RUMIKO

HASUNO

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ルミコとの出会い

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ある日の夜、メグはいつも通りテレビを見て過ごしていた。
突然、ドアをノックする音がした。

オートロック完備なので、直接ドアをノックする来客は珍しい。
ドアを開けると、そこには隣の部屋の住人がいた。

「おしょうゆを切らしてしまって‥よかったら分けてください」

マンションに引っ越して来た時に両隣の住人には挨拶をした。
会うのはおそらくその時以来だった。

短大の子だったので、今までは付き合いもなかった。
きっとBBQの時にいたのだろうが、全く記憶にもない。

付き合いもないのにただ隣人というだけで醤油をもらいに来る子。
メグにはそんな勇気もない。

醤油がなければ諦めるか、買いに行く。
メグはそういう子だったので、自分にはない隣人の勇気に感心をしつつ、快く醤油をさし出した。

彼女の名前はルミコといった。
醤油事件をきっかけに、メグとルミコは仲良くなった。

ルミコは目鼻立ちがはっきりしていて、大人びたメイクをする、メグには見た目的に近寄りがたいタイプの人間だったが、意外にも話しやすいというギャップが良く、すぐに意気投合した。

ルミコはよく部屋に招いてくれた。
メグの部屋はいつでも散らかっていたので、誰かといたい気持ちはあっても、部屋には誰も入れたくないので好都合だった。

ルミコとの共通点は郷土愛だった。
ルミコは福岡出身で、時々出る福岡弁がかわいらしかった。
とにかく郷土愛が強く、地元出身のミュージシャンを愛していた。

メグも1年の時には、それまで興味のなかった広島出身のミュージシャンのアルバムを、擦り切れそうなほど聞いていた。

話し上手なルミコの話を聞いているのは楽しかった。

お笑い好きなルミコの影響で、メグはお笑いにも詳しくなり、テレビをよく見るようになった。

よその学園祭のお笑いステージも一緒に行った。
メグが好きなお笑い芸人の山川屋が出演することを知って、ルミコが誘ってくれたものだった。
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