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第一章第四話 地球誕生プログラム

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その人は、あれから地球誕生のプログラムの作業を今夜も深夜遅くに取り掛かっていた。

まず、山河を型どり、渓谷(けいこく)を設け、地球の中心部にエネルギーのコアを打ち込み、四季を展開し、原始の遺伝子を挿入し、沢山の動物に生命(いのち)を吹き込みそれぞれの属性、或いは進化を付随した。

そして、植物の種子をランダムにその効果と毒性と薬草など様々なデコレーションの意味合い、そして食料の余地を余すところなく、作業を続けた。


次に様々な国土の形成にまで着手した。

釈迦降臨やイエス・キリスト降臨、アラーの神など。

それぞれの国土にバランスがとれるように工夫した。


この作業は地道かつ迅速に行われた。

その人は、小休止を取り、カレーライスにウスターソースを掛けて美味しそうに食べた。

そして自家製のプレミアムコーヒーをマグカップに並々と注ぎ、葉巻を取り出し、火をつけた。

1時間弱の休憩を取り、再び作業を再開した。

その人は、次に五線譜を作り音階を施し様々な楽器の起源を興した。

数えたらキリがないほどの緻密な作業をスマートにこなした彼は、いよいよ地球誕生プログラムを起動し始めた。

「これより、地球誕生のプログラムを起動します・・・」

彼のコンピューターが確認事項のリスニングを始めた。

こうして、難関とも云うべきリスニングを繰り返し、地球誕生プログラムの起動に成功した。

その人は、両手でガッツポーズをとった。
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