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連葬魔響
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「蓮葬魔響―六式・解放」
男が言いながら銃を抜き、すぐさま引き金を引いた。銃口から弾丸が放たれた途端、信じられないほどの衝撃が発生した。男の周りにあった店は吹き飛んだし、弾丸は延々と衝撃を放ち続け地面を抉った。
勇者は勇敢に立ち向かった。全身に稲妻を纏い……。
衝突した。飛び散る稲妻。ハリケーンがそこにあるような衝撃……。
まさか人間が起こしているなんて思えないような光景だ。何もかもを飲み込んで、塵灰に化す力が、そこにはあった。触れてはいけない、これ以上近づいてはいけない。その場にいた誰もがそう感じた。
男は楽し気な笑みを浮かべたまま、自身の放った弾丸と勇者の衝突を眺めていた。やがて衝撃波が消え、稲妻だけがそこに残ると、男はゆっくりと歩みを始め、勇者に言った。
「長かったな? まぁ、新しい技で少し少々張り切りすぎたが……。それにしたって時間をかけすぎだぞ?」
「……持続力と耐久力が自慢なんでね」
「ほう……。そうか、そうだな」
男はにやにやと勇者の強がりにも思える発言に頷く。そして再び歩き始めたかと思えば、瞬きする間もなく勇者の眼前に迫った。
「ならどこまで耐えられるか、測らせてもらおうか」
目にもとまらぬ速さで近づいた男は、息する間隙など与えることなく勇者の顔面に拳を叩き込んだ。同時に勇者を護るように稲妻が発生し、爆発した。勇者はやすやすと体を飛ばされるが、勇者もやられぱなしでは済まない。
「うぁあああ!」
すぐに復帰した勇者は、その大人一人ぐらいの大きさの剣を大きく振りあげ男に向けて振り下ろす。男はそれを躱したり、弾き返したりして防いだ。
そんな攻防は街を巻き込み兵を巻き込み、空気を揺らしていく。私の視界に映る街はもはや原型をとどめていなかった。建物は崩壊し、砂埃が舞い、比較的にぎやかで穏やかだった大通りは阿鼻叫喚の渦に飲み込まれていた。
「あの男は一体何なんだぁ!」「悪魔……いや、魔王。魔王が復活したんじゃないか……⁉」
そんな声が聞こえてくる。でも、あの光景をまざまざと見せつけられればそう思うのも仕方のないことだ。何せ勇者を圧倒し、銃弾一つで石造りの道を抉り、あたり一帯を吹き飛ばすほどの威力を出したあの男を、魔王と思うのは当然だろう。
それにしても、ここまでとは……。収容所での虐殺では分からなかったあの人の力が明らかにされた。
「おい! 何でこんなところに獣人がいる⁉」「あの男が連れていた獣人だ! 今すぐ殺せ!」
やばいやばいやばい!! 私まで狙われ始めちゃった……。早く逃げないと……。
私がその場から逃げ出そうとあたりを見渡したが、どこを見ても私を敵視する人たちがいて、とても逃げ出せそうになかった。
……一方そのころ。
「確かに、耐久力はなかなかのものだな?」
確かな手ごたえを感じるが、どうしてか全く効いていないように起き上がってくる……。表面の硬さではなく、体力が果てしなく多いのか?
