそんな和子様の頬を撫でて
「ルナは優しいね……でもじぃっと見てたらダメだよ? ルナだってイヤだろう?」
と穏やかに言い聞かせておられます。和子様はこくこくと頷いて、私に向き直ると
「こぉひぃ……気に入ってもらえるか心配で……つい見ちゃった。無礼だった。ごめんなさい」
と頭を下げられたのです。
もう一度申し上げます。
頭を下げるなど、先帝では考えられないことです!
私は畏れ多く感じつつも、和子様のお気遣いも伴侶様のお気遣いも嬉しくてたまりませんでした。
「和子様、お砂糖と牛乳をくださいますか? 私には少々苦うございます」
「はい! ちょっとずつだよ!」
こぉひぃのことなら任せて! と胸を張る和子様。確かに伴侶様を除けばこの中で一番こぉひぃに通じていらっしゃるのは和子様ですね。
伴侶様は和子様に微笑みを投げかけると、紅蘭さんに何やらせがまれて、照れ臭そうに頭を掻いておられます。
「作るのは良いけど……紅蘭さんに教えるって緊張します…」
「甘くてふわふわだと聞いた。そうなのか? 紅蘭殿」
「そうなんです! 蜂蜜をかけていただくと本当に美味しいんですのよ! あれを教えていただければ、休憩所でお茶受けにできるんじゃないかと考えているのです」
休憩所、と聞いて大女将である私が黙っているワケにはいきません。
私は皆さんの顔を見渡しました。
「伴侶殿が作る菓子の話だ」
「お菓子?」
「けぇき。きっとお茶にもこぉひぃにも合うよ! でもさっき聞いたら全部深海の直感なんだって」
「その直感を盗むのが私に課せられた使命ですわね! がんばります!」
大袈裟だよ、と伴侶様は一つ溜め息をついて、初めてのこぉひぃを口にした私を心配して水を勧めてくださいました。
和子様は伴侶様に腕を絡めて、けぇきをねだっていらっしゃいます。
伴侶様のいらした世界では、男子厨房に近寄らずではないのでしょうか?
「今度な、今度」
「いつでございましょう!?」
身を乗り出した紅蘭さんは真剣そのものです。真剣に伴侶様からけぇきの極意を盗むつもりのようです。
休憩所で、お茶受けに、けぇき。
私はけぇきを見たこともございませんけど、とても素敵に思えました。
この口の中に広がるこぉひぃの芳しい香に合う、甘くてふわふわなお菓子……。
きっと休憩所を訪れた郷の方々も喜んでくださるに違いありません!
「その時は是非! 私も呼んでくださいまし! 私も作れるようになりたいです!」
「ゆ、雪江さんまで……」
「大女将と若女将のお願いは聞かなきゃダメだよ?」
和子様の弾むような声に伴侶様は笑いながら頷いて、紅蘭さんに厨房の予定を聞いて三日後、と約束してくださいました。
「三日後! またみんな来てね! 朱雀達も呼ぼうね!」
本当に嬉しそうな幸せそうな和子様の笑顔。
けぇきがどれ程甘くて美味しい物かは解りませんが、今この瞬間、私達は和子様達の笑顔とこぉひぃに癒されております。
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