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ドランクール遺跡
不穏
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女は暗い建物の中で知らせが来るのを待っていた。
長年探してきた宿敵の足をついに見つけることができたのだ。
さぁ、早く。もうその時が楽しみで楽しみで仕方がないんだ。早くあの女を血祭りにさせてくれ。
「待たせたな」
そんな風に血走った目で扉を眺めていると、ギギィと鈍い音を立てて扉が開く。そこには見慣れた黒い鎧を着た男が立っていた。
その鎧は闇よりも暗く、氷よりも冷たい。そしてその奥から聞こえるその声は人の心を揺さぶるような、そんな気味の悪さがある。
「遅かったじゃないですかぁ。泣く子も黙る【黒騎士】の名が泣きますよ?」
ピンクの髪と黒色の瞳をした少女は目の前の男を挑発するように告げる。
闇の世界で暗躍するこの男は黒騎士。
素性は一切不明だが、今はとある目的のために一時的な協力体制をとっている。
「仕方ないだろう。あそこから情報を仕入れるのは中々に骨が折れるんだぞ」
黒騎士はため息を吐くそぶりを見せながら少女に羊皮紙を放り投げる。
獣のように羊皮紙を掴み取ると、夢中で羊皮紙の中の文字を追う。
「目的の奴は【ドランクール遺跡】だ。あそこはかつて『あいつ』が封印された場所だ。それを使えばお前の敵も倒せるだろうな」
「流石は黒騎士様、仕事が早いですねぇ」
女は狂ったように羊皮紙に釘付けになりながら答える。
「あぁ……ありました!ありましたとも!」
「希望に添えたなら何よりだ。では襲撃の作戦だが……」
「必要ありません。あたし1人で十分。あなたは他の者が邪魔しないようにだけしておいて下さい。あたしの邪魔をすればお前ごと殺して差し上げます」
女はギラリと殺人者の目を向ける。
「……まぁ、私は目的さえ達成出来れば構わんが」
自己中心的な主張を繰り返す女に黒騎士は呆れ果てる。
全く、この女は狂っている。王はよくもまぁこんな奴を手元に置いておこうとお考えになったものだ。
「さぁ……楽しい楽しいショーの始まりですよ!」
そして暗闇の中で甲高い笑い声が響き渡るのだった。
長年探してきた宿敵の足をついに見つけることができたのだ。
さぁ、早く。もうその時が楽しみで楽しみで仕方がないんだ。早くあの女を血祭りにさせてくれ。
「待たせたな」
そんな風に血走った目で扉を眺めていると、ギギィと鈍い音を立てて扉が開く。そこには見慣れた黒い鎧を着た男が立っていた。
その鎧は闇よりも暗く、氷よりも冷たい。そしてその奥から聞こえるその声は人の心を揺さぶるような、そんな気味の悪さがある。
「遅かったじゃないですかぁ。泣く子も黙る【黒騎士】の名が泣きますよ?」
ピンクの髪と黒色の瞳をした少女は目の前の男を挑発するように告げる。
闇の世界で暗躍するこの男は黒騎士。
素性は一切不明だが、今はとある目的のために一時的な協力体制をとっている。
「仕方ないだろう。あそこから情報を仕入れるのは中々に骨が折れるんだぞ」
黒騎士はため息を吐くそぶりを見せながら少女に羊皮紙を放り投げる。
獣のように羊皮紙を掴み取ると、夢中で羊皮紙の中の文字を追う。
「目的の奴は【ドランクール遺跡】だ。あそこはかつて『あいつ』が封印された場所だ。それを使えばお前の敵も倒せるだろうな」
「流石は黒騎士様、仕事が早いですねぇ」
女は狂ったように羊皮紙に釘付けになりながら答える。
「あぁ……ありました!ありましたとも!」
「希望に添えたなら何よりだ。では襲撃の作戦だが……」
「必要ありません。あたし1人で十分。あなたは他の者が邪魔しないようにだけしておいて下さい。あたしの邪魔をすればお前ごと殺して差し上げます」
女はギラリと殺人者の目を向ける。
「……まぁ、私は目的さえ達成出来れば構わんが」
自己中心的な主張を繰り返す女に黒騎士は呆れ果てる。
全く、この女は狂っている。王はよくもまぁこんな奴を手元に置いておこうとお考えになったものだ。
「さぁ……楽しい楽しいショーの始まりですよ!」
そして暗闇の中で甲高い笑い声が響き渡るのだった。
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