長期戦になれば魔力がそこを尽きる。それを狙った能力か。いや、勇者の素質か……。
なるほど、なんとなく分かった。勇者は持久力で長期戦に、英雄は恐らく攻撃力か援護、聖騎士もどちらかだろう。この三人が一斉に魔王に立ち向かうことで魔王を撃破することができるということか……。
と、すれば今殺すのがいいが……。
三人一斉にかかってきたときに倒した方が、れっきとした魔王と言えるだろう。
男はそう考え、攻撃を休めた。それをいいことに勇者が畳みかける。
何か計画があるのか、一撃一撃力の方向も、その大きさも異なる。そして最後の一撃、全力で剣を振るった。男は寸でのところでガードし何とか死なずに済んだが、男は一直線に建物に突っ込んでいった。
あたりには粉末が舞い、霧のように視界を妨げていた。
「……なるほど。少しでも反応を遅らせる算段か。だが、あたり一帯に魔力を漂わせば、簡単に……」
「今更その程度の算段で、わざわざ絶好のチャンスを逃しはしないさ」
「何?」
勇者が霧のない場所から俺を見ていることは簡単に分かった。俺のいる方に指をさしていることも……。
「たっぷり喰らえ!」
堂々と声を張った割には小さな稲妻だった。この程度で俺を殺そうなどとは……と、油断していた。
放たれた稲妻が霧の中へと侵入した途端、小さな稲妻は一瞬にして大きな爆発に変わった。俺は勇者の目論見通り、爆発に巻き込まれてしまった。
爆発が終わると、その中心地には男の姿があった。男は肩を上下に揺らし、相当なダメージを負っているようだった。勇者はこの機を逃さなかった。
確実にかなりの量の魔力を使ったはずだと、勇者は考えた。
そこからは一方的な攻勢状態だった。勇者はコンマ一秒のチャンスを逃さぬように、男に連撃を喰らわせる。しかし、それでも男は倒れない。しかし、先ほどまでとは比べ物にならないぐらいの手ごたえがあった。
いける! 勝てる! これなら、あの三大魔王にも……!!
「これが勇者の力だああああああ!!」
最後の最後、全力で稲妻を発生させ、そのすべてを腕にまとい一撃に全てをぶつけた———。
男の顔面は歪み、身体はまる焦げになった。地面は大きくへこみ、ところどころに赤い光がちりばめられていた。
「勝った……。うおおぉぉぉぉぉ! 勝ったぞぉぉぉ! 恐らく三大魔王……、下手したらそれ以上の化け物に勝った! やった……。みたかクラレス! 俺だってやったぞ!」
勇者は腕を天に突きあげ喜びの雄たけびを上げた。
男が言いながら銃を抜き、すぐさま引き金を引いた。銃口から弾丸が放たれた途端、信じられないほどの衝撃が発生した。男の周りにあった店は吹き飛んだし、弾丸は延々と衝撃を放ち続け地面を抉った。
勇者は勇敢に立ち向かった。全身に稲妻を纏い……。
衝突した。飛び散る稲妻。ハリケーンがそこにあるような衝撃……。
まさか人間が起こしているなんて思えないような光景だ。何もかもを飲み込んで、塵灰に化す力が、そこにはあった。触れてはいけない、これ以上近づいてはいけない。その場にいた誰もがそう感じた。
男は楽し気な笑みを浮かべたまま、自身の放った弾丸と勇者の衝突を眺めていた。やがて衝撃波が消え、稲妻だけがそこに残ると、男はゆっくりと歩みを始め、勇者に言った。
「長かったな? まぁ、新しい技で少し少々張り切りすぎたが……。それにしたって時間をかけすぎだぞ?」
「……持続力と耐久力が自慢なんでね」
「ほう……。そうか、そうだな」
男はにやにやと勇者の強がりにも思える発言に頷く。そして再び歩き始めたかと思えば、瞬きする間もなく勇者の眼前に迫った。
「ならどこまで耐えられるか、測らせてもらおうか」
目にもとまらぬ速さで近づいた男は、息する間隙など与えることなく勇者の顔面に拳を叩き込んだ。同時に勇者を護るように稲妻が発生し、爆発した。勇者はやすやすと体を飛ばされるが、勇者もやられぱなしでは済まない。
「うぁあああ!」
すぐに復帰した勇者は、その大人一人ぐらいの大きさの剣を大きく振りあげ男に向けて振り下ろす。男はそれを躱したり、弾き返したりして防いだ。
そんな攻防は街を巻き込み兵を巻き込み、空気を揺らしていく。私の視界に映る街はもはや原型をとどめていなかった。建物は崩壊し、砂埃が舞い、比較的にぎやかで穏やかだった大通りは阿鼻叫喚の渦に飲み込まれていた。
「あの男は一体何なんだぁ!」「悪魔……いや、魔王。魔王が復活したんじゃないか……⁉」
そんな声が聞こえてくる。でも、あの光景をまざまざと見せつけられればそう思うのも仕方のないことだ。何せ勇者を圧倒し、銃弾一つで石造りの道を抉り、あたり一帯を吹き飛ばすほどの威力を出したあの男を、魔王と思うのは当然だろう。
それにしても、ここまでとは……。収容所での虐殺では分からなかったあの人の力が明らかにされた。
「おい! 何でこんなところに獣人がいる⁉」「あの男が連れていた獣人だ! 今すぐ殺せ!」
やばいやばいやばい!! 私まで狙われ始めちゃった……。早く逃げないと……。
私がその場から逃げ出そうとあたりを見渡したが、どこを見ても私を敵視する人たちがいて、とても逃げ出せそうになかった。
……一方そのころ。
「確かに、耐久力はなかなかのものだな?」
確かな手ごたえを感じるが、どうしてか全く効いていないように起き上がってくる……。表面の硬さではなく、体力が果てしなく多いのか?
長期戦になれば魔力がそこを尽きる。それを狙った能力か。いや、勇者の素質か……。
なるほど、なんとなく分かった。勇者は持久力で長期戦に、英雄は恐らく攻撃力か援護、聖騎士もどちらかだろう。この三人が一斉に魔王に立ち向かうことで魔王を撃破することができるということか……。
と、すれば今殺すのがいいが……。
三人一斉にかかってきたときに倒した方が、れっきとした魔王と言えるだろう。
男はそう考え、攻撃を休めた。それをいいことに勇者が畳みかける。
何か計画があるのか、一撃一撃力の方向も、その大きさも異なる。そして最後の一撃、全力で剣を振るった。男は寸でのところでガードし何とか死なずに済んだが、男は一直線に建物に突っ込んでいった。
あたりには粉末が舞い、霧のように視界を妨げていた。
「……なるほど。少しでも反応を遅らせる算段か。だが、あたり一帯に魔力を漂わせば、簡単に……」
「今更その程度の算段で、わざわざ絶好のチャンスを逃しはしないさ」
「何?」
勇者が霧のない場所から俺を見ていることは簡単に分かった。俺のいる方に指をさしていることも……。
「たっぷり喰らえ!」
堂々と声を張った割には小さな稲妻だった。この程度で俺を殺そうなどとは……と、油断していた。
放たれた稲妻が霧の中へと侵入した途端、小さな稲妻は一瞬にして大きな爆発に変わった。俺は勇者の目論見通り、爆発に巻き込まれてしまった。
爆発が終わると、その中心地には男の姿があった。男は肩を上下に揺らし、相当なダメージを負っているようだった。勇者はこの機を逃さなかった。
確実にかなりの量の魔力を使ったはずだと、勇者は考えた。
そこからは一方的な攻勢状態だった。勇者はコンマ一秒のチャンスを逃さぬように、男に連撃を喰らわせる。しかし、それでも男は倒れない。しかし、先ほどまでとは比べ物にならないぐらいの手ごたえがあった。
いける! 勝てる! これなら、あの三大魔王にも……!!
「これが勇者の力だああああああ!!」
最後の最後、全力で稲妻を発生させ、そのすべてを腕にまとい一撃に全てをぶつけた———。
男の顔面は歪み、身体はまる焦げになった。地面は大きくへこみ、ところどころに赤い光がちりばめられていた。
「勝った……。うおおぉぉぉぉぉ! 勝ったぞぉぉぉ! 恐らく三大魔王……、下手したらそれ以上の化け物に勝った! やった……。みたかクラレス! 俺だってやったぞ!」
勇者は腕を天に突きあげ喜びの雄たけびを上げた。
